障がい者転職を検討中の方必読!
絶対に読むべき必読記事
就労継続支援B型事業所などで作られるパンや菓子、雑貨といった自主製品は、利用者の工賃を支える大切な収入源です。ところが近年、小麦や砂糖、油などの原材料価格が上昇し、自主製品を作る事業所にとって大きな負担となっています。
原材料費が上がれば、これまでと同じ価格で販売していても利益が減り、利用者の工賃や事業所の生産活動そのものに影響する可能性があります。本記事では、原材料費高騰の背景から、工賃への影響、事業所でできる対応策、活用できる支援策、今後の課題まで分かりやすく解説します。
原材料費高騰の背景
小麦をはじめとする原材料の価格上昇は、製パンや製菓に関わる事業者にとって大きな負担となっています。
背景には、国際的な需要の高まりや物流コストの上昇、海外情勢など、さまざまな要因があります。輸入小麦の価格が上昇すると、それに関連して油や砂糖などの副材料にも値上がりの影響が及ぶことがあります。
パン屋を対象とした実態調査でも、小麦や副材料の仕入れ価格が高騰していることが示されています。原材料の値上がりが続けば、事業者は販売価格を引き上げる必要に迫られますが、価格を上げれば消費者が購入しにくくなる可能性もあります。
自主製品を扱うB型事業所にとっても、「価格を上げたいけれど、利用者や地域の人に買い続けてもらいたい」という難しい判断が求められます。
利用者の工賃への影響
B型事業所などで作られるパンや菓子、雑貨は、生産活動を通じて利用者に工賃を支払うための重要な収入源です。
そのため、原材料費が上昇すると、販売によって得られる利益が圧迫されます。売上が同じでも仕入れにかかる費用が増えれば、工賃に回せる利益が少なくなる可能性があります。
また、B型事業所では、前年度の平均工賃月額などが基本報酬の評価にも関係します。工賃の維持・向上は、利用者の生活だけでなく、事業所の運営にも関わる重要な課題です。
原材料費や外注費の増加によって生産活動の採算が悪化すれば、工賃を維持することが難しくなるだけでなく、生産活動そのものを続けられるかという問題にもつながります。
事業所でできる対応策
原材料費の高騰に対応するためには、まず何にどれだけ費用がかかっているのかを把握することが重要です。
たとえば、使用する原材料や仕入れ先を見直したり、価格が大きく上昇した材料について代替できるものがないか検討したりする方法があります。商品によっては、加工済みの材料ではなく原材料から調理することで、コストを抑えられる場合もあります。
ただし、単純に安い材料へ変更すればよいとは限りません。自主製品には、それぞれの事業所ならではの味や品質、利用者が取り組みやすい作業内容などがあります。
そのため、品質を維持しながら無理なくコストを抑えられる方法を考えることが大切です。
また、自主製品だけでなく、請負作業などを含めて生産活動全体の採算を確認することも重要です。作業にかかる時間や材料費、外注費などを整理し、採算が合わない作業については内容や単価を見直す必要があります。
さらに、販売方法を工夫したり、利用者の得意分野に合わせて作業内容を見直したりすることも、工賃の維持・向上につながる可能性があります。
活用できる支援策
原材料費や食材料費の高騰に対しては、自治体が独自に支援金などの制度を設けている場合があります。
指定を受けた障害福祉サービス事業所などを対象として、食材料費の高騰に伴う負担を軽減するための支援が行われている地域もあります。
ただし、対象となる事業所や支援内容、申請方法、期限などは自治体によって異なります。また、食事提供に関する費用を対象とした制度が中心で、すべての自主製品の原材料費が対象になるとは限りません。
そのため、「原材料費が高いから利用できる」と決めつけず、事業所が所在する自治体の制度を確認することが大切です。
自治体のホームページや障害福祉担当部署などから情報を集め、現在利用できる支援制度がないか定期的に確認しておきましょう。
今後の課題
原材料費の高騰は、国際情勢や為替、物流などさまざまな要因によって変動するため、今後も価格が変わる可能性があります。
自主製品を継続して販売するには、原材料費が上がったときにも対応できる価格設定や仕入れ体制を考えておくことが重要です。
一方で、販売価格を上げれば、購入する人の負担も大きくなります。特に地域に根付いた自主製品では、「利用者の工賃を支えるための商品」という側面と、「地域の人が購入したい商品としての価値」の両方を考える必要があります。
複数の仕入れ先を比較したり、商品の種類や販売方法を見直したりするなど、一つの方法だけに頼らない経営が求められます。
また、事業所だけで対応するには限界があります。地域の他事業所と情報交換をしたり、行政や関係機関に相談したりしながら、利用できる支援策を組み合わせていくことも大切です。
まとめ…先を見据えた備えが、事業所と工賃を守る
自主製品の原材料費高騰は、今後も国際情勢や為替、物流などの影響によって、さらに価格が上昇する可能性があります。だからこそ、「値上がりしてから考える」のではなく、これから起こり得る変化を想定し、今のうちから備えておくことが大切です。
たとえば、原材料の仕入れ先を複数確保しておく、価格が上がった場合に切り替えられる代替材料を検討しておく、商品の原価を定期的に確認するなど、いざというときの選択肢をあらかじめ増やしておくことができます。
また、すべての商品を同じように維持するのではなく、採算の合わない商品は内容や価格を見直したり、比較的利益を確保しやすい商品を育てたりすることも一つの方法です。「何が起きても今まで通り」ではなく、「状況が変わったらこう対応する」という代替案を準備しておくことが、事業所の負担を減らします。
さらに、自治体の支援制度や関係機関からの情報を日頃から確認し、困ってから探すのではなく、利用できる支援策を早めに把握しておくことも重要です。
原材料費の高騰を完全に止めることはできません。しかし、先の変化を予測し、仕入れ・商品・価格・販売方法・支援制度などについて複数の選択肢を持っておけば、影響を小さくできる可能性があります。
「備えあれば憂いなし」。今できる対策を一つずつ積み重ねることが、利用者の工賃を守り、事業所の生産活動を長く続けていく力になります。

