はじめに
就労継続支援B型事業所の利用が決まった、または利用を検討している方にとって、「何から準備すればいいのか」「どんな手続きが必要なのか」「初日までに何をすればいいのか」という疑問は尽きないと思います。初めてのことで、分からないことばかり 不安を感じるのは当然です。
実は、B型の利用開始には、いくつかの段階的な手続きと準備が必要です。受給者証の取得、事業所探し、見学・体験利用、契約手続き、そして初日に向けた準備 これらを順番に進めていく必要があります。一つ一つは難しくありませんが、全体の流れを理解しておくことで、スムーズに進められます。
準備は、決して一人でやる必要はありません。相談支援専門員、市区町村の障害福祉課、主治医 たくさんの専門家が、あなたをサポートしてくれます。分からないことは遠慮なく質問し、助けを求めながら、一歩ずつ進めていきましょう。
本記事では、B型利用開始までの全体の流れ、必要な手続き、書類の準備、事業所選びのポイント、そして初日までにやるべきこと・準備するものまで、詳しく解説していきます。
B型利用開始までの全体の流れ
全体スケジュール(標準的な例)
1〜2週間目 相談・情報収集
- 市区町村の障害福祉課に相談
- 相談支援専門員と面談
- B型について理解を深める
- 受給者証申請の準備開始
3〜4週間目 受給者証の申請
- 必要書類を準備
- 受給者証の申請
- サービス等利用計画の作成開始
5〜6週間目 事業所探し
- 相談支援専門員と事業所を探す
- 複数の事業所を見学
- 体験利用(1週間程度)
7〜8週間目 受給者証の交付
- 受給者証が交付される(申請から1〜3週間)
- 利用したい事業所を決定
9週間目 契約手続き
- 事業所と利用契約を結ぶ
- 重要事項の説明を受ける
- 契約書にサイン
10週間目 利用開始
- 初日の準備
- 利用開始
期間 全体で2〜3ヶ月程度かかるのが一般的です。
注意 自治体や個人の状況によって、期間は異なります。
必要な手続きと書類
ステップ1 市区町村への相談
最初の一歩 まず、お住まいの市区町村の障害福祉課に相談しましょう。
窓口
- 障害福祉課
- 福祉事務所
- 保健福祉センター
相談内容 「就労継続支援B型を利用したいのですが」と伝えましょう。
説明してくれること
- B型の制度概要
- 利用の条件
- 必要な手続き
- 相談支援事業所の紹介
ステップ2 相談支援専門員との面談
重要な存在 相談支援専門員は、あなたのB型利用を全面的にサポートしてくれます。
役割
- サービス等利用計画の作成
- 事業所探しのサポート
- 事業所との調整
- 継続的な相談支援
依頼方法 市区町村から紹介された相談支援事業所に連絡し、面談の予約をします。
面談内容
- あなたの希望や目標
- 生活状況
- 障害の状況
- どんな作業をしたいか
- 週何日通いたいか
ステップ3 受給者証の申請
必須書類 B型を利用するには、「障害福祉サービス受給者証」が必要です。
申請先 市区町村の障害福祉課
必要書類
- 障害福祉サービス支給申請書
- 市区町村で入手、またはホームページからダウンロード
- 障害者手帳のコピー
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
- 身体障害者手帳
- いずれかがあればOK
- 医師の診断書・意見書(手帳がない場合)
- 手帳がない場合、医師の診断書が必要
- 主治医に依頼
- 費用 3,000〜5,000円程度(自己負担)
- サービス等利用計画案
- 相談支援専門員が作成
- またはセルフプラン(自分で作成)
- マイナンバー関連書類
- マイナンバーカード、または通知カード
- 本人確認書類
- 印鑑
- 認印でOK
- その他
- 自治体によって追加書類がある場合があります
50歳未満の場合の追加要件 原則として、就労移行支援などを経てからB型を利用しますが、以下の場合は直接B型を利用できます。
- 就労経験がある
- 年齢や体力面で一般企業での就労が困難
- 医師の意見書がある
手続きの流れ
- 申請書類を市区町村に提出
- 市区町村が審査(1〜3週間)
- 受給者証の交付(郵送または窓口受取)
ステップ4 サービス等利用計画の作成
計画書 どのサービスを、どのくらい利用するかを記載した計画書です。
作成者
- 相談支援専門員に依頼(推奨)
- またはセルフプラン(自分で作成)
内容
- 利用するサービスの種類(就労継続支援B型)
- 利用頻度(週○日)
- 目標(○○ができるようになる)
- 支援内容
相談支援専門員に依頼する場合
- 費用 無料(利用者負担なし)
- 面談を通じて作成してくれる
- 定期的に見直しをしてくれる
セルフプランの場合
- 自分で作成
- 市区町村が様式を提供
- 簡単な内容でOK
ステップ5 事業所探しと見学
事業所選び 受給者証の申請と並行して、事業所を探しましょう。
探し方
- 相談支援専門員に紹介してもらう(最も効率的)
- WAM NETで検索
- インターネット検索
- 市区町村の障害福祉課でリストをもらう
見学 複数の事業所を見学しましょう(3〜5ヶ所推奨)。
見学時の確認ポイント
- 作業内容
- 雰囲気
- 利用者の様子
- 支援員の対応
- 通所のしやすさ
- 工賃
- 利用日数・時間の柔軟性
ステップ6 体験利用
実際に体験 見学だけでなく、体験利用をしましょう。
期間 通常1週間程度(事業所によって異なる)
内容
- 実際の作業を体験
- 昼食を一緒にとる
- 他の利用者と過ごす
目的
- 自分に合っているか確認
- 作業ができそうか確認
- 雰囲気が合うか確認
重要 体験利用後、「ここに通いたい」と思えるかどうか、自分の気持ちを確認しましょう。
ステップ7 事業所との契約
契約手続き 利用したい事業所が決まったら、契約手続きを行います。
必要なもの
- 受給者証
- 印鑑
- その他、事業所が指定するもの
重要事項説明 契約前に、事業所から重要事項の説明を受けます。
内容
- サービス内容
- 利用料金
- 利用時間・曜日
- キャンセルの方法
- 緊急時の対応
- 個人情報の取り扱い
契約書 内容を確認し、納得したら契約書にサインします。
不明点 分からないことがあれば、遠慮なく質問しましょう。
ステップ8 利用開始日の決定
初日の調整 事業所と相談し、利用開始日を決めます。
タイミング
- 月初めが多い
- ただし、柔軟に対応してくれる事業所も多い
確認
- 初日の時間
- 持ち物
- 服装
- 食事(持参か注文か)
初日までに準備すること
準備1 生活リズムを整える
重要 B型利用開始前に、生活リズムを整えましょう。
目標
- 規則正しい睡眠
- 決まった時間に起きる
- 決まった時間に食事
練習 利用開始1〜2週間前から、通所時間に合わせて起きる練習をしましょう。
例 10時通所の場合、8時に起きる練習。
準備2 通所ルートの確認
事前確認 通所ルートを事前に確認しましょう。
方法
- Googleマップでルートを確認
- 実際に一度、事業所まで行ってみる(下見)
- 所要時間を測る
- 乗り換えがある場合、確認する
下見のメリット
- 初日に迷わない
- 安心感が増す
- 所要時間が正確に分かる
準備3 持ち物の準備
必要なもの 初日に必要なものを準備しましょう。
基本の持ち物
- 受給者証
- 印鑑
- 筆記用具(メモ帳、ペン)
- 飲み物
- 昼食(必要な場合)
- タオル・ハンカチ
- ティッシュ
- 常用薬
- マスク(予備)
事業所から指定されるもの
- 上履き・室内履き
- エプロン・作業着
- その他
バッグ 持ち物を入れるバッグを用意しましょう。
準備4 服装の準備
適切な服装 動きやすく、清潔な服装を準備しましょう。
基本
- カジュアルでOK
- 清潔感がある
- 動きやすい
- 派手すぎない
避けるもの
- スーツ(必要ない)
- 派手すぎる服
- 露出の多い服
- サンダル、スリッパ
作業内容による 作業内容によって、汚れてもいい服が必要な場合もあります。事前確認を。
準備5 自己紹介の準備
簡単でOK 自己紹介を求められることがあるので、簡単に準備しておきましょう。
内容(例) 「○○です。△△市から来ました。よろしくお願いします」(5〜10秒)
長さ 5〜10秒で十分です。
練習 鏡の前で、または家族の前で練習しておくと安心です。
準備6 質問リストの作成
聞きたいこと 初日に聞きたいことをリストアップしておきましょう。
例
- トイレは自由に行けますか?
- 休憩はいつでも取れますか?
- 分からないことがあったら、誰に聞けばいいですか?
- 欠席する時は、どう連絡すればいいですか?
メモ 質問リストをメモに書いて持参しましょう。
準備7 緊急連絡先の準備
家族の連絡先 緊急連絡先(家族の電話番号など)をメモしておきましょう。
内容
- 家族の氏名
- 続柄(母、父、配偶者など)
- 電話番号
提出 初日に、事業所に提出することがあります。
準備8 体調管理
健康第一 利用開始前は、体調を整えましょう。
ポイント
- 十分な睡眠
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- ストレス管理
通院 主治医に「B型を利用開始します」と報告し、体調について相談しましょう。
準備9 家族への説明
理解と協力 家族に、B型利用について説明しましょう。
内容
- B型とは何か
- なぜ利用するのか
- どんなことをするのか
- 家族に協力してほしいこと(送迎、励ましなど)
重要 家族の理解と協力は、継続利用に重要です。
準備10 目標設定
小さな目標 B型利用の目標を設定しましょう。
最初の目標(例)
- 初日を無事に終える
- 1週間通う
- 挨拶をする
- 1つの作業を覚える
大きすぎない 大きな目標ではなく、達成可能な小さな目標を設定しましょう。
準備11 心の準備
不安は自然 不安を感じるのは自然なことです。
受け入れる 不安な気持ちを受け入れ、認めましょう。
ポジティブ思考 「新しいことに挑戦する」「成長のチャンス」とポジティブに考えましょう。
リラックス 深呼吸、ストレッチ、好きな音楽を聴くなど、リラックスする方法を見つけましょう。
準備12 情報整理
メモを作る 以下の情報をメモにまとめておきましょう。
内容
- 事業所名
- 住所
- 電話番号
- 担当支援員の名前
- 通所ルート
- 利用開始日
- 初日の時間
- 持ち物
スマホにも スマホにもメモしておくと安心です。
費用について
利用料(利用者負担額)
原則 B型の利用には、利用者負担額が発生する場合があります。
負担上限月額 所得に応じて、以下のように設定されています。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
ほとんどの人が0円 多くの利用者は、負担上限月額が0円です。
確認 受給者証に記載されています。
その他の費用
食費 昼食を注文する場合、実費(300〜500円/食)
交通費 通所にかかる交通費(自己負担)
注意 一部の自治体では、交通費の助成があります。市区町村に確認しましょう。
作業着など 事業所によっては、作業着などの購入が必要な場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1 B型の利用開始まで、どれくらい時間がかかりますか?
A 通常2〜3ヶ月程度かかります。受給者証の申請、事業所探し、体験利用などが必要です。
Q2 受給者証の申請に、障害者手帳は必須ですか?
A 手帳がない場合でも、医師の診断書があれば申請できます。
Q3 相談支援専門員への依頼は、費用がかかりますか?
A いいえ、無料です(利用者負担なし)。
Q4 複数の事業所を見学してもいいですか?
A はい、むしろ推奨されます。複数見学して比較検討しましょう。
Q5 体験利用は必須ですか?
A 必須ではありませんが、強く推奨されます。実際に体験しないと分からないことが多いです。
Q6 利用開始日は、いつでもいいですか?
A 事業所と相談して決めます。月初めが多いですが、柔軟に対応してくれる事業所も多いです。
Q7 初日から毎日通わなければいけませんか?
A いいえ、週1日からでもOKです。自分のペースで始められます。
Q8 50歳未満ですが、直接B型を利用できますか?
A 医師の意見書があれば可能です。主治医に相談しましょう。
Q9 準備が大変そうで不安です…
A 相談支援専門員が全面的にサポートしてくれます。一人で抱え込まず、助けを求めましょう。
Q10 利用開始後、合わなかったらどうすればいいですか?
A 事業所の変更が可能です。まずは相談支援専門員に相談しましょう。
まとめ 準備は一歩ずつ、焦らずに
就労継続支援B型の利用開始には、いくつかの手続きと準備が必要ですが、決して難しいものではありません。相談支援専門員、市区町村の障害福祉課、主治医 たくさんの専門家が、あなたをサポートしてくれます。一人で抱え込まず、助けを求めながら、一歩ずつ進めていきましょう。
大切なポイント
- 全体の流れを理解 受給者証申請→事業所探し→見学・体験→契約→利用開始という流れです。
- 期間は2〜3ヶ月 利用開始までに2〜3ヶ月程度かかります。焦らず準備しましょう。
- 相談支援専門員を活用 相談支援専門員が全面的にサポートしてくれます。遠慮なく頼りましょう。
- 受給者証が必須 障害福祉サービス受給者証の取得が必要です。早めに申請しましょう。
- 複数の事業所を見学 一つではなく、複数(3〜5ヶ所)見学して比較検討しましょう。
- 体験利用を活用 見学だけでなく、必ず体験利用をしましょう。
- 生活リズムを整える 利用開始前に、生活リズムを整えましょう。
- 通所ルートを確認 事前に通所ルートを確認し、下見をすると安心です。
- 持ち物・服装を準備 初日の持ち物と適切な服装を準備しましょう。
- 焦らず、自分のペースで 準備も利用開始も、焦らず自分のペースで進めましょう。
あなたへのメッセージ
B型事業所の利用を決めた、または検討している それは、大きな一歩です。
「でも、何から始めればいいのか分からない」「手続きが複雑そう」「準備が大変そう」 そんな不安を感じているかもしれません。
確かに、受給者証の申請、事業所探し、体験利用、契約 いくつかの手続きと準備が必要です。初めてのことで、分からないことだらけかもしれません。
でも、知ってください。あなたは一人ではありません。
相談支援専門員が、全面的にあなたをサポートしてくれます。書類の書き方、事業所探し、見学の付き添い、契約の立ち会い すべてを一緒にやってくれます。分からないことがあれば、何度でも質問できます。
市区町村の障害福祉課も、手続きを丁寧に教えてくれます。主治医も、必要な診断書を書いてくれます。事業所の支援員も、あなたを温かく迎えてくれます。
たくさんの人が、あなたの新しい一歩を支えてくれます。
準備は、一度に全部やる必要はありません。一歩ずつ、順番に進めていけばいいんです。今日は市区町村に相談に行く、来週は相談支援事業所に連絡する、その次の週は受給者証を申請する 一つずつ、クリアしていきましょう。
焦る必要はありません。2〜3ヶ月かかるのは普通です。急がず、自分のペースで進めてください。
そして、準備の過程も、大切な経験です。事業所を見学することで、「こんな場所があるんだ」「こんな作業があるんだ」と新しい発見があります。体験利用で、「ここなら自分に合っているかも」と感じられるかもしれません。
不安もあるでしょう。「本当に自分にできるだろうか」「続けられるだろうか」 そんな不安は、自然なことです。でも、その不安と一緒に、少しの期待もありませんか? 「新しい場所」「新しい仲間」「新しい自分」への期待が。
その期待を、大切にしてください。そして、一歩ずつ、準備を進めていきましょう。
あなたが、無事にB型の利用を開始し、自分のペースで通所を続けられることを心から願っています。
準備は大変かもしれません。でも、あなたなら大丈夫です。たくさんの人が支えてくれます。そして、あなた自身にも、新しい一歩を踏み出す力があります。
焦らず、諦めず、一歩ずつ。準備を進めていきましょう。
新しい世界が、あなたを待っています。応援しています。

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