「本人が外出できないけど、家族だけで相談できる?」「本人は相談を嫌がるけど、家族が代わりに話を聞きたい」「まずは家族だけで情報収集したい」就労継続支援B型の利用を検討しているが、様々な事情で本人が相談に行けない、または行きたがらない。そんなとき、家族だけでの相談は可能なのでしょうか。本記事では、家族だけでの相談の可否、できること・できないこと、効果的な相談方法、そして本人を相談につなげる方法まで詳しく解説します。
結論 家族だけでの相談は可能だが、限界もある
家族だけでも相談できる
結論から言えば、家族だけでの相談は可能です。
多くの相談支援事業所や市区町村の障害福祉課は、家族からの相談を受け付けています。
特に以下のような状況では、家族だけでの相談が一般的です。
- 本人が重度の障害で外出困難
- 本人が引きこもり状態
- 本人が病状により相談に行けない
- 本人が相談に対して拒否的
- まずは家族が情報収集したい
ただし、限界もある
家族だけの相談では、以下のような限界があります。
- 情報提供まで 制度の説明、大まかな利用条件、利用の流れなどは聞けます
- 手続きは進められない 受給者証の申請、サービス等利用計画の作成、事業所との契約などは、本人の同意・同席が必要です
- 本人の意向が分からない 本人が何を望んでいるか、どんな作業がしたいか、は本人にしか分かりません
段階的なアプローチ
現実的には、以下のような段階的なアプローチが推奨されます。
第1段階 家族だけで情報収集 ↓ 第2段階 家族が本人に情報を伝え、意向を確認 ↓ 第3段階 家族と本人が一緒に相談 ↓ 第4段階 本人が主体となって利用開始
家族だけで相談できること
具体的に、家族だけでどこまで相談できるかを解説します。
1. 制度の説明を聞く
就労継続支援B型とは何か、どんなサービスか、A型との違い、利用条件、費用など、制度全般の説明を受けられます。
2. 利用の流れを確認する
利用開始までの手続き、必要な書類、期間などを確認できます。
3. 大まかな利用条件の確認
「こういう状況の人は利用できますか?」という大まかな確認はできます。
ただし、最終的な判断には、本人の状況を直接確認する必要があります。
4. 地域の事業所の情報収集
この地域にどんな事業所があるか、作業内容、工賃、雰囲気などの情報を得られます。
パンフレットをもらうこともできます。
5. 見学の予約
家族だけで事業所を見学することもできます。
ただし、本人の見学が別途必要になることが多いです。
6. 本人を相談につなげる方法の相談
「本人が引きこもりで相談に来られないのですが、どうすればいいですか?」という相談自体ができます。
訪問支援など、適切な方法を提案してもらえます。
7. 他のサービスの紹介
就労継続支援B型以外に、訪問看護、訪問診療、生活訓練、地域活動支援センターなど、他のサービスの情報も得られます。
8. 家族自身の相談
「本人への接し方が分からない」「家族が疲弊している」といった家族自身の悩みも相談できます。
家族向けのサポート(家族会、レスパイトケアなど)も紹介してもらえます。
家族だけではできないこと
以下は、本人の同意・同席が必要です。
1. 受給者証の申請
障害福祉サービス受給者証の申請は、本人の申請が原則です。
(ただし、本人が申請困難な場合、家族が代理申請できることもあります。後述)
2. サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が作成する計画ですが、本人の意向を聞く必要があります。
3. 事業所との利用契約
事業所との契約は、本人(または成年後見人)が行います。
4. 詳細なアセスメント
本人の能力、適性、希望などを詳しく評価するアセスメントは、本人が必要です。
5. 具体的な利用調整
「週何日、何時間通うか」「どの事業所にするか」「どの作業をするか」などの具体的な調整は、本人の意向が必要です。
6. 医師の意見書の取得
受給者証の申請に必要な医師の意見書は、本人が診察を受けて取得します。
(ただし、既に通院している場合、家族が代理で依頼できることもあります)
家族だけで相談する際の準備
効果的に相談するための準備です。
1. 本人の状況を整理する
相談支援専門員に、本人の状況を説明できるよう整理します。
基本情報
- 本人の名前、年齢、性別
- 家族構成
- 現在の生活状況(誰と暮らしているか)
障害・病気について
- 診断名
- 発症時期
- 現在の症状
- 通院の有無、服薬の有無
- 障害者手帳の有無(種類、等級)
現在の状況
- 日中の過ごし方
- 外出の可否
- コミュニケーションの状態
- 生活リズム(起床、就寝時刻など)
過去の経歴
- 学歴
- 職歴
- 他のサービスの利用歴(デイケア、就労移行支援など)
家族の希望
- なぜ就労継続支援B型を検討しているのか
- 家族として、どうなってほしいか
本人の意向(分かる範囲で)
- 本人は働きたいと言っているか
- 本人はどんなことに興味があるか
- 本人は相談に行くことを了承しているか
2. 必要書類を準備する
持参すると良いもの
- 障害者手帳のコピー(持っている場合)
- 診断書のコピー(あれば)
- 年金証書のコピー(障害年金を受給している場合)
- お薬手帳のコピー
- これまでの経緯をまとめたメモ
本人の同意
可能であれば、本人に「家族が相談に行くこと」への同意を得ておきます。
「あなたのことで相談に行ってもいい?」
同意が得られない場合でも、「本人は同意していないが、家族として相談したい」と正直に伝えます。
3. 質問リストを作る
聞きたいことをメモしておきます。
- 本人のような状況で、就労継続支援B型は利用できますか?
- 利用までの流れを教えてください
- 本人が相談に来られない場合、どうすればいいですか?
- 訪問相談はできますか?
- この地域の事業所を教えてください
- 家族だけで見学できますか?
- 他に利用できるサービスはありますか?
- 本人を説得する方法はありますか?
4. 予約する
相談支援事業所に電話またはメールで予約します。
電話の例 「就労継続支援B型について相談したいのですが、本人が外出できないため、家族だけで相談させていただけますか?」
最初から「家族だけ」であることを伝えておくと、スムーズです。
家族だけでの相談の流れ
実際の相談の流れです。
1. 受付・挨拶(5分)
「〇時に予約した△△(本人の名前)の家族です」と伝えます。
2. 状況の説明(10〜15分)
本人の状況を説明します。
準備したメモを見ながら、整理して話します。
「本人は〇〇障害があり、現在引きこもり状態です。家族として、就労継続支援B型の利用を検討していますが、本人がまだ相談に来られる状態ではありません」
3. 相談の目的を伝える(5分)
「今日は、制度について教えていただき、今後どうすればいいか相談したいです」
4. 制度の説明を受ける(15〜20分)
相談支援専門員から、就労継続支援B型の説明を受けます。
5. 質問する(10〜15分)
準備した質問をします。
特に重要なのは、「本人が相談に来られない場合、どうすればいいか?」です。
6. 今後の流れを決める(10分)
次のステップを決めます。
- 訪問相談の予約
- 家族が事業所を見学
- 本人に情報を伝え、意向を確認
- 再度、家族が相談に来る
7. 終了(5分)
次回の予約や、持参すべき書類を確認します。
所要時間
1〜1.5時間程度
本人不在での相談で伝えるべきこと
本人がいないため、家族が代わりに伝えるべき重要なポイントです。
1. 本人が来られない理由
「本人は現在、〇〇な状態で、外出が困難です」 「本人は引きこもり状態で、相談を拒否しています」 「本人は重度の障害があり、コミュニケーションが困難です」
正直に伝えます。
2. 本人の意向(分かる範囲で)
「本人は、働きたいという気持ちはあるようです」 「本人は、何も言わないので、意向が分かりません」 「本人は、外に出たくないと言っています」
分かる範囲で伝えます。
分からない場合は、「分かりません」と正直に言います。
3. 家族の希望と不安
「家族としては、本人に社会とのつながりを持ってほしいです」 「このまま引きこもり続けるのではないかと不安です」
家族の気持ちも伝えます。
4. 本人の強み・興味
「本人は、パソコンが得意です」 「本人は、動物が好きです」 「本人は、以前〇〇の仕事をしていました」
本人の強みや興味を伝えることで、適切な支援につながります。
5. 家族のサポート体制
「家族は全面的にサポートできます」 「家族も高齢で、サポートに限界があります」
家族の状況も伝えます。
本人を相談につなげる方法
家族だけの相談の後、どうやって本人を相談につなげるか。
1. 訪問相談を依頼する
多くの相談支援事業所は、訪問相談を行っています。
「本人が外出できないので、自宅に来ていただけますか?」
訪問相談では、相談支援専門員が自宅を訪問し、本人と直接話します。
本人が部屋から出てこない場合も、ドア越しに話す、家族を通じて伝える、などの方法があります。
2. 家族が情報を伝える
家族だけで相談した内容を、本人に伝えます。
伝え方のコツ
- 押し付けない
- 選択肢を示す
- 小さなステップから
例 「就労継続支援B型っていうサービスがあるんだって。週1日、数時間から通えるらしいよ。見学だけでもしてみない?」
3. パンフレットを見せる
文字や写真で見ることで、イメージしやすくなります。
4. 動画を見せる
YouTubeなどで、就労継続支援B型の様子を紹介している動画があります。
視覚的に理解しやすくなります。
5. 本人の不安を聞く
「何が嫌なの?」「何が不安なの?」と本人の気持ちを聞きます。
不安が分かれば、それに対処できます。
6. 小さなステップから始める
いきなり「相談に行こう」ではなく、小さなステップから。
ステップ例
- パンフレットを見る
- 動画を見る
- 事業所のホームページを見る
- 家族が見学に行った話を聞く
- 訪問相談を受ける
- 家族と一緒に事業所を見学
- 一人で事業所を見学
- 体験利用
7. 期限を決めない
「今すぐ」ではなく、本人のペースを尊重します。
「いつか、準備ができたら」という姿勢で。
8. 専門家の力を借りる
主治医、ソーシャルワーカー、訪問看護師など、本人が信頼している専門家から勧めてもらう方法もあります。
本人が拒否する場合の対処
本人が「相談したくない」「働きたくない」と拒否する場合の対処法です。
1. 本人の気持ちを尊重する
無理強いは逆効果です。
本人の気持ちを尊重しつつ、時間をかけて働きかけます。
2. 拒否の理由を理解する
なぜ拒否するのか、理由を理解します。
- 人と関わるのが怖い
- 失敗するのが怖い
- 働くことへのプレッシャー
- 今の生活を変えたくない
- 自信がない
理由が分かれば、それに対応できます。
3. 家族の気持ちを伝える
押し付けではなく、「心配している」「応援したい」という気持ちを伝えます。
4. 成功例を見せる
同じような状況から、就労継続支援B型を利用して良くなった例を紹介します。
(相談支援専門員に聞けば、プライバシーに配慮した形で教えてくれます)
5. 専門家の助けを借りる
家族だけで説得しようとせず、専門家(主治医、カウンセラー、相談支援専門員など)の力を借ります。
6. 家族自身がサポートを受ける
本人が拒否し続ける場合、家族も疲弊します。
家族向けの相談窓口、家族会などで、家族自身がサポートを受けることも大切です。
7. 時間をかける
数か月、1年、2年とかかることもあります。
焦らず、長期的な視点で。
本人が判断能力に問題がある場合
本人が重度の知的障害、認知症などで判断能力に問題がある場合の対処です。
1. 成年後見制度の利用
本人が契約などの法律行為を行うのが困難な場合、成年後見制度を利用します。
成年後見人が、本人に代わって契約などを行います。
2. 市区町村長申立て
家族がいない、または家族が申立てできない場合、市区町村長が成年後見の申立てを行うこともできます。
3. 相談支援専門員に相談
「本人は判断能力に問題があります」と相談すれば、適切な手続きを案内してもらえます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 本人に内緒で、家族だけで相談してもいいですか?
A. 情報収集の段階なら問題ありません。
ただし、実際の利用には本人の同意が必要です。
可能な限り、本人に「相談に行く」ことを伝えた方が良いでしょう。
Q2. 家族だけで見学できますか?
A. 多くの事業所は、家族だけの見学も受け入れています。
ただし、本人の見学が別途必要になることが多いです。
Q3. 家族だけで受給者証の申請はできますか?
A. 原則として、本人の申請が必要です。
ただし、本人が重度の障害などで申請困難な場合、家族が代理申請できることがあります。
市区町村の障害福祉課に相談してください。
Q4. 本人が「絶対に働きたくない」と言っています。それでも相談していいですか?
A. はい、相談して大丈夫です。
「本人は拒否していますが、家族として今後どうすればいいか相談したい」と伝えてください。
本人を無理やり利用させることはできませんが、家族へのアドバイスや他の支援策を提案してもらえます。
Q5. 本人が引きこもりで、誰とも話しません。それでも利用できますか?
A. 引きこもり状態でも、段階的に利用できる可能性があります。
まず訪問相談から始め、徐々に外とのつながりを作っていく方法があります。
Q6. 家族だけで相談したことを、本人に知られたくありません。
A. 相談支援専門員には守秘義務があります。
「本人には内緒にしてほしい」と伝えれば、配慮してもらえます。
Q7. 家族だけで何度も相談してもいいですか?
A. はい、何度でも相談できます。
納得いくまで、遠慮せず相談してください。
まとめ
就労継続支援B型の相談は、家族だけでも可能です。
家族だけでできることは、制度の説明を聞く、利用の流れを確認する、大まかな利用条件の確認、地域の事業所の情報収集、見学の予約、本人を相談につなげる方法の相談、他のサービスの紹介、家族自身の相談、です。
家族だけではできないことは、受給者証の申請、サービス等利用計画の作成、事業所との利用契約、詳細なアセスメント、具体的な利用調整、医師の意見書の取得(本人の診察が必要)、です。
家族だけでの相談の準備として、本人の状況を整理し、必要書類を準備し、質問リストを作り、予約します。
相談では、本人が来られない理由、本人の意向(分かる範囲で)、家族の希望と不安、本人の強み・興味、家族のサポート体制を伝えます。
本人を相談につなげる方法は、訪問相談を依頼する、家族が情報を伝える、パンフレットや動画を見せる、本人の不安を聞く、小さなステップから始める、期限を決めない、専門家の力を借りる、です。
本人が拒否する場合は、本人の気持ちを尊重し、拒否の理由を理解し、家族の気持ちを伝え、成功例を見せ、専門家の助けを借り、家族自身がサポートを受け、時間をかけて働きかけます。
まずは家族だけで相談し、情報を集め、本人につなげる方法を専門家と一緒に考えることができます。
一人で抱え込まず、まずは相談してみてください。応援しています!

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