お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
まず読むべき基礎知識5記事
施設選びでつまずきやすいポイント5記事
起立性調節障害ODは、自律神経の働きが悪く、立ち上がったときに脳への血流が低下して様々な症状が現れる病気です。特に思春期の子どもに多く見られますが、成人でも発症します。
朝起きられない、立ちくらみ、めまい、頭痛、吐き気などの症状があり、午前中は調子が悪く午後から夜にかけて元気になるという日内変動が特徴的です。
単なる怠けや甘えではなく、自律神経の機能的な問題による病気であり、適切な治療と生活習慣の改善により多くの場合改善します。
治療は非薬物療法と薬物療法を組み合わせて行われ、水分と塩分の摂取、規則正しい生活リズム、適度な運動などの生活指導が基本です。
重症の場合は昇圧剤や自律神経調整薬などの薬物療法も行われます。本記事では起立性調節障害の治し方として、生活習慣の改善、非薬物療法、薬物療法、学校での対応、そして長期的な管理について詳しく見ていきます。
起立性調節障害の理解
起立性調節障害を治すには、まずこの病気を正しく理解することが重要です。
ODは自律神経の調節がうまくいかず、立ち上がったときに血圧を維持できないことで起こります。
健康な人は立ち上がると、重力により血液が下半身に溜まりますが、自律神経が働いて血管を収縮させ、心拍数を上げることで、脳への血流を維持します。
しかしODの人は、この調節がうまくいかず、脳への血流が低下し、様々な症状が現れます。
思春期には身体の成長に自律神経の発達が追いつかないことがあり、これがOD発症の一因となります。
多くは成人になるにつれて改善しますが、適切な対応をしないと、不登校や引きこもりにつながることがあります。
ODは単なる怠けや甘えではありません。
本人も辛く、朝起きられないことに罪悪感を抱いています。周囲の理解と適切な治療が回復の鍵です。
またODにはいくつかのサブタイプがあり、起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、神経調節性失神、遷延性起立性低血圧などに分類されます。タイプにより治療方針が多少異なるため、正確な診断が重要です。
水分と塩分の摂取
起立性調節障害の治療の基本は、水分と塩分の十分な摂取です。これは非薬物療法の中で最も重要で、すべての患者さんに推奨されます。
水分は、1日に1.5リットルから2リットル、できれば2リットル以上を目標に摂取します。こまめに少しずつ飲むことが効果的です。朝起きたとき、食事のとき、学校や職場での休憩時間など、意識的に水分を取りましょう。
塩分は、1日に10グラムから12グラムを目標にします。通常の食事では6グラムから8グラム程度のため、意識的に増やす必要があります。ただし高血圧や腎臓病がある場合は、医師に相談してください。
塩分の摂り方として、食事に塩を多めに使う、梅干しを食べる、塩昆布を食べる、味噌汁を飲む、スポーツドリンクを飲むなどがあります。塩分タブレットや塩飴も手軽な方法です。
特に朝起きたときに、コップ1杯から2杯の水に塩を少し溶かして飲むことが効果的です。これにより循環血液量が増え、血圧が上がりやすくなります。
水分と塩分の摂取により、循環血液量が増え、血圧が維持されやすくなります。これだけでも症状が改善する人もいます。
ただし水分を一度に大量に飲むことは避けましょう。胃に負担がかかり、逆効果です。
規則正しい生活リズム
規則正しい生活リズムを保つことも、ODの治療に重要です。自律神経は体内時計と密接に関係しており、不規則な生活は自律神経の乱れを悪化させます。
毎日同じ時間に起きる、同じ時間に寝ることを心がけます。休日も平日と同じリズムを保つことが理想的です。休日に遅くまで寝ていると、体内時計が乱れ、月曜日の朝がさらに辛くなります。
朝起きたら、すぐに太陽の光を浴びることが重要です。カーテンを開け、明るい光を浴びることで、体内時計がリセットされ、自律神経が活性化されます。曇りの日でも、窓際にいるだけで効果があります。
食事も規則正しく、3食しっかり食べましょう。特に朝食は重要で、食事により血圧が上がり、自律神経が活性化されます。朝食を抜くと、午前中の症状が悪化します。
夜は早めに就寝し、十分な睡眠を確保します。思春期には9時間から10時間の睡眠が必要です。夜更かしは避け、スマートフォンやゲームは寝る1時間前には終わらせましょう。
昼寝は短時間30分以内にとどめます。長時間昼寝をすると、夜の睡眠に影響し、生活リズムが乱れます。
規則正しい生活は、すぐには効果が現れないかもしれませんが、継続することで自律神経のリズムが整います。
段階的な運動療法
適度な運動は、ODの治療に効果的です。運動により自律神経の機能が改善し、循環機能が向上します。ただし急に激しい運動を始めることは避け、段階的に進めることが重要です。
まず軽い運動から始めます。散歩、ストレッチ、軽いジョギング、自転車こぎなどです。立位での運動が辛い場合は、座位や臥位でできる運動から始めましょう。
特に効果的なのは、下半身の筋肉を鍛える運動です。ふくらはぎの筋肉は第二の心臓と呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプの役割を果たします。スクワット、かかとの上げ下げ、階段昇降などが有効です。
運動は、調子の良い午後から夕方に行うのが効果的です。朝の症状が強いときに無理に運動すると、悪化する可能性があります。
また運動の前後には、十分な水分補給を行いましょう。運動により脱水になると、症状が悪化します。
継続が重要で、週に3回から4回、1回20分から30分程度を目標にします。無理をせず、体調に合わせて調整しましょう。
ただし運動により症状が悪化する場合は、無理をせず、医師に相談してください。個人差があり、運動が適さない人もいます。
運動習慣が身につくと、体力がつき、自律神経の調節機能が向上し、症状が改善します。
起立時の工夫
起立性調節障害の人は、急に立ち上がると症状が強く出るため、起立時の工夫が重要です。まずゆっくり立ち上がることです。座っている状態から、いきなり立つのではなく、数秒かけてゆっくり立ちます。
立ち上がる前に、深呼吸をする、手足を動かす、座ったまま前屈みになるなどの準備動作も効果的です。これにより血圧の急激な低下を防げます。
また立っているときは、じっと立ち続けることを避けます。足踏みをする、足を組み替える、筋肉を動かすことで、血液の循環を促します。
長時間立つ必要がある場合は、弾性ストッキングや弾性タイツを着用することも効果的です。これにより下半身の血液が溜まりにくくなります。医療用の弾性ストッキングがより効果的ですが、市販のものでもある程度の効果があります。
朝起きるときも、急に起き上がらず、布団の中で手足を動かす、ゆっくり座る、しばらく座ったままでいる、それからゆっくり立つという段階を踏みます。
また起床の30分ほど前に、水をコップ1杯から2杯飲んでおくことも効果的です。目覚ましを早めにセットし、水を飲んでからもう一度横になり、30分後に起きるという方法です。
これらの工夫により、起立時の症状を軽減できます。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは症状が改善しない場合、薬物療法が検討されます。ODに使用される主な薬は、昇圧剤、自律神経調整薬、漢方薬などです。
昇圧剤は、血圧を上げる薬です。ミドドリン塩酸塩メトリジンなどが使用されます。起立時の血圧低下を防ぎ、脳への血流を改善します。朝と昼に服用することが多いです。
自律神経調整薬は、自律神経のバランスを整える薬です。プロプラノロールなどのβ遮断薬が使用されることがあります。心拍数の過度な上昇を抑えます。
漢方薬も効果的な場合があります。補中益気湯、半夏白朮天麻湯、苓桂朮甘湯などがODに使用されます。体質に合わせて選択されます。
また症状に応じて、めまいや頭痛に対する対症療法の薬が処方されることもあります。
薬物療法は、医師の指示に従って正しく服用することが重要です。効果が現れるまで数週間かかることもあります。また副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談しましょう。
薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善と組み合わせることで、より効果的です。症状が改善しても、自己判断で薬をやめず、医師と相談しながら減量や中止を検討します。
学校での対応
起立性調節障害の子どもにとって、学校での理解と配慮が非常に重要です。まず学校に病気のことを伝え、診断書を提出することをおすすめします。担任の先生、養護教諭、学年主任などに説明しましょう。
午前中は症状が強いため、遅刻や欠席が多くなることがあります。これは怠けではなく、病気の症状であることを理解してもらうことが大切です。
可能な配慮として、遅刻を認める、午後からの登校を認める、保健室での休養を認める、体育や朝礼での配慮長時間立つことを避けるなどがあります。
また水分補給のため、授業中でも水筒を飲むことを認めてもらう、トイレに行きやすくする水分摂取により頻尿になるなども有効です。
定期テストや受験では、別室受験、時間延長、途中休憩などの配慮を求めることもできます。
クラスメートへの説明は、本人や保護者の希望により判断します。理解を得ることでいじめや誤解を防げますが、本人が嫌がる場合は無理に公表する必要はありません。
また不登校になってしまった場合でも、焦らず、まず治療に専念することが大切です。体調が改善してから、段階的な復学を目指します。
学校と医療機関、家庭が連携し、子どもをサポートすることが回復への鍵です。
心理的サポート
起立性調節障害は、身体的な症状だけでなく、心理的な影響も大きい病気です。朝起きられないことへの罪悪感、学校に行けないことへの焦り、周囲から理解されないことへの孤独感などを抱えます。
心理的サポートも治療の重要な一部です。まず家族が病気を理解し、本人を責めないことが大切です。怠けている、甘えているといった言葉は避け、病気の症状だと認識しましょう。
本人の気持ちを聞き、共感することも重要です。辛いね、大変だねと受け止め、一緒に乗り越えようという姿勢を示します。
また小さな進歩を認め、褒めることも効果的です。今日は午後から学校に行けた、今週は3日登校できたなど、できたことに注目します。
友人関係の維持も大切です。不登校になっても、友人との連絡を保ち、孤立しないようにします。オンラインでのつながりも有効です。
カウンセリングが必要な場合もあります。不安や抑うつが強い場合、専門家のサポートを受けることで、心理的な負担が軽減されます。
また同じ病気の子どもや家族の会に参加することで、経験を共有し、孤独感が軽減されることがあります。
心理的な安定は、身体症状の改善にもつながります。
長期的な管理
起立性調節障害の改善には時間がかかり、数ヶ月から数年に及ぶこともあります。長期的な視点で管理することが重要です。
症状には波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。一時的に悪化しても、治療を継続することが大切です。
定期的に医療機関を受診し、症状の経過を確認します。必要に応じて治療内容を調整します。また新起立試験などの検査を定期的に行い、改善度を客観的に評価します。
生活習慣の維持も重要です。症状が改善しても、水分と塩分の摂取、規則正しい生活、適度な運動などを継続します。油断すると再発することがあります。
ストレス管理も大切です。過度なストレスは自律神経を乱し、症状を悪化させます。リラックスできる時間を持ち、無理をしないことが重要です。
また季節による変動もあります。夏は暑さで脱水になりやすく、症状が悪化することがあります。冬は寒さで血管が収縮し、症状が改善することがあります。季節に応じた対策が必要です。
多くの場合、成人になるにつれて自律神経が成熟し、症状は改善します。焦らず、長期的に治療を続けることが大切です。
予後と回復
起立性調節障害の予後は、適切な治療により多くの場合良好です。軽症から中等症の場合、1年から2年で改善することが多いです。重症の場合でも、数年かけて徐々に改善していきます。
思春期に発症したODは、成人になるにつれて自律神経が成熟し、自然に改善することも多いです。ただし何もせずに放置すると、不登校や引きこもりが長期化し、社会適応に問題が生じることもあります。
早期に診断し、適切な治療を開始することが、予後を改善します。生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法により、多くの患者さんで症状が軽減し、日常生活を送れるようになります。
ただし完全に症状がなくなるまでには時間がかかることが多いです。ある程度の症状は残りながらも、学校や仕事に通えるレベルまで改善することを目指します。
また一部の患者さんでは、成人後も症状が続くことがあります。その場合でも、適切な管理により、生活の質を維持することは可能です。
回復には、本人の努力、家族のサポート、医療機関の治療、学校や職場の理解が不可欠です。これらが揃うことで、多くの患者さんが回復し、充実した生活を送ることができます。
起立性調節障害は、適切に対応すれば改善する病気です。希望を持って治療を続けましょう。
まとめ
起立性調節障害は自律神経の不調により、立ち上がった際に脳への血流が低下し、朝起きられない、めまい、頭痛、吐き気などが起こる病気です。
午前中に不調で午後から回復する日内変動が特徴です。治療の基本は十分な水分と塩分摂取、規則正しい生活、下半身中心の適度な運動で、起立時の工夫も有効です。改善しない場合は薬物療法を併用します。
学校や家庭の理解と配慮、心理的サポートも重要で、時間はかかりますが多くは適切な治療で改善します。

コメント