お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
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「障害のある子は将来自立できるのか」「一人で生活できるようになるのか」「仕事に就けるのか」「結婚できるのか」「親が亡くなった後、どうなるのか」「何歳まで面倒を見なければならないのか」「きょうだいに負担をかけるのか」「今から何を準備すればいいのか」。
障害のある子を持つ親の多くが、将来の自立について深い不安を抱えています。
障害児の自立は、完全な自立から支援を受けながらの自立まで、様々な形があります。重要なのは、「健常者と同じ自立」ではなく、「その子なりの自立」を目指すことです。
軽度の障害であれば一人暮らしや就労も可能ですし、重度でも支援を受けながら地域で暮らすことができます。
自立の可能性を高めるには、幼少期からの療育、生活スキルの習得、就労訓練、そして親の意識が重要です。
本記事では、自立の定義、障害別の自立可能性、自立に必要なスキル、就労の実態、住まいの選択肢、親が今からできる準備、そして親亡き後の支援について詳しく解説します。
自立の定義
まず、「自立」とは何か、定義を明確にします。
一般的な自立の定義
経済的・生活的独立
一般的に「自立」とは、以下を指します。
- 経済的自立(自分で稼いで生活費を賄う)
- 生活的自立(一人で生活できる)
- 精神的自立(自分で判断・決定できる)
障害児の自立の定義
その子なりの自立
障害児の場合、一般的な定義とは異なる「その子なりの自立」を目指します。
考え方
- 完全な自立でなくても良い
- 支援を受けながらの自立も立派な自立
- 親から離れて暮らせることも自立
- 自分でできることを増やすことが自立
自立の段階
段階がある
自立には、段階があります。
レベル1:親に全面的に依存
- 全てのことを親がする
- 一人では何もできない
レベル2:部分的に自分でできる
- 着替え、食事など、一部のことは自分でできる
- 多くのことは親の支援が必要
レベル3:日常生活は自分でできる
- 日常生活(食事、着替え、入浴など)は自分でできる
- 金銭管理、複雑な判断は支援が必要
レベル4:支援を受けながら一人暮らし
- 一人暮らしはできるが、ヘルパーなどの支援が必要
- 就労継続支援や障害者雇用で働く
レベル5:ほぼ完全な自立
- 一人暮らしができる
- 一般就労または障害者雇用で働く
- 結婚も可能
目指すレベル
その子の障害の程度により、目指すレベルは異なります。
障害別の自立可能性
障害の種類別に、自立の可能性を説明します。
知的障害
軽度知的障害(IQ50~70程度)
自立の可能性:高い
- 日常生活:ほぼ自立可能
- 就労:就労継続支援A型、障害者雇用、一般就労も可能
- 住まい:一人暮らし(支援付き)、グループホーム
- 結婚:可能
サポート
金銭管理、複雑な契約などで、サポートが必要。
中度知的障害(IQ35~50程度)
自立の可能性:中程度
- 日常生活:基本的なことは自分でできるが、サポートが必要
- 就労:就労継続支援B型、A型
- 住まい:グループホーム、家族との同居
- 結婚:難しいが、不可能ではない
サポート
日常生活全般、金銭管理、就労などで、継続的なサポートが必要。
重度知的障害(IQ20~35程度)
自立の可能性:低い
- 日常生活:多くの支援が必要
- 就労:生活介護(就労は難しい)
- 住まい:グループホーム、入所施設、家族との同居
- 結婚:非常に難しい
サポート
ほぼ全面的なサポートが必要。
最重度知的障害(IQ20未満)
自立の可能性:非常に低い
- 日常生活:全面的な支援が必要
- 就労:生活介護
- 住まい:入所施設、家族との同居
- 結婚:ほぼ不可能
サポート
常時、全面的なサポートが必要。
発達障害(ASD、ADHD、LD)
軽度~中度
自立の可能性:高い
- 日常生活:自立可能
- 就労:一般就労、障害者雇用(IT、事務、専門職など)
- 住まい:一人暮らし
- 結婚:可能
特性による困難
社会性、コミュニケーション、感覚過敏などの特性により、困難はありますが、自立は可能です。
サポート
就労の定着支援、生活支援などで、部分的なサポートがあると安心。
重度(知的障害併存、強度行動障害など)
自立の可能性:低い~中程度
知的障害の程度により異なります。
身体障害
軽度~中度
自立の可能性:高い
- 日常生活:自立可能(補助具、バリアフリー環境)
- 就労:一般就労、障害者雇用
- 住まい:一人暮らし(バリアフリー住宅)
- 結婚:可能
サポート
移動、身の回りのことで、部分的なサポート。
重度
自立の可能性:中程度
- 日常生活:多くの支援が必要
- 就労:在宅ワーク、障害者雇用
- 住まい:グループホーム、家族との同居
- 結婚:可能
サポート
日常生活全般、移動などで、継続的なサポートが必要。
精神障害
症状が安定している場合
自立の可能性:高い
- 日常生活:自立可能
- 就労:一般就労、障害者雇用
- 住まい:一人暮らし
- 結婚:可能
サポート
服薬管理、定期通院、ストレス管理などで、サポートが必要。
症状が不安定な場合
自立の可能性:低い~中程度
- 日常生活:支援が必要
- 就労:就労継続支援B型、A型
- 住まい:グループホーム、家族との同居
- 結婚:難しい
サポート
継続的な医療、生活支援が必要。
自立に必要なスキル
自立するために必要なスキルを説明します。
1. 日常生活スキル(ADL)
基本的な生活
- 食事(食べる、簡単な調理)
- 着替え
- 入浴
- 排泄
- 歯磨き
- 整容
2. 家事スキル(IADL)
生活管理
- 掃除
- 洗濯
- 買い物
- 調理
- ゴミ出し
3. 金銭管理
お金の扱い
- お金の計算
- 買い物でお金を払う
- お釣りの確認
- 月々の支出管理
- 銀行の利用
4. 移動
外出
- 公共交通機関の利用
- 徒歩、自転車
- 目的地まで一人で行ける
5. コミュニケーション
人との関わり
- 挨拶
- 簡単な会話
- 困ったときに助けを求める
- 電話
6. 危険回避
安全確保
- 火の始末
- 戸締り
- 不審者への対応
- 緊急時の対応(119、110への連絡)
7. 健康管理
体調管理
- 服薬管理
- 体調の変化に気づく
- 病院に行く
8. 社会性
ルール、マナー
- 社会のルールを守る
- マナーを守る
- トラブルを起こさない
9. 就労スキル
働く力
- 時間を守る
- 指示に従う
- 仕事を続ける
- 報告、連絡、相談
10. 余暇の過ごし方
楽しむ力
- 趣味
- 一人で時間を過ごせる
就労の実態
障害者の就労の実態を説明します。
就労の選択肢
段階がある
1. 生活介護
就労は難しい
- 対象:重度の障害
- 内容:日中活動、創作活動、軽作業
- 工賃:なし、または少額
2. 就労継続支援B型
福祉的就労
- 対象:一般就労が難しい人
- 内容:軽作業(箱折り、袋詰め、清掃など)
- 工賃:月平均約1.6万円(全国平均、2023年度)
3. 就労継続支援A型
雇用契約あり
- 対象:一般就労に近い人
- 内容:軽作業、事務、接客など
- 賃金:月平均約8万円(最低賃金保障)
4. 就労移行支援
一般就労を目指す訓練
- 期間:最大2年
- 内容:就労訓練、職場実習
- 目的:一般就労、障害者雇用
5. 障害者雇用
企業で働く
- 対象:障害者手帳を持っている人
- 雇用形態:正社員、契約社員、パート
- 給与:月平均約12万円~15万円(フルタイム)
職種
- 事務
- 清掃
- 軽作業
- IT(プログラミング、データ入力)
- 専門職(得意分野を活かす)
6. 一般就労
障害をオープンにせず働く
- 給与:一般と同じ
- ただし:障害があることを隠すストレス
実際に働いている人の割合
厚労省データ
- 知的障害者:約30%が福祉的就労、約20%が一般就労・障害者雇用
- 発達障害者:一般就労・障害者雇用の割合が高い
- 精神障害者:症状により大きく異なる
多くの人が働いている
何らかの形で働いている障害者は多いです。
住まいの選択肢
親亡き後の住まいの選択肢を説明します。
1. 一人暮らし(支援付き)
対象
軽度~中度の障害
支援
居宅介護(ホームヘルプ)、訪問看護などを利用
費用
月12万円~18万円程度(家賃、光熱費、食費など)
2. グループホーム
共同生活
- 対象:全ての障害
- 人数:4~10人程度
- 費用:月7万円~14万円程度(家賃、食費、光熱費など)
- 支援:世話人、生活支援員
最も一般的
親亡き後の住まいとして、最も一般的です。
3. 入所施設
24時間支援
- 対象:重度の障害
- 費用:月5万円~15万円程度
- 支援:24時間体制
4. きょうだいとの同居
家族で支える
きょうだいが引き取る。
負担
きょうだいへの負担が大きい。
5. 実家に住み続ける
一人で住む
実家に一人で住み、ヘルパーなどの支援を受ける。
費用
月5万円~10万円程度(光熱費、食費、サービス利用料など)
親が今からできる準備
自立に向けて、親が今からできる準備を説明します。
1. 日常生活スキルを教える
小さい頃から
小さい頃から、日常生活スキルを教えます。
教えること
- 食事の準備
- 着替え
- 掃除、洗濯
- 買い物
- お金の使い方
ポイント
- 何でもやってあげない
- 失敗させる
- 時間がかかっても待つ
2. 自己決定の経験を積ませる
選ばせる
小さなことでも、自分で選ぶ経験を積ませます。
例
- 「りんごとバナナ、どっち?」
- 「赤い服と青い服、どっち着る?」
3. 療育を受ける
専門的な支援
幼少期から療育を受け、発達を促します。
療育の内容
- ソーシャルスキルトレーニング
- コミュニケーション訓練
- 感覚統合訓練
- 学習支援
4. 就労訓練
働く経験
中学生以降、就労訓練を積みます。
方法
- 職場体験
- インターンシップ
- 就労移行支援
5. 自立訓練を利用
生活訓練
自立訓練(生活訓練)を利用し、生活スキルを学びます。
内容
- 家事
- 金銭管理
- 公共交通機関の利用
- コミュニケーション
6. グループホームを体験
お試し
グループホームの短期利用で、親から離れる経験を積みます。
7. 相談支援専門員と計画を立てる
長期計画
相談支援専門員と一緒に、自立に向けた長期計画を立てます。
8. 経済的な準備
資金準備
貯金、障害者扶養共済制度などで、経済的な準備をします。
詳細
別記事「障害児 将来 資金 いくら」参照
9. 成年後見制度の検討
法的な保護
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を検討します。
10. きょうだいと話し合う
家族の理解
きょうだいと、親亡き後のことを話し合います。
11. 地域とのつながり
孤立させない
地域の人とのつながりを作っておきます。
12. 本人に障害を伝える
自己理解
適切な時期に、本人に障害のことを伝えます。
タイミング
小学校高学年~中学生
伝え方
- 「あなたには○○という特性があります」
- 「得意なこと、苦手なことがあります」
- 「サポートを受けながら、自分らしく生きていけます」
親亡き後の支援
親が亡くなった後の支援を説明します。
1. 相談支援専門員
継続的な相談
相談支援専門員が、継続的に相談に乗ります。
2. 成年後見人
財産管理、契約
成年後見人が、財産管理、契約などをサポートします。
3. グループホーム・入所施設の職員
日常生活の支援
グループホーム、入所施設の職員が、日常生活をサポートします。
4. ヘルパー
在宅支援
一人暮らしの場合、ヘルパーが定期的に訪問します。
5. きょうだい
見守り
きょうだいが、定期的に見守ります。
6. 地域の人
見守りネットワーク
民生委員、近所の人などが、見守ります。
7. 医療機関
健康管理
かかりつけ医が、健康管理をします。
8. 行政
福祉サービス
市区町村が、福祉サービスを提供します。
自立の成功例
自立に成功した例を紹介します。
例1:軽度知的障害、一人暮らし
Aさん(30歳、男性)
- 障害:軽度知的障害
- 住まい:一人暮らし(アパート)
- 仕事:就労継続支援A型(月8万円)
- 収入:障害年金2級(月6.6万円)+ A型賃金(月8万円)= 月14.6万円
- 支援:週1回のヘルパー、相談支援専門員、日常生活自立支援事業
自立のポイント
- 幼少期から療育
- 高校卒業後、就労移行支援で訓練
- グループホームを経て、一人暮らし
例2:発達障害、一般就労
Bさん(28歳、女性)
- 障害:ASD(自閉スペクトラム症)
- 住まい:一人暮らし
- 仕事:IT企業でプログラマー(障害者雇用、月20万円)
- 収入:給与のみ
自立のポイント
- 得意分野(プログラミング)を活かす
- 大学卒業後、就職
- 定期的なカウンセリング
例3:中度知的障害、グループホーム
Cさん(35歳、男性)
- 障害:中度知的障害
- 住まい:グループホーム
- 仕事:就労継続支援B型(月1.6万円)
- 収入:障害年金1級(月8.3万円)+ B型工賃(月1.6万円)= 月9.9万円
- 支援:グループホームの世話人、相談支援専門員
自立のポイント
- 親から離れて暮らす
- 仲間と楽しく過ごす
- 定期的に実家に帰る
よくある質問
Q1: うちの子は自立できますか?
A: 障害の程度により異なりますが、何らかの形での自立は可能です。
完全な自立でなくても、支援を受けながらの自立、親から離れて暮らすことも自立です。
Q2: いつまで面倒を見なければなりませんか?
A: 一生、何らかの形で関わり続けることになるかもしれません。
ただし、グループホームなどに入れば、日常の世話は職員がします。親は見守る立場になります。
Q3: 一人暮らしはできますか?
A: 軽度~中度の障害であれば、支援を受けながら可能です。
ヘルパー、訪問看護などのサポートがあれば、一人暮らしできます。
Q4: 結婚はできますか?
A: 軽度の障害であれば可能です。
発達障害、軽度知的障害の人で、結婚している人はいます。
Q5: 仕事に就けますか?
A: 多くの障害者が何らかの形で働いています。
就労継続支援B型、A型、障害者雇用、一般就労など、選択肢があります。
Q6: 今から何を準備すればいいですか?
A: 日常生活スキルを教え、療育を受け、長期計画を立てましょう。
幼少期から日常生活スキルを教え、療育を受け、相談支援専門員と一緒に長期計画を立てます。
Q7: 親が亡くなった後、どうなりますか?
A: グループホーム、入所施設、一人暮らし(支援付き)などの選択肢があります。
相談支援専門員、成年後見人、ヘルパー、きょうだいなどが、サポートします。
まとめ
障害児の自立は、完全な自立から支援を受けながらの自立まで、様々な形があります。重要なのは、「その子なりの自立」を目指すことです。
自立の段階は、親に全面的に依存、部分的に自分でできる、日常生活は自分でできる、支援を受けながら一人暮らし、ほぼ完全な自立の5段階があります。
障害別の自立可能性は、軽度知的障害・発達障害・身体障害は高く、中度知的障害は中程度、重度知的障害は低いです。精神障害は症状の安定度により異なります。
自立に必要なスキルは、日常生活スキル、家事スキル、金銭管理、移動、コミュニケーション、危険回避、健康管理、社会性、就労スキル、余暇の過ごし方です。
就労の選択肢は、生活介護、就労継続支援B型、A型、就労移行支援、障害者雇用、一般就労があり、多くの障害者が何らかの形で働いています。
住まいの選択肢は、一人暮らし(支援付き)、グループホーム、入所施設、きょうだいとの同居、実家に住み続けるなどがあります。
親が今からできる準備は、日常生活スキルを教える、自己決定の経験を積ませる、療育を受ける、就労訓練、自立訓練を利用、グループホームを体験、相談支援専門員と計画を立てる、経済的な準備、成年後見制度の検討、きょうだいと話し合う、地域とのつながり、本人に障害を伝えることです。
親亡き後の支援として、相談支援専門員、成年後見人、グループホーム・入所施設の職員、ヘルパー、きょうだい、地域の人、医療機関、行政があります。
一人で抱え込まず、相談支援事業所、発達障害者支援センター、医療機関などに相談しながら、自立に向けた準備を進めましょう。自立の形は一つではありません。その子なりの幸せな自立を目指しましょう。
主な相談窓口
相談支援事業所
- 自立に向けた計画作成
発達障害者支援センター
- 情報提供、相談
障害者就業・生活支援センター
- 就労支援
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの案内
一人で悩まず、必ず相談してください。子どもの自立に向けて、一緒に準備を進めましょう。

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