朝起きたら突然グルグルと回るめまいが襲ってきた。良性発作性頭位めまい症(BPPV)を発症すると、このような激しいめまいに襲われることがあります。そんなとき、「仕事は休むべきか」「どのくらい休めばいいのか」「職場にどう説明すればいいのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。この記事では、良性発作性頭位めまい症で仕事を休むべきかの判断基準、休む際の手続き、復帰のタイミング、そして仕事を続けるための工夫について解説していきます。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)とは
良性発作性頭位めまい症は、めまい疾患の中で最も頻度が高い病気です。
主な特徴
回転性のめまい
頭を動かしたとき(起き上がる、寝返りを打つ、振り向くなど)に、突然グルグルと回る強いめまいが起こります。
短時間で治まる
めまいは数十秒から1分程度で治まることが多いですが、その間は非常に強い症状です。
吐き気を伴う
めまいと同時に、強い吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
良性である
「良性」という名前の通り、命に関わる病気ではありません。ただし、症状は非常に辛いものです。
原因
内耳にある「耳石」が剥がれて、三半規管に入り込むことで起こります。加齢、頭部の打撲、長時間同じ姿勢でいることなどが原因になることがあります。
予後
適切な治療を受ければ、多くの場合は数日から数週間で改善します。ただし、再発することもあります。
仕事を休むべきかの判断基準
良性発作性頭位めまい症で仕事を休むべきかどうかは、症状の程度や仕事内容によって異なります。
すぐに休むべき場合
以下のような状況では、無理せず仕事を休みましょう。
1. 強いめまいで立っていられない
めまいが強く、立ち上がることや歩くことが困難な場合。
2. 吐き気や嘔吐がひどい
吐き気が強く、仕事に集中できない、または実際に嘔吐している場合。
3. 頻繁にめまい発作が起こる
頭を少し動かすだけでめまいが起こり、症状が治まらない場合。
4. 運転や高所作業など危険な業務
めまいが起こると危険な仕事の場合は、症状が治まるまで休むべきです。
5. 初めての発作で不安が強い
初めてのめまいで、何が起こっているか分からず、不安やパニックが強い場合。
6. 診察や検査が必要
まだ医療機関を受診していない場合、診断を受けるために休みを取る必要があります。
様子を見てから判断してもいい場合
以下のような場合は、症状を見ながら判断できます。
1. めまいが軽度
頭を動かさなければ、めまいがほとんど起こらない場合。
2. デスクワーク中心
座って行う作業が中心で、激しい動きを伴わない仕事の場合。
3. 症状が改善傾向
治療を受けて、症状が軽くなってきている場合。
4. 柔軟な勤務が可能
在宅勤務や時短勤務など、柔軟な働き方ができる場合。
迷ったときは休む
「休むべきか分からない」と迷ったときは、休む方が賢明です。無理をして症状を悪化させたり、二次的な事故を起こしたりするリスクを避けましょう。
仕事を休む期間の目安
良性発作性頭位めまい症で休む期間は、症状の程度や仕事内容によって異なります。
一般的な目安
軽症の場合 1〜3日
めまいが比較的軽く、治療がうまくいけば、数日で仕事に復帰できることが多いです。
中等症の場合 1週間程度
めまいが強く、日常生活にも支障がある場合、1週間程度の休養が必要なことがあります。
重症の場合 2週間以上
症状が重く、治療への反応が遅い場合、2週間以上休む必要があることもあります。
仕事内容による違い
デスクワーク
比較的早く復帰できることが多いです。症状が軽減すれば、在宅勤務などで徐々に復帰することも可能です。
運転や機械操作を伴う仕事
めまいが完全に治まるまで休む必要があります。安全が確保できるまでは仕事を再開できません。
高所作業や体を動かす仕事
症状が完全に治まり、医師の許可が出るまで休む必要があります。
医師の診断を参考にする
休む期間は、医師と相談して決めるのが最も確実です。診断書を発行してもらえば、職場への説明もスムーズです。
職場への連絡と説明
仕事を休む際の職場への連絡方法について説明します。
連絡のタイミング
できるだけ早く
出勤時間の前、できれば始業時間の30分〜1時間前には連絡しましょう。
当日の朝が基本
前日から症状があっても、朝になって様子を見てから連絡することが多いです。
連絡方法
電話が基本
メールやLINEではなく、電話で直接上司に連絡するのが一般的です。
体調不良で連絡が難しい場合
家族に代わりに連絡してもらうことも可能です。
説明の内容
病名を伝える
「良性発作性頭位めまい症と診断されました」と具体的に伝えましょう。
症状を簡潔に説明
「激しいめまいと吐き気があり、立つことも困難です」など、症状を簡潔に伝えます。
休む期間の見込み
「今日は休ませてください」または「〇日程度休む見込みです」と伝えます。
医療機関を受診すること
「本日、病院を受診します」と伝えると、信頼性が増します。
説明例
「おはようございます。〇〇です。申し訳ありませんが、今朝から激しいめまいと吐き気があり、立ち上がることも困難な状態です。本日は病院を受診し、治療を受ける必要があるため、お休みをいただきたいのですが、よろしいでしょうか。診察の結果、良性発作性頭位めまい症と診断された場合、数日間の休養が必要になる可能性があります。診断書が出ましたら、改めてご報告いたします」
診断書の提出
3日以上休む場合
多くの企業では、3日以上休む場合に診断書の提出を求められます。
費用
診断書の作成には、数千円の費用がかかることがあります。
会社の規定を確認
診断書が必要かどうか、事前に会社の規定を確認しておきましょう。
休んでいる間にすべきこと
仕事を休んでいる間は、以下のことを優先しましょう。
1. 医療機関を受診する
耳鼻科またはめまい外来
良性発作性頭位めまい症の診断と治療を受けるため、耳鼻科やめまい外来を受診しましょう。
検査
めまいの原因を特定するため、眼振検査や聴力検査などが行われます。
治療
耳石置換法(エプリー法など)という理学療法で、多くの場合は改善します。
2. 十分な休養を取る
安静にする
めまいが強い間は、横になって安静にしましょう。
頭を動かさない
急な頭の動きを避け、ゆっくりと動くようにします。
水分補給
吐き気や嘔吐で脱水にならないよう、水分をこまめに摂りましょう。
3. 職場への経過報告
定期的に連絡
症状の経過や復帰の見込みを、定期的に上司に報告しましょう。
診断結果を伝える
診断が確定したら、病名と治療方針を伝えます。
復帰予定を伝える
医師と相談して、いつ頃復帰できそうかを伝えます。
4. 無理をしない
焦らない
「早く復帰しなければ」と焦ると、症状が長引くことがあります。
完全に治ってから
めまいが完全に治まってから復帰することが、再発防止にもつながります。
復帰のタイミングと判断
仕事に復帰するタイミングの判断も重要です。
復帰の目安
1. めまいがほぼ治まっている
頭を動かしても、めまいが起こらない、またはごく軽度である。
2. 日常生活が問題なく送れる
家の中での移動、食事、入浴などが問題なくできる。
3. 吐き気がない
吐き気や嘔吐の症状がない。
4. 医師の許可が出ている
医師から「仕事に復帰しても大丈夫」と言われている。
5. 自分で「大丈夫」と感じる
不安が残る場合は、もう少し休むことを検討しましょう。
段階的な復帰
いきなりフルタイムで復帰するのではなく、以下のような段階的な復帰も検討できます。
在宅勤務から始める
可能であれば、在宅勤務から始めて、通勤のストレスを避けます。
時短勤務
最初は午前中だけ、または短時間勤務から始める。
軽い業務から
激しい動きを伴わない業務から始め、徐々に通常業務に戻す。
様子を見ながら
無理をせず、症状が再発したらすぐに休むことも視野に入れる。
職場での配慮を求める
急な動きを避ける
しばらくの間、急な頭の動きを伴う業務を避けてもらう。
運転業務の免除
運転を伴う業務は、完全に回復するまで免除してもらう。
休憩の確保
疲れやすいため、こまめに休憩を取れるようにしてもらう。
仕事を続けるための工夫
復帰後、再発を防ぎながら仕事を続けるための工夫を紹介します。
再発予防
1. 頭の動きに注意
急な頭の動き、特に寝返りや起き上がるときは、ゆっくりと動きましょう。
2. 同じ姿勢を避ける
長時間同じ姿勢でいることは避け、適度に体を動かしましょう。
3. 睡眠時の姿勢
再発を防ぐため、寝るときの姿勢に注意します(医師の指示に従う)。
4. ストレスを溜めない
ストレスや疲労は再発の原因になることがあります。
5. 定期的な通院
症状が治まっても、しばらくは定期的に通院して経過を見てもらいましょう。
職場環境の調整
デスクの配置
できるだけ頻繁に振り向く必要がない位置にデスクを配置してもらう。
モニターの高さ
パソコンのモニターは、頭を大きく動かさない高さに調整する。
照明
明るすぎる照明や点滅する照明は、めまいを誘発することがあるため避ける。
静かな環境
可能であれば、騒がしくない静かな環境で作業できるようにする。
コミュニケーション
上司や同僚に説明
良性発作性頭位めまい症について簡単に説明し、理解を得ておきましょう。
緊急時の対応を決めておく
職場でめまいが起こったときの対応(休憩室で横になる、早退するなど)を事前に決めておく。
無理をしない
調子が悪いときは、早めに申し出て休憩や早退を選択しましょう。
再発した場合の対応
良性発作性頭位めまい症は再発することがあります。
再発の兆候
- 頭を動かしたときに軽いめまいを感じる
- ふわふわする感じがある
- 吐き気を感じる
すぐに対処する
1. 無理をしない
軽い症状でも、無理をせず早めに対処しましょう。
2. 医療機関を受診
再発した場合も、再度耳石置換法などの治療を受けることで改善します。
3. 職場に報告
再発した場合は、すぐに上司に報告し、必要に応じて休みを取りましょう。
繰り返す場合
頻繁に再発する場合は、以下を検討しましょう。
- より専門的な医療機関を受診する
- 生活習慣を見直す
- 職場環境の調整を相談する
- 場合によっては、職種や働き方の変更を検討する
よくある質問(FAQ)
Q 良性発作性頭位めまい症で何日休めば治る?
A 個人差がありますが、適切な治療を受ければ、多くの場合は数日から1週間程度で改善します。ただし、完全に治まるまでには2週間程度かかることもあります。
Q めまいが少し残っていても仕事に行くべき?
A 仕事内容によります。デスクワークなら可能な場合もありますが、運転や高所作業などは危険です。医師と相談して判断しましょう。
Q 職場に迷惑をかけるのが申し訳ない…
A 無理をして症状を悪化させたり、事故を起こしたりする方が、結果的に迷惑をかけます。必要な休養は遠慮せず取りましょう。
Q 診断書は必ず必要?
A 会社の規定によります。多くの企業では3日以上休む場合に必要ですが、確認してみましょう。
Q めまいが治まらない場合は?
A 治療を受けても改善しない場合は、他の病気の可能性もあります。再度医療機関を受診し、必要に応じて精密検査を受けましょう。
Q 再発を繰り返す場合は仕事を辞めるべき?
A すぐに辞める必要はありません。まずは医師と相談し、予防策を徹底しましょう。職場環境の調整や、働き方の変更で対応できることもあります。
まとめ
良性発作性頭位めまい症で仕事を休むべきかどうかは、症状の程度と仕事内容によって判断します。
すぐに休むべき場合
- 強いめまいで立っていられない
- 吐き気や嘔吐がひどい
- 頻繁にめまい発作が起こる
- 運転や高所作業など危険な業務
- 初めての発作で不安が強い
休む期間の目安
- 軽症 1〜3日
- 中等症 1週間程度
- 重症 2週間以上
復帰の目安
- めまいがほぼ治まっている
- 日常生活が問題なく送れる
- 医師の許可が出ている
良性発作性頭位めまい症は、適切な治療を受けることで多くの場合は改善します。無理をせず、必要な休養を取り、段階的に仕事に復帰することが大切です。
症状が辛いときは、遠慮せず休み、しっかり治療を受けましょう。あなたの健康が最優先です。職場への配慮も大切ですが、まずは自分の体を大切にしてください。

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