慢性疲労症候群について知る

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慢性疲労症候群は原因不明の強い疲労が長期間続く病気で、現在では筋痛性脳脊髄炎または慢性疲労症候群ME/CFSと呼ばれています。

休息しても改善しない極度の疲労が少なくとも6ヶ月以上続き、日常生活に深刻な支障をきたします。単なる疲労とは全く異なり、身体的にも認知的にも機能が著しく低下します。

軽労作後の消耗感PEMが特徴的で、わずかな活動の後に症状が劇的に悪化します。診断には多くの時間がかかり、治療法も確立されていないため、患者さんは長期にわたる苦しみを抱えます。

本記事では慢性疲労症候群の症状や診断方法、原因仮説、治療と管理法、そして患者さんや周囲の人が知っておくべき情報について詳しく見ていきます。

慢性疲労症候群の主な症状

慢性疲労症候群の中心的な症状は、6ヶ月以上続く原因不明の重度の疲労です。この疲労は休息や睡眠で改善せず、以前の活動レベルの半分以下になるほど日常生活に支障をきたします。

最も特徴的なのは労作後の消耗感PEMです。身体的または認知的な活動の後、通常24時間から48時間後に症状が著しく悪化します。わずかな活動、例えばシャワーを浴びる、会話をする、短時間歩くだけで、数日から数週間も寝たきりになることがあります。

睡眠障害も一般的で、何時間寝ても疲れが取れない、眠りが浅い、過眠または不眠などが見られます。朝起きても全く回復感がなく、むしろ疲労が増していることもあります。

認知機能の低下も重要な症状です。集中力の低下、記憶障害、思考速度の低下、言葉が出てこない、情報処理が遅いなど、ブレインフォグと呼ばれる状態が現れます。

その他の症状

慢性疲労症候群では多様な症状が現れます。痛みとして、筋肉痛、関節痛、頭痛などが頻繁に見られます。痛みは移動性で、日によって場所が変わることもあります。

起立性の症状も特徴的です。立ち上がると、めまい、ふらつき、動悸、吐き気などが現れます。起立性調節障害や体位性頻脈症候群POTSを併発することもあります。

免疫系の異常を示す症状として、微熱、リンパ節の腫れ、喉の痛み、風邪のような症状が繰り返し現れます。また感覚過敏として、光、音、匂い、温度変化などへの過敏性が見られます。

消化器症状として、吐き気、腹痛、過敏性腸症候群様の症状も多く報告されています。これらの症状は日によって変動し、予測不可能です。

労作後の消耗感PEM

労作後の消耗感PEMは慢性疲労症候群を他の疲労性疾患と区別する最も重要な特徴です。活動の後に症状が悪化するという点で、他の多くの病気とは正反対の反応を示します。

通常の病気や疲労では、適度な運動や活動が回復を促進しますが、慢性疲労症候群では活動が症状を悪化させます。これが診断の遅れや誤解の原因にもなっています。

PEMは活動直後ではなく、遅れて現れることが特徴です。活動した日は大丈夫でも、翌日または翌々日に症状が激しく悪化し、数日から数週間続くことがあります。

この症状のため、患者さんはエネルギーを厳密に管理し、活動を制限する必要があります。わずかな活動でも慎重に計画し、休息を取らなければなりません。

診断の困難さ

慢性疲労症候群の診断は非常に困難です。特異的な検査がなく、診断は症状に基づいて行われます。また症状が他の多くの疾患と重なるため、鑑別診断に時間がかかります。

現在、いくつかの診断基準があります。最も広く使われているのは、カナダ臨床診断基準とIOM診断基準です。これらの基準では、疲労、PEM、睡眠障害、痛み、認知機能障害などの症状の組み合わせを評価します。

診断には他の疾患を除外することが重要です。甲状腺機能障害、貧血、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、うつ病など、疲労を引き起こす他の原因を検査で除外する必要があります。

多くの患者さんは診断まで数年かかり、複数の医師を受診しています。また誤診されることも多く、心身症や怠けと扱われることもあります。

原因仮説

慢性疲労症候群の原因は完全には解明されていませんが、複数の仮説があります。ウイルス感染後に発症することが多く、エプスタイン・バーウイルス、インフルエンザ、その他の感染症がきっかけになると考えられています。

免疫系の異常も示唆されています。慢性的な免疫活性化、サイトカインの異常、自己免疫的なメカニズムなどが関与している可能性があります。

神経系の機能異常、特に自律神経系の失調も重要な要因です。脳の血流異常、神経伝達物質の異常なども報告されています。

またエネルギー代謝の障害、ミトコンドリア機能不全、腸内細菌叢の異常なども研究されています。遺伝的素因、ストレス、環境要因なども発症に関与していると考えられています。

治療法の現状

残念ながら、慢性疲労症候群に対する確立された治療法はまだありません。症状を管理し、生活の質を改善することが治療の目標となります。

薬物療法では、症状に応じて痛み止め、睡眠薬、抗うつ薬などが使用されることがあります。ただしこれらは根本的な治療ではなく、対症療法です。

段階的運動療法GET が以前は推奨されていましたが、現在では多くの患者さんに有害であることがわかっています。PEMを引き起こし、症状を悪化させるため、推奨されなくなりました。

認知行動療法CBTは症状への対処法を学ぶ手段として有用な場合もありますが、病気を治すものではありません。また不適切なCBTは、患者さんに病気は気の持ちようだというメッセージを与え、害を及ぼすこともあります。

ペーシングとエネルギー管理

現在最も重要とされる管理法がペーシングです。これは自分のエネルギーの限界を知り、その範囲内で活動することで、PEMを避ける方法です。

エネルギー封筒理論に基づき、自分が使えるエネルギーを銀行口座のように管理します。エネルギーを使いすぎないよう活動を制限し、常に余裕を持たせることが重要です。

具体的には、良い日でも無理をせず、活動と休息のバランスを取ります。活動を小分けにし、頻繁に休憩を取ります。また優先順位をつけ、本当に必要なことだけを行います。

ペーシングは制限的に感じられるかもしれませんが、症状の悪化を防ぎ、長期的には回復の可能性を高める重要な戦略です。

日常生活の工夫

慢性疲労症候群を持ちながら生活するには、様々な工夫が必要です。家事や身の回りのことを簡素化し、エネルギーを節約します。座ってできることは座って行う、便利な道具を使うなどの工夫が効果的です。

睡眠環境を整えることも重要です。規則正しい睡眠リズム、暗く静かな寝室、快適な温度などが睡眠の質を改善します。

栄養面では、バランスの取れた食事を心がけますが、調理が負担になる場合は、簡単な食事や宅配サービスを利用することも選択肢です。

また社会的なつながりを維持することも大切ですが、対面での交流が負担になる場合は、メールやSNSなど、エネルギーを節約できる方法を選びましょう。

心理的サポート

慢性疲労症候群は心理的な負担も大きい病気です。以前できていたことができなくなり、社会的役割を失い、将来への不安も大きくなります。

また周囲に理解されないことが、孤独感や無力感を強めます。見た目は健康そうに見えるため、怠けている、気の持ちようだと言われることもあります。

カウンセリングや心理療法は、これらの心理的な苦痛に対処する助けになります。ただし病気そのものを治すためではなく、病気とともに生きることへの適応を支援するものです。

また患者会やオンラインコミュニティで、同じ病気を持つ人とつながることも、孤独感の軽減や情報交換に役立ちます。

社会的支援

慢性疲労症候群を持つ人の多くは、仕事や学業を続けることが困難になります。障害年金、障害者手帳などの社会的支援を利用できる場合があります。

ただし慢性疲労症候群は、まだ十分に認知されておらず、支援を受けるのが難しいこともあります。診断書や医師の意見書が重要になります。

職場では、在宅勤務、短時間勤務、フレックスタイムなどの配慮を求めることができます。ただし病気の性質上、働くこと自体が困難な場合も多くあります。

学校では、出席日数の配慮、課題の調整、別室受験などの合理的配慮を求めることができます。文部科学省からも配慮に関する通知が出ています。

家族と周囲のサポート

家族や友人のサポートは、患者さんにとって非常に重要です。まず病気について学び、理解することが第一歩です。単なる疲労ではなく、深刻な身体疾患であることを理解しましょう。

頑張れといった励ましは逆効果です。患者さんは既に限界を超えて頑張っています。無理に活動を勧めることは、症状を悪化させます。

実際的な支援として、家事の手伝い、買い物の代行、通院の付き添いなどが助けになります。ただし患者さんのペースを尊重し、過度に干渉しないことも大切です。

また患者さんの言葉を信じ、症状の変動を理解することも重要です。良い日もあれば悪い日もあり、予測不可能です。

子どもの慢性疲労症候群

慢性疲労症候群は子どもにも発症します。学校に行けなくなり、勉強や友人関係に大きな影響を及ぼします。成長期の貴重な時間を失うことは、本人にも家族にも大きな負担です。

子どもの場合、不登校やうつ病と誤解されやすく、診断が遅れることがあります。また心理的な問題と決めつけられ、適切な支援を受けられないこともあります。

学校との連携が重要です。病気について説明し、出席日数の配慮、保健室での休息、オンライン授業などの支援を求めることができます。

子どもは回復の可能性が成人より高いとされていますが、適切な管理が必要です。無理な登校や活動の強制は、症状を悪化させ、回復を遅らせます。

COVID-19と長期症状

COVID-19のパンデミック以降、感染後に長期的な症状が続く人々が注目されています。これはロングCOVIDまたはコロナ後遺症と呼ばれ、慢性疲労症候群と類似した症状を示します。

実際、多くのロングCOVID患者が、慢性疲労症候群の診断基準を満たすことがわかっています。疲労、PEM、認知機能障害などの症状が共通しています。

この状況により、慢性疲労症候群への認識が高まり、研究も加速しています。ロングCOVIDの研究が、慢性疲労症候群の理解や治療法の開発につながることが期待されています。

ただし全てのロングCOVIDが慢性疲労症候群というわけではなく、症状は多様です。それぞれの患者さんに合わせた評価と支援が必要です。

研究の進展と希望

慢性疲労症候群の研究は長年停滞していましたが、近年、研究への投資が増え、新しい知見が得られつつあります。脳の炎症、免疫異常、代謝異常などのバイオマーカーの発見が進んでいます。

また臨床試験も行われており、免疫調整薬、抗ウイルス薬、サプリメントなど、様々な治療法が研究されています。まだ確立された治療法はありませんが、将来への希望はあります。

患者さんの声も大きくなっており、研究への参加、啓発活動、政策提言などが行われています。社会の認識を変え、支援を増やすための努力が続けられています。

完全な治療法の開発には時間がかかるかもしれませんが、適切な管理により、ある程度の改善や安定を達成している患者さんもいます。希望を持ち続けることが大切です。

まとめ

慢性疲労症候群は原因不明の強い疲労が少なくとも6ヶ月以上続く深刻な病気で、現在では筋痛性脳脊髄炎または慢性疲労症候群ME/CFSと呼ばれています。休息しても改善しない極度の疲労が特徴で、最も特徴的な症状は労作後の消耗感PEMで、わずかな活動の後に症状が劇的に悪化し数日から数週間も寝たきりになることがあります。睡眠障害、認知機能の低下ブレインフォグ、筋肉痛、関節痛、起立性の症状、免疫系の異常、感覚過敏など多様な症状が現れます。診断は特異的な検査がなく症状に基づいて行われるため困難で、多くの患者さんは診断まで数年かかり誤診されることも多いです。原因は完全に解明されていませんが、ウイルス感染後に発症することが多く、免疫系の異常、神経系の機能異常、エネルギー代謝の障害などが関与していると考えられています。確立された治療法はまだなく、症状を管理し生活の質を改善することが治療の目標で、段階的運動療法は多くの患者さんに有害であることがわかり推奨されなくなりました。現在最も重要な管理法はペーシングで、自分のエネルギーの限界を知りその範囲内で活動することでPEMを避けます。日常生活では家事や身の回りのことを簡素化し、睡眠環境を整え、社会的なつながりを維持しながらもエネルギーを節約する工夫が必要です。心理的な負担も大きく、周囲に理解されないことが孤独感や無力感を強めるため、カウンセリングや患者会のサポートが役立ちます。社会的支援として障害年金や障害者手帳を利用できる場合があり、職場や学校では合理的配慮を求めることができます。家族や周囲の人は病気について学び理解し、頑張れという励ましを避け、実際的な支援を提供することが重要です。子どもにも発症し学校生活に大きな影響を及ぼすため、学校との連携が重要です。COVID-19のパンデミック以降、ロングCOVIDが慢性疲労症候群と類似した症状を示すことで認識が高まり研究も加速しています。近年研究への投資が増え新しい知見が得られつつあり、バイオマーカーの発見や様々な治療法の臨床試験が進んでいます。完全な治療法の開発には時間がかかるかもしれませんが、適切な管理により改善や安定を達成している患者さんもおり、希望を持ち続けることが大切です。

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