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「認められたい」「褒められたい」「評価されたい」という承認欲求は強いのに、いざ注目されると怖くなる。
期待されるのが怖い、失望させるのが怖い、批判されるのが怖い、嫉妬されるのが怖い。
この「承認されたいけど怖い」という矛盾した感情は、行動を妨げ、自己表現を封じ込め、人間関係を複雑にします。
本記事では、なぜこの矛盾が生まれるのか、その心理的メカニズムを理解し、恐怖との向き合い方、健全な承認欲求の育て方、そして自分らしく生きるための視点について詳しく解説します。
「承認されたいでも怖い」という矛盾
まず、この矛盾した状態を正確に理解しましょう。
よくあるパターン
SNSでの葛藤
投稿したい、自分を表現したい、「いいね」が欲しい。でも、投稿すると「批判されるのでは」「嫌われるのでは」と不安になる。
投稿を書いては消す、アップしてもすぐ削除する、または投稿できずに見る専門になる。
「いいね」がたくさんつくと嬉しいけれど、同時に「期待に応えなければ」というプレッシャーや、「嫉妬されるのでは」という不安を感じる。
仕事での葛藤
成果を認められたい、評価されたい、昇進したい。でも、注目されると「期待を裏切るのでは」「次もできなければ」と怖くなる。
褒められても素直に喜べず、「次もできるだろうか」「たまたまだ」と不安になる。
人間関係での葛藤
好かれたい、大切にされたい、特別な存在になりたい。でも、親密になると「本当の自分を見せたら嫌われる」「期待を裏切る」と怖くなる。
距離を縮めたいのに、近づきすぎると逃げたくなる。
表現活動での葛藤
作品を発表したい、見てもらいたい、評価されたい。でも、発表すると「批判されるのでは」「笑われるのでは」と恐怖を感じる。
作品を作っても発表できない、または匿名でしか発表できない。
自己開示の葛藤
本当の自分を知ってほしい、理解されたい。でも、弱さや悩みを見せると「軽蔑されるのでは」「利用されるのでは」と怖くなる。
表面的な関係しか築けず、孤独を感じる。
心理的影響
この矛盾は、深刻な影響をもたらします。
行動できない、自己表現できない、チャンスを逃す。慢性的な不安、ストレス、緊張。
自己肯定感の低下、「どうせ自分は」という諦め。人間関係が希薄、表面的、または不安定。
「本当の自分」を隠し続けることによる疲弊、空虚感。
なぜ承認されたいのに怖いのか
この矛盾が生まれる背景には、複数の心理的要因があります。
条件付きの愛の経験
幼少期に、「良い子」「できる子」の時だけ愛された経験があると、「承認されなければ愛されない」という信念が形成されます。
同時に、「期待に応えられなければ見捨てられる」という恐怖も生まれます。
承認が欲しいけれど、承認されると「期待を裏切ったら見捨てられる」と怖くなります。
過去の傷つき体験
過去に、評価された後に批判された、注目された後に攻撃された、期待された後に失望させて責められた、という経験があると、トラウマになります。
「承認=危険の前触れ」という学習をしてしまいます。
完璧主義
「完璧でなければ価値がない」という完璧主義があると、承認された後に「完璧を維持しなければ」というプレッシゃーを感じます。
「期待に応え続けられないかもしれない」という恐怖が、承認を怖くします。
低い自己肯定感
自己肯定感が低いと、「本当の自分は価値がない」と思っています。
承認されると、「本当の自分を知ったら失望される」「いつかバレる」という恐怖を感じます。
インポスター症候群自分は詐欺師だという感覚にも似ています。
拒絶への恐怖
承認されることで、注目が集まり、批判や拒絶のリスクも高まります。
「目立つと叩かれる」「出る杭は打たれる」という日本的な文化も、この恐怖を強化します。
嫉妬や攻撃への恐怖
承認されると、嫉妬されたり、攻撃されたりする可能性があります。過去にそのような経験があると、恐怖が強くなります。
「成功すると妬まれる」「幸せだと言うと呪われる」という迷信的な恐怖もあります。
期待への重圧
承認されることで、期待が高まります。その期待に応え続けなければならないというプレッシャーが重荷になります。
「一度成功すると、次も期待される」という重圧。
コントロールの喪失
承認されることで、他人からの評価に自分の価値が左右されるようになります。
自分でコントロールできない他人の評価に依存することへの恐怖があります。
矛盾するメッセージ
「目立つな」と言われながら「成功しろ」と言われる、「謙虚であれ」と言われながら「自己主張しろ」と言われる。
社会や家庭から矛盾したメッセージを受けてきた場合、承認欲求と恐怖が同時に存在します。
本当の自分が受け入れられないという確信
「演じている自分」は承認されるが、「本当の自分」は受け入れられないという確信があります。
だから、承認されても虚しく、同時に「本当の自分がバレたら」と怖くなります。
承認欲求自体は悪ではない
まず、承認欲求自体を否定する必要はありません。
承認欲求は自然
認められたい、愛されたい、所属したいという欲求は、人間の基本的な欲求です。マズローの欲求階層説でも、承認欲求は重要な位置を占めています。
承認欲求があることは、正常です。
問題は歪んだ形
問題は、承認欲求自体ではなく、それが歪んだ形で現れることです。
他人の評価だけに自己価値を依存する、承認のために自分を偽る、承認されないと自己否定するなど。
健全な承認欲求
健全な承認欲求は、成長の動機になります。「認められたいから頑張る」ことは、悪いことではありません。
問題は、それが唯一の動機になったり、承認されないと自己価値が崩壊したりすることです。
恐怖との向き合い方
承認への恐怖と、どう向き合えばいいのでしょうか。
恐怖を認める
まず、「承認が怖い」という自分の感情を認めましょう。矛盾していても、それが今のあなたの正直な気持ちです。
恐怖を否定せず、「怖いんだな」と受け入れます。
恐怖の正体を探る
何が怖いのか、具体的に探ってみましょう。批判されること?期待を裏切ること?嫉妬されること?本当の自分がバレること?
恐怖を具体化することで、対処しやすくなります。
最悪のシナリオを考える
「もし最悪のことが起きたら、どうなるか」を考えてみましょう。
批判されたら?失望されたら?嫌われたら?実際には、命を取られるわけではありません。対処できることも多いです。
最悪のシナリオを想像することで、恐怖が和らぐことがあります。
小さな実験
安全な環境で、小さな実験をしてみましょう。
信頼できる友人に弱みを見せてみる、小さな成功を誰かに話してみる、匿名でSNSに投稿してみるなど。
小さな実験を重ねることで、「承認されても大丈夫だった」という経験が積み重なります。
失敗を経験する
あえて小さな失敗をして、「失敗しても大丈夫だった」という経験をすることも有効です。
完璧でなくても、批判されても、拒絶されても、自分は生き延びられるという実感が、恐怖を軽減します。
境界線を引く
他人の評価と自己価値の間に、境界線を引きましょう。
「あなたはそう評価するかもしれないが、私の価値はそれだけでは決まらない」という境界線。
内的な承認を育てる
他人からの承認だけでなく、自分で自分を承認する力を育てましょう。
「私は私を認める」「私は私を大切にする」という自己承認。
自己承認が育つと、他人からの承認への依存が減ります。
健全な承認欲求の育て方
承認欲求を、健全な形に育てることができます。
多様な承認源を持つ
一人や一つの場所からの承認だけに依存せず、多様な承認源を持ちましょう。
仕事、趣味、家族、友人、コミュニティ、自分自身など。一つがダメでも、他がある状態。
プロセスを承認する
結果だけでなく、プロセスを承認しましょう。「頑張った」「挑戦した」こと自体を認めます。
結果は他人が評価しますが、プロセスは自分で評価できます。
他人への貢献を喜びにする
「承認されるため」ではなく、「他人の役に立つこと自体」を喜びにできると、承認への依存が減ります。
見返りを求めない貢献は、心を満たします。
内発的動機を育てる
外部からの承認という外発的動機ではなく、「自分がやりたいから」という内発的動機を育てましょう。
内発的動機があると、承認されなくても満足できます。
失敗を学びに変える
失敗を「承認されなかった」と捉えるのではなく、「学びの機会」と捉え直します。
失敗から学べば、次に活かせます。
本当の自分を出す勇気
承認への恐怖の根底には、「本当の自分を出せない」という問題があります。
仮面を脱ぐ
「演じている自分」ではなく、「本当の自分」を少しずつ出してみましょう。
最初は怖いですが、本当の自分を受け入れてくれる人が見つかると、深い安心感が得られます。
弱さを見せる
弱さ、不完全さ、失敗、悩み。これらを隠さず、見せる勇気を持ちましょう。
弱さを見せることで、人間関係が深まることがあります。
拒絶される覚悟
本当の自分を出すと、拒絶されることもあります。それは辛いですが、同時に「自分に合わない人」をフィルタリングできます。
すべての人に好かれる必要はありません。
受け入れてくれる人を探す
本当の自分を受け入れてくれる人を探しましょう。少数でいいのです。
質の高い関係が、量の多い表面的な関係より大切です。
専門家の支援
この矛盾に苦しんでいる場合、専門家の支援が有効です。
カウンセリング
カウンセラーや心理士と話すことで、承認欲求と恐怖の根源を探り、対処法を学べます。
認知行動療法、精神分析的アプローチ、ACT受容とコミットメントセラピーなどが有効です。
トラウマ治療
過去の傷つき体験がトラウマになっている場合、EMDR、ソマティックエクスペリエンシング、トラウマフォーカスト認知行動療法などの専門的治療が必要です。
グループセラピー
同じような悩みを持つ人とのグループセラピーでは、承認される経験と拒絶されない安全な環境を同時に得られます。
まとめ
「承認されたいでも怖い」という矛盾は、条件付きの愛、過去の傷つき、完璧主義、低い自己肯定感、拒絶への恐怖、嫉妬や攻撃への恐怖、期待への重圧などから生まれます。
承認欲求自体は自然で健全なものですが、問題はそれが歪んだ形で現れることです。
恐怖と向き合うには、恐怖を認める、正体を探る、小さな実験をする、失敗を経験する、境界線を引く、内的な承認を育てることが重要です。
健全な承認欲求を育てるには、多様な承認源を持つ、プロセスを承認する、内発的動機を育てることが有効です。
本当の自分を出す勇気を持ち、弱さを見せ、拒絶される覚悟を持ちながら、自分を受け入れてくれる人を探しましょう。
承認されたいという欲求も、承認が怖いという感情も、どちらもあなたの一部です。矛盾していても、それでいいのです。
少しずつ、自分のペースで、恐怖と向き合い、本当の自分を出していきましょう。あなたは、そのままで承認される価値があります。

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