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「発達障害の子には補助金がもらえるのか」「いくらもらえるのか」「どんな制度があるのか」「うちの子は対象になるのか」「手帳がないともらえないのか」「所得制限はあるのか」「申請方法がわからない」「もらい損ねている制度はないか」「トータルでいくら支援を受けられるのか」。
発達障害のある子を持つ親の多くが、経済的支援について疑問を抱えています。
発達障害の子への経済的支援は、手当、医療費助成、税金優遇、福祉サービス利用料の軽減など、多岐にわたります。主な手当は特別児童扶養手当(月約35,760円~53,700円)と障害児福祉手当(月約15,220円)です。
これらに加えて、医療費助成で年間数万円~数十万円、税金優遇で年間5万円~10万円以上、福祉サービス利用料の軽減などがあります。トータルで年間50万円~100万円以上の支援を受けられるケースもあります。
本記事では、手当の種類と金額、医療費助成、税金優遇、福祉サービス、そして具体的なケース別の試算について詳しく解説します。
発達障害で受けられる経済的支援の全体像
まず、発達障害で受けられる経済的支援の全体像を示します。
支援の種類
1. 手当(現金給付)
- 特別児童扶養手当
- 障害児福祉手当
- 児童手当
- 自治体独自の手当
2. 医療費助成
- 自立支援医療(精神通院医療)
- 重度心身障害者医療費助成
- 子ども医療費助成
3. 税金優遇
- 所得税・住民税の障害者控除
- 贈与税の特例
4. 福祉サービス利用料の軽減
- 放課後等デイサービス
- 短期入所
- その他の障害福祉サービス
5. 交通費・施設利用料の割引
- 公共交通機関の割引
- 公共施設の割引
6. その他
- NHK受信料の減免
- 携帯電話料金の割引
手帳の有無
手帳なしでも受けられる支援がある
療育手帳や精神障害者保健福祉手帳がなくても、受けられる支援があります。
手帳があると有利
手帳があると、より多くの支援を受けられます。
手当の種類と金額
手当の種類と金額を詳しく説明します。
1. 特別児童扶養手当
対象
中度~重度の障害
20歳未満で、一定程度以上の障害がある子ども。
発達障害の場合
日常生活に著しい支障がある場合、対象になる可能性があります。
必要なもの
診断書または療育手帳
金額(2024年度)
- 1級(重度):月53,700円(年644,400円)
- 2級(中度):月35,760円(年429,120円)
支給月
年3回(4月、8月、12月)
所得制限
あり
扶養親族0人の場合、約460万円以下
詳細
別記事「特別児童扶養手当 条件」参照
2. 障害児福祉手当
対象
重度の障害
20歳未満で、常時介護が必要な重度の障害がある子ども。
発達障害の場合
重度の自閉症で強度行動障害があり、常時介護が必要な場合など、対象になる可能性があります。
金額
月15,220円(年182,640円)
支給月
年4回(2月、5月、8月、11月)
所得制限
あり
扶養親族0人の場合、約360万円以下
特別児童扶養手当との併給
可能
特別児童扶養手当と障害児福祉手当は、併給できます。
併給の場合
- 1級+障害児福祉手当:月68,920円(年827,040円)
- 2級+障害児福祉手当:月50,980円(年611,760円)
3. 児童手当
対象
子ども全般
障害の有無に関わらず、中学卒業までの子ども全般。
金額(2024年度)
- 0~3歳未満:月15,000円
- 3歳~小学生:月10,000円(第3子以降は15,000円)
- 中学生:月10,000円
所得制限
あり(2024年10月以降、撤廃予定)
4. 自治体独自の手当
自治体により異なる
一部の自治体では、独自の手当があります。
例
- 東京都心身障害者福祉手当:月15,500円
- 横浜市心身障害児福祉手当:月6,000円~13,000円
確認方法
市区町村の障害福祉課に問い合わせ
医療費助成
医療費助成による経済的効果を説明します。
1. 自立支援医療(精神通院医療)
内容
1割負担
医療費の自己負担が1割になります(通常は3割)。
月額上限
所得に応じて、月額上限があります(0円~20,000円)。
経済的効果の試算
例:毎月の医療費が10,000円の場合
- 通常(3割負担):月3,000円、年36,000円
- 自立支援医療(1割負担、上限5,000円):月1,000円、年12,000円
- 年間24,000円の軽減
例:毎月の医療費が30,000円の場合
- 通常(3割負担):月9,000円、年108,000円
- 自立支援医療(1割負担、上限10,000円):月3,000円、年36,000円
- 年間72,000円の軽減
2. 重度心身障害者医療費助成
対象
重度の障害(療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級など)
内容
無料または大幅軽減
医療費が無料、または大幅に軽減されます。
経済的効果
年間10万円以上の軽減も
3. 子ども医療費助成
対象
子ども全般
内容
無料または軽減(自治体により異なる)
税金優遇
税金優遇による経済的効果を説明します。
1. 所得税の障害者控除
対象
療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている場合。
控除額
- 障害者控除:27万円
- 特別障害者控除(重度):40万円
経済的効果の試算
例:所得税率10%の場合
- 障害者控除:27万円×10% = 年27,000円の軽減
- 特別障害者控除:40万円×10% = 年40,000円の軽減
例:所得税率20%の場合
- 障害者控除:27万円×20% = 年54,000円の軽減
- 特別障害者控除:40万円×20% = 年80,000円の軽減
2. 住民税の障害者控除
控除額
- 障害者控除:26万円
- 特別障害者控除(重度):30万円
経済的効果
住民税率は一律10%
- 障害者控除:26万円×10% = 年26,000円の軽減
- 特別障害者控除:30万円×10% = 年30,000円の軽減
3. 合計
所得税+住民税
- 障害者控除:年53,000円~80,000円の軽減
- 特別障害者控除:年70,000円~110,000円の軽減
4. 相続税の障害者控除
内容
障害者が相続人の場合、相続税が軽減されます。
5. 贈与税の特例(特定贈与信託)
内容
6,000万円まで非課税
特定贈与信託を利用すると、6,000万円までの贈与が非課税になります。
対象
特別障害者(重度)
取扱
三井住友信託銀行、みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行
福祉サービス利用料の軽減
福祉サービス利用料の軽減を説明します。
月額上限
所得に応じた上限
- 生活保護受給世帯:0円
- 市町村民税非課税世帯:0円
- 市町村民税課税世帯(所得割28万円未満):4,600円
- 上記以外:37,200円
多くの世帯は無料または低額
市町村民税非課税世帯は無料
市町村民税非課税世帯は、福祉サービス利用料が無料です。
経済的効果
例:放課後等デイサービスを週2回利用
- 通常(10割負担):月約80,000円
- 非課税世帯(無料):0円
- 月80,000円、年960,000円の軽減
例:課税世帯(月額上限4,600円)
- 月額上限:4,600円
- 月75,400円、年904,800円の軽減
交通費・施設利用料の割引
交通費・施設利用料の割引を説明します。
1. 公共交通機関の割引
対象
療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている場合。
割引内容
- JR、私鉄:本人・介護者50%割引
- バス:本人・介護者50%割引
- 航空:本人・介護者約25~40%割引
- 高速道路(ETC):50%割引
経済的効果の試算
例:毎月往復2,000円の電車を利用
- 50%割引で月1,000円、年12,000円の軽減
2. 公共施設の割引
割引内容
- 動物園、水族館、博物館:入場料無料または割引
- 映画館:1,000円程度
経済的効果
年間1万円~2万円程度
3. 福祉タクシー券
内容
年間24~48枚程度のタクシー券(1枚500円~1,000円)
経済的効果
年間12,000円~48,000円程度
その他の経済的メリット
その他の経済的メリットを説明します。
1. NHK受信料の減免
対象
- 全額免除:重度で世帯全員が非課税
- 半額免除:本人が契約者
経済的効果
- 全額免除:年約14,000円の軽減
- 半額免除:年約7,000円の軽減
2. 携帯電話料金の割引
対象
障害者手帳を持っている場合。
割引内容
大手キャリアで月1,000円以上の割引
経済的効果
年間12,000円以上の軽減
3. 住宅関連
自治体独自の助成
一部の自治体では、住宅改修費の助成があります。
ケース別の試算
具体的なケース別に、年間でいくら支援を受けられるか試算します。
ケース1:軽度発達障害、非課税世帯
設定
- 子ども:小学生、軽度のADHD
- 手帳:なし
- 世帯:市町村民税非課税世帯
受けられる支援
- 児童手当:月10,000円 = 年120,000円
- 自立支援医療(月額上限2,500円):年30,000円の軽減(医療費が月10,000円の場合)
- 子ども医療費助成:年約30,000円の軽減
- 放課後等デイサービス(月2回):年約200,000円の軽減(利用料無料)
合計:年約380,000円
ケース2:中度発達障害、手帳あり、課税世帯
設定
- 子ども:中学生、中度のASD
- 手帳:療育手帳B(中度)、精神障害者保健福祉手帳2級
- 世帯:市町村民税課税世帯(所得割28万円未満)
受けられる支援
- 特別児童扶養手当2級:月35,760円 = 年429,120円
- 児童手当:月10,000円 = 年120,000円
- 自立支援医療(月額上限5,000円):年60,000円の軽減(医療費が月20,000円の場合)
- 子ども医療費助成:年約20,000円の軽減
- 税金優遇(障害者控除):年約53,000円の軽減
- 放課後等デイサービス(月額上限4,600円):年約904,800円の軽減(週2回利用の場合)
- 公共交通機関の割引:年約12,000円の軽減
- 公共施設の割引:年約10,000円の軽減
- NHK受信料半額免除:年約7,000円の軽減
- 携帯電話料金の割引:年約12,000円の軽減
合計:年約1,627,920円
ケース3:重度発達障害、手帳あり、課税世帯
設定
- 子ども:小学生、重度のASD(強度行動障害)
- 手帳:療育手帳A(重度)、精神障害者保健福祉手帳1級
- 世帯:市町村民税課税世帯(所得割28万円未満)
受けられる支援
- 特別児童扶養手当1級:月53,700円 = 年644,400円
- 障害児福祉手当:月15,220円 = 年182,640円
- 児童手当:月10,000円 = 年120,000円
- 重度心身障害者医療費助成:年約100,000円の軽減
- 税金優遇(特別障害者控除):年約70,000円の軽減
- 放課後等デイサービス(月額上限4,600円):年約904,800円の軽減(週2回利用の場合)
- 短期入所(月1回):年約100,000円の軽減
- 公共交通機関の割引:年約12,000円の軽減
- 公共施設の割引:年約10,000円の軽減
- 福祉タクシー券:年約24,000円の軽減
- NHK受信料半額免除:年約7,000円の軽減
- 携帯電話料金の割引:年約12,000円の軽減
- 自治体独自の手当(例:月10,000円):年120,000円
合計:年約2,306,840円
ケース4:軽度発達障害、手帳あり、高所得世帯
設定
- 子ども:小学生、軽度のADHD
- 手帳:精神障害者保健福祉手帳3級
- 世帯:高所得(所得制限超過)
受けられる支援
- 児童手当:なし(所得制限超過)
- 特別児童扶養手当:なし(所得制限超過)
- 自立支援医療(月額上限20,000円):年約16,000円の軽減(医療費が月10,000円の場合)
- 放課後等デイサービス(月額上限37,200円):年約513,600円の軽減(週2回利用の場合)
- 公共交通機関の割引:年約12,000円の軽減
- 公共施設の割引:年約10,000円の軽減
- 携帯電話料金の割引:年約12,000円の軽減
合計:年約563,600円
まとめ(トータルでいくらもらえるか)
発達障害の子への経済的支援をまとめます。
主な手当
- 特別児童扶養手当1級:年644,400円
- 特別児童扶養手当2級:年429,120円
- 障害児福祉手当:年182,640円
- 児童手当:年120,000円~180,000円
その他の支援
- 医療費助成:年24,000円~100,000円以上
- 税金優遇:年53,000円~110,000円
- 福祉サービス利用料の軽減:年200,000円~960,000円
- 交通費・施設利用料の割引:年12,000円~60,000円
- その他(NHK、携帯など):年19,000円~21,000円
トータル(年間)
- 軽度、非課税世帯、手帳なし:約38万円
- 中度、課税世帯、手帳あり:約163万円
- 重度、課税世帯、手帳あり:約231万円
- 軽度、高所得、手帳あり:約56万円
18年間(0~18歳)の累計
- 軽度、非課税世帯、手帳なし:約684万円
- 中度、課税世帯、手帳あり:約2,934万円
- 重度、課税世帯、手帳あり:約4,158万円
- 軽度、高所得、手帳あり:約1,014万円
重要なポイント
申請しないともらえない
これらの支援は、申請しないともらえません。積極的に申請しましょう。
障害の程度と所得により大きく異なる
支援の金額は、障害の程度と世帯所得により大きく異なります。
手帳があると有利
療育手帳、精神障害者保健福祉手帳があると、より多くの支援を受けられます。
よくある質問
Q1: 発達障害でいくら補助金がもらえますか?
A: 障害の程度と所得により、年間約38万円~231万円程度です。
軽度で非課税世帯なら年約38万円、重度で課税世帯なら年約231万円程度の支援を受けられます。
Q2: 手帳がないともらえませんか?
A: 手帳がなくても受けられる支援があります。
児童手当、自立支援医療、子ども医療費助成、放課後等デイサービスなどは、手帳がなくても受けられます。ただし、手帳があると有利です。
Q3: 所得制限はありますか?
A: 制度により異なります。
特別児童扶養手当、障害児福祉手当は所得制限があります。医療費助成、福祉サービスは、多くの場合所得制限がありません。
Q4: どこに申請すればいいですか?
A: 市区町村の障害福祉課です。
手当、福祉サービスは市区町村の障害福祉課、医療費助成は医療助成課に申請します。
Q5: 申請に何が必要ですか?
A: 診断書または障害者手帳などです。
制度により異なりますが、主に診断書または障害者手帳、住民票、所得証明書などが必要です。
Q6: もらい損ねている制度はないか心配です。
A: 市区町村に相談し、使える制度を全て教えてもらいましょう。
市区町村の障害福祉課に相談し、使える制度を全て確認します。相談支援事業所でも相談できます。
Q7: 軽度でももらえますか?
A: 日常生活に著しい支障があれば可能性があります。
特別児童扶養手当は、軽度でも日常生活に著しい支障があれば対象になる可能性があります。まずは相談してください。
まとめ
発達障害の子への経済的支援は、手当、医療費助成、税金優遇、福祉サービス利用料の軽減、交通費・施設利用料の割引など、多岐にわたります。
主な手当は、特別児童扶養手当(1級年644,400円、2級年429,120円)、障害児福祉手当(年182,640円)、児童手当(年120,000円~180,000円)です。
その他の支援として、医療費助成で年24,000円~100,000円以上、税金優遇で年53,000円~110,000円、福祉サービス利用料の軽減で年200,000円~960,000円、交通費・施設利用料の割引で年12,000円~60,000円などがあります。
トータルで、軽度・非課税世帯・手帳なしで年約38万円、中度・課税世帯・手帳ありで年約163万円、重度・課税世帯・手帳ありで年約231万円の支援を受けられます。18年間の累計では、約684万円~4,158万円になります。
これらの支援は、申請しないともらえません。市区町村の障害福祉課、相談支援事業所などに相談し、利用できる制度を最大限活用しましょう。もらい損ねている制度がないか、定期的に確認することも重要です。
主な相談窓口
市区町村の障害福祉課
- 手当、福祉サービスの申請
市区町村の医療助成課
- 医療費助成の申請
相談支援事業所
- 総合的な相談、どの制度が使えるかのアドバイス
発達障害者支援センター
- 情報提供
一人で悩まず、必ず相談してください。利用できる制度を最大限活用し、経済的負担を軽減しましょう。申請は早めに行うことが重要です。

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