療育手帳について知る

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障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド

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療育手帳は知的障害のある人に交付される障害者手帳で、一貫した指導や相談を行い、様々な支援やサービスを受けやすくすることを目的としています。

身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳と並ぶ障害者手帳の一つですが、法律に基づくものではなく、国の通知に基づき各自治体が独自に実施している制度です。そのため自治体により名称や判定基準、等級の表し方が異なります。

療育手帳を持つことで、障害者総合支援法に基づく福祉サービス、税制上の優遇措置、公共交通機関の割引、障害者雇用など、様々な支援を受けることができます。本記事では療育手帳の対象者、申請方法、等級と判定基準、受けられるサービス、そして手帳取得のメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。

療育手帳とは

療育手帳は知的障害児者に対して一貫した指導相談を行うとともに、各種の援助措置を受けやすくするために交付される手帳です。昭和48年に国の通知により制度が始まりました。

身体障害者手帳は身体障害者福祉法、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法という法律に基づいていますが、療育手帳には根拠法がありません。国の通知に基づき、各都道府県や指定都市が独自に実施しています。

そのため自治体により名称が異なります。東京都では愛の手帳、横浜市では愛の手帳、埼玉県ではみどりの手帳、名古屋市では愛護手帳など、地域によって様々な名称が使われています。

内容や目的は共通していますが、判定基準や等級の区分、受けられるサービスの詳細は自治体により多少異なります。引っ越しの際は転居先での手続きが必要です。

療育手帳は知的障害のある人の生活を支援し、社会参加を促進するための重要なツールです。

対象となる人

療育手帳の対象となるのは、知的機能の障害が発達期概ね18歳まで に現れ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にある人です。

知的機能の障害とは、知能指数IQが一定の基準以下であることが一つの目安となります。一般的にIQ75以下、または70以下が基準とされることが多いですが、自治体により異なります。

ただしIQだけでなく、日常生活能力や社会生活能力も判定の重要な要素です。自立した生活ができるか、コミュニケーションが取れるか、社会的な適応能力があるかなどが総合的に評価されます。

発達期に現れるという条件があるため、18歳以降に脳損傷や認知症などで知的機能が低下した場合は、療育手帳の対象にはなりません。その場合は精神障害者保健福祉手帳や介護保険サービスの対象となります。

また知的障害を伴う発達障害自閉スペクトラム症、ADHDなども、知的機能の障害があれば療育手帳の対象となります。

等級と判定基準

療育手帳の等級は、障害の程度により区分されます。基本的には重度AまたはⒶと、それ以外のその他Bまたは○Bの2段階に分けられますが、自治体によりさらに細かく区分されることがあります。

東京都の愛の手帳では、1度最重度、2度重度、3度中度、4度軽度の4段階に区分されます。他の自治体でもA1、A2、B1、B2のように細分化されることがあります。

判定基準は自治体により異なりますが、一般的には以下のような目安があります。重度は、IQがおおむね35以下、日常生活において常時介護が必要な状態です。

その他軽度から中度は、IQがおおむね36から75程度、日常生活において部分的な援助が必要、または社会生活に適応することが困難な状態です。

ただしIQだけでなく、身辺自立、移動、コミュニケーション、社会性などの適応行動の評価も重視されます。総合的な判断により等級が決定されます。

申請方法

療育手帳の申請は、住所地の市区町村の障害福祉担当窓口で行います。まず窓口で申請の意思を伝え、必要な書類や手続きについて説明を受けます。

申請に必要な書類は、申請書、顔写真通常は縦4cm×横3cm、マイナンバーカードまたは通知カードと本人確認書類などです。自治体により必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。

申請後、児童相談所18歳未満または知的障害者更生相談所18歳以上で判定を受けます。判定には予約が必要で、数週間から数ヶ月待つこともあります。

判定では、知能検査、医師の診察、生活状況の聞き取りなどが行われます。保護者や支援者も同行し、日常生活の様子を伝えることが重要です。

判定の結果、療育手帳の交付が適当と認められた場合、後日手帳が交付されます。申請から交付まで、通常1ヶ月から3ヶ月程度かかります。

手帳には有効期限があり、再判定が必要です。再判定の時期は障害の程度や年齢により異なりますが、概ね2年から10年ごとです。

受けられるサービス

療育手帳を持つことで、様々な福祉サービスや支援を受けることができます。まず障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。居宅介護ホームヘルプ、生活介護、就労継続支援、グループホーム、短期入所ショートステイなどが利用できます。

児童の場合は、児童発達支援、放課後等デイサービスなどの障害児通所支援が利用できます。専門的な療育や訓練を受けることができます。

特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当などの手当の対象となります。ただし所得制限や障害の程度により、受給できない場合もあります。

また自治体独自の福祉サービスもあります。医療費助成、日常生活用具の給付、紙おむつの支給、福祉タクシー券の交付など、地域により様々なサービスがあります。

保育園や学童保育の優先入所、就学相談での配慮なども受けられることがあります。

税制上の優遇措置

療育手帳を持つことで、税制上の優遇措置を受けることができます。所得税と住民税では、障害者控除が適用されます。通常の障害者控除は所得税27万円、住民税26万円ですが、重度の場合は特別障害者控除として所得税40万円、住民税30万円が控除されます。

また扶養している場合は、扶養控除に加えて障害者控除が受けられます。同居している特別障害者を扶養している場合は、同居特別障害者控除として所得税75万円、住民税53万円が控除されます。

相続税では、障害者控除があり、85歳に達するまでの年数1年につき10万円特別障害者は20万円が控除されます。

贈与税では、特定障害者に対する贈与税の非課税制度があり、一定の信託契約に基づく贈与は、特別障害者で6000万円まで非課税となります。

自動車税や軽自動車税の減免も受けられることがあります。本人が所有し運転する場合、または生計を一にする人が障害者のために運転する場合などが対象です。

NHK受信料の減免も対象となります。世帯全員が住民税非課税の場合は全額免除、重度の障害者が世帯主の場合は半額免除となります。

交通機関等の割引

療育手帳を持つことで、公共交通機関の割引を受けられます。JR、私鉄、バス、地下鉄などで、本人と介護者が割引対象となることが多いです。

JRでは、本人が単独で乗車する場合は100kmを超える普通乗車券が5割引、本人と介護者が一緒に乗車する場合は距離に関わらず普通乗車券が5割引です。定期券も割引があります。

私鉄やバスでも同様の割引がありますが、各事業者により詳細が異なります。手帳を提示することで割引が受けられます。

航空運賃も割引の対象で、国内線の定期航空路線で、本人と介護者が割引を受けられます。割引率は航空会社により異なります。

タクシーも一部の事業者で割引があります。また自治体により福祉タクシー券が支給されることもあります。

有料道路では、重度の障害者が乗車する場合、通勤や通院など一定の条件のもとで、料金が半額になることがあります。事前登録が必要です。

施設等の割引

療育手帳を持つことで、様々な施設の入場料が無料または割引になります。国立や公立の博物館、美術館、動物園、水族館、植物園などは、本人と介護者が無料または割引になることが多いです。

映画館でも、本人と介護者が割引料金で鑑賞できることがあります。各映画館により詳細が異なるため、確認が必要です。

テーマパークやレジャー施設も、障害者割引を設定していることがあります。民間施設では対応が様々なので、訪問前に確認すると良いでしょう。

携帯電話料金の割引プランを提供している通信事業者もあります。基本料金の割引やデータ通信量の追加などの特典があります。

NHKの放送受信料は、先述の通り、条件により減免の対象となります。

これらの割引を受けるには、手帳の提示が必要です。常に携帯し、利用時に提示しましょう。

障害者雇用

療育手帳を持つことで、障害者雇用枠での就労が可能になります。障害者雇用促進法により、一定規模以上の企業は法定雇用率に応じて障害者を雇用する義務があり、療育手帳保持者もその対象です。

障害者雇用枠では、障害特性に配慮した業務内容や勤務条件が設定されることが多く、自分に合った仕事を見つけやすいです。就労支援機関のサポートも受けられます。

就労移行支援事業所では、一般就労を目指す障害者が、働くために必要な知識やスキルを身につけることができます。2年間利用でき、ビジネスマナー、パソコンスキル、コミュニケーションスキルなどを学べます。

就労継続支援A型やB型は、一般企業での就労が困難な人が、支援を受けながら働く場です。A型は雇用契約を結び最低賃金が保障され、B型は雇用契約を結ばず工賃を得ます。

ハローワークには障害者専門の窓口があり、障害者向けの求人を紹介してもらえます。また障害者就業生活支援センターでは、就職から職場定着まで一貫した支援を受けられます。

教育面での配慮

療育手帳を持つ子どもは、教育面で様々な配慮を受けることができます。就学相談では、子どもの障害の状態や教育的ニーズに応じて、適切な就学先通常学級、特別支援学級、特別支援学校が検討されます。

特別支援教育では、個別の教育支援計画や個別の指導計画が作成され、一人ひとりに応じた指導が行われます。通常学級に在籍する場合も、必要に応じて支援が提供されます。

通級指導教室では、通常学級に在籍しながら、特別な指導を受けることができます。週に数時間、個別またはグループで、コミュニケーションや学習の支援を受けます。

また学校生活での配慮として、座席の位置、指示の出し方、テストの配慮、行事での配慮などが行われます。

高等学校でも、特別支援学校高等部や高等学校の特別支援学級、通級指導教室があり、継続した支援を受けられます。

大学でも障害学生支援が広がっており、入試での配慮や学習支援を受けられることがあります。

手帳取得のメリット

療育手帳を取得することには、多くのメリットがあります。まず様々な福祉サービスや支援を受けやすくなります。障害者総合支援法に基づくサービスは、手帳がなくても受けられる場合もありますが、手帳があることで手続きがスムーズです。

経済的な負担の軽減も大きなメリットです。税制上の優遇措置、各種手当、交通機関や施設の割引などにより、生活費の負担が減ります。

また障害への理解と配慮を得やすくなります。学校、職場、地域社会で、障害があることを示す公的な証明となり、必要な配慮を求めやすくなります。

障害者雇用の対象となることで、就労の機会が広がります。一般雇用では難しい配慮を受けながら働くことができます。

さらに将来の計画が立てやすくなります。利用できるサービスや支援を把握することで、生活設計や進路選択がしやすくなります。

自己理解と受容にもつながります。障害を認め、適切な支援を受けることで、より充実した生活を送ることができます。

手帳取得のデメリットと懸念

一方で、療育手帳の取得にためらいを感じる人もいます。最も大きな懸念は、偏見や差別です。障害者手帳を持つことで、周囲から偏見の目で見られるのではないかという不安があります。

また障害を受け入れることへの心理的抵抗もあります。手帳を取得することで、障害を公式に認めることになり、それが受け入れがたいと感じる人もいます。

子どもの将来への影響を心配する保護者もいます。手帳を持つことで、子どもの可能性が限定されるのではないか、ラベリングされるのではないかという懸念です。

プライバシーの問題も懸念の一つです。手帳を使用する際に障害を知られることへの抵抗感があります。

しかし実際には、手帳は本人や家族の選択で使用するものであり、開示するかどうかもコントロールできます。必要なときだけ提示し、必要でない場面では使わないという選択も可能です。

またメリットとデメリットを天秤にかけ、総合的に判断することが大切です。多くの場合、適切な支援を受けることのメリットが大きいです。

更新と再判定

療育手帳には有効期限があり、定期的な再判定が必要です。再判定の時期は、障害の程度や年齢により異なります。重度の場合は比較的長い期間例えば10年、軽度の場合は短い期間例えば2年から5年が設定されることが多いです。

また年齢による節目の時期にも再判定が行われます。小学校入学前、中学校入学前、18歳など、ライフステージの変化に合わせて再判定が必要です。

再判定では、初回と同様に、知能検査や生活状況の聞き取りが行われます。障害の程度が変化している場合は、等級が変更されることもあります。

知的障害は固定的な障害ですが、発達や環境により、適応能力が向上することもあります。その結果、等級が軽くなる、または手帳の対象外となることもあります。

逆に、加齢や二次障害により、状態が悪化し、等級が重くなることもあります。

再判定の時期が近づくと、自治体から通知が来ます。忘れずに手続きを行いましょう。期限が切れると、手帳が無効になり、サービスが受けられなくなります。

他の手帳との関係

療育手帳と他の障害者手帳身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳は併せ持つことができます。例えば、知的障害と身体障害がある場合、両方の手帳を持つことができます。

知的障害を伴う発達障害の場合、療育手帳を取得するか、精神障害者保健福祉手帳を取得するかは選択できます。ただし同じ障害で両方の手帳を持つことは通常できません。

各手帳により受けられるサービスが異なるため、自分の状態とニーズに応じて、どの手帳を取得するか検討することが重要です。

療育手帳は知的障害が対象で、精神障害者保健福祉手帳は精神疾患や発達障害知的障害を伴わないが対象です。発達障害があり知的障害もある場合は療育手帳、知的障害を伴わない発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得します。

どの手帳が適切か迷う場合は、自治体の障害福祉担当窓口や相談支援事業所で相談することができます。専門家のアドバイスを受けながら、最適な選択をしましょう。

まとめ

療育手帳は知的障害のある人に交付される障害者手帳で、一貫した指導や相談を行い様々な支援やサービスを受けやすくすることを目的としています。国の通知に基づき各自治体が独自に実施しているため、自治体により名称や判定基準、等級の表し方が異なります。対象となるのは知的機能の障害が発達期概ね18歳までに現れ日常生活に支障が生じている人で、知能指数だけでなく日常生活能力や社会生活能力も総合的に評価されます。等級は基本的には重度とその他の2段階ですが、自治体によりさらに細かく区分され、東京都の愛の手帳では1度から4度の4段階に区分されます。申請は住所地の市区町村の障害福祉担当窓口で行い、児童相談所または知的障害者更生相談所で判定を受け、申請から交付まで通常1ヶ月から3ヶ月程度かかります。療育手帳により受けられるサービスは、障害者総合支援法に基づく福祉サービス、特別児童扶養手当などの手当、自治体独自の福祉サービス、保育園や学童保育の優先入所などがあります。税制上の優遇措置として、所得税と住民税の障害者控除、相続税の障害者控除、贈与税の非課税制度、自動車税の減免、NHK受信料の減免が受けられます。公共交通機関の割引ではJR、私鉄、バス、地下鉄、航空運賃、タクシーなどで本人と介護者が割引対象となり、国立や公立の博物館、美術館、動物園、水族館、映画館などの施設でも無料または割引になります。障害者雇用枠での就労が可能になり、障害特性に配慮した業務内容や勤務条件が設定され、就労移行支援事業所や就労継続支援A型B型などのサービスも利用できます。教育面では就学相談での配慮、特別支援教育、通級指導教室、学校生活での配慮などが受けられます。手帳取得のメリットは様々な福祉サービスや支援を受けやすくなること、経済的負担の軽減、障害への理解と配慮を得やすくなること、就労の機会の拡大などです。一方で偏見や差別への懸念、障害を受け入れることへの心理的抵抗、子どもの将来への影響の心配、プライバシーの問題などのデメリットや懸念もありますが、必要なときだけ提示するなど使い方をコントロールできます。手帳には有効期限があり定期的な再判定が必要で、障害の程度や年齢により再判定の時期が異なり、状態により等級が変更されることもあります。療育手帳は他の障害者手帳と併せ持つことができ、知的障害を伴う発達障害の場合は療育手帳、知的障害を伴わない発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得します。療育手帳は知的障害のある人の生活を支援し社会参加を促進するための重要なツールです。

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