お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
まず読むべき基礎知識5記事
施設選びでつまずきやすいポイント5記事
「発達障害の子が思春期に入って急に荒れ始めた」「反抗がひどく手がつけられない」「不登校になった」「うつ病になった」「自傷行為をしている」「親に暴力をふるう」「どう接すればいいのかわからない」。
発達障害のある子の思春期は、定型発達の子以上に困難で、親も子も苦しみます。
思春期の発達障害児は、ホルモンバランスの変化、自己意識の芽生え、周囲との違いへの気づき、学習や対人関係の困難の蓄積などにより、二次障害(うつ病、不安障害、反抗挑戦性障害など)を発症しやすくなります。
適切な理解と対応により、二次障害を予防し、この困難な時期を乗り越えることができます。
本記事では、思春期特有の困難、二次障害の種類、予防と対応方法、親の接し方、医療的支援、そして親自身のケアについて詳しく解説します。
思春期の発達障害児が直面する困難
思春期の発達障害児が直面する特有の困難を理解しましょう。
1. 自己と他者の違いへの気づき
「自分は違う」という認識
小学校高学年から中学生にかけて、自分が他の子と違うことに気づきます。
具体例
- 「なんで自分だけできないんだろう」
- 「友達はできるのに、自分はできない」
- 「みんなと違う」
結果
- 自己肯定感の低下
- 劣等感
- 孤立感
2. 二次障害の発症
精神疾患の併発
慢性的なストレス、失敗体験の蓄積により、二次障害を発症します。
主な二次障害
- うつ病
- 不安障害
- 反抗挑戦性障害
- 素行障害
- ゲーム依存・ネット依存
詳細は後述
3. 対人関係の複雑化
人間関係が難しくなる
思春期になると、人間関係が複雑になり、ついていけなくなります。
具体例
- グループができる
- 空気を読むことが求められる
- 暗黙のルールが増える
- いじめが陰湿になる
結果
- 友達ができない
- いじめられる
- 孤立する
4. 学習の困難の深刻化
学習内容が難しくなる
中学校以降、学習内容が抽象的、複雑になり、ついていけなくなります。
具体例
- 数学が急に難しくなる
- 英語でつまずく
- 読解力が求められる
結果
- 成績が下がる
- 授業についていけない
- 劣等感
5. 反抗期
定型発達の子よりも激しい
発達障害の子の反抗期は、定型発達の子よりも激しくなることがあります。
理由
- 感情のコントロールが苦手
- 衝動性
- ストレスの蓄積
具体例
- 親に暴言を吐く
- 物を壊す
- 暴力をふるう
- 家出する
6. 不登校
学校が苦痛
思春期になると、学校が苦痛になり、不登校になることがあります。
理由
- 対人関係の困難
- 学習の困難
- いじめ
- 感覚過敏(刺激が多すぎる)
7. 性の問題
性教育の重要性
思春期は性に目覚める時期ですが、発達障害の子は適切な理解が難しいです。
問題
- 不適切な性的行動
- 性被害に遭いやすい
- 性加害のリスク
対応
適切な性教育が必要です。
8. アイデンティティの混乱
自分は何者か
思春期は、アイデンティティを確立する時期ですが、発達障害の子は混乱しやすいです。
悩み
- 「自分は何者なのか」
- 「将来どうなるのか」
- 「自分には価値があるのか」
9. 親からの自立と依存の葛藤
自立したいけど、できない
親から自立したい気持ちと、まだ依存せざるを得ない現実の間で葛藤します。
10. 将来への不安
先が見えない
将来への不安が大きくなります。
不安
- 「高校に行けるのか」
- 「就職できるのか」
- 「一人で生きていけるのか」
二次障害の種類と症状
思春期に発症しやすい二次障害について説明します。
1. うつ病
最も多い二次障害
症状
- 抑うつ気分(憂鬱、気分が沈む)
- 意欲低下(何もしたくない)
- 興味喜び喪失(楽しいことがない)
- 睡眠障害(眠れない、または過眠)
- 食欲変化(食欲不振、または過食)
- 自責感(自分を責める)
- 希死念慮(死にたい)
- 集中力低下
- 疲労感
対応
- すぐに医療機関を受診
- 薬物療法(抗うつ薬)
- カウンセリング
- 休養
2. 不安障害
過度な不安
症状
- 過度な不安、心配
- 恐怖
- パニック発作
- 社交不安(人前で緊張)
- 強迫症状(手洗いを繰り返すなど)
対応
- 医療機関を受診
- 薬物療法(抗不安薬、SSRI)
- 認知行動療法
3. 反抗挑戦性障害(ODD)
反抗的、挑発的
症状
- 大人への反抗
- 怒りっぽい
- 他者を責める
- ルールを破る
- わざと人を困らせる
対応
- ペアレントトレーニング
- 怒りのコントロールを教える
- 一貫したルール
- 褒めることを増やす
4. 素行障害(CD)
反社会的行動
症状
- 暴力
- 器物損壊
- 窃盗
- 嘘をつく
- 家出
- 無断欠席
対応
- 専門家の介入(児童精神科、児童相談所)
- 行動療法
- 家族療法
- 場合によっては、入院治療
5. ゲーム依存・ネット依存
やめられない
症状
- 長時間のゲーム、ネット使用(1日10時間以上など)
- ゲーム、ネットをやめられない
- 他のことに興味がない
- 昼夜逆転
- 成績低下、不登校
対応
- ルールを決める(時間制限)
- 代替活動を見つける
- カウンセリング
- 専門外来(ゲーム依存外来)
6. 自傷行為
自分を傷つける
症状
- リストカット
- 頭を壁に打ち付ける
- 髪を抜く
理由
- 感情のコントロールができない
- 苦痛を感じるため
- 自己否定
対応
- すぐに医療機関を受診
- カウンセリング
- 薬物療法
- 安全な代替行動を教える(氷を握る、クッションを叩くなど)
7. 摂食障害
食の問題
症状
- 拒食
- 過食
- 過食嘔吐
対応
- 医療機関を受診
- 入院治療が必要な場合もある
二次障害の予防
二次障害を予防する方法を説明します。
1. 早期発見・早期療育
小さい頃から
小さい頃から療育を受けることで、二次障害のリスクが減ります。
2. 自己肯定感を育てる
最も重要
自己肯定感を育てることが、二次障害予防の最も重要なポイントです。
方法
- たくさん褒める
- できることに注目する
- 成功体験を積む
- ありのままを受け入れる
3. ストレスを減らす
環境調整
学校や家庭でのストレスを減らします。
方法
- 合理的配慮を依頼
- 無理をさせない
- 休息を取らせる
- 好きなことをさせる
4. 失敗体験を減らす
できることをさせる
失敗体験ばかりだと、自己肯定感が低下します。できることをさせ、成功体験を積ませます。
5. SOSを出せる環境
相談できる人
困ったときに相談できる人(親、先生、カウンセラーなど)がいることが重要です。
6. 障害の告知
自己理解
適切な時期に、本人に障害のことを伝えることも重要です。
タイミング
- 小学校高学年~中学生
- 本人が「自分は違う」と気づき始めたとき
伝え方
- 「あなたには、発達障害という特性があります」
- 「特性であって、病気ではありません」
- 「得意なこと、苦手なことがあります」
- 「苦手なことは、サポートを受けられます」
- 「あなたには価値があります」
詳細
専門家(医師、カウンセラー)と相談しながら伝えます。
7. 仲間を作る
孤立させない
発達障害の仲間(当事者会、デイサービスなど)を作ることで、孤立感が減ります。
8. 将来への希望
ロールモデル
発達障害でも、社会で活躍している人がいることを伝えます。
思春期の子への接し方
思春期の発達障害児への接し方を説明します。
1. 子ども扱いしない
大人として扱う
思春期は、大人への移行期です。子ども扱いせず、一人の人間として尊重します。
避けるべき言動
- 「子どもだから」
- 「まだ早い」
- 頭ごなしに否定
2. 話を聞く
否定せず、聞く
反抗的な態度でも、まずは話を聞きましょう。
聞き方
- 否定しない
- 意見を押し付けない
- 共感する
- 「そう思うんだね」
3. 距離を置く
適度な距離
思春期は、親から距離を取りたい時期です。適度な距離を保ちましょう。
具体的に
- 部屋に勝手に入らない
- プライバシーを尊重
- 過干渉にならない
ただし
見守りは続けます。
4. 選択肢を与える
自己決定
自分で決める経験を積ませます。
例
- 「どっちがいい?」
- 「あなたはどう思う?」
5. 失敗を責めない
挑戦を褒める
失敗しても、挑戦したことを褒めます。
6. 感情的にならない
冷静に
反抗されても、感情的にならず、冷静に対応します。
7. 一貫したルール
ブレない
ルールは一貫して守らせます。ブレると混乱します。
8. 褒める
小さなことでも
反抗期でも、小さなことでも褒めます。
9. 将来について話す
希望を持たせる
将来について、一緒に考えます。
話題
- 「高校はどうする?」
- 「将来、何になりたい?」
- 「興味のあることは?」
10. 専門家の力を借りる
第三者の介入
親子関係が悪化している場合、専門家(カウンセラー、医師など)の力を借ります。
学校との連携
思春期は、学校との連携がより重要になります。
1. 担任・学年主任と定期面談
情報共有
定期的に面談し、情報共有します。
2. スクールカウンセラーの活用
本人のカウンセリング
スクールカウンセラーに、本人のカウンセリングをしてもらいます。
3. 合理的配慮の継続
必要な配慮
中学、高校でも、合理的配慮を継続して依頼します。
4. 通級指導教室
個別指導
中学校でも通級指導教室がある場合、利用します。
5. 特別支援学級の検討
環境を変える
通常学級が難しい場合、特別支援学級への転籍を検討します。
6. 進路相談
早めに
高校進学について、早めに相談します。
選択肢
- 通常の高校
- 通信制高校
- 定時制高校
- 特別支援学校高等部
- 高等専修学校
医療的支援
思春期の二次障害には、医療的支援が必要です。
1. 児童精神科・思春期外来
専門医
思春期の精神疾患は、児童精神科、思春期外来で診てもらいます。
治療
- 薬物療法
- カウンセリング
- 家族療法
2. カウンセリング
心理士
臨床心理士、公認心理師によるカウンセリングを受けます。
内容
- 認知行動療法
- 感情のコントロール
- ソーシャルスキルトレーニング
3. 入院治療
深刻な場合
自傷行為、希死念慮、家庭内暴力などが深刻な場合、入院治療が必要なこともあります。
4. 薬物療法
必要に応じて
うつ病、不安障害などには、薬物療法が有効です。
薬の例
- 抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)
- 抗不安薬
- 睡眠薬
- ADHD治療薬(コンサータ、ストラテラなど)
注意点
- 思春期の薬物療法は、慎重に
- 医師の指示を守る
危機的状況への対応
危機的状況への対応を説明します。
1. 自傷行為
すぐに受診
リストカットなどの自傷行為があれば、すぐに医療機関を受診します。
連絡先
- 児童精神科
- 思春期外来
- 救急外来(深刻な場合)
2. 希死念慮(死にたい)
最優先で対応
「死にたい」と言ったら、最優先で対応します。
対応
- すぐに医療機関を受診
- 24時間見守る
- 危険な物(刃物、薬など)を遠ざける
連絡先
- 児童精神科
- 精神科救急
- いのちの電話:0570-783-556
- よりそいホットライン:0120-279-338
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
3. 家庭内暴力
親を守る
暴力がひどい場合、親自身を守ることが最優先です。
対応
- 警察に連絡(110)
- 児童相談所に相談(189)
- 一時的に離れる(親が家を出る、本人を施設に預けるなど)
4. 家出
すぐに警察
家出したら、すぐに警察に連絡します。
連絡先
- 警察(110)
5. 非行
専門機関に相談
非行(窃盗、暴力など)がある場合、専門機関に相談します。
連絡先
- 児童相談所(189)
- 警察(少年課)
- 家庭裁判所
親自身のケア
思春期の子育ては、親にとっても大きなストレスです。
1. 一人で抱え込まない
相談する
つらい気持ちを、誰かに相談しましょう。
相談相手
- 夫、パートナー
- 自分の親
- 友人
- 相談支援専門員
- カウンセラー
- 親の会
2. 距離を置く
一時的に離れる
ストレスが大きい場合、一時的に距離を置くことも選択肢です。
方法
- 短期入所
- 親戚に預ける
- 寮のある学校
3. カウンセリング
親自身のケア
親自身がカウンセリングを受けることも有効です。
4. 親の会
ピアサポート
思春期の子を持つ親の会に参加し、共感し合いましょう。
5. 完璧を求めない
できる範囲で
完璧な対応を求めず、できる範囲でサポートしましょう。
6. 自分の時間
息抜き
自分の時間を作り、息抜きしましょう。
よくある質問
Q1: 思春期になって急に荒れ始めました。どうすればいいですか?
A: まずは医療機関を受診しましょう。
二次障害(うつ病など)の可能性があります。児童精神科、思春期外来を受診しましょう。
Q2: 「死にたい」と言います。どうすればいいですか?
A: すぐに医療機関を受診してください。
希死念慮は、深刻なサインです。すぐに児童精神科を受診し、24時間見守りましょう。
Q3: 親に暴力をふるいます。
A: 親自身を守ることが最優先です。
警察、児童相談所に相談し、一時的に離れることも検討しましょう。
Q4: 不登校になりました。
A: 無理に登校させず、原因を探りましょう。
医療機関、スクールカウンセラーに相談し、適切な支援を受けましょう。別記事「発達障害 学校 行き渋り」参照。
Q5: ゲームばかりで、やめられません。
A: ルールを決め、代替活動を見つけましょう。
時間制限を決め、他の活動(運動、趣味など)を見つけます。依存がひどい場合、ゲーム依存外来を受診しましょう。
Q6: いつまでこの状態が続きますか?
A: 適切な支援により、改善します。
思春期は一時的なものです。適切な医療、カウンセリング、環境調整により、改善します。
Q7: 親として、何ができますか?
A: 自己肯定感を守り、専門家の力を借りましょう。
子どもの自己肯定感を守り、医療機関、カウンセラー、学校と連携しましょう。一人で抱え込まないことが重要です。
まとめ
思春期の発達障害児が直面する困難は、自己と他者の違いへの気づき、二次障害の発症、対人関係の複雑化、学習の困難の深刻化、反抗期、不登校、性の問題、アイデンティティの混乱、親からの自立と依存の葛藤、将来への不安などです。
二次障害の種類は、うつ病、不安障害、反抗挑戦性障害、素行障害、ゲーム依存・ネット依存、自傷行為、摂食障害などです。
二次障害の予防は、早期発見・早期療育、自己肯定感を育てる、ストレスを減らす、失敗体験を減らす、SOSを出せる環境、障害の告知、仲間を作る、将来への希望を持たせることです。
思春期の子への接し方は、子ども扱いしない、話を聞く、距離を置く、選択肢を与える、失敗を責めない、感情的にならない、一貫したルール、褒める、将来について話す、専門家の力を借りることです。
学校との連携として、担任・学年主任と定期面談、スクールカウンセラーの活用、合理的配慮の継続、通級指導教室、特別支援学級の検討、進路相談が重要です。
医療的支援として、児童精神科・思春期外来、カウンセリング、入院治療、薬物療法があります。
危機的状況(自傷行為、希死念慮、家庭内暴力、家出、非行)では、すぐに専門機関に連絡しましょう。
親自身のケアとして、一人で抱え込まない、距離を置く、カウンセリング、親の会、完璧を求めない、自分の時間を作ることが大切です。
一人で抱え込まず、児童精神科、カウンセラー、スクールカウンセラー、相談支援事業所、親の会などに相談しながら、この困難な時期を乗り越えましょう。思春期は一時的なものです。適切な支援により、改善します。
緊急相談窓口
児童精神科・思春期外来
- 医療機関を受診
いのちの電話
- 0570-783-556(24時間)
よりそいホットライン
- 0120-279-338(24時間無料)
24時間子供SOSダイヤル
- 0120-0-78310(なやみ言おう)
児童相談所
- 189(いちはやく)
一人で悩まず、今すぐ相談してください。子どもの命と心を守ることが、最優先です。

コメント