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統合失調症は脳の機能に障害が起こることで、思考や感情、行動がまとまりにくくなる精神疾患です。幻覚や妄想などの症状が現れ、日常生活や社会生活に支障をきたすことがあります。
約100人に1人が発症するとされており、決して珍しい病気ではありません。
適切な治療を受けることで症状をコントロールし、社会生活を送ることは十分可能です。
本記事では統合失調症の症状や原因、診断方法、治療法、そして患者さんや家族が知っておくべき情報について詳しく見ていきます。
統合失調症の主な症状
統合失調症の症状は陽性症状と陰性症状に大きく分けられます。陽性症状とは、本来ないはずのものが現れる症状です。幻覚が最も代表的で、特に実際には存在しない声が聞こえる幻聴が多く見られます。
声は命令したり、批判したり、会話したりするように聞こえます。
妄想も陽性症状の一つで、現実とは異なる確信を持ち、説得しても訂正できない状態です。
被害妄想、誰かに監視されている、自分の考えが他人に伝わっているなど、様々な内容の妄想が現れます。
思考障害も重要な症状です。考えがまとまらない、話の筋道が通らない、会話が支離滅裂になるなどの症状が見られます。
また行動の異常として、意味のない行動を繰り返したり、奇妙な姿勢を取ったりすることもあります。
陰性症状と認知機能障害
陰性症状とは、本来あるべき機能が低下する症状です。
感情の平板化が見られ、喜怒哀楽の表現が乏しくなります。表情が変化しにくく、声の抑揚が少なくなり、感情的な反応が鈍くなります。
意欲の低下も陰性症状の特徴です。何もする気が起きない、身の回りのことにも関心が持てない、引きこもりがちになるなどの状態が続きます。社会的な交流を避けるようになり、孤立しやすくなります。
また認知機能障害も重要な問題です。記憶力、集中力、判断力、計画性などが低下し、日常生活や仕事に支障をきたします。これらの症状は陽性症状より目立ちにくいですが、社会復帰の障壁になることが多いです。
統合失調症の原因
統合失調症の原因は完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質、特にドーパミンの異常が関係していると考えられています。ドーパミンが過剰に働くことで陽性症状が現れるとされています。
遺伝的要因も関係しており、家族に統合失調症の人がいる場合、発症リスクが高くなることが知られています。ただし遺伝だけで決まるわけではなく、環境要因も重要な役割を果たします。
ストレスや生活環境も発症に影響します。強いストレス、薬物使用、妊娠中の感染症、出産時の合併症などが発症リスクを高める可能性があります。複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
発症時期と経過
統合失調症は思春期から30代前半に発症することが最も多く、男性は10代後半から20代前半、女性は20代後半から30代前半に発症のピークがあります。徐々に症状が現れることもあれば、急激に発症することもあります。
前駆期には不眠、不安、集中力の低下、引きこもりなど、統合失調症特有でない症状が現れることがあります。この時期に適切な対応ができれば、発症を予防したり、症状を軽くしたりできる可能性があります。
病気の経過は人によって大きく異なります。一度の発症で回復する人もいれば、再発を繰り返す人もいます。早期発見と早期治療が予後を大きく改善することがわかっています。
診断方法
統合失調症の診断は精神科医による詳細な問診と観察に基づいて行われます。
幻覚や妄想などの陽性症状、意欲低下などの陰性症状、症状の持続期間などを総合的に評価します。
血液検査や脳画像検査も行われますが、これらは統合失調症を直接診断するためではなく、他の身体疾患や脳の病気を除外するために行われます。症状が似ている他の精神疾患との鑑別も重要です。
診断には国際的な診断基準が用いられます。
DSM-5という診断基準では、幻覚や妄想などの症状が一定期間続き、社会的または職業的な機能に支障をきたしている場合に診断されます。
薬物療法
統合失調症の治療の中心は抗精神病薬による薬物療法です。
抗精神病薬は脳内のドーパミンの働きを調整し、幻覚や妄想などの陽性症状を軽減します。現在は副作用の少ない新規抗精神病薬が主に使用されています。
薬は症状が治まった後も継続して服用することが重要です。症状が消えたからといって自己判断で服薬を中止すると、高い確率で再発します。再発を繰り返すと症状が悪化しやすく、治りにくくなることがあります。
副作用としては、眠気、体重増加、手の震え、筋肉のこわばりなどが現れることがあります。副作用が辛い場合は医師に相談し、薬の種類や量を調整することが可能です。我慢せずに相談することが大切です。
心理社会的治療
薬物療法と並行して、心理社会的な治療やリハビリテーションも重要です。精神療法では、病気の理解を深め、症状への対処法を学び、ストレス管理の方法を身につけます。
認知行動療法は幻覚や妄想に対する受け止め方を変え、それらの症状が生活に与える影響を軽減する効果があります。声が聞こえても、それに振り回されない対処法を学びます。
社会生活技能訓練SSTでは、日常生活や対人関係に必要なスキルを段階的に学びます。挨拶の仕方、会話の仕方、問題解決の方法などを練習することで、社会復帰を支援します。
デイケアと作業療法
デイケアは日中を病院や施設で過ごすプログラムで、規則正しい生活リズムを作り、他者との交流を通じて社会性を回復することを目的としています。様々な活動を通じて、生活能力を高めていきます。
作業療法では、創作活動やスポーツ、軽作業などを通じて、集中力や持続力を養います。
達成感を得ることで自信を回復し、意欲を高める効果もあります。
これらのプログラムは個人の状態に合わせて調整され、無理なく参加できるようになっています。同じ病気を持つ人との交流は、孤独感の軽減にもつながります。
家族のサポート
統合失調症の治療において、家族の理解とサポートは非常に重要です。
家族が病気について正しい知識を持ち、患者さんを支えることが回復を促進します。
家族は患者さんの症状を理解し、適切に対応することが求められます。
幻覚や妄想を否定したり、論理的に説得しようとしたりするのではなく、辛い体験をしていることを受け止める姿勢が大切です。
また家族自身も疲弊しないよう、自分のケアも忘れずに行うことが重要です。家族会や家族教室に参加することで、情報交換や悩みの共有ができ、支援を受けることができます。
再発の予防
統合失調症は再発しやすい病気ですが、適切な対応で再発を予防することは可能です。
最も重要なのは服薬を継続することです。自己判断で薬を中止することは再発の最大のリスク要因です。
ストレス管理も再発予防に重要です。過度なストレスは症状の悪化や再発を招きます。無理をせず、自分のペースを守り、適度な休息を取ることが大切です。
また再発の前兆に気づくことも重要です。不眠、イライラ、集中力の低下、引きこもりなどの変化が見られたら、早めに医師に相談しましょう。早期の対応で重症化を防げます。
社会復帰と就労支援
統合失調症を抱えながら働くことは可能です。病状が安定し、体力や集中力が回復してきたら、段階的に社会復帰を目指すことができます。
就労移行支援事業所では、働くために必要なスキルを学び、就職活動をサポートしてもらえます。
また就労継続支援事業所では、体調に合わせて無理なく働ける環境が提供されます。
障害者雇用制度を利用することで、配慮を受けながら働くことも可能です。短時間勤務から始める、静かな環境で働くなど、個々の状態に応じた働き方を選択できます。
偏見と差別への対処
統合失調症は誤解や偏見が多い病気です。危険な人、治らない病気といった誤ったイメージが社会に広がっていますが、実際には適切な治療を受けることで多くの人が回復し、社会生活を送っています。
患者さん自身も家族も、病気を恥じる必要はありません。糖尿病や高血圧と同じように、脳の病気の一つであり、治療が可能な疾患です。
偏見に傷つくこともありますが、正しい知識を持つ支援者とつながることで、孤立を避けることができます。患者会や支援団体は心強い味方になります。
病識と治療への動機づけ
統合失調症の治療において難しい問題の一つが、病識の欠如です。患者さん自身が病気であることを認識していない、または認めたくないという状態があります。
病識がないと治療を拒否したり、服薬を続けなかったりすることがあります。
無理に説得するのではなく、困っていることに焦点を当て、それを改善するための方法として治療を提案することが効果的です。
また治療への動機づけを高めるために、患者さんの希望や目標を尊重することが大切です。
社会復帰したい、人間関係を改善したいなど、本人の望みを実現するために治療が役立つことを理解してもらいます。
長期的な視点
統合失調症は慢性疾患であり、長期的な付き合いが必要です。
しかし適切な治療とサポートにより、症状をコントロールし、充実した生活を送ることは十分可能です。
回復には時間がかかり、一進一退を繰り返すこともあります。焦らず、小さな進歩を大切にしながら、長期的な視点で取り組むことが重要です。
また医療技術は進歩しており、新しい治療法や支援の仕組みも開発されています。希望を持ち続け、自分に合った治療法を見つけることで、より良い生活の質を実現できます。
まとめ
統合失調症は、脳の機能障害により幻覚や妄想などの陽性症状、意欲低下などの陰性症状、認知機能の低下が現れる精神疾患です。
約100人に1人が発症し、思春期から30代前半に多くみられます。
原因は神経伝達物質の異常に遺伝や環境要因が関与すると考えられています。
治療は抗精神病薬による継続的な薬物療法が中心で、心理社会的支援やリハビリも重要です。適切な治療と周囲の理解があれば、社会復帰や就労も可能です。

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