躁うつ病双極性障害について知る

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躁うつ病は現在では双極性障害と呼ばれ、気分が異常に高揚する躁状態と、気分が極端に落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。

一般的なうつ病単極性障害とは異なり、躁とうつという両極端な気分の波が特徴的です。約100人に1人が発症するとされ、決して珍しい病気ではありません。

適切な治療により症状をコントロールし、安定した生活を送ることは可能ですが、生涯にわたる管理が必要な慢性疾患です。誤診されやすく、特に双極II型は最初うつ病と診断されることが多く、適切な治療開始まで時間がかかることがあります。

本記事では双極性障害の症状や原因、診断方法、治療法、そして患者さんや家族が知っておくべき情報について詳しく見ていきます。

躁状態の症状

躁状態では気分が異常に高揚し、開放的で怒りっぽくなります。自信過剰になり、自分は何でもできる、特別な能力があると感じます。この高揚感は通常の良い気分とは質的に異なり、周囲から見て明らかに普段と違う状態です。

睡眠時間が極端に減っても平気で、2時間から3時間の睡眠で元気に活動し続けます。疲れを感じず、エネルギーに満ちあふれているように見えます。しかし実際には身体は疲労しており、後で反動が来ることがあります。

話が止まらなくなり、次から次へとアイデアが浮かぶ観念奔逸という状態になります。一つのことに集中できず、注意が散漫になります。また判断力が低下し、衝動的な行動が増え、高額な買い物、無謀な投資、性的逸脱行動、ギャンブルなどを起こすことがあります。

活動性が異常に高まり、様々なプロジェクトを同時に始めますが、どれも完成させることができません。社交的になりすぎて、不適切な場面で話しかけたり、プライバシーに踏み込んだりすることもあります。

軽躁状態

双極性障害には躁状態ほど激しくない軽躁状態というものもあります。軽躁状態では気分の高揚や活動性の増加が見られますが、社会生活に重大な支障をきたすほどではなく、入院が必要になることもありません。

軽躁状態の人は普段より生産的で、エネルギッシュに見えることがあります。本人も調子が良いと感じることが多く、問題だと認識しにくい特徴があります。そのため周囲も気づきにくく、診断が遅れることがあります。

しかし軽躁状態も異常な状態であり、その後にうつ状態が訪れることが多いです。また軽躁状態でも判断ミスや対人関係のトラブルを起こすことがあり、軽視してはいけません。

軽躁状態の症状として、いつもより話し好きになる、睡眠時間が少なくても平気、アイデアが次々と浮かぶ、集中力が散漫になる、活動量が増える、軽率な行動を取るなどがあります。

これらの症状が少なくとも4日間続き、明らかに普段と異なる状態であれば、軽躁状態の可能性があります。

うつ状態の症状

双極性障害のうつ状態は、一般的なうつ病と症状がよく似ています。気分が極端に落ち込み、何をしても楽しめず、興味や喜びを失います。この状態は躁状態とは正反対で、エネルギーが完全に枯渇したように感じられます。

意欲がなくなり、何もする気が起きません。朝起きることさえ困難で、仕事や学業に行けなくなることもあります。思考が遅くなり、集中できず、決断ができなくなります。

睡眠障害や食欲の変化も見られ、不眠または過眠、食欲不振または過食などが現れます。疲労感や身体の重さを感じ、頭痛や身体の痛みなどの身体症状も伴うことがあります。

自己否定的な考えが強くなり、自分は価値がない、何をやってもダメだという思いに支配されます。罪悪感や無価値感が強く、将来への希望が持てなくなります。

自殺念慮が現れることもあり、非常に危険な状態です。死にたい、消えてしまいたいという考えが繰り返し浮かび、具体的な計画を立てることもあります。この症状が見られたら、直ちに専門家に相談する必要があります。

双極I型と双極II型

双極性障害は大きく双極I型と双極II型に分けられます。双極I型は完全な躁状態を経験するタイプで、躁状態が激しく、入院が必要になることもあります。社会生活に重大な支障をきたし、周囲も明らかに異常だと気づきます。

双極II型は軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。躁状態ほど激しくないため、診断が難しく、単極性のうつ病と誤診されることも多くあります。しかし治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

双極II型の方が双極I型より多く、またうつ状態の期間が長い傾向があります。そのため長期的には双極II型の方が生活の質が低下しやすいとも言われています。

双極I型では、躁状態のエピソードが1回でもあれば診断されます。うつ状態がなくても、躁状態だけで双極I型と診断されることがあります。

双極II型では、軽躁状態とうつ状態の両方が必要です。うつ病として治療を受けていた人が、詳しく聞き取ると過去に軽躁状態があったことがわかり、双極II型と診断し直されることがよくあります。

混合状態

躁状態とうつ状態が同時に現れる混合状態という非常に辛い状態もあります。気分は高揚しているのに焦燥感があり、エネルギーはあるのに絶望感を抱くといった矛盾した症状が現れます。

混合状態は特に危険で、自殺リスクが高くなります。うつ状態の絶望感と躁状態の衝動性が組み合わさることで、自殺企図を実行に移してしまう可能性が高まるのです。

また激しいイライラや怒り、不安が強く、攻撃的な行動を取ることもあります。周囲との関係が悪化しやすく、孤立しがちです。

混合状態では、躁とうつの症状が日によって、または1日の中でも変動することがあります。予測不可能な気分の変化に、本人も周囲も振り回されます。

混合状態は診断も治療も難しく、専門的な対応が必要です。この状態に気づいたら、すぐに医療機関を受診することが重要です。入院治療が必要になることもあります。

双極性障害の原因

双極性障害の原因は完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランス異常が関係していると考えられています。ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどの物質の働きに異常が生じることが示唆されています。

遺伝的要因も大きく関与しており、家族に双極性障害の人がいると発症リスクが高くなります。一卵性双生児の一方が発症すると、もう一方も発症する確率が高いことが知られています。

ただし遺伝だけで決まるわけではありません。環境要因も重要で、ストレスや生活上の出来事が発症のきっかけになることがあります。重大なストレス、睡眠リズムの乱れ、薬物使用などが躁状態やうつ状態を引き起こす引き金となります。

脳の構造的な違いも報告されており、画像研究により、双極性障害の人の脳では、特定の領域の活動や大きさに違いがあることがわかっています。

また生活習慣や生体リズムの乱れも影響します。昼夜逆転、不規則な生活、睡眠不足などが症状を悪化させることがあります。

発症時期と経過

双極性障害は思春期から30代前半に発症することが多く、平均的には20代前半がピークです。うつ病より若い年齢で発症する傾向があります。最初はうつ状態で発症することが多く、後に躁状態や軽躁状態が現れて双極性障害と診断されます。

初回のうつエピソードから躁状態または軽躁状態が現れるまで、数年かかることもあります。そのため最初はうつ病として治療を受けていた人が、後に双極性障害と診断し直されることがよくあります。

病気の経過は個人差が大きいですが、治療しないと躁状態とうつ状態を繰り返します。エピソード間隔は徐々に短くなる傾向があり、再発を繰り返すほど治療が難しくなることがあります。

早期発見と早期治療が予後を大きく改善します。適切な治療により、多くの患者さんが症状を安定させ、社会生活を送ることができます。

ただし双極性障害は慢性疾患であり、生涯にわたる管理が必要です。症状が安定しても、治療を継続することが重要です。

診断方法

双極性障害の診断は精神科医による詳細な問診に基づいて行われます。躁状態や軽躁状態の既往、気分の波のパターン、症状の持続期間などを詳しく聞き取ります。家族歴も重要な情報です。

診断には国際的な診断基準が用いられます。躁状態やうつ状態の症状が一定期間続き、社会的または職業的な機能に支障をきたしている場合に診断されます。

双極性障害は単極性のうつ病と誤診されやすい病気です。特に双極II型は軽躁状態が見過ごされやすく、うつ病として治療されることがあります。しかし抗うつ薬のみの治療は躁転躁状態への転換を引き起こす危険があるため、正確な診断が非常に重要です。

診断の鍵は、過去に躁状態や軽躁状態があったかどうかです。しかし本人は軽躁状態を調子が良い状態と認識していることが多く、自発的に報告しないこともあります。医師は慎重に聞き取る必要があります。

家族や身近な人からの情報も診断に役立ちます。本人が気づいていない気分や行動の変化を、周囲が観察していることがあります。

気分安定薬による治療

双極性障害の治療の中心は気分安定薬です。リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンなどが代表的で、躁状態とうつ状態の両方を予防し、気分の波を安定させる効果があります。

リチウムは最も古くから使われている気分安定薬で、躁状態の予防に特に効果的です。また自殺予防効果があることも知られています。ただし血中濃度の管理が必要で、定期的な血液検査が求められます。治療域と中毒域が近いため、慎重な服用が必要です。

バルプロ酸は躁状態の急性期治療や予防に効果があり、混合状態にも有効です。ラモトリギンはうつ状態の予防に特に効果的とされています。

これらの薬は症状が治まった後も継続して服用することが重要です。自己判断で中止すると高い確率で再発します。副作用が気になる場合は医師に相談し、調整してもらいましょう。

気分安定薬の効果が現れるまでには数週間かかることがあります。また適切な薬と用量を見つけるまで、試行錯誤が必要なこともあります。根気強く治療を続けることが大切です。

抗精神病薬と抗うつ薬

躁状態が激しい場合や混合状態では、抗精神病薬が使用されることがあります。気分安定薬と併用することで、より効果的に症状をコントロールできます。第二世代非定型抗精神病薬が主に使われます。

うつ状態に対しては慎重に抗うつ薬が使用されることもありますが、必ず気分安定薬と併用します。抗うつ薬単独の使用は躁転を引き起こす危険があるため避けられます。

双極性障害のうつ状態に対する抗うつ薬の使用については、議論があります。効果が限定的で、躁転のリスクがあるため、使用しないという考え方もあります。

むしろ気分安定薬の中でもうつ状態に効果的なもの例えばラモトリギンや、抗精神病薬の一部例えばクエチアピンを使用することが推奨されることがあります。

薬物療法は個人の状態に応じて調整されます。効果が現れるまで時間がかかることもあり、根気強く治療を続けることが大切です。複数の薬を組み合わせることも一般的です。

心理教育と心理療法

薬物療法と並行して、心理教育や心理療法も重要です。心理教育では病気について正しく理解し、再発のサインに気づく方法、ストレス管理、生活リズムの重要性などを学びます。

認知行動療法は、極端な思考パターンを修正し、問題解決スキルを身につける手法です。双極性障害の再発予防に効果があることが示されています。

対人関係社会リズム療法IPSRTは、対人関係の問題を解決し、日常生活のリズムを安定させることで再発を予防する治療法です。睡眠覚醒リズムの乱れが症状悪化の引き金になるため、規則正しい生活が重視されます。

家族焦点化療法は、家族全体を治療に巻き込み、家族のコミュニケーションを改善し、ストレスを軽減する方法です。家族が病気を理解し、適切に対応できるようになることを目指します。

これらの心理社会的治療は、薬物療法を補完し、長期的な安定と社会復帰を支援します。再発予防にも重要な役割を果たします。

生活管理の重要性

双極性障害の管理において、規則正しい生活リズムを保つことが非常に重要です。毎日同じ時間に起床し就寝する、食事時間を一定にする、適度な運動を習慣化するなど、生活の安定が症状の安定につながります。

特に睡眠は重要で、睡眠不足は躁状態の引き金になります。十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠を取ることが再発予防に不可欠です。夜更かしや昼夜逆転は避けましょう。

またストレス管理も大切です。過度なストレスは症状を悪化させます。無理をせず、自分のペースを守り、リラックスできる時間を確保しましょう。

アルコールや薬物は絶対に避けるべきです。これらは気分の波を激しくし、薬の効果を妨げ、症状を悪化させます。また依存症のリスクも高まります。

カフェインの過剰摂取も避けた方が良いです。睡眠を妨げ、不安を高める可能性があります。

生活リズムの維持は単調に感じるかもしれませんが、症状の安定には不可欠です。規則正しい生活が、長期的な回復につながります。

再発の前兆に気づく

双極性障害は再発しやすい病気ですが、前兆に早く気づき対応することで重症化を防げます。躁状態の前兆としては、睡眠時間の減少、多弁、気分の高揚、落ち着きのなさ、アイデアが次々と浮かぶなどがあります。

うつ状態の前兆は、意欲の低下、睡眠の変化、興味の喪失、疲労感の増加、悲観的な考えなどです。これらのサインに気づいたら、すぐに医師に相談しましょう。

自分の気分や睡眠時間を記録する気分チャートをつけることで、パターンを把握しやすくなります。日々の気分を5段階程度で評価し、睡眠時間、服薬状況、ストレスとなる出来事なども記録します。

家族にも協力してもらい、客観的な観察をしてもらうことも有効です。本人が気づかない変化を、家族が早期に発見できることがあります。

前兆に気づいたら、生活リズムを整え直す、ストレスを減らす、医師に相談して薬の調整を検討するなど、早めの対応が重要です。

定期的な通院を継続し、症状が安定していても医師との連絡を保つことが、再発予防につながります。

まとめ

躁うつ病は現在では双極性障害と呼ばれ、気分が異常に高揚する躁状態と極端に落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。

躁状態では睡眠時間が減っても平気で衝動的な行動が増え、うつ状態では意欲がなくなり何もできなくなります。双極I型は完全な躁状態を経験し、双極II型は軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプで、後者は診断が難しく単極性うつ病と誤診されやすいです。

躁状態とうつ状態が同時に現れる混合状態は特に危険で自殺リスクが高くなります。

原因は脳内の神経伝達物質の異常に遺伝的要因と環境要因が関係しており、思春期から30代前半に発症することが多く、最初はうつ状態で発症することが多いため診断まで時間がかかることがあります。

診断は精神科医による詳細な問診に基づき行われ、過去に躁状態や軽躁状態があったかどうかが診断の鍵となります。

治療は気分安定薬を中心とした薬物療法が基本で、リチウム、バルプロ酸、ラモトリギンなどが使用され、症状が治まった後も継続的な服薬が再発予防に不可欠です。

躁状態が激しい場合は抗精神病薬が併用され、うつ状態に対しては慎重に抗うつ薬が使用されることもありますが必ず気分安定薬と併用します。

心理教育や認知行動療法、対人関係社会リズム療法も重要で、病気の理解を深め再発のサインに気づく方法を学び、規則正しい生活リズムを維持することが症状の安定につながります。

生活管理では毎日同じ時間に起床し就寝すること、十分な睡眠を確保すること、ストレス管理、アルコールや薬物を避けることが重要です。再発の前兆に気づくために気分チャートをつけ、家族にも協力してもらい客観的な観察をしてもらうことが効果的で、前兆に気づいたら早めに医師に相談することが重症化を防ぎます。

双極性障害は慢性疾患であり生涯にわたる管理が必要ですが、適切な治療により症状をコントロールし安定した生活を送ることは十分可能で、早期発見と早期治療が予後を大きく改善します。

規則正しい生活リズムの維持と継続的な服薬、定期的な通院が、長期的な回復の鍵となります。

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