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生活保護を受給しながら障害者枠での就労を目指すとき、「いくら稼いだら生活保護が止まって(廃止されて)しまうのか」「医療費の無料化が終わるのが怖い」と不安になる方は少なくありません。
生活保護には、受給が停止・廃止になる収入のボーダーライン(廃止ライン)が存在します。この仕組みを正しく理解し、自分の体調に合わせた就労形態を選ぶことで、無理のない「経済的安定」と「長期勤続」が実現可能です。
本記事では、地域別の廃止ラインの目安や、生活保護を維持しながら働く方法、廃止後の生活設計について分かりやすく解説します。
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生活保護の「廃止ライン」とは?
生活保護は、国の法律に基づいて「最低限度の生活」を保障する制度です。精神障害や発達障害、身体障害のある方も要件を満たせば受給できます。
生活保護を受給中に障害者雇用などで収入を得た場合、「就労収入(控除後)+障害年金などのその他の収入」の合計が、国が定める「最低生活費」を超えた時点で生活保護は廃止(または停止)になります。この境界線が「廃止ライン」です。
働いて収入があっても、廃止ライン(最低生活費)に満たない場合は、差額分の生活保護費が引き続き支給されます。
【地域別・世帯別】廃止ライン(最低生活費)の目安
最低生活費は、お住まいの地域(物価に応じた1級地〜3級地の区分)や世帯人数、障害の有無によって大きく異なります。
以下は、「生活扶助(生活費)」と「住宅扶助(家賃の上限)」を合わせた、大まかな月額の廃止ラインの目安です。
1. 単身世帯の目安(月額)
- 1級地(東京23区・大阪市・横浜市などの大都市):約18万〜22万円 (内訳:生活扶助 約13万〜15万円 + 住宅扶助 約5万〜7万円)
- 2級地(地方の中核都市など):約16万〜18万円 (内訳:生活扶助 約12万〜13万円 + 住宅扶助 約4万〜5万円)
- 3級地(地方の小都市・町村など):約14万〜16万円 (内訳:生活扶助 約11万〜12万円 + 住宅扶助 約3万〜4万円)
2. 加算による廃止ラインの上昇
以下に該当する場合、最低生活費の基準が上がるため、廃止ラインも高くなります。
- 障害者加算:障害者手帳1・2級(または障害年金1・2級)の場合は月約2.5万円、3級の場合は月約1.7万円が基本の最低生活費に加算されます。
- 母子加算:母子世帯などの場合、子供の人数や年齢に応じて月約2万〜3万円が加算されます。
3. 世帯人数が多い場合(二人世帯など)
二人世帯の場合の最低生活費は、地域によりますが月約24万〜28万円程度(生活扶助 約19万〜22万円+住宅扶助)が目安となり、単身者よりも廃止ラインが高くなります。
💡 収入があっても全額は引かれない「基礎控除」 働いて得た収入には「基礎控除」や「必要経費(通勤費など)」が適用されます。例えば月収約1.5万円までであれば保護費は減額されず、それを超えても収入に応じて段階的に控除されるため、「働いた方が手元に残るお金は多くなる」仕組みになっています。
どちらを選ぶ?2つの就労・自立戦略
障害者雇用で働くにあたり、大きく分けて「生活保護を維持しながら働くルート」と「生活保護から脱却するルート」の2つがあります。
ルートA:生活保護を「維持しながら」働く(短時間勤務・福祉就労)
体調に不安がある方や、まずは就労に慣れたい方向けの戦略です。
- 短時間勤務(週10〜20時間未満):月収をあえて廃止ライン以下に抑え、生活保護(特に医療扶助)を受け続けながら無理なく働きます。
- 就労継続支援A型・B型:合理的配慮を最大限に受けながら働ける福祉就労です。B型(工賃)やA型(短時間・最低賃金保障)は、生活保護と非常に両立しやすい形態です。
ルートB:生活保護を「廃止(自立)」して働く(フルタイム正社員など)
体調が安定しており、経済的な完全自立を目指す方向けの戦略です。
- 障害者枠の正社員・フルタイム勤務:年収200万円以上のまとまった収入を得て、生活保護を廃止します。精神障害者の障害者雇用(フルタイム)の平均年収は約230万円と言われており、単身であれば自立可能な水準です。
- 段階的なステップアップ:最初は短時間から始め、体調を見ながら在宅勤務やトライアル雇用を活用し、徐々にフルタイムへ移行していくのが最も安全です。
生活保護が廃止された場合のメリット・デメリット
保護を抜ける(廃止される)ことには、当然メリットだけでなく直面する課題もあります。
- メリット
- 経済的な自立を実感でき、自分の力で自由に使えるお金が増える。
- ケースワーカーによる毎月の収入報告や家庭訪問(管理)から解放される。
- 「生活保護を受給している」という社会的偏見や心理的負担がなくなる。
- デメリットと対策
- 医療扶助(医療費無料)の終了:精神科の通院費が自己負担になります。
- 👉 【対策】 「自立支援医療制度」を活用すれば、精神科の医療費の窓口負担を1割に軽減できます。
- 住宅扶助の終了:家賃が自己負担になります。
- 👉 【対策】 家賃を抑えるために、低家賃の公営住宅(市営・県営住宅)やUR賃貸、障害者グループホームへの切替を検討しましょう。
- 経済的な急変への不安:もし体調を崩して退職したら生活できなくなる。
- 👉 【対策】 生活保護を廃止する際、国から「就労自立給付金」(最大10万円程度)が支給されます。また、「障害年金(年約80万〜100万円)」を継続受給しながら障害者雇用の給与を組み合わせることで、年収260万〜330万円程度の安定した経済基盤を作ることができます。万が一、再び困窮した場合は生活保護の再申請も可能です。
- 医療扶助(医療費無料)の終了:精神科の通院費が自己負担になります。
受給しながら働く際の重要な注意点
- ケースワーカーへの事前相談と実態報告 就労を始める前には必ず担当のケースワーカーに相談してください。また、給与が出たら必ず実態に即した「収入申告」を行う必要があります。虚偽の報告や無申告は不正受給となり、厳しく徴収されるため絶対に避けてください。
- 体調を最優先にする 「生活保護を早く抜けたい」と焦って無理にフルタイムで働き、体調を悪化させてしまっては本末転倒です。主治医と相談しながら、長期視点で3年、5年先を見据えた計画を立てましょう。
利用できる専門の支援機関
一人で抱え込まず、以下の機関をフルに活用してチームで自立を目指しましょう。
- 主治医・精神保健福祉センター:体調管理や、就労が可能かどうかの医学的判断、メンタルケアの相談窓口です。
- ケースワーカー(福祉事務所):生活保護の条件、就労時の収入申告、廃止のタイミングなどの最も重要な相談先です。
- ハローワーク(専門援助部門) / 地域障害者職業センター:障害者雇用の求人紹介、トライアル雇用の調整、職業評価などを行います。
- 就労移行支援事業所・就労継続支援(A型・B型):働くためのスキル習得(無料〜低額)や、福祉的就労の場を提供します。
- 障害者就業・生活支援センター(ナカポツ):仕事(就労)と日常生活の両面から、長期にわたって伴走してくれる心強い機関です。
- 障害者専門の転職エージェント(dodaチャレンジなど):生活保護や障害の特性を理解した上で、両立しやすい求人(在宅勤務など)を提案してくれます。
- 社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー(FP):障害年金の手続きや、保護廃止後の具体的な家計・ライフプランの設計を相談できます。
焦らず段階的な自立を
生活保護を受けながら障害者雇用で働くことは、決して悪いことではなく、むしろ自立への素晴らしい一歩です。
まずはご自身の地域の「廃止ライン」をケースワーカーや専門家に試算してもらい、いくらまでの受給なら保護を維持できるのか、あるいは障害年金と組み合わせて自立できるのかを把握しましょう。主治医やナカポツ、エージェントなどのサポートネットワークをフルに活用しながら、焦らず一歩ずつ進めていってください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・医療的・財務的な助言に代わるものではありません。最新かつ正確な情報については、必ず自治体の福祉事務所(ケースワーカー)、主治医、弁護士などの専門家にご確認ください。
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