はじめに
就労継続支援B型事業所を利用したいけれど、「朝が苦手」「午前中は体調が悪い」「午後からなら通える」と考えている方は少なくありません。朝起きられない、午前中は薬の副作用でぼんやりする、うつ症状が午前中に強い、夜型の生活リズムから抜け出せない、朝の通勤ラッシュが苦手 このような理由から、「昼から(午後から)の利用」を希望される方がいらっしゃいます。
多くのB型事業所は午前9時〜10時頃から開所していますが、すべての利用者が朝から通わなければいけないわけではありません。午後からの利用を認めている事業所も多く、また、そうした柔軟な対応こそが、B型事業所の特徴の一つです。
本記事では、午後から利用するメリットとデメリット、午後から利用できる事業所の見つけ方、見学時の確認ポイント、午後からの利用を成功させるコツ、そして午前中に通えるようになるためのステップまで、詳しく解説していきます。
なぜ午後からの利用を希望するのか
理由1 朝起きられない
睡眠リズムの障害
- うつ病による過眠
- 睡眠相後退症候群(体内時計のズレ)
- 薬の副作用による眠気
- 不眠症で朝まで眠れない
具体例 「夜12時に寝ても、朝10時まで起きられない」 「目覚ましをかけても起きられない」 「朝起きても体が動かない」
理由2 午前中の体調不良
うつ病の日内変動 うつ病の方の多くは、午前中に症状が強く、午後になると少し楽になります。
具体的な症状
- 午前中は気分が沈む
- 午前中は体が重い
- 午前中は頭が働かない
- 午後になると少し動けるようになる
他の症状
- 薬の副作用(朝服用した薬が効くまで時間がかかる)
- 低血圧で午前中は調子が悪い
- 慢性疲労で午前中は動けない
理由3 夜型の生活リズム
長年の生活習慣
- ひきこもり生活が長く、昼夜逆転している
- 夜に活動する生活が定着している
- 朝型に戻すのが難しい
具体例 「夜中の2時に寝て、昼12時に起きる生活が何年も続いている」
理由4 朝の通勤ラッシュが苦手
感覚過敏・パニック障害
- 人混みが苦手
- 満員電車に乗れない
- 朝のラッシュ時にパニックになる
午後なら 昼過ぎは電車も空いており、楽に通える。
理由5 家庭の事情
介護や育児
- 朝は家族の介護が必要
- 子どもの送り出しがある
- 午前中は家事をする必要がある
午後なら 午前中に家のことを済ませてから通える。
理由6 午前中は病院・デイケア
他のサービスとの併用
- 午前中は病院のデイケアに通っている
- 午前中は通院している
- 午前中は他のリハビリがある
午後なら 午前中のサービスと併用できる。
理由7 段階的なステップアップ
最初は午後から
- いきなり朝からは難しい
- まずは午後から始めて、慣れたら朝からにする
- ハードルを下げる
理由8 体力・集中力の問題
長時間は無理
- 1日通所は体力的に無理
- 午後の数時間なら大丈夫
- 集中力が続かない
午後から利用するメリット
メリット1 無理なく通える
最大のメリット 朝起きられない人でも、午後からなら通えます。
継続しやすい 無理して朝から通うより、午後から無理なく通う方が、長続きします。
メリット2 通勤ラッシュを避けられる
快適な通勤 昼過ぎの電車やバスは空いており、ストレスが少ないです。
感覚過敏の方に優しい 人混みが苦手な方、パニック障害の方も、安心して通えます。
メリット3 午前中を有効活用できる
自分のペースで過ごせる
- ゆっくり起きられる
- 家事を済ませられる
- 通院できる
- 他のサービスを利用できる
メリット4 体調管理しやすい
午前中に調整 体調が悪い朝も、午後までに調整できます。
無理をしない 「午前中は休んで、午後から」という選択ができます。
メリット5 ハードルが低い
始めやすい 「朝から」より「午後から」の方が、心理的ハードルが低いです。
ステップアップの第一歩 まずは午後から始めて、慣れたら徐々に朝からにすることもできます。
メリット6 短時間でOK
集中して取り組める 午後の2〜3時間だけなら、集中して作業できます。
疲労が少ない 長時間より短時間の方が、疲労が少なく済みます。
メリット7 作業時間を選べる
自分に合った時間 午後の方が調子が良い人にとっては、最適な時間帯です。
メリット8 柔軟な働き方
B型ならでは 一般企業では「午後から出勤」は難しいですが、B型なら可能です。
午後から利用するデメリット
デメリット1 工賃が少なくなる
作業時間が短い 午後だけの利用だと、作業時間が短くなり、工賃も少なくなります。
例
- 朝から午後まで(6時間) 月2万円
- 午後のみ(3時間) 月1万円
対策 工賃以外の価値(居場所、生活リズムなど)を重視する。
デメリット2 午前中のプログラムに参加できない
ミーティングやイベント 午前中にミーティングやイベントがある事業所では、参加できません。
対策 午後のプログラムも充実している事業所を選ぶ。
デメリット3 利用者が少ない場合も
午前中に帰る人もいる 午前中だけ来て、午後は帰る利用者もいます。午後は人数が少ないことも。
メリットにもなる 静かな環境を好む人には、逆にメリットです。
デメリット4 生活リズムが朝型に戻りにくい
昼夜逆転が続く 午後からの利用を続けると、生活リズムが朝型に戻りにくくなります。
対策 将来的に朝型に戻したい場合は、徐々に早めていく計画を立てる。
デメリット5 事業所によっては受け入れていない
午前中のみの事業所も 一部の事業所は、午前中で終了(例 9時〜13時)のため、午後からの利用ができません。
対策 午後も開所している事業所を探す。
デメリット6 送迎サービスが午後に対応していない場合も
送迎時間が決まっている 送迎サービスが午前中の往路のみの事業所もあります。
対策 午後の送迎も対応している事業所を探す、または自力で通う。
午後から利用できる事業所の見つけ方
方法1 相談支援専門員に相談
希望を明確に伝える 「午後からの利用を希望しています」と相談支援専門員に伝えましょう。
相談支援専門員ができること
- 午後から利用できる事業所を紹介
- 事業所との調整
- あなたの状況を事業所に説明
最もおすすめの方法 相談支援専門員を通じるのが、最も確実で効率的です。
方法2 事業所に直接問い合わせる
電話やメールで確認 興味のある事業所に、「午後からの利用は可能ですか?」と問い合わせます。
質問例
「午前中は体調が悪く、午後からの利用を希望しているのですが、
可能でしょうか? 例えば、13時〜16時くらいの利用を
考えています」
多くの事業所は柔軟に対応 B型事業所は、個別のニーズに柔軟に対応してくれることが多いです。
方法3 開所時間を確認する
午後も開いている事業所を探す 事業所の開所時間を確認し、午後も開いている所を探します。
開所時間の例
- 9 00〜15 00(午後3時まで) → 午後からでも利用可能
- 9 00〜17 00(午後5時まで) → 午後からでも十分利用可能
- 9 00〜13 00(午後1時まで) → 午後からは難しい
確認方法 ホームページ、WAM NET、電話で確認。
方法4 見学時に確認する
見学の際に質問 「午後からの利用は可能ですか?」と見学時に確認しましょう。
午後の時間帯に見学 可能なら、午後の時間帯に見学することで、午後の雰囲気を確認できます。
方法5 午後のプログラムがある事業所を探す
午後も活動している事業所 午後にもプログラムや作業がある事業所を探しましょう。
例
- 午後に軽作業
- 午後にパソコン作業
- 午後にレクリエーション
方法6 柔軟な事業所を探す
個別対応が得意な事業所 小規模でアットホームな事業所は、個別のニーズに柔軟に対応してくれることが多いです。
探し方 少人数(定員10名以下)の事業所を探す。
方法7 在宅ワーク型の事業所
在宅B型 一部の事業所では、在宅でB型作業ができます。在宅なら、時間帯は自由です。
注意 在宅B型は、まだ数が少ないです。
見学時の確認ポイント
チェックリスト
1. 午後からの利用は可能か
- [ ] 午後からの利用は受け入れていますか?
- [ ] 何時から何時までの利用が可能ですか?
- [ ] 午後からの利用者は、他にいますか?
2. 午後のプログラム内容
- [ ] 午後はどんな作業がありますか?
- [ ] 午後だけでも、しっかり作業できますか?
- [ ] 午前中のプログラムと、午後のプログラムは同じですか?
3. 工賃
- [ ] 午後からの利用でも、工賃はもらえますか?
- [ ] 午後のみの場合、工賃はいくらくらいですか?
- [ ] 作業時間に応じて工賃が計算されますか?
4. 送迎サービス
- [ ] 午後の送迎サービスはありますか?
- [ ] 午後の迎えは何時ですか?
- [ ] 午後の送りは何時ですか?
5. 午後の利用者数
- [ ] 午後は何名くらい利用していますか?
- [ ] 午後は静かですか、それとも賑やかですか?
6. 支援員の配置
- [ ] 午後も支援員はいますか?
- [ ] 午後の支援員は何名ですか?
7. 柔軟性
- [ ] 午後からの時間は、変更できますか? (例 今日は13時から、明日は14時から)
- [ ] 徐々に朝からに移行することは可能ですか?
8. 他の利用者の反応
- [ ] 午後からの利用者に対して、他の利用者は否定的ではないですか?
- [ ] 「午後からでもOK」という雰囲気ですか?
9. 午後の雰囲気
- [ ] 実際に午後の時間帯を見学して、雰囲気を確認
- [ ] 午後の方が静か/賑やかなど、午前との違いは?
10. 自分に合いそうか
- [ ] 午後の時間帯で、自分は通えそうですか?
- [ ] 午後のプログラムで、満足できそうですか?
午後からの利用を成功させるコツ
コツ1 事前に理由を説明する
正直に伝える 「なぜ午後からなのか」理由を事業所に説明しましょう。
説明例
- 「うつ病で、午前中は症状が強いため」
- 「薬の副作用で、午前中は眠気が強いため」
- 「午前中は病院のデイケアに通っているため」
理解してもらえる 正直に伝えることで、事業所側も理解し、適切に対応してくれます。
コツ2 開始時間を明確にする
何時からなのか決める 「午後から」といっても、12時なのか、13時なのか、14時なのか明確にしましょう。
事業所と相談 「13時から16時まで」など、具体的な時間を事業所と相談して決めます。
コツ3 小さく始める
最初は週1〜2日 いきなり週5日ではなく、週1〜2日から始めましょう。
慣れたら増やす 慣れてきたら、徐々に日数を増やします。
コツ4 柔軟に調整する
体調に応じて 「今日は13時から」「今日は14時から」など、体調に応じて調整できるか相談しましょう。
事業所の許容範囲 ただし、事業所にも都合があるので、どこまで柔軟に対応してもらえるか確認が必要です。
コツ5 午後のプログラムに積極的に参加
午後だけでも充実させる 午後の作業やプログラムに、積極的に参加しましょう。
孤立しない 午後からでも、他の利用者や支援員と関わりを持つことが大切です。
コツ6 工賃以外の価値を見出す
工賃は少なくてもOK 午後だけだと工賃は少ないですが、それ以外の価値(居場所、生活リズムなど)を見出しましょう。
コツ7 将来の目標を持つ
ステップアップを視野に
- まずは午後から、慣れたら朝からも
- まずは週2日、慣れたら週4日
- 将来的には一般就労を目指す
目標があると継続しやすい ただし、無理に目標を設定する必要はありません。
コツ8 支援員とコミュニケーション
定期的に相談 「午後からの利用で大丈夫か」「もっと早い時間から来た方がいいか」など、定期的に支援員と相談しましょう。
コツ9 生活リズムを記録する
睡眠日記をつける 何時に寝て、何時に起きたか記録しましょう。
改善の兆し 徐々に早く起きられるようになったら、通所時間を早めることを検討します。
コツ10 無理をしない
焦らない 「早く朝から通わなきゃ」と焦る必要はありません。
自分のペース 午後からでも、通えていることが素晴らしいことです。
午前中に通えるようになるためのステップ(希望者向け)
「将来的には朝から通いたい」という方のために、段階的なステップを紹介します。
ステップ1 午後からの利用を安定させる
まずは継続 午後からの利用を、まず3ヶ月続けましょう。
安定が基盤 安定して通えることが、次のステップの基盤です。
ステップ2 生活リズムを少しずつ整える
就寝時間を早める 夜2時に寝ているなら、1時、0時、23時と、少しずつ早めます。
起床時間も早める 昼12時に起きているなら、11時、10時、9時と、少しずつ早めます。
急がない 1週間に30分ずつなど、ゆっくり調整します。
ステップ3 通所時間を少しずつ早める
13時 → 12時半 → 12時 通所時間を、少しずつ早めます。
事業所と相談 「今週から12時半に来られそうです」と事業所に相談します。
ステップ4 午前中の短時間から始める
11時から 午前11時から来て、午後3時まで(4時間)など、午前中の遅い時間から始めます。
慣れたら早める 11時が安定したら、10時半、10時と早めます。
ステップ5 朝からの利用を目指す
9時〜10時 最終的に、朝9時〜10時頃から通えることを目指します。
無理なら戻る 無理だと感じたら、また午後からに戻してOKです。
ステップ6 維持する
朝からの利用を維持 朝から通えるようになったら、それを維持します。
時々は午後から 体調が悪い日は、午後からでもOKという柔軟性を保ちます。
重要 このステップは、「朝から通いたい」という希望がある人向けです。無理に朝型にする必要はありません。午後からの利用で満足しているなら、それで十分です。
よくある質問(FAQ)
Q1 午後からの利用は、甘えですか?
A いいえ、甘えではありません。体調や障害の特性によって、午前中が難しい方がいます。午後から通えることが素晴らしいことです。
Q2 午後からの利用は、どの事業所でもできますか?
A すべての事業所ではありませんが、多くの事業所が柔軟に対応してくれます。見学時に確認しましょう。
Q3 午後からだと、工賃はどれくらい減りますか?
A 作業時間に応じて減ります。例えば、朝から午後まで6時間で月2万円の場合、午後のみ3時間だと月1万円程度になることがあります。
Q4 午後からの利用者は、他にもいますか?
A 事業所によりますが、午後からの利用者がいる事業所も多いです。見学時に確認しましょう。
Q5 午後からの利用を、朝からに変更できますか?
A はい、できます。体調が改善したら、徐々に朝からに移行することが可能です。
Q6 送迎サービスは、午後も対応していますか?
A 事業所によります。午後の送迎も対応している事業所もあれば、午前中のみの事業所もあります。確認が必要です。
Q7 午後だけだと、他の利用者に白い目で見られませんか?
A B型事業所は、個別のニーズを尊重する場です。午後からの利用者も珍しくないので、心配しすぎる必要はありません。
Q8 午前中は何をしていればいいですか?
A 自由です。ゆっくり休む、家事をする、通院する、他のサービスを利用するなど、自分に合った過ごし方をしましょう。
Q9 「午後から」と伝えると、受け入れを断られませんか?
A ほとんどの事業所は断りません。むしろ、正直に伝えることで、適切なサポートを受けられます。
Q10 一生、午後からの利用でもいいですか?
A もちろんです。午後からの利用で満足しているなら、それで何の問題もありません。無理に朝型にする必要はありません。
まとめ 午後からでも大丈夫、自分のペースで
B型事業所は、午後からの利用も可能です。朝起きられない、午前中は体調が悪い そういった理由で午後からの利用を希望することは、決して甘えではありません。
大切なポイント
- 午後からの利用は可能 多くの事業所が、柔軟に対応してくれます。
- メリットが多い 無理なく通える、通勤ラッシュを避けられる、午前中を有効活用できる。
- デメリットも理解 工賃が少なくなる、午前のプログラムに参加できない。
- 相談支援専門員に相談 午後から利用できる事業所を紹介してもらえます。
- 事前に確認 見学時に、午後からの利用が可能か、午後のプログラム内容を確認。
- 理由を正直に伝える なぜ午後からなのか、理由を事業所に説明する。
- 小さく始める まずは週1〜2日、午後2〜3時間から。
- 将来のステップアップも可能 慣れたら、徐々に朝からに移行することもできる(ただし無理は禁物)。
- 午後からでも価値がある 工賃は少なくても、居場所、生活リズム、社会参加の価値がある。
- 自分のペースで 焦らず、自分のペースで通うことが大切。
あなたへのメッセージ
「午後からしか通えない自分はダメだ」 そう思っていませんか? しかし、それは間違いです。
朝起きられないこと、午前中に体調が悪いことは、あなたの責任ではありません。それは、障害の特性であり、薬の副作用であり、長年の生活習慣です。そして、そういった状況にある方のために、B型事業所は柔軟に対応してくれます。
午後から通えていること自体が、素晴らしいことです。家から出る、人と関わる、作業をする これらは、午後であろうと朝であろうと、等しく価値があります。
「いつか朝から通えるようになりたい」と思うなら、それは素晴らしい目標です。しかし、その目標を急ぐ必要はありません。まずは午後からの利用を安定させ、慣れてきたら、少しずつ早めていけばいいのです。
そして、もし「午後からで十分」と思うなら、それも素晴らしい選択です。無理に朝型にする必要はありません。午後からの利用で、あなたが満足し、充実した日々を送れるなら、それが最適な働き方です。
大切なのは、他人の基準ではなく、自分に合った働き方を選ぶことです。午後からの利用は、あなたに合った賢い選択です。自信を持って、午後からの通所を始めましょう。
あなたが、午後からの利用で、無理なく通い、安心して働ける場所を見つけられることを心から願っています。午後からでも、あなたを温かく迎えてくれる事業所は、必ず見つかります。一歩踏み出す勇気を持って、まずは相談してみましょう。新しい可能性が、あなたを待っています。

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