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情緒不安定とは、感情の波が激しく、気分が短時間で大きく変動する状態です。さっきまで楽しかったのに突然悲しくなる、些細なことで激しく怒る、理由もなく涙が出る、イライラが抑えられないなど、感情のコントロールが難しくなります。
誰でも気分の浮き沈みはありますが、情緒不安定では変動が極端で、本人も周囲も困惑します。原因は様々で、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、精神疾患、性格傾向などが関与します。放置すれば人間関係の悪化、仕事や学業への支障、精神疾患の発症につながることもあります。しかし適切な対処により改善可能です。この記事では情緒不安定の症状、原因、対処法、専門家のサポートについて詳しく解説します。
情緒不安定とは
定義
情緒不安定とは、感情の起伏が激しく、気分が短時間で大きく変動し、感情のコントロールが困難な状態を指します。医学的診断名ではなく、症状を表す言葉です。
正常な気分変動との違い
正常な気分変動
誰でも喜怒哀楽がある。嬉しいこと、悲しいことがあれば気分は変わる。しかし理由があり、程度も適切で、時間とともに落ち着く。
情緒不安定
変動が極端。きっかけが些細、または明確な理由がない。短時間で激しく変動。感情をコントロールできない。日常生活に支障をきたす。
主な特徴
気分の急変
数分から数時間で気分が大きく変わる。さっきまで笑っていたのに突然泣く。
感情の激しさ
喜怒哀楽が極端。怒りが爆発的。悲しみが深い。
コントロール困難
自分でも感情を抑えられない。止めたくても止められない。
予測不能
いつ気分が変わるか分からない。自分でも理由が分からない。
疲労感
感情の波に疲れる。エネルギーを消耗する。
情緒不安定の症状
感情面の症状
急激な気分変動
短時間で喜びから悲しみへ、穏やかさから怒りへと気分が変わる。ジェットコースターのような感情の波。
過度の悲しみ
些細なことで深く落ち込む。涙もろくなる。理由もなく涙が出る。
激しい怒り
些細なことで激怒する。怒りが抑えられない。物や人に当たる。後で後悔する。
不安・焦燥感
漠然とした不安。落ち着かない。じっとしていられない。
空虚感
心に穴が開いたような感じ。何も感じない。虚しい。
感情の麻痺
何も感じられなくなる。喜びも悲しみも感じない。
感情の爆発
溜まっていた感情が一気に溢れ出す。泣き叫ぶ、怒鳴る。
気分の浮き沈み
ハイとローを繰り返す。調子が良いときと悪いときの差が激しい。
行動面の症状
衝動的行動
後先考えずに行動する。衝動買い、浪費、暴飲暴食、危険な行為。
攻撃的行動
人に当たる、物を壊す、暴言を吐く。
引きこもり
気分が落ち込むと人と会いたくない。外出しない。
過度の依存
人に頼りすぎる。一人でいられない。常に誰かそばにいてほしい。
自傷行為
リストカット、頭を壁にぶつけるなど。感情を発散するため、または感情を感じるため。
過食・拒食
感情を食べ物で埋める。または食べられなくなる。
睡眠パターンの乱れ
眠れない夜と一日中寝ている日が混在。
社会的引きこもり
約束をドタキャンする。人間関係を断つ。
身体面の症状
頭痛
緊張型頭痛、偏頭痛。
動悸
心臓がドキドキする。
息苦しさ
呼吸が浅くなる。過呼吸。
めまい
ふらふらする。
胃腸症状
胃痛、吐き気、下痢、便秘。
疲労感
常に疲れている。感情の波に疲弊する。
不眠
寝つきが悪い、途中で目が覚める。
食欲変化
食欲不振または過食。
対人関係への影響
関係の不安定さ
親しい人との関係が激しく揺れ動く。理想化と脱価値化を繰り返す。
誤解を招く
気分の変動が激しく、周囲が戸惑う。「さっきと言ってることが違う」と言われる。
孤立
感情の波に疲れ、人と距離を置く。または周囲が離れていく。
依存と拒絶
べったり依存したかと思えば突然拒絶する。
信頼関係の構築困難
安定した関係を築きにくい。
情緒不安定の原因
情緒不安定の原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることが多いです。
ストレス
急性ストレス
大きな出来事(失業、失恋、喪失など)による強いストレス。
慢性ストレス
継続的なストレス(仕事、人間関係、経済的問題など)。ストレスが積み重なると感情調整能力が低下。
睡眠不足
睡眠不足は感情調整に大きく影響します。睡眠が不足すると扁桃体(感情を司る脳の部位)が過剰に反応し、感情が不安定になります。
ホルモンバランスの乱れ
月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)
月経前にホルモンバランスが変化し、イライラ、抑うつ、情緒不安定が起こる。女性に多い。
妊娠・出産
妊娠中、産後のホルモン変動により情緒不安定になりやすい。マタニティブルー、産後うつ。
更年期
更年期のホルモン変動により気分が不安定になる。
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンの異常により感情が不安定になる。
精神疾患
境界性パーソナリティ障害(BPD)
感情の不安定さが中核症状。気分の激しい変動、衝動性、対人関係の不安定さ。
双極性障害(躁うつ病)
躁状態と抑うつ状態を繰り返す。気分の波が数日から数週間続く。
うつ病
抑うつ気分が主だが、イライラや不安を伴うことも。
不安障害
不安が強く、感情が不安定になる。パニック障害、全般性不安障害など。
ADHD(注意欠如・多動症)
感情調整の困難さ、衝動性。気分の変動が激しいことがある。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
トラウマ後の感情の不安定さ。フラッシュバック、過覚醒。
発達段階
思春期
ホルモン変化、脳の発達途上、アイデンティティの模索により情緒不安定になりやすい。
青年期
進路、恋愛、人間関係など様々なストレスにより不安定になることがある。
性格傾向
感受性が高い
HSP(Highly Sensitive Person)など、刺激に敏感な人は感情の波が大きくなりやすい。
完璧主義
理想と現実のギャップにストレスを感じやすい。
自己肯定感の低さ
自分を責めやすい。他者の評価に左右されやすい。
生活習慣
不規則な生活
睡眠リズムの乱れ、食事の不規則さ。
栄養不足
ビタミンB群、オメガ3脂肪酸、鉄分などの不足。
カフェイン・アルコール
カフェインの過剰摂取は不安を増す。アルコールは一時的に気分を変えるが長期的には不安定さを増す。
運動不足
運動不足はストレス解消の機会を失う。
環境要因
不安定な環境
家庭内不和、職場の問題、経済的不安定。
トラウマ
幼少期の虐待、ネグレクト、トラウマ体験。愛着の問題。
孤立
社会的サポートの不足。孤独感。
薬物・物質
薬の副作用
一部の薬の副作用で感情が不安定になることがある。
違法薬物
薬物乱用は感情の不安定さを引き起こす。
カフェイン・ニコチン
過剰摂取は神経系に影響。
情緒不安定のセルフチェック
以下の項目に多く当てはまる場合、情緒不安定の可能性があります。
- 気分が短時間で大きく変わることが頻繁にある
- 些細なことで激しく怒ってしまう
- 理由もなく突然悲しくなり涙が出る
- 感情をコントロールできないと感じる
- 気分の浮き沈みが激しい
- イライラが抑えられない
- 衝動的な行動をとってしまう(買い物、暴飲暴食など)
- 人間関係が不安定である
- 一人でいることが耐えられない
- 自分でも自分の感情が理解できない
- 感情の変化に疲れている
- 周囲から「気分屋」と言われる
- 後で後悔するような言動をしてしまう
- 睡眠が不規則である
- ストレスが多い
5つ以上当てはまり、日常生活に支障がある場合は専門家への相談を検討しましょう。
情緒不安定への対処法
自分の感情を理解する
感情日記
いつ、どんな状況で、どんな感情が湧いたかを記録する。パターンが見えてくる。トリガー(引き金)を特定できる。
感情に名前をつける
「今、私は怒っている」「悲しい」と言語化する。感情を客観視できる。
感情を受け入れる
感情を否定しない。「感じてはいけない」と抑圧しない。感情は自然なもの。
感情と自分を切り離す
「私は怒り」ではなく「私は怒りを感じている」。感情は一時的なもの。
感情調整スキル
深呼吸
感情が高ぶったら深呼吸。鼻から4秒吸って、7秒止めて、8秒かけて口から吐く。副交感神経を活性化し落ち着く。
グラウンディング
今ここに意識を向ける。5-4-3-2-1法(5つ見えるもの、4つ触れるもの、3つ聞こえる音、2つ匂うもの、1つ味わうもの)。感情に飲み込まれず現実に戻る。
タイムアウト
感情が激しいときはその場を離れる。散歩、トイレに行くなど。クールダウンしてから対応。
カウント
怒りそうになったら10秒数える。衝動的な行動を防ぐ。
セルフトーク
自分に語りかける。「大丈夫、落ち着いて」「これも過ぎ去る」「深呼吸しよう」。
氷を握る
激しい感情のときに氷を握る。感覚に意識が向き、感情が和らぐ。自傷行為の代わりにも。
感情のピーク理論
感情は波のようなもの。ピークに達すれば必ず下がる。待つことを学ぶ。
マインドフルネス
マインドフルネス瞑想
今この瞬間に意識を向ける。呼吸に集中する。思考や感情が浮かんでも判断せず流す。1日5分から10分でも効果的。
マインドフルネス・ウォーキング
歩くことに集中する。足の感覚、呼吸、周囲の音や景色に意識を向ける。
マインドフルネス・イーティング
食べることに集中する。味、食感、香りを味わう。
マインドフルネスの効果
感情を客観的に観察できるようになる。感情に飲み込まれにくくなる。感情調整能力が向上する。
生活習慣の改善
十分な睡眠
7から8時間の睡眠を確保。毎日同じ時間に寝て起きる。睡眠不足は感情の不安定さを悪化させる。
規則正しい生活
食事、睡眠、活動のリズムを整える。体内時計を安定させる。
バランスの良い食事
栄養バランスを整える。オメガ3脂肪酸(魚、ナッツ)、ビタミンB群(全粒穀物、豆類)、トリプトファン(バナナ、乳製品)など。血糖値の急激な変動を避ける(糖質の取りすぎに注意)。
適度な運動
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳)を週3から5回、30分程度。運動は感情調整に非常に効果的。セロトニン、エンドルフィンが分泌される。
カフェイン・アルコールを控える
カフェインは不安を増す。アルコールは一時的に気分を変えるが長期的には悪化させる。
日光を浴びる
朝起きたら日光を浴びる。セロトニンの分泌を促す。体内時計を整える。
ストレス管理
ストレス源を減らす
可能であればストレス要因を減らす。無理なスケジュールを調整。人間関係の整理。
リラクゼーション
ヨガ、瞑想、深呼吸、漸進的筋弛緩法。リラックスする時間を毎日持つ。
趣味・楽しみ
好きなことをする時間。音楽、読書、映画、ゲーム、園芸など。ポジティブな感情を増やす。
自然と触れ合う
公園、森、海など自然の中で過ごす。ストレスホルモンが減少する。
社会的サポート
信頼できる人に話す
家族、友人、カウンセラーに気持ちを話す。共感してもらえる。孤独感が和らぐ。
サポートグループ
同じ悩みを持つ人たちと交流。理解し合える。
孤立しない
一人で抱え込まない。つながりを持つ。
認知の変容
極端な思考を避ける
白黒思考、全か無か思考を避ける。グレーゾーンを認める。
現実的に考える
「いつもこうだ」ではなく「今回はこうだった」。一般化しない。
思い込みを疑う
「みんな私を嫌っている」「私はダメだ」という思い込みに証拠はあるか。
セルフコンパッション
自分に優しくする。完璧でなくて良い。失敗しても自分を責めすぎない。
表現する
日記・ジャーナリング
感情を書き出す。思考や感情を整理できる。
芸術表現
絵、音楽、詩などで感情を表現する。言葉にならない感情を形にする。
身体表現
ダンス、演劇など体を使って表現する。
トリガーを避ける
トリガーを特定
何が感情の波を引き起こすか把握する。特定の人、場所、状況。
可能な範囲で避ける
必要なら距離を置く。環境を調整する。
準備する
避けられないトリガーには事前に対処法を準備。
境界線を設定する
自分の限界を知る
できることとできないことを区別する。
ノーと言う
無理な依頼は断る。自分を守る。
他者と自分を分ける
他人の感情を自分の責任と思わない。共感と同化は違う。
専門家のサポート
いつ専門家に相談すべきか
セルフケアで改善しない
自分で対処しても良くならない。むしろ悪化している。
日常生活に支障
仕事、学業、人間関係に明らかな影響。
自傷・自殺念慮
自分を傷つける、死にたいと思う。緊急に相談が必要。
衝動的行動が制御できない
浪費、暴飲暴食、危険な行為が止められない。
精神疾患が疑われる
うつ病、双極性障害、境界性パーソナリティ障害などの可能性。
数週間以上続く
一時的なものではなく継続している。
相談先
精神科・心療内科
医師による診断と治療。薬物療法、精神療法。
カウンセラー・心理士
心理カウンセリング。認知行動療法、弁証法的行動療法(DBT)など。
産婦人科
月経前症候群(PMS)、妊娠・産後、更年期に関する相談。
保健所・保健センター
無料で相談できる公的機関。
こころの健康相談統一ダイヤル
0570-064-556(全国共通)。
治療法
薬物療法
抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬など。感情の波を和らげる。ホルモン療法(PMSや更年期の場合)。
心理療法
認知行動療法(CBT): 考え方や行動パターンを変える。
弁証法的行動療法(DBT): 特に境界性パーソナリティ障害に効果的。感情調整スキル、苦悩耐性スキルを学ぶ。
対人関係療法: 人間関係のパターンを改善。
精神分析的精神療法: 深層心理を探る。
マインドフルネスベース認知療法(MBCT)
マインドフルネスと認知療法を組み合わせた治療。
カウンセリング
支持的カウンセリング。話を聴いてもらう。共感を得る。
グループ療法
同じ悩みを持つ人たちとのグループセッション。
家族や周囲の人の対応
理解と受容
病気・状態として理解
わがままや性格の問題ではない。医学的・心理的な問題。
批判しない
「気分屋」「わがまま」「甘え」などと批判しない。
否定しない
感情を否定しない。「そんなことで怒るな」と言わない。
サポート
話を聴く
批判せず、アドバイスせず、ただ聴く。共感する。
安心感を与える
「ここにいるよ」「一人じゃないよ」と伝える。
予測可能性
できるだけ一貫した対応。急な変化を避ける。
境界線を保つ
サポートするが巻き込まれすぎない。共依存にならない。
専門家を勧める
必要なら受診を勧める。一緒に病院に行く。
危機への対応
自殺念慮・自傷
すぐに専門家に連絡。一人にしない。危険なものを遠ざける。必要なら救急車を呼ぶ。
暴力的行動
自分の安全を最優先。距離を置く。警察に通報することも検討。
自分のケア
一人で抱え込まない
支える側も疲弊する。相談できる人を持つ。
自分の時間を持つ
常に一緒にいる必要はない。自分のリフレッシュ時間も大切。
カウンセリングを受ける
家族カウンセリング。支える側もサポートが必要。
まとめ
情緒不安定は感情の波が激しく、気分が短時間で大きく変動し、感情のコントロールが困難な状態です。急激な気分変動、過度の悲しみや怒り、衝動的行動、対人関係の不安定さなどの症状があります。
原因は多様で、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、精神疾患(境界性パーソナリティ障害、双極性障害、うつ病など)、性格傾向、生活習慣、環境要因などが関与します。
対処法として、自分の感情を理解する(感情日記)、感情調整スキル(深呼吸、グラウンディング、タイムアウト)、マインドフルネス、生活習慣の改善(十分な睡眠、規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動)、ストレス管理、社会的サポート、認知の変容、表現、トリガーを避けるなどがあります。
セルフケアで改善しない場合、日常生活に支障がある場合、自傷・自殺念慮がある場合は専門家に相談しましょう。精神科・心療内科、カウンセラーが相談先です。薬物療法、心理療法(認知行動療法、弁証法的行動療法など)により改善可能です。
家族や周囲の人は、理解と受容、話を聴く、安心感を与える、専門家を勧めるなどのサポートができます。危機的状況では適切に対応し、支える側も自分のケアを忘れないことが大切です。
情緒不安定は適切な対処により改善可能です。自分の感情と向き合い、スキルを身につけ、必要なら専門家のサポートを受けながら、感情の波を穏やかにしていきましょう。焦らず、自分に優しく、一歩ずつ進んでいきましょう。

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