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自閉症の子どものコミュニケーション能力を伸ばしたい、どう練習すればいいのか、どんな支援があるのかなど、コミュニケーション練習について知りたい方に向けて、効果的な練習方法、家庭でできること、専門的な支援、使える教材やツールなどを詳しく解説します。
自閉症のコミュニケーションの特徴
自閉症のコミュニケーションの特徴について説明します。
言葉の遅れがあります。多くの自閉症の子どもは、言葉の発達が遅れます。初語が出ない、二語文が出ないなどです。全く話さない子どももいます。
オウム返しエコラリアです。相手の言葉をそのまま繰り返します。質問に対して、質問をそのまま返すなどです。即時エコラリア、遅延エコラリアがあります。
一方的に話します。興味のあることを一方的に話し続けます。相手が聞いているか、興味があるかは気にしません。会話のキャッチボールができません。
視線が合いにくいです。人と目を合わせることが苦手です。話しかけても視線を合わせません。視線を合わせることに不快感を感じることもあります。
表情が乏しいです。感情を表情で表すことが苦手です。嬉しくても笑わない、悲しくても泣かないなど、表情の変化が乏しいです。
身振り・ジェスチャーが少ないです。身振り、ジェスチャーで意思を伝えることが苦手です。バイバイ、指差しなどが出ないことがあります。
比喩・冗談が理解できません。言葉を文字通りに受け取ります。比喩、冗談、皮肉、暗黙の了解などが理解できません。
場面に応じた言葉遣いができません。相手、場面に応じて言葉遣いを変えることが困難です。誰にでも同じ話し方をします。
会話の順番が分かりません。会話の順番、タイミングが分かりません。相手が話している途中で割り込む、自分の番になっても話さないなどです。
非言語コミュニケーションが苦手です。表情、声のトーン、身振りなどの非言語コミュニケーションを理解すること、使うことが苦手です。
相手の気持ちを推測できません。相手が何を考えているか、どう感じているかを推測することが困難です。心の理論が育ちにくいです。
コミュニケーション練習の基本
コミュニケーション練習の基本について説明します。
早期に始めることです。コミュニケーション練習は、早ければ早いほど効果的です。2〜3歳から始めるのが理想です。遅くても大丈夫です。何歳からでも始められます。
子どものペースに合わせることです。無理強いしません。子どものペースに合わせて、ゆっくり進めます。焦らないことが重要です。
楽しく練習することです。遊びの中で、楽しく練習します。嫌がること、つらいことは続きません。楽しいことなら、自然に身につきます。
成功体験を積むことです。できることから始め、成功体験を積みます。小さな成功でも、たくさん褒めます。自信がつきます。
視覚支援を使うことです。言葉だけでなく、絵カード、写真、実物などの視覚支援を使います。視覚情報の方が理解しやすいです。
繰り返し練習することです。一度できても、すぐに忘れます。繰り返し練習します。毎日の積み重ねが大切です。
日常生活で実践することです。練習したことを、日常生活で実践します。実際の場面で使えるようになることが目標です。
家族全員で取り組むことです。母親だけでなく、父親、きょうだい、祖父母など、家族全員で取り組みます。一貫した対応が効果的です。
専門家の力を借りることです。言語聴覚士ST、作業療法士OT、臨床心理士などの専門家の力を借ります。適切な指導を受けられます。
長期的な視点を持つことです。コミュニケーション能力は、すぐには育ちません。数ヶ月、数年単位の長期的な視点で見守ります。
家庭でできる練習方法
家庭でできるコミュニケーション練習の方法について説明します。
目を見て話しかけることです。子どもの目線の高さにしゃがみ、目を見て話しかけます。ただし、無理に目を合わせさせる必要はありません。視線の方向に顔を向けるだけでも十分です。
短く簡単な言葉で話すことです。長い文章ではなく、短く簡単な言葉で話します。靴を履いて、帽子をかぶって、行こうではなく、靴を履いてだけ伝えます。
子どもの言葉を繰り返すことです。子どもが何か言ったら、繰り返します。ブーブーと言ったら、ブーブーだね、車だねと繰り返します。言葉を認めてもらえたと感じます。
少し待つことです。話しかけた後、反応を待ちます。すぐに次の言葉を言いません。5秒、10秒待ちます。処理に時間がかかります。
選択肢を与えることです。りんごとバナナ、どっちがいいなど、選択肢を与えます。選ぶことで、意思を伝える練習になります。
要求を引き出すことです。わざと手の届かない場所におもちゃを置く、お菓子の袋を開けずに渡すなど、要求を引き出す工夫をします。取って、開けてなどの言葉を引き出します。
指差しを促すことです。これはどっち、あれを取ってなど、指差しを促します。指差しは、コミュニケーションの基本です。
身振りを使うことです。バイバイ、いただきますなど、身振りを一緒にします。身振りは言葉より先に出ます。
歌や手遊びをすることです。歌、手遊びは、リズムがあり、楽しく、繰り返しがあるため、効果的です。一緒に歌う、手遊びをします。
絵本を読むことです。絵本を一緒に読みます。絵を指差す、繰り返し読む、好きな絵本を何度も読むなどです。言葉のインプットになります。
ごっこ遊びをすることです。おままごと、お店屋さんごっこなど、ごっこ遊びをします。会話のやりとりの練習になります。
実況中継をすることです。子どもがしていることを、実況中継のように言葉にします。○○ちゃん、ブロックを積んでるね、高く積んだねなど。言葉と行動が結びつきます。
視覚支援の活用
視覚支援の活用について説明します。
絵カード・写真カードです。物、行動、気持ちなどの絵カード、写真カードを使います。欲しいものを指差す、やることを確認するなどに使います。市販品、手作りどちらでも良いです。
PECSです。Picture Exchange Communication Systemの略です。絵カードを使ったコミュニケーション方法です。カードを渡して要求を伝えます。専門的な訓練があります。
コミュニケーションボードです。よく使う言葉の絵カードを一枚のボードに貼ります。指差して意思を伝えます。言葉が出ない子どもに有効です。
スケジュール表です。1日のスケジュールを絵カード、写真で視覚化します。次に何をするのか分かると、安心してコミュニケーションできます。
感情カードです。嬉しい、悲しい、怒っているなどの感情の絵カードです。自分の気持ちを伝える、相手の気持ちを理解する練習に使います。
ソーシャルストーリーです。困った場面でどう行動すべきか、絵と文章で示します。友達に貸してと言われたらどうするかなどです。
手順書です。歯磨き、着替えなどの手順を、写真、イラストで示します。順番通りにできます。言葉で指示するより分かりやすいです。
文字カードです。文字が読める子どもには、文字カードが有効です。ひらがな、カタカナ、漢字などのカードを使います。
タブレット・アプリです。コミュニケーション支援アプリが多数あります。絵カードをタップすると音声が出るアプリなどです。便利です。
ホワイトボード・メモです。その場で絵を描く、文字を書いて見せるなど、ホワイトボード、メモも視覚支援になります。
ソーシャルスキルトレーニングSST
ソーシャルスキルトレーニングSSTについて説明します。
SSTとは何かです。Social Skills Trainingの略です。対人関係のスキル、コミュニケーションスキルを学ぶ訓練です。
自閉症に効果的です。自閉症の子どもは、暗黙のルール、空気を読むことが苦手です。SSTで、明示的にルールを教えることが効果的です。
グループで行うことが多いです。小集団3〜6人程度でSSTを行うことが多いです。同年代の子どもと一緒に学びます。実践的です。
個別SSTもあります。グループが難しい場合、個別でSSTを行います。支援者と1対1で学びます。
ロールプレイが中心です。実際の場面を想定して、ロールプレイ役割演技をします。挨拶、自己紹介、断り方、謝り方などを練習します。
具体的なスキルを学びます。抽象的な空気を読むではなく、相手が話している時は静かに聞く、話したい時は手を挙げるなど、具体的なスキルを学びます。
ステップバイステップで学びます。一度に多くを学びません。一つのスキルを、段階を踏んで学びます。できるようになったら、次のスキルに進みます。
フィードバックをもらいます。ロールプレイの後、良かったところ、改善点などのフィードバックをもらいます。具体的なフィードバックが重要です。
実施場所です。療育施設児童発達支援、放課後等デイサービス、病院、学校の通級指導教室などで実施されています。
親向けのSSTもあります。親がSSTの方法を学ぶプログラムもあります。家庭でSSTを実践できます。
言語聴覚療法
言語聴覚療法について説明します。
言語聴覚士STによる訓練です。言語聴覚士STが、言葉の発達、コミュニケーション能力を評価し、個別に訓練します。
対象です。言葉の遅れ、発音の問題、吃音、コミュニケーションの困難などがある子どもが対象です。自閉症の子どもも多く利用しています。
個別訓練です。基本的に1対1の個別訓練です。子どもの状態に合わせて、訓練内容を調整します。
評価から始まります。まず、言語能力、コミュニケーション能力を評価します。標準化された検査を使います。現在の状態を把握します。
個別訓練計画を立てます。評価結果をもとに、個別訓練計画を立てます。目標、訓練内容、頻度などを決めます。
訓練内容です。発音の練習、語彙を増やす、文を作る、会話のやりとり、聞く力を育てるなど、様々な訓練を行います。遊びを通して楽しく訓練します。
視覚支援を使います。絵カード、写真、実物などの視覚支援を積極的に使います。自閉症の子どもに効果的です。
親へのアドバイスもあります。家庭でできる関わり方、練習方法などをアドバイスしてもらえます。親が実践することで、効果が高まります。
実施場所です。病院、クリニック、療育センター、児童発達支援事業所などで実施されています。
頻度です。週1回、月2回など、様々です。子どもの状態、家庭の都合に応じて決めます。
費用です。保険適用の場合、数百円〜数千円程度です。保険適用外の場合、1回数千円〜1万円程度です。
作業療法の活用
作業療法の活用について説明します。
作業療法士OTによる訓練です。作業療法士OTが、感覚統合、微細運動、日常生活動作などを訓練します。コミュニケーションにも関わります。
感覚統合がコミュニケーションに影響します。感覚過敏、感覚鈍麻などがあると、コミュニケーションに集中できません。感覚統合療法で改善します。
感覚統合療法です。トランポリン、ブランコ、バランスボール、重い荷物を運ぶなどの活動を通して、感覚を統合します。落ち着くと、コミュニケーションしやすくなります。
身振り・ジェスチャーの練習です。身振り、ジェスチャーは、微細運動、粗大運動と関係します。作業療法で、身振りの練習もします。
目と手の協応です。目と手の協応が育つと、指差し、物を指すなどの動作ができるようになります。コミュニケーションに役立ちます。
実施場所です。病院、クリニック、療育センター、児童発達支援事業所などで実施されています。
ABA応用行動分析
ABA応用行動分析について説明します。
ABAとは何かです。Applied Behavior Analysisの略です。行動の原理に基づき、望ましい行動を増やし、問題行動を減らす方法です。
自閉症に効果的です。自閉症の療育で最もエビデンスがある方法の一つです。コミュニケーション訓練にも有効です。
強化を使います。望ましい行動ができたら、すぐに褒める、ご褒美を与えるなどの強化をします。行動が増えます。
分解して教えます。複雑なスキルを、小さなステップに分解して教えます。一つずつできるようにします。
プロンプト指示を使います。プロンプト身振り、言葉、物理的誘導などを使って、行動を引き出します。徐々にプロンプトを減らします。
繰り返し練習します。何度も繰り返し練習します。反復練習により、スキルが定着します。
データを取ります。行動の頻度、正答率などのデータを取ります。データに基づき、訓練を調整します。科学的です。
専門家による訓練が理想です。ABAセラピスト、臨床心理士などの専門家による訓練が理想です。ただし、親がABAの方法を学び、家庭で実践することも有効です。
実施場所です。専門の療育施設、病院、家庭などで実施されます。
コミュニケーション機器の活用
コミュニケーション機器の活用について説明します。
AAC拡大・代替コミュニケーションです。Augmentative and Alternative Communicationの略です。話し言葉を補う、代わりにするコミュニケーション方法です。
ローテクAACです。絵カード、コミュニケーションボード、文字盤などです。電源不要で、簡単に使えます。
ハイテクAACです。タブレット、専用機器などです。音声出力があります。様々なアプリがあります。
VOCAです。Voice Output Communication Aidの略です。ボタンを押すと音声が出る機器です。簡単なものから、複雑なものまであります。
タブレットアプリです。コミュニケーション支援アプリが多数あります。ドロップトーク、VOCA、絵カードメーカーなどです。有料、無料があります。
視線入力装置です。視線で文字、絵を選ぶ装置です。体を動かせない子どもに有効です。
トーキングエイドです。日本語に特化したVOCAです。文字盤で文を作り、音声で出力します。
選び方です。子どもの状態、年齢、好みに合わせて選びます。言語聴覚士、作業療法士に相談します。試用してから決めます。
費用助成があります。一部の機器は、補装具費支給制度で助成を受けられます。市区町村の障害福祉課に相談します。
まとめ
自閉症のコミュニケーション練習は、適切な方法で効果が上がります。
コミュニケーションの特徴は、言葉の遅れ、オウム返し、一方的に話す、視線が合いにくい、表情が乏しい、身振りが少ない、比喩・冗談が理解できない、場面に応じた言葉遣いができない、会話の順番が分からない、非言語コミュニケーションが苦手、相手の気持ちを推測できないなどです。
練習の基本は、早期に始める2〜3歳から、子どものペース、楽しく練習、成功体験を積む、視覚支援を使う、繰り返し練習、日常生活で実践、家族全員で取り組む、専門家の力を借りる、長期的な視点などです。
家庭でできる練習は、目を見て話しかける、短く簡単な言葉、子どもの言葉を繰り返す、少し待つ、選択肢を与える、要求を引き出す、指差しを促す、身振りを使う、歌や手遊び、絵本を読む、ごっこ遊び、実況中継などです。
視覚支援の活用は、絵カード・写真カード、PECS、コミュニケーションボード、スケジュール表、感情カード、ソーシャルストーリー、手順書、文字カード、タブレット・アプリ、ホワイトボード・メモなどです。
ソーシャルスキルトレーニングSST対人関係のスキルを学ぶ、グループまたは個別、ロールプレイ、具体的なスキル、ステップバイステップ、フィードバック、療育施設・学校などで実施、言語聴覚療法STによる個別訓練、言語能力評価、個別訓練計画、発音・語彙・会話の訓練、視覚支援使用、親へのアドバイス、作業療法感覚統合、身振りの練習、目と手の協応、ABA応用行動分析強化、分解して教える、プロンプト、繰り返し、データを取る、専門家による訓練、コミュニケーション機器AAC、VOCA、タブレットアプリ、視線入力装置、トーキングエイド、補装具費支給制度も重要です。
自閉症の子どものコミュニケーション練習に悩んでいる方は、早期に専門家に相談してください。言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士などの力を借りてください。家庭でも、視覚支援を使う、短く簡単な言葉で話す、子どものペースに合わせるなど、できることから始めてください。楽しく、繰り返し練習してください。焦らず、長期的な視点で見守ってください。適切な練習と支援で、コミュニケーション能力は必ず向上します。

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