「自分はB型を利用すべきなのか分からない」「B型が本当に自分に合っているのか判断できない」「利用するかどうか迷っている」
就労継続支援B型の利用を検討しているものの、本当に利用すべきかどうか判断に迷っている方は少なくありません。B型は福祉サービスの一つであり、一般就労が困難な方の就労と社会参加を支援する場です。
しかし、すべての人に合うわけではなく、また他の選択肢もあります。「とりあえずB型」と安易に決めるのではなく、自分の状況、目標、価値観に照らし合わせて慎重に判断することが重要です。
本記事では、B型利用の対象者、利用すべき人・向いている人、利用すべきでない人・向いていない人、判断のための自己チェックリスト、B型以外の選択肢、そして後悔しない決断をするための方法について詳しく解説していきます。
B型の基本情報と対象者
まず、B型の基本的な情報と対象者を確認しましょう。
B型とは
就労継続支援B型の概要
- 目的 一般企業での就労が困難な障害者に、就労の機会を提供し、生産活動を通じて知識・能力の向上を図る
- 雇用契約 なし(福祉サービスの利用)
- 工賃 作業に対して工賃が支払われる(全国平均月額約16,000円)
- 通所 週1日〜週5日、体調に合わせて柔軟に利用できる(事業所により異なる)
- 作業内容 軽作業、清掃、農作業、パソコン作業、手工芸、食品加工など多様
法的な対象要件
以下のいずれかに該当する方
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業での就労が困難になった人
- 50歳に達している人
- 障害基礎年金1級を受給している人
- 就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面での課題等が把握されている人
障害の種類
- 身体障害
- 知的障害
- 精神障害
- 発達障害
- 難病
障害者手帳がなくても、医師の診断や意見書があれば利用できる場合もあります。
B型を利用すべき人・向いている人
どのような人がB型の利用に向いているのか、具体的に見ていきましょう。
1. 一般就労は難しいが社会とつながりたい人
社会参加の場を求めている
- 体力的・精神的に一般就労は困難
- でも、完全に引きこもるのではなく、社会と何らかのつながりを持ちたい
- 人と関わりたい、役に立ちたいという気持ちがある
2. 生活リズムを整えたい人
規則正しい生活の枠組みが欲しい
- 長期間引きこもっていて、生活リズムが乱れている
- 一人では生活リズムを整えられない
- 通所という外的な枠組みが必要
3. 長期ブランクがあり、段階的に社会復帰したい人
いきなり一般就労は無理
- 数年〜数十年のブランクがある
- まずは低いハードルから始めたい
- 段階的にステップアップしたい
4. 週5日フルタイムは無理だが、短時間・短日数なら働ける人
体力や体調に波がある
- フルタイム勤務は体力的・精神的に無理
- 週2〜3日、1日3〜4時間なら可能
- 自分のペースで働きたい
5. 作業を通じてスキルを身につけたい人
職業訓練の場として
- パソコンスキル
- 軽作業のスキル
- 対人スキル
- 時間管理のスキル
これらを身につけながら、将来の就労を目指したい人。
6. 居場所が欲しい人
孤立から脱したい
- 家族以外との人間関係がない
- 孤独を感じている
- 同じような境遇の人と出会いたい
- 理解してくれる職員や仲間が欲しい
7. 経済的に少しでも収入が欲しい人
わずかでも工賃を得たい
- 工賃は低いが、少しでも自分で稼ぎたい
- 年金や家族の支援だけでなく、自分の収入が欲しい
- 働いているという実感が欲しい
8. 一般就労を目指す前段階として利用したい人
ステップアップの場
- 最終的には一般就労やA型を目指している
- その前段階として、働く習慣を取り戻したい
- 体力や耐性をつけたい
9. 障害や病状が安定していて、配慮があれば働ける人
環境が整えば働ける
- 適切な配慮(休憩、通院、業務内容の調整など)があれば働ける
- 一般企業では配慮が得られないが、B型なら可能
- 自分のペースで働ける環境が必要
10. 「とりあえず何かを始めたい」人
完璧でなくていいから一歩を
- 完璧な準備はできないが、何か始めたい
- 試しにやってみたい
- 合わなければ辞めればいいという気持ちで始める
B型を利用すべきでない人・向いていない人
逆に、B型が向いていない人、または今は利用すべきでない人もいます。
1. 一般就労が十分に可能な人
B型に来る必要がない
- 体力も能力も十分にある
- フルタイムで働ける
- 一般企業で配慮なしに働ける
このような人は、一般就労を目指すべきです。
B型は、工賃が低く、キャリアアップも限定的です。
2. 急性期・病状が不安定な人
まず治療が優先
- 精神疾患の急性期
- 入退院を繰り返している
- 症状が非常に不安定
- 通所すること自体が困難
このような状態では、まず治療と療養が最優先です。無理に通所すると悪化します。
3. 外出すること自体が困難な人
在宅サービスの方が適切
- 外出恐怖が強い
- 体力的に通所が無理
- 感覚過敏で外の刺激に耐えられない
このような場合、まず在宅でのサービスや訪問支援の方が適切です。
4. 集団が極度に苦手な人
集団環境がトラウマになる
- 人が複数いるだけでパニックになる
- 過去の集団でのトラウマが強い
- 集団の中で症状が悪化する
B型は集団での活動が基本です。極度に集団が苦手な場合、無理をすると悪化します。
5. 本人に全く通所の意思がない人
家族や支援者だけが希望している
本人に全く意思がなく、家族や支援者だけが希望している場合、通所しても続きません。本人の意思が最も重要です。
6. より高度な支援が必要な人
B型では対応できない状態
- 常時医療的ケアが必要
- 重度の身体介護が必要
- 重度の行動障害があり、安全管理ができない
このような場合、生活介護など、より手厚い支援が必要です。
7. 一般就労をすぐに目指せる人
就労移行支援の方が適切
- 体力も能力もあり、2年以内に一般就労を目指せる
- 就職活動のサポートが必要
- スキルアップのトレーニングが必要
このような人は、B型ではなく就労移行支援の方が適しています。
8. 工賃の低さに納得できない人
経済的な期待が大きい
B型の工賃は全国平均で月額約16,000円と非常に低いです。これに納得できず、「こんなに働いて」とストレスになる場合、向いていません。
9. 完璧主義が強すぎる人
柔軟性がない
B型は、様々な障害や状態の人が集まる場所です。完璧を求めすぎると、ストレスになります。
- 「この作業のやり方は間違っている」
- 「なぜこの人はこんなにミスをするのか」
- 「もっと効率的にすべき」
このような思いが強いと、苦痛になります。
10. 現時点で休息が最優先な人
今は何もしない時期
心身が疲弊しきっている場合、今は何もせず休むことが最優先です。無理に通所すると、さらに悪化します。
B型利用を判断するための自己チェックリスト
自分がB型を利用すべきか、以下のチェックリストで確認してみましょう。
身体・健康面のチェック
□ 週に数日、数時間の通所に耐えられる体力がある □ 病状が比較的安定している □ 通院と両立できる □ 外出することができる(家から出られる) □ 公共交通機関または自転車・徒歩で通所できる □ 決まった時間に起きられる(または起きる努力ができる)
精神・意欲面のチェック
□ 通所したいという気持ちが自分にある(家族だけでなく) □ 社会とつながりたいという思いがある □ 人と関わることに強い恐怖はない(苦手でも許容範囲) □ 作業を通じて何かを得たいと思っている □ 長期的には何らかの形で社会参加したいと考えている
目標・期待のチェック
□ B型の目的(就労訓練、社会参加、生活リズム)を理解している □ 工賃が低いことを理解し、納得している □ 「すぐに一般就労」ではなく、段階的なステップと理解している □ 完璧を求めず、できる範囲でいいと思える □ 合わなければ辞めればいいと思える
環境・サポートのチェック
□ 通える範囲にB型事業所がある □ 相談支援専門員がいる(またはつける予定) □ 家族や周囲の理解がある(またはなくても自分で決められる) □ 経済的に通所できる(交通費など)
判定
「はい」が多いほど、B型利用が適している可能性が高い
- 15個以上 B型利用を前向きに検討してよい
- 10〜14個 見学や体験をしながら慎重に判断
- 5〜9個 今は時期ではないかもしれない。他の選択肢も検討
- 4個以下 今はB型利用は時期尚早。まず他のサポートを
ただし、これはあくまで目安です。最終的には、相談支援専門員や医師と相談しながら決めます。
B型以外の選択肢
B型が合わない、または今は時期ではない場合、他の選択肢もあります。
生活訓練(自立訓練)
まず生活を整える
- 生活リズムを整える
- 基本的な生活スキルを身につける
- 体力をつける
- 期間 2年間(必要に応じて1年延長可能)
B型の前段階として有効です。
就労移行支援
一般就労を目指す
- 2年以内に一般就労を目指す人向け
- 職業訓練
- 就職活動のサポート
- 期間 2年間
体力と意欲があり、一般就労を目指せる人に適しています。
就労継続支援A型
雇用契約あり、最低賃金保障
- B型より工賃が高い(最低賃金が保障される)
- 雇用契約を結ぶ
- B型より求められるレベルが高い
B型では物足りない、もう少し働きたい人に適しています。
地域活動支援センター
より緩やかな居場所
- B型より自由度が高い
- 就労訓練というより居場所機能が強い
- 通所頻度も柔軟
B型はハードルが高いと感じる人に適しています。
在宅ワーク
家で働く
- クラウドソーシング
- 内職
- 在宅での創作活動
通所が困難な人に適しています。
短時間のアルバイト
週1日、1日2時間など
B型より柔軟で、給料も高いことがあります。ただし、配慮は得られにくいです。
デイケア(精神科)
医療的サポートがある居場所
精神科のデイケアは、医療的サポートがあり、病状が不安定な人に適しています。
何もしない期間
休息を優先
今は無理に何かをせず、休むことが最優先の時期かもしれません。
利用を決断するための具体的なステップ
B型を利用するかどうか、後悔しない決断をするためのステップです。
ステップ1 情報収集
B型について正しく理解する
- Webサイト、パンフレット
- 相談支援専門員に質問
- 実際に利用している人の話を聞く
ステップ2 自己分析
自分の状態を客観的に把握
- 体力、体調
- 目標、希望
- 何が不安か
- 何を求めているか
上記のチェックリストを使いながら、自己分析します。
ステップ3 専門家に相談
一人で決めない
- 主治医
- 相談支援専門員
- カウンセラー
- 家族
複数の視点から意見を聞きます。
ステップ4 見学
実際に見てみる
複数の事業所を見学します。
- 雰囲気
- 作業内容
- 職員の対応
- 他の利用者の様子
ステップ5 体験利用
実際に体験してみる
見学だけでは分からないことが多いです。数日〜数週間、実際に体験します。
ステップ6 振り返り
冷静に振り返る
体験後、以下を振り返ります。
- 良かった点
- 不安な点
- 続けられそうか
- 他の事業所も見たいか
ステップ7 決断
納得して決める
- 利用する
- 別の事業所を探す
- B型以外の選択肢を検討する
- 今は利用しない
どの選択も正しいです。自分が納得できる選択をします。
ステップ8 柔軟に見直す
決断は変えてもいい
一度決めても、状況が変われば見直せます。
- 利用開始後、合わなければ辞める
- しばらく休んで再開する
- 別の事業所に変える
柔軟に対応します。
よくある判断の迷いと答え
Q1. 「とりあえず行ってみる」でもいいですか?
A. はい、「とりあえず」でもOKです。
完璧に準備ができてから、ではなく、「とりあえず見学」「とりあえず体験」で始めてもいいです。合わなければ辞めればいいのです。
Q2. 工賃が低いのにB型に行く意味はありますか?
A. 経済面以外の価値を見出せるかが鍵です。
工賃だけを見れば、確かに低いです。しかし、
- 社会とのつながり
- 生活リズム
- 居場所
- スキルアップ
これらに価値を見出せるなら、意味があります。
Q3. 一般就労への道が遠のくのではないですか?
A. 使い方次第です。
B型を「ゴール」にすると、確かに一般就労は遠のきます。しかし、「ステップ」として、体力や耐性をつけ、次を目指すなら、プラスになります。
Q4. 「障害者の作業所」に通うことに抵抗があります。
A. その抵抗感は自然です。
スティグマ(偏見)を感じることは自然です。しかし、
- 自分の健康と生活が最優先
- 他人の目より、自分の幸せ
- B型利用は恥ではない
と考え方を変えていくことも大切です。
Q5. 家族が反対しています。どうすればいいですか?
A. 最終的には自分で決めます。
家族の意見は参考にしますが、最終的に決めるのはあなたです。医師や相談支援専門員から家族に説明してもらうことも有効です。
まとめ
就労継続支援B型を利用すべきかどうかの判断は、あなたの状況、目標、価値観によって異なります。一般就労が難しいが社会とつながりたい、生活リズムを整えたい、段階的に社会復帰したい人には向いています。
一方、病状が不安定、外出が困難、集団が極度に苦手、本人の意思がない人には向いていません。
自己チェックリストで自分の状態を確認し、専門家に相談し、見学・体験を通じて、納得できる判断をすることが重要です。
B型が唯一の選択肢ではなく、生活訓練、就労移行支援、A型、地域活動支援センター、在宅ワークなど、他の選択肢もあります。
最も大切なのは、「自分が納得して選ぶ」ことです。他人の意見に流されず、自分の気持ちと状態に正直に向き合い、自分のペースで決断してください。
一度決めても、状況が変われば見直せます。柔軟に、焦らず、自分らしい選択をしていきましょう。
あなたには、自分の人生を自分で決める権利があります。その権利を大切にしてください。

コメント