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訪問看護の現場では利用者や家族からの理不尽なクレームに悩む看護師が少なくなく、適切な対応方法と打ち切りの判断基準を知ることでスタッフの安全を守りながら質の高いケアを維持できます。
この記事では訪問看護で利用者や家族からのクレーム対応と打ち切りの判断基準を解説します。
訪問看護で起こりやすいクレームの種類
種類を、把握しておきましょう。
第一の種類は、ケアの内容や技術への不満です。
「前の看護師はこうやってくれた」「処置が痛い」「手際が悪い」など、ケアの質や方法に対する不満です。
これらは正当なフィードバックである場合もあり、まず真摯に受け止めて改善を検討する姿勢が大切です。
第二の種類は、時間や頻度に関する要求です。
「もっと長くいてほしい」「毎日来てほしい」「時間通りに来ない」など、サービスの量に関する不満です。
保険制度上の制約を丁寧に説明する必要がありますが、理解を得られないケースもあります。
第三の種類は、業務範囲外の要求です。
「買い物に行ってほしい」「掃除をしてほしい」「ペットの世話をしてほしい」など、訪問看護の業務範囲外の依頼が繰り返されるケースです。
第四の種類は、暴言や威圧的な態度です。
看護師に対する怒鳴り声、人格否定、脅迫的な発言など、精神的な暴力に該当する行為です。
第五の種類は、身体的な暴力やハラスメントです。
殴る、蹴る、物を投げる、セクシュアルハラスメントなど、看護師の身体的な安全を脅かす行為です。
クレームへの段階的な対応方法
対応方法を、見ていきましょう。
第一段階は、傾聴と事実確認です。
まず利用者や家族の話を遮らずに最後まで聞き、不満の内容を正確に把握します。
その上で事実関係を確認し、改善できる点は改善策を提示します。
「ご不便をおかけして申し訳ありません。今後はこのように対応させていただきます」と具体的な改善を伝えます。
第二段階は、管理者への報告と組織的な対応です。
担当看護師一人で抱え込まず、事業所の管理者に報告して対応を検討します。
必要に応じて管理者が直接利用者や家族と面談し、サービスの範囲と限界を説明します。
担当看護師の変更で解決する場合もあります。
第三段階は、ケアマネジャーや主治医との連携です。
事業所だけでは解決が難しい場合、ケアマネジャーや主治医に状況を共有し、利用者や家族への説明や説得を依頼します。
サービス担当者会議を開催して、関係者全員で対応方針を決める方法も有効です。
第四段階は、書面での対応記録の作成です。
クレームの内容、対応した内容、改善策、経過を記録として残します。
万が一トラブルが深刻化した場合の証拠となります。
サービス打ち切りの判断基準
打ち切りの判断基準を、見ていきましょう。
訪問看護は利用者の生命と健康に関わるサービスであり、安易な打ち切りは避けるべきですが、以下の場合は打ち切りを検討する正当な理由となります。
第一の基準は、看護師への暴力行為がある場合です。
殴る、蹴る、物を投げるなどの身体的暴力は、看護師の安全を最優先に打ち切りを検討します。
第二の基準は、深刻なハラスメントが続く場合です。
セクシュアルハラスメントや悪質な暴言が繰り返され、改善の見込みがない場合は打ち切りの対象となります。
第三の基準は、度重なる改善要請に応じていただけない場合です。
業務範囲外の要求を繰り返し、説明しても理解が得られず、看護師の業務に著しい支障が出る場合です。
第四の基準は、利用契約上の義務が守られない場合です。
訪問の拒否が続く、必要な情報を故意に隠す、医師の指示に従わないなどの場合です。
打ち切りを決定する前に、管理者が利用者や家族と面談して改善を求め、改善されない場合に書面で通知するという段階を踏むことが重要です。
打ち切りの際は、ケアマネジャーや主治医と連携して代替の訪問看護事業所への引き継ぎを行い、利用者のケアが途切れないよう配慮します。
都道府県のナースセンターや訪問看護ステーション協議会にも相談できます。
つらい気持ちが強まった時は、よりそいホットライン、いのちの電話、こころの健康相談統一ダイヤルに連絡できます。
まとめ
訪問看護でのクレーム対応は傾聴と事実確認、管理者への報告と組織的対応、ケアマネジャーや主治医との連携、書面での記録作成という段階を踏み、暴力行為や深刻なハラスメントが改善されない場合は打ち切りを検討し、代替事業所への引き継ぎを行い、ケアマネジャー、主治医、都道府県のナースセンター、訪問看護ステーション協議会、よりそいホットラインなどの支援を活用しながらスタッフの安全と利用者のケアの継続を両立させていきましょう。

