身体障害者手帳には1級から7級までの等級があり、障害の種類や程度によって分類されています。等級によって受けられるサービスや支援の内容が異なるため、自分や家族がどの等級に該当するのか、どんな支援が受けられるのかを知っておくことは大切です。この記事では、身体障害者手帳の等級の基準、等級ごとに受けられる支援、申請方法について、わかりやすく解説していきます。
身体障害者手帳とは?
身体障害者手帳は、身体に一定以上の永続する障害がある方に交付される手帳です。障害者福祉法に基づき、都道府県・指定都市・中核市が交付します。
主な目的
- 障害のある方の自立と社会参加を支援する
- さまざまな福祉サービスや支援制度を利用するための証明書となる
- 障害の程度を公的に認定する
手帳を持つことで、医療費の助成、交通機関の割引、税金の控除など、さまざまな支援を受けることができます。
身体障害者手帳の等級制度
身体障害者手帳の等級は、1級から7級まであります。数字が小さいほど、障害の程度が重いことを示します。
等級の基本的な考え方
1級 – 最も重度の障害。日常生活がほとんどできず、常時介護が必要
2級 – 重度の障害。日常生活が著しく制限され、介護が必要
3級 – 重度の障害。日常生活が著しく制限される
4級 – 中度の障害。日常生活に制限がある
5級 – 比較的軽度の障害。日常生活に一部制限がある
6級 – 比較的軽度の障害。日常生活に一部制限がある
7級 – 軽度の障害。単独では手帳交付の対象にならない
7級の特殊性
7級の障害は、単独では身体障害者手帳の交付対象になりません。
ただし、7級の障害が2つ以上ある場合は、それらを合わせて6級として認定され、手帳が交付されます。
例えば、7級の障害(片手の親指の機能障害)と別の7級の障害(片足の小指の欠損)がある場合、合わせて6級として認定されることがあります。
障害の種類と等級
身体障害者手帳の対象となる障害は、以下の7つに分類されます。
1. 視覚障害
視力や視野の障害です。
1級
- 両眼の視力の和が0.01以下
- 両眼の視野がそれぞれ5度以内
2級
- 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下
- 両眼の視野がそれぞれ10度以内で、両眼による視野の2分の1以上が欠けている
3級
- 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下
- 視野の制限がある
4級
- 両眼の視力の和が0.09以上0.12以下
- 一定の視野制限がある
5級
- 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下
- 視野の制限がある
6級
- 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下
2. 聴覚・平衡機能障害
聴力やバランス機能の障害です。
聴覚障害
2級
- 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上(完全に聞こえない)
3級
- 両耳の聴力レベルが90デシベル以上
4級
- 両耳の聴力レベルが80デシベル以上
- 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下
6級
- 両耳の聴力レベルが70デシベル以上
- 一側の聴力レベルが90デシベル以上、他側が50デシベル以上
平衡機能障害
3級
- 平衡機能の極めて著しい障害
5級
- 平衡機能の著しい障害
3. 音声・言語・そしゃく機能障害
発声、会話、食事のそしゃく・嚥下の障害です。
3級
- 音声機能、言語機能またはそしゃく機能の喪失
4級
- 音声機能、言語機能またはそしゃく機能の著しい障害
4. 肢体不自由
手足や体幹(胴体)の機能障害です。身体障害者手帳の中で最も多い障害種別です。
上肢(腕・手)の障害
1級
- 両上肢の機能を全廃したもの
- 両上肢を手関節以上で欠くもの
2級
- 両上肢の機能の著しい障害
- 両上肢のすべての指を欠くもの
3級〜7級
- 障害の程度に応じて段階的に認定
下肢(脚・足)の障害
1級
- 両下肢の機能を全廃したもの
- 両下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
2級
- 両下肢の機能の著しい障害
3級〜7級
- 障害の程度に応じて段階的に認定
体幹の障害
1級
- 体幹の機能障害により座っていることができないもの
2級
- 体幹の機能障害により座位または起立位を保つことが困難なもの
3級
- 体幹の機能障害により歩行が困難なもの
5級
- 体幹の機能の著しい障害
5. 内部障害
外から見えない、内臓の機能障害です。
内部障害には、心臓、腎臓、呼吸器、膀胱・直腸、小腸、肝臓、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害が含まれます。
1級
- 日常生活がほとんどできない程度の障害
2級
- 日常生活が著しく制限される程度の障害
3級
- 日常生活が著しく制限される程度の障害
4級
- 日常生活に制限がある程度の障害
例:心臓機能障害
1級
- 心臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
3級
- 心臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級
- 心臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
等級による支援の違い
等級によって、受けられる支援やサービスの内容が異なります。
1級・2級(重度)で受けられる主な支援
医療費助成
- 多くの自治体で、医療費の自己負担が無料または軽減される
特別障害者手当
- 在宅で常時特別な介護を必要とする20歳以上の重度障害者に支給(月額約27,980円)
生活保護の障害者加算
- 生活保護を受けている場合、障害者加算が適用される
NHK受信料
- 全額免除(世帯全員が住民税非課税の場合)
交通機関の割引
- JR、私鉄、バス、航空機などで本人と介護者が割引
税金の控除
- 特別障害者控除(所得税40万円、住民税30万円)
駐車禁止除外指定車標章
- 一部の自治体で交付
3級・4級(中度)で受けられる主な支援
医療費助成
- 自治体によって内容が異なる
NHK受信料
- 半額免除(世帯主が障害者で、世帯全員が住民税非課税の場合)
交通機関の割引
- JR、私鉄、バス、航空機などで本人が割引(介護者は一部条件あり)
税金の控除
- 障害者控除(所得税27万円、住民税26万円)
公共施設の利用料減免
- 博物館、美術館、動物園などの入場料が無料または割引
5級・6級(軽度)で受けられる主な支援
交通機関の割引
- JR、私鉄、バスなどで割引(種別や等級によって条件が異なる)
税金の控除
- 障害者控除(所得税27万円、住民税26万円)
公共施設の利用料減免
- 自治体によって内容が異なる
自治体独自の支援
上記の他に、各自治体が独自に実施している支援制度があります。
- タクシー券の交付
- 福祉手当の支給
- 上下水道料金の減免
- ごみ処理手数料の減免
- 公共住宅の優先入居
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で確認しましょう。
再認定と等級変更
身体障害者手帳は、一度交付されたら永久に有効というわけではありません。
再認定が必要な場合
障害の状態が変化する可能性がある場合、再認定の期日が記載されます。
例
- 進行性の病気
- 成長期の子ども
- 人工関節などの医療技術の進歩が関係する場合
再認定の時期が来たら、改めて診断書を提出し、審査を受ける必要があります。
等級変更の申請
障害の状態が悪化したり、新たな障害が加わったりした場合、等級変更の申請ができます。
手続き
- 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
- 指定医による診断書の作成
- 申請書類を提出
- 審査後、新しい手帳が交付される
逆に、障害の状態が改善した場合も、等級が下がったり、手帳が返還になったりすることがあります。
身体障害者手帳の申請方法
身体障害者手帳を取得するための流れを説明します。
申請の流れ
1. 市区町村の窓口で相談
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で、申請について相談します。
2. 指定医の診察を受ける
都道府県知事が指定した医師(指定医)による診察を受け、診断書を作成してもらいます。
指定医は、身体障害者福祉法第15条に基づく指定を受けた医師です。どの医師でも良いわけではないので、事前に確認が必要です。
3. 必要書類を揃える
- 申請書(窓口で入手またはダウンロード)
- 診断書・意見書(指定医が作成)
- 本人の写真(縦4cm×横3cm、上半身、無帽、1年以内に撮影したもの)
- マイナンバーが確認できるもの
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
4. 申請書類を提出
市区町村の窓口に書類を提出します。
5. 審査
都道府県の審査機関(障害程度等級審査会など)で、診断書の内容を基に等級が判定されます。
審査期間は、通常1〜2か月程度です。
6. 手帳の交付
審査を通過すると、身体障害者手帳が交付されます。窓口で受け取るか、郵送されます。
費用
申請費用
- 無料
診断書作成費用
- 医療機関によって異なりますが、数千円から1万円程度かかることがあります
よくある質問(FAQ)
Q 7級だけでは手帳はもらえないの?
A はい、7級の障害が1つだけでは手帳は交付されません。ただし、7級の障害が2つ以上ある場合は、6級として認定され、手帳が交付されます。
Q 障害の程度が軽くても申請できる?
A 身体障害者福祉法で定められた基準を満たしていれば、申請できます。まずは市区町村の窓口に相談してみましょう。
Q 手帳を持っていることは周囲に知られる?
A 手帳は本人が提示しない限り、他人に知られることはありません。使う・使わないは本人の自由です。
Q 一時的な障害でももらえる?
A 身体障害者手帳は、原則として「永続する障害」が対象です。治癒する見込みのある一時的な障害は、基本的に対象外です。
Q 複数の障害がある場合は?
A 複数の障害がある場合、それぞれの等級を合わせて総合的に判定されます。例えば、両方が3級の場合、2級になることがあります。
Q 障害者雇用で働くには手帳が必要?
A 障害者雇用枠で働くには、原則として障害者手帳が必要です。
Q 手帳を返還することはできる?
A はい、必要がなくなった場合や、障害が改善した場合は、手帳を返還することができます。
Q 他の都道府県に引っ越したらどうなる?
A 引っ越し先の市区町村で住所変更の手続きが必要です。手帳自体は引き続き使えます。
Q 子どもでももらえる?
A はい、年齢制限はありません。乳幼児でも、障害の程度が基準を満たせば交付されます。
等級認定の難しさと注意点
身体障害者手帳の等級認定には、いくつかの難しさや注意点があります。
主観と客観のバランス
本人が「日常生活が困難」と感じていても、医学的な基準を満たさなければ認定されないことがあります。
逆に、本人が「それほど困っていない」と思っていても、医学的には重度の障害と認定されることもあります。
見えない障害の理解
内部障害(心臓、腎臓など)は外から見えないため、周囲の理解が得られにくいことがあります。
しかし、日常生活に大きな制限があり、重度(1級)に認定されるケースも多くあります。
複数の障害の合算
複数の障害がある場合、合算の仕方が複雑です。専門家(指定医や窓口の担当者)に相談しながら進めましょう。
等級にこだわりすぎない
等級は、受けられるサービスの目安ではありますが、すべてではありません。
大切なのは、自分に必要な支援を受けながら、自分らしく生活することです。
まとめ
身体障害者手帳の等級は、1級から7級まであり、障害の種類と程度によって決定されます。
等級の基本
- 1級が最も重度、7級が最も軽度
- 7級単独では手帳交付の対象にならない
- 等級によって受けられる支援が異なる
障害の種類
- 視覚障害
- 聴覚・平衡機能障害
- 音声・言語・そしゃく機能障害
- 肢体不自由
- 内部障害(心臓、腎臓、呼吸器、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能)
主な支援
- 医療費の助成
- 交通機関の割引
- 税金の控除
- 各種手当の支給
- 公共施設の利用料減免
身体障害者手帳は、障害のある方の生活を支援するための制度です。「手帳をもらうのは恥ずかしい」と感じる必要はありません。利用できる制度を活用しながら、自分らしい生活を送りましょう。
申請を考えている方は、まずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみてください。親身になって対応してくれるはずです。

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