睡眠障害 眠れない夜から質の良い睡眠へ

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睡眠障害は、睡眠に関する様々な問題の総称です。なかなか眠れない、途中で何度も目が覚める、朝早く目覚めてしまう、十分寝ているのに日中眠い、睡眠中に異常な行動をするなど、多岐にわたります。日本人の約5人に1人が何らかの睡眠の問題を抱えていると言われ、非常に身近な健康問題です。睡眠不足や質の悪い睡眠は、日中のパフォーマンス低下、集中力の低下、イライラ、疲労感だけでなく、高血圧、糖尿病、うつ病など様々な健康問題のリスクを高めます。しかし多くの睡眠障害は適切な対処により改善可能です。この記事では睡眠障害の種類、原因、症状、診断、治療法、セルフケアについて詳しく解説します。

睡眠障害とは

定義

睡眠障害は、睡眠の質、タイミング、量、または睡眠中の異常行動に関する問題により、日中の機能に障害をきたす状態の総称です。国際睡眠障害分類(ICSD-3)では80種類以上の睡眠障害が分類されています。

有病率

日本人の約20パーセント(5人に1人)が何らかの睡眠の問題を抱えています。加齢とともに増加し、60歳以上では約30パーセントに上ります。

影響

日中の機能低下
眠気、疲労感、集中力低下、記憶力低下、判断力低下、イライラ、気分の落ち込み。

事故のリスク
居眠り運転、労働災害、転倒などのリスクが高まる。

健康への影響
高血圧、糖尿病、肥満、心疾患、脳卒中、認知症、うつ病、不安障害などのリスクが高まる。免疫機能の低下。

生活の質の低下
仕事や学業のパフォーマンス低下、対人関係の問題、生活満足度の低下。

睡眠障害の分類

睡眠障害は大きく以下のカテゴリーに分類されます。

不眠症

最も多い睡眠障害。寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目覚める、熟睡感がないなどの症状が週3回以上、3ヶ月以上続き、日中の機能障害をきたす状態。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりする病気。いびき、日中の眠気が特徴。肥満、高血圧との関連が強い。

過眠症

十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気がある状態。ナルコレプシー、特発性過眠症など。

概日リズム睡眠・覚醒障害

体内時計(概日リズム)が乱れ、望ましい時間に眠れない、起きられない状態。睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、交代勤務睡眠障害など。

睡眠時随伴症(パラソムニア)

睡眠中に異常な行動や体験が起こる状態。夢遊病、夜驚症、悪夢障害、レム睡眠行動障害など。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

じっとしているときに脚に不快な感覚があり、動かさずにいられなくなる状態。夕方から夜に悪化し、入眠を妨げる。

周期性四肢運動障害

睡眠中に脚や腕が周期的にピクピク動く状態。本人は気づかないが、睡眠の質が低下する。

不眠症について

不眠症は最も多い睡眠障害であり、詳しく解説します。

不眠症のタイプ

入眠困難
寝つきが悪い。布団に入ってから眠るまでに30分以上かかる。

中途覚醒
夜中に何度も目が覚める。一度目が覚めるとなかなか眠れない。

早朝覚醒
朝早く(予定より2時間以上早く)目が覚めて、その後眠れない。

熟眠障害
睡眠時間は十分なのに、ぐっすり眠った感じがしない。眠りが浅い。

これらは単独または複数が組み合わさって現れます。

不眠症の原因

ストレス
仕事、人間関係、経済的問題などの心理的ストレスが最も多い原因。

生活習慣
不規則な睡眠スケジュール、カフェインやアルコールの摂取、運動不足、昼寝のしすぎ。

環境
騒音、光、温度、湿度など寝室環境の問題。

身体疾患
痛み、かゆみ、頻尿、呼吸困難、胸やけなど身体的不快感。慢性疾患(関節炎、心疾患、呼吸器疾患など)。

精神疾患
うつ病、不安障害、統合失調症など。精神疾患の約80パーセントに不眠を伴う。

薬物
一部の薬剤の副作用(ステロイド、降圧薬、抗がん剤など)。

加齢
加齢により睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増える。

不眠への不安
眠れないことへの不安や焦りが、さらに不眠を悪化させる悪循環。

不眠症の診断基準

DSM-5による診断基準:

A. 睡眠の質または量に関する不満が優勢で、以下の1つ以上を伴う。
(1) 入眠困難
(2) 睡眠の維持困難(頻繁な中途覚醒、再入眠困難)
(3) 早朝覚醒

B. 睡眠障害が社会的、職業的、教育的、学業上、行動上、または他の重要な機能領域における著しい苦痛または障害を引き起こしている。

C. 睡眠困難が少なくとも週3夜生じる。

D. 睡眠困難が少なくとも3ヶ月間存在する。

E. 睡眠困難が十分な睡眠機会があるにもかかわらず生じる。

F. 他の睡眠・覚醒障害ではうまく説明されない。

G. 物質や一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。

H. 併存する精神疾患や医学的疾患では不眠症状が十分に説明できない。

睡眠時無呼吸症候群

定義

睡眠中に呼吸が繰り返し止まる(10秒以上)、または浅くなる病気。1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が5回以上で診断。

種類

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
最も多い。気道が塞がることで呼吸が止まる。いびき、日中の眠気が特徴。

中枢性睡眠時無呼吸症候群
脳からの呼吸指令が止まることで呼吸が止まる。心不全などに伴うことが多い。

症状

夜間症状
いびき、呼吸の停止(家族が気づく)、何度も目が覚める、息苦しさで目が覚める、夜間頻尿。

日中症状
強い眠気、起床時の頭痛、口の渇き、集中力低下、疲労感、イライラ。

危険因子

肥満、中年以降、男性、首が太い・短い、下顎が小さい、扁桃肥大、飲酒、喫煙、仰向け寝。

健康への影響

高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、不整脈のリスクが2から4倍に上昇。突然死のリスクも。

診断

簡易検査
自宅で行う簡易検査装置。呼吸、酸素飽和度、いびきなどを記録。

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
入院または自宅で行う精密検査。脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図など多数のセンサーで測定。確定診断に必要。

治療

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
最も効果的な治療。就寝時にマスクを装着し、空気を送り込んで気道を開く。保険適用(AHI20以上または5から20で日中の眠気がある場合)。

口腔内装置(マウスピース)
下顎を前方に固定して気道を広げる。軽症から中等症に有効。歯科で作成。

生活習慣の改善
減量(肥満の場合)、禁煙、節酒、横向き寝。

手術
扁桃摘出、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術など。適応は限られる。

その他の主な睡眠障害

ナルコレプシー

特徴
日中に耐えがたい眠気と突然の睡眠発作。情動脱力発作(笑う、驚くなど強い感情で突然力が抜ける)、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り)を伴うこともある。

原因
脳内の覚醒を維持する物質オレキシン(ヒポクレチン)の欠乏。自己免疫が関与。

治療
覚醒を促す薬(モダフィニル、メチルフェニデートなど)、規則正しい生活、計画的な昼寝。

むずむず脚症候群

特徴
じっとしているときに脚に不快な感覚(むずむず、ちりちり、虫が這う感じ)。動かすと楽になる。夕方から夜に悪化。入眠困難、中途覚醒の原因となる。

原因
鉄欠乏、ドーパミン機能異常、遺伝、妊娠、腎不全などが関与。

治療
鉄剤(鉄欠乏の場合)、ドーパミン作動薬、抗てんかん薬、生活習慣の改善(カフェイン・アルコール制限、適度な運動)。

概日リズム睡眠・覚醒障害

睡眠相後退症候群
体内時計が遅れ、深夜まで眠れず、朝起きられない。思春期から青年期に多い。

睡眠相前進症候群
体内時計が進み、夕方から眠くなり、早朝に目覚める。高齢者に多い。

交代勤務睡眠障害
夜勤や交代勤務により体内時計が乱れる。

治療
光療法(明るい光を浴びる時間を調整)、メラトニン、生活リズムの調整。

睡眠障害の診断

問診

睡眠歴
就寝時刻、起床時刻、入眠までの時間、睡眠時間、中途覚醒の回数、いびき、日中の眠気など。

睡眠日誌
2週間程度、毎日の睡眠パターンを記録。

質問票
ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、エプワース眠気尺度(ESS)など。

生活習慣
カフェイン、アルコール、運動、ストレスなど。

既往歴
身体疾患、精神疾患、服薬歴。

検査

アクチグラフィ
腕時計型の装置で活動量を記録し、睡眠覚醒パターンを評価。

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠の質、睡眠段階、呼吸、体動などを詳細に評価。睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、ナルコレプシーなどの診断に必須。

反復睡眠潜時検査(MSLT)
日中の眠気を客観的に評価。ナルコレプシーの診断に用いる。

血液検査
甲状腺機能、鉄欠乏などをチェック。

睡眠障害の治療

不眠症の治療

認知行動療法(CBT-I)
不眠症に対する第一選択治療。薬物療法と同等以上の効果があり、効果が持続する。

  • 睡眠衛生教育: 良い睡眠習慣を学ぶ
  • 刺激制御法: ベッドを睡眠以外に使わない
  • 睡眠制限法: 睡眠時間を一時的に制限して睡眠効率を高める
  • リラクゼーション法: 筋弛緩法、呼吸法など
  • 認知療法: 睡眠に関する誤った考えを修正

薬物療法
短期的には有効だが、長期使用は推奨されない。依存のリスクあり。

  • ベンゾジアゼピン系睡眠薬: 効果は強いが依存性が高い
  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬: ベンゾジアゼピン系より依存性が低いとされる
  • メラトニン受容体作動薬: 自然な睡眠を促す、依存性なし
  • オレキシン受容体拮抗薬: 覚醒を抑制、依存性なし
  • 抗うつ薬: うつ病を伴う不眠に

薬物療法を行う場合も認知行動療法を併用し、徐々に薬を減らすことを目指す。

睡眠衛生指導(すべての睡眠障害に共通)

生活習慣の改善により睡眠の質を高める。

定時性
毎日同じ時間に寝て起きる。休日も崩さない。

光の利用
朝起きたら日光を浴びる。夜は明るい光を避ける。

運動
日中に適度な運動。就寝3時間前以降は避ける。

食事
就寝3時間前までに夕食。空腹でも満腹でも眠りにくい。

入浴
就寝1から2時間前に入浴。深部体温が下がるときに眠りやすい。

カフェイン
就寝4から6時間前以降は摂取しない。

アルコール
寝酒は避ける。入眠は促進するが睡眠の質を悪化させる。

ニコチン
就寝前の喫煙を避ける。禁煙が望ましい。

昼寝
午後3時前までに30分以内。長い昼寝は夜の睡眠を妨げる。

寝室環境
静か、暗い、涼しい(16から19度)環境。快適な寝具。

リラックス
就寝前にリラックスする時間。スマホ、パソコン、テレビは避ける。

眠れないとき
20分以上眠れなければ一旦起きる。別の部屋で読書など。眠くなったら戻る。

セルフケアと予防

良い睡眠習慣

上記の睡眠衛生指導を実践。

ストレス管理

リラクゼーション
深呼吸、漸進的筋弛緩法、瞑想、ヨガなど。

趣味
楽しいことをする時間を持つ。

相談
悩みを一人で抱え込まない。信頼できる人に相談。

適度な運動

有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を週3から5回、30分程度。ただし就寝3時間前以降は避ける。

寝室環境の整備

温度
16から19度が理想。暑すぎても寒すぎても眠りにくい。

湿度
50から60パーセント。

照明
できるだけ暗く。遮光カーテン。常夜灯も消す方が良い。

騒音
静かな環境。難しい場合は耳栓。

寝具
自分に合った枕、マットレス。清潔な寝具。

寝る前のルーティン

毎晩同じ行動パターン(読書、ストレッチ、お茶を飲むなど)で体に「これから寝る」と教える。

心配事は寝る前に書き出す

明日のto-doリストや心配事を紙に書き出して手放す。

時計を見ない

夜中に目が覚めても時計を見ない。時間を気にすると不安が増す。

いつ医療機関を受診すべきか

受診の目安

症状が続く
1ヶ月以上睡眠の問題が続く。

日常生活に支障
仕事や学業、対人関係に影響が出ている。

自分では改善できない
生活習慣の改善を試みても良くならない。

いびき・無呼吸
家族にいびきや無呼吸を指摘された。

日中の強い眠気
十分寝ているのに日中眠い。居眠り運転をしそうになる。

異常行動
睡眠中に歩き回る、暴れるなど。

脚の不快感
夜になると脚がむずむずして眠れない。

受診先

睡眠外来・睡眠専門医
睡眠障害の専門的診療。

精神科・心療内科
不眠症、精神疾患に伴う睡眠障害。

呼吸器内科・耳鼻咽喉科
睡眠時無呼吸症候群。

内科
身体疾患に伴う睡眠障害。

かかりつけ医
まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう。

睡眠に関する誤解

誤解1: 8時間睡眠が必要

正しい理解
必要な睡眠時間は個人差が大きい。6時間で十分な人もいれば9時間必要な人もいる。日中元気に過ごせれば十分。加齢とともに必要睡眠時間は減る。

誤解2: 眠れなくても横になっていれば休まる

正しい理解
眠れないのにベッドにいると不眠が悪化する。20分眠れなければ一旦起きる方が良い。

誤解3: アルコールは睡眠に良い

正しい理解
寝酒は入眠を早めるが、睡眠の後半を浅くし、中途覚醒を増やす。質の悪い睡眠になる。

誤解4: 週末の寝だめで平日の睡眠不足を補える

正しい理解
寝だめの効果は限定的。体内時計が乱れて平日の睡眠がさらに悪化することも。毎日規則正しい睡眠が重要。

誤解5: 年を取れば睡眠時間は短くても平気

正しい理解
必要な睡眠時間は減るが、睡眠の質は重要。高齢者も質の良い睡眠が必要。

まとめ

睡眠障害は睡眠の質、タイミング、量、または睡眠中の異常行動に関する問題により日中の機能に障害をきたす状態の総称です。日本人の約20パーセントが何らかの睡眠の問題を抱えています。

主な睡眠障害として不眠症、睡眠時無呼吸症候群、過眠症、概日リズム睡眠・覚醒障害、睡眠時随伴症、むずむず脚症候群などがあります。

最も多い不眠症は、寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目覚める、熟睡感がないなどの症状が続き、日中の機能に支障をきたす状態です。ストレス、生活習慣、環境、身体疾患、精神疾患などが原因となります。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気で、いびき、日中の眠気が特徴です。高血圧、心疾患、脳卒中のリスクを高めます。CPAP療法が最も効果的です。

診断は問診、睡眠日誌、質問票、必要に応じて睡眠検査により行われます。

治療は睡眠障害のタイプにより異なりますが、不眠症には認知行動療法が第一選択です。睡眠衛生指導(規則正しい生活、光の利用、運動、カフェイン・アルコール制限、寝室環境の整備など)はすべての睡眠障害に有効です。

セルフケアとして良い睡眠習慣の実践、ストレス管理、適度な運動、寝室環境の整備、寝る前のリラクゼーションなどが重要です。

睡眠の問題が1ヶ月以上続く、日常生活に支障がある、自分では改善できない場合は医療機関を受診しましょう。多くの睡眠障害は適切な治療により改善可能です。

質の良い睡眠は健康の基盤です。睡眠を軽視せず、睡眠の問題があれば早めに対処しましょう。良い睡眠習慣を身につけ、毎晩ぐっすり眠り、日中を元気に過ごせる生活を目指してください。

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