障害年金完全 病気やケガで働けないときの生活保障

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障害年金は、病気やケガにより日常生活や仕事に支障が出た場合に受給できる公的年金制度です。身体障害だけでなく、精神疾患(うつ病、統合失調症、発達障害など)、知的障害、内部障害(心臓、腎臓、肝臓など)、がんなど、あらゆる傷病が対象となります。

重要なのは「障害者手帳を持っているかどうか」ではなく、「日常生活や労働能力にどの程度制限があるか」です。多くの人が「自分には関係ない」と思っていますが、実際には受給できる可能性がある人は少なくありません。働きながらでも受給できる場合があり、生活を支える重要な制度です。

しかし申請手続きが複雑で、知識がないと受給できないこともあります。この記事では障害年金の種類、受給要件、申請方法、金額、注意点について詳しく解説します。

障害年金とは

定義

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代も含めて受け取ることができる年金です。公的年金制度(国民年金、厚生年金)の給付の一つです。

目的

病気やケガで働けなくなった、または働く能力が著しく制限された人の生活を保障し、経済的自立を支援することが目的です。

老齢年金との違い

老齢年金
65歳以上で受給。年齢が条件。

障害年金
年齢に関係なく受給可能。20歳から64歳でも受給できる。障害の程度が条件。

障害者手帳との違い

障害者手帳
自治体が交付する手帳。福祉サービスを受けるためのもの。

障害年金
国の年金制度。現金給付。

重要なポイント
障害者手帳を持っていなくても障害年金は受給できます。逆に障害者手帳を持っていても障害年金を受給できるとは限りません。認定基準が異なります。

障害年金の種類

障害年金には2種類あります。どちらを受給できるかは、初診日にどの年金制度に加入していたかによります。

1. 障害基礎年金

対象者
初診日に国民年金に加入していた人、20歳前の傷病による障害、または60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる間に初診日がある傷病による障害。

支給される等級
1級、2級の2段階。

支給額(令和6年度)

  • 1級: 月額約81,000円(年額約1,020,500円)
  • 2級: 月額約65,000円(年額約816,000円)

子の加算
18歳到達年度の末日までの子(障害のある子は20歳未満)がいる場合、加算があります。

  • 第1子・第2子: 各約234,800円/年
  • 第3子以降: 各約78,300円/年

2. 障害厚生年金

対象者
初診日に厚生年金に加入していた人(会社員、公務員など)。

支給される等級
1級、2級、3級の3段階。さらに障害手当金(一時金)もあります。

支給額
障害基礎年金の額に加えて、障害厚生年金が上乗せされます。厚生年金の額は加入期間と報酬によって異なります。

報酬比例部分
過去の給料と加入期間に応じて計算。おおよその目安として、平均的な会社員なら月額3万円から10万円程度が障害基礎年金に上乗せされます。

配偶者加給年金額
1級・2級の場合、65歳未満の配偶者がいれば加算。約234,800円/年。

3級の場合
障害基礎年金は支給されず、障害厚生年金のみ。最低保障額約612,000円/年。

障害手当金
3級よりも軽い障害で、初診日から5年以内に治った場合。一時金として最低約1,224,000円。

初診日の重要性

どちらの年金を受給できるかは「初診日」にどの制度に加入していたかで決まります。初診日とは、障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日です。

  • うつ病で休職中の会社員: 初診日が厚生年金加入中なら障害厚生年金
  • 学生時代に統合失調症を発症: 初診日が20歳前なら障害基礎年金
  • 自営業者で糖尿病性腎症: 初診日が国民年金加入中なら障害基礎年金

障害年金の受給要件

障害年金を受給するには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

1. 初診日要件

初診日に次のいずれかに該当すること。

  • 国民年金または厚生年金に加入していた
  • 20歳前であった
  • 60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいた

2. 保険料納付要件

初診日の前日において、次のいずれかを満たすこと。

原則
初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。

特例(令和8年4月1日前に初診日がある場合)
初診日において65歳未満であれば、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。

20歳前の傷病の場合
納付要件は不要。

注意
保険料の滞納があると受給できないことがあります。ただし学生納付特例や免除制度を利用していれば問題ありません。

3. 障害状態要件

障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日、または1年6ヶ月以内に症状が固定した日)において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあること。

障害等級と認定基準

障害等級

1級
日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度。

  • 両眼の視力の和が0.04以下
  • 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
  • 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
  • 統合失調症、躁うつ病等で高度の精神障害により日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度

2級
日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度。

  • 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下
  • 平衡機能に著しい障害を有するもの
  • そしゃくの機能を欠くもの
  • 音声または言語機能に著しい障害を有するもの
  • 統合失調症、躁うつ病等で日常生活が著しい制限を受ける程度

3級(厚生年金のみ)
労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

  • 両眼の視力が0.1以下
  • そしゃくまたは言語の機能に相当程度の障害を残すもの
  • 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
  • 精神または神経系統に労働が制限を受ける程度の障害を残すもの

障害手当金(厚生年金のみ)
3級よりも軽度だが、労働が制限を受ける程度。初診日から5年以内に治った(症状固定した)場合。

主な傷病の認定基準

精神疾患

  • 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
  • 気分(感情)障害(うつ病、躁うつ病など)
  • 症状性を含む器質性精神障害(認知症など)
  • てんかん
  • 知的障害
  • 発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など)

日常生活能力、就労能力、社会性などが総合的に評価されます。就労していても、援助を受けながらの就労や、能力に比して著しく低い給与であれば認定される可能性があります。

がん
がん自体の進行度、治療の副作用、全身状態などが評価されます。抗がん剤治療中で日常生活に著しい制限があれば認定される可能性があります。

心疾患
心不全の程度、運動能力の制限、日常生活の制限などが評価されます。

腎疾患
慢性腎不全、人工透析。透析を受けていれば原則2級以上。

肝疾患
肝硬変、肝がんなど。Child-Pugh分類などで評価。

糖尿病
糖尿病自体ではなく、合併症(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)が認定対象。

呼吸器疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、肺線維症など。呼吸機能、日常生活の制限が評価されます。

肢体の障害
切断、機能障害、変形など。日常生活動作の制限が評価されます。

その他
難病、血液疾患、膠原病、HIV感染症など、あらゆる傷病が対象となりえます。

認定のポイント

障害の程度だけでなく、日常生活や労働能力への影響が重視されます。診断書の記載内容が非常に重要です。

障害年金の申請手続き

申請の流れ

1. 年金事務所または市区町村の窓口で相談
自分が受給要件を満たしているか確認。必要書類のリストをもらう。

2. 初診日の証明
初診日を証明する書類(受診状況等証明書)を初診の医療機関で取得。カルテが残っていない場合は他の方法で証明。

3. 診断書の取得
現在通院している医療機関で障害年金用の診断書を作成してもらう。障害認定日から3ヶ月以内の現症の診断書。

4. 病歴・就労状況等申立書の作成
発病から現在までの経過、日常生活の状況、就労状況などを詳しく記載。

5. その他の必要書類の準備
戸籍謄本、住民票、年金手帳、預金通帳のコピーなど。

6. 年金事務所または市区町村窓口へ提出
すべての書類を揃えて提出。

7. 審査
日本年金機構で審査。通常3から4ヶ月程度かかります。

8. 結果通知
認定または不認定の通知が届きます。

9. 年金の支給開始
認定されれば、請求日の翌月分から、偶数月に2ヶ月分ずつ振り込まれます。

初診日の証明

受診状況等証明書
初診の医療機関で作成してもらう。カルテが残っている必要があります。

カルテが残っていない場合

  • 2番目以降の医療機関の受診状況等証明書で代用できる場合も
  • 身体障害者手帳、糖尿病手帳、お薬手帳、診察券、領収書などの資料
  • 第三者証明(家族以外の人からの申立書)

初診日の証明が難しい場合は社会保険労務士に相談することを推奨します。

診断書

障害年金用の診断書
傷病の種類によって様式が異なります。精神、眼、聴覚、肢体、呼吸器、循環器、腎臓、肝臓、血液・造血器、代謝、悪性新腫瘍など。

重要性
診断書の記載内容が認定の可否を大きく左右します。日常生活の状況、できないこと、困っていることを医師に正確に伝えることが重要です。

作成時期
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)から3ヶ月以内の現症。

診断書料
医療機関により異なりますが、5,000円から10,000円程度。

病歴・就労状況等申立書

内容
発病から現在までの経過を時系列で記載。どのような症状があったか、どの程度日常生活に支障があったか、就労状況、治療内容など。

重要性
診断書とともに重要な書類。具体的に詳しく記載することが大切。

記載のポイント

  • できないこと、困っていることを具体的に
  • 良い時と悪い時の波がある場合は悪い時の状況を記載
  • 援助を受けている場合はその内容を記載
  • 仕事をしている場合は、どのような配慮や援助を受けているか記載

遡及請求と事後重症請求

遡及請求(認定日請求)
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)時点で障害等級に該当していた場合、その時点まで遡って請求できます。最大5年分が一括で支給されます。

事後重症請求
障害認定日時点では該当しなかったが、その後悪化して該当するようになった場合。請求日の翌月分から支給開始。遡りはありません。

どちらで請求できるかは状況により異なります。可能なら遡及請求の方が有利です。

申請のタイミング

できるだけ早く
要件を満たしたら早めに申請。事後重症請求の場合、遡りがないため早く申請するほど受給期間が長くなります。

65歳までに
障害年金は原則として65歳までに請求する必要があります(例外あり)。

障害年金の金額

障害基礎年金

令和6年度の金額

  • 1級: 1,020,500円/年(約85,000円/月)
  • 2級: 816,000円/年(約68,000円/月)

子の加算

  • 第1子・第2子: 各234,800円/年
  • 第3子以降: 各78,300円/年


2級で子ども2人(18歳未満)の場合:
816,000円 + 234,800円 + 234,800円 = 1,285,600円/年(約107,000円/月)

障害厚生年金

障害基礎年金に上乗せ
障害基礎年金の額に加えて、報酬比例の年金額が上乗せされます。

報酬比例部分の計算
平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 加入月数(最低300ヶ月保障)

おおよその目安
平均月収30万円、加入期間20年の場合、年間約50万円程度の障害厚生年金(月約4万円)。これに障害基礎年金が加算されるので、2級なら合計で月約10万円程度。

配偶者加給年金
1級・2級で65歳未満の配偶者がいる場合、234,800円/年が加算。

3級の場合
最低保障額612,000円/年(約51,000円/月)。

他の年金との調整

老齢年金
65歳以降は障害年金と老齢年金の選択制。有利な方を選択。

遺族年金
原則として併給不可。選択制。

労災保険の障害年金
併給できるが調整があり、両方満額は受給できない。

傷病手当金
障害年金を受給すると傷病手当金は調整または停止。

障害年金と就労

働きながら受給できるか

結論
働きながらでも障害年金を受給できます。

ポイント

  • 仕事をしているかどうかではなく、障害の程度が基準
  • 援助を受けながらの就労、能力に比して著しく低い給与、短時間勤務などの場合は認定される可能性
  • 3級は「労働が著しい制限を受ける」が基準なので、制限付きで働いている人が対象

  • 精神疾患で週3日、1日4時間のみ就労可能
  • 職場の配慮や支援を受けながら就労
  • 給与が最低賃金程度
  • A型事業所(障害者雇用)で就労

このような場合でも障害年金を受給できる可能性があります。

就労後も継続受給できるか

診断書の再提出
障害年金受給後も、1年から5年ごとに診断書を提出し、障害の状態を確認されます(更新)。

就労状況の変化
フルタイムで一般就労できるまで回復した場合、更新時に等級が下がる、または支給停止になる可能性があります。

報告義務
就労状況や収入が大きく変わった場合、報告する必要はありませんが、診断書には正確に記載します。

障害年金が不支給になった場合

不服申し立て

審査請求
結果に納得できない場合、3ヶ月以内に審査請求ができます。地方厚生局の社会保険審査官に請求。

再審査請求
審査請求で認められなかった場合、さらに社会保険審査会に再審査請求ができます。

成功率
審査請求の認容率は約10パーセント程度。専門家(社会保険労務士)のサポートが推奨されます。

再請求

事後重症請求
不支給後、症状が悪化した場合、再度請求できます。

別の傷病
全く別の傷病が発生した場合は新規に請求できます。

社会保険労務士への依頼

障害年金に強い社会保険労務士

障害年金の申請は複雑で、専門知識が必要です。社会保険労務士(社労士)の中でも障害年金を専門にしている人に依頼することを推奨します。

依頼するメリット

手続きの代行
書類の収集、作成、提出をすべて代行。

認定の可能性向上
適切な診断書の依頼、病歴・就労状況等申立書の作成により認定率が上がる。

初診日の証明
カルテがない場合の初診日証明など難しいケースに対応。

不服申し立て
審査請求の代理。

時間と労力の節約
複雑な手続きを任せられる。

費用

着手金
無料から3万円程度(事務所による)。

成功報酬
年金額の2ヶ月分程度が相場。遡及分がある場合は別途計算。


月額8万円の障害年金が認定された場合、成功報酬は約16万円程度。遡及分がある場合はさらに加算。

費用はかかりますが、認定の可能性が高まることや手続きの負担軽減を考えると、依頼する価値は高いです。

まとめ

障害年金は病気やケガで生活や仕事に支障が出た場合に受給できる公的年金です。年齢に関係なく受給でき、現役世代も対象です。

種類は障害基礎年金と障害厚生年金の2つで、初診日にどの年金制度に加入していたかで決まります。障害厚生年金の方が金額が多く、3級まで認定されます。

受給要件は初診日要件、保険料納付要件、障害状態要件の3つです。障害等級は1級から3級(厚生年金のみ)まであり、日常生活や労働能力の制限の程度で判定されます。

対象となる傷病は身体障害だけでなく、精神疾患、知的障害、内部障害、がんなど多岐にわたります。障害者手帳がなくても受給できます。

申請手続きは複雑で、初診日の証明、診断書の取得、病歴・就労状況等申立書の作成などが必要です。診断書と申立書の内容が認定の可否を大きく左右します。

金額は障害基礎年金2級で月約68,000円、障害厚生年金はこれに報酬比例部分が上乗せされます。子や配偶者の加算もあります。

働きながらでも受給できる場合があります。仕事の有無ではなく障害の程度が基準です。援助を受けながらの就労や、能力に比して著しく低い給与の場合は認定される可能性があります。

申請が複雑なため、障害年金専門の社会保険労務士に依頼することを推奨します。費用はかかりますが認定率が向上します。

障害年金は生活を支える重要な制度です。受給要件を満たす可能性がある方は、諦めずに申請を検討してください。分からないことがあれば年金事務所や専門家に相談しましょう。

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