善光寺について知る

善光寺は長野県長野市に位置する無宗派の寺院で、日本最古の仏像とされる一光三尊阿弥陀如来を本尊として祀る、約1400年の歴史を持つ古刹です。一生に一度は善光寺参りと言われるほど古くから庶民の信仰を集め、年間約600万人もの参拝者が訪れる日本有数の霊場です。宗派を問わず誰でも参拝できる開かれた寺として、また牛に引かれて善光寺参りの伝説でも知られています。本記事では善光寺の歴史や由緒、ご本尊、境内の見どころ、そして参拝する際に知っておきたい情報について詳しく見ていきます。

善光寺の歴史と由緒

善光寺の創建は皇極天皇元年642年とされ、約1400年の歴史を持ちます。本尊の一光三尊阿弥陀如来は、日本に最初に伝えられた仏像といわれ、飛鳥時代の552年に百済から伝来したと伝えられています。

仏教伝来当初、崇仏派と廃仏派の対立があり、この仏像は難波の堀江に捨てられました。それを本田善光という人物が信濃国に持ち帰り、自宅に安置したのが善光寺の起源とされています。善光寺という寺名も、この本田善光の名に由来します。

以来、天台宗と浄土宗が共同で管理する珍しい形態を取り、江戸時代には幕府の庇護も受けて発展しました。宗派を超えた信仰の場として、また女性の参拝も歓迎する開かれた寺として、多くの人々の信仰を集めてきました。

ご本尊の一光三尊阿弥陀如来

善光寺の本尊は一光三尊阿弥陀如来で、絶対秘仏として誰も見ることができません。厨子の中に安置され、住職でさえも拝むことが許されない秘仏です。その姿は一つの光背の中に阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の三尊が並ぶ独特の形式です。

本尊の代わりに前立本尊が安置されており、これも普段は秘仏ですが、7年に一度の御開帳の時期だけ特別に公開されます。この御開帳は数え年で7年に一度行われる盛大な行事で、全国から数百万人の参拝者が訪れます。

善光寺参りで一度でもお参りすれば極楽往生が約束されるという信仰があり、性別や宗派を問わず誰でも平等に救われるという教えが、多くの人々を惹きつけてきました。

本堂と国宝建築

善光寺本堂は国宝に指定されている壮大な建築物です。現在の本堂は宝永4年1707年に再建されたもので、東日本最大級の木造建築として知られています。間口約24メートル、奥行約54メートル、高さ約29メートルという巨大な建物です。

本堂は撞木造という独特の形式で、T字型の平面を持っています。正面から見ると荘厳な姿で、屋根の曲線美も見事です。内部は外陣、中陣、内陣に分かれており、厳かな雰囲気に包まれています。

本堂の内陣では、お戒壇巡りという体験ができます。真っ暗な地下の回廊を歩き、ご本尊の真下にある極楽の錠前に触れることで、ご本尊との結縁が叶うとされています。この体験は善光寺参拝の大きな魅力の一つです。

お戒壇巡りの体験

お戒壇巡りは善光寺参拝の最大の見どころの一つです。本堂の床下にある真っ暗な回廊を進み、ご本尊の真下にある極楽の錠前に触れることで、極楽往生が約束されるという信仰があります。

回廊は本当に真っ暗で、何も見えない中を手探りで壁伝いに進みます。この暗闇の体験は、煩悩に覆われた人間の心の闇を象徴しており、錠前に触れることで仏の光に導かれることを意味しています。

初めての方は暗闇に驚くかもしれませんが、安全な設計になっていますので安心してください。ゆっくりと壁に手を添えて進めば、必ず錠前に辿り着けます。この神秘的な体験は忘れられない思い出となるでしょう。

山門と仁王像

善光寺の山門は重要文化財に指定されている立派な二階建ての門です。寛延3年1750年に再建されたもので、高さ約20メートルの堂々とした姿は善光寺のシンボルの一つです。

山門には仁王像が安置されており、参拝者を迎えています。また二階部分には文殊菩薩像などが安置されており、特別拝観の際には登楼することもできます。山門からの眺望も素晴らしく、長野市街を一望できます。

山門の扁額には善光寺という文字が書かれていますが、この文字の中には鳩が5羽隠れているという言い伝えがあります。探してみるのも楽しみの一つです。

仲見世と参道

善光寺の参道には仲見世通りが続いており、江戸時代から続く商店が軒を連ねています。土産物店や飲食店、宿坊などが並び、参拝者で賑わう活気ある通りです。

名物の蕎麦や七味唐辛子、おやきなど、長野ならではの味を楽しむことができます。また善光寺名物の八幡屋礒五郎の七味唐辛子は、300年以上の歴史を持つ老舗の品で、お土産として人気があります。

参道を歩くこと自体が善光寺参りの楽しみの一つです。ゆっくりと散策しながら、寺町の雰囲気を味わうことができます。宿坊に泊まれば、朝のお勤めに参加することもできます。

牛に引かれて善光寺参り

善光寺には牛に引かれて善光寺参りという有名な伝説があります。ある強欲な老婆が、布を角にかけて逃げた牛を追いかけているうちに、いつの間にか善光寺に辿り着き、そこで改心したという話です。

この伝説は、思いがけないきっかけで善いことに導かれることの例えとして広く知られています。また善光寺が誰でも受け入れる開かれた寺であることを象徴する話でもあります。

境内には牛の像もあり、この伝説を今に伝えています。善光寺の懐の深さと、庶民に寄り添う姿勢を感じさせる逸話です。

朝のお朝事

善光寺では毎朝、お朝事という朝の勤行が行われています。住職が本堂に向かう際、参拝者の頭に数珠で触れる御数珠頂戴という儀式があり、これを受けることができれば功徳があるとされています。

早朝から多くの参拝者が集まり、住職を待ちます。季節によって時間が異なりますが、夏は朝5時30分頃、冬は朝6時30分頃から始まります。早起きは大変ですが、朝の清々しい空気の中での参拝は格別です。

お朝事の後は、宿坊で朝食をいただくこともできます。精進料理の朝食は健康的で美味しく、善光寺参りの醍醐味の一つです。

七年に一度の御開帳

善光寺最大の行事が、数え年で七年に一度行われる御開帳です。普段は秘仏である前立本尊が特別に公開され、全国から数百万人の参拝者が訪れます。次回の御開帳は事前に発表されますので、その時期に合わせて訪れるのも特別な体験となります。

御開帳の期間中は、本堂前に回向柱が立てられます。この柱は前立本尊と綱で結ばれており、柱に触れることで本尊と結縁できるとされています。多くの参拝者が柱に触れるために列を作ります。

御開帳は約2ヶ月間続き、その間は様々な法要や行事が執り行われます。特別な賑わいと信仰の熱気を感じられる貴重な機会です。

宿坊での宿泊体験

善光寺周辺には39の宿坊があり、一般の参拝者も宿泊することができます。宿坊とは寺院に付属する宿泊施設で、僧侶や参拝者のための宿です。精進料理をいただき、朝のお勤めに参加できる貴重な体験ができます。

宿坊によって雰囲気や設備は異なりますが、多くは歴史ある建物で、静かで落ち着いた時間を過ごせます。現代的な設備を備えた宿坊もあり、快適に宿泊できます。

朝のお勤めに参加し、精進料理をいただくことで、善光寺参りをより深く体験できます。一泊して善光寺の精神に触れることは、日帰り参拝とは違った価値があります。

参拝のマナーと作法

善光寺は無宗派の寺院ですので、どの宗派の方でも、また信仰を持たない方でも気軽に参拝できます。ただし聖地ですので、敬意を持って静かに参拝することが大切です。

本堂での参拝は、お賽銭を入れてから手を合わせます。仏教寺院ですので、神社のように拍手は打ちません。静かに合掌して祈ります。

境内は広いので、歩きやすい靴で訪れることをお勧めします。また本堂内は土足厳禁ですので、靴を脱いで上がります。お戒壇巡りに参加する場合も、靴を脱いで入ります。

拝観時間と拝観料

善光寺の境内は基本的に自由に参拝できますが、本堂内陣への入場は拝観料が必要です。大人600円、高校生300円、小中学生100円で、お戒壇巡りも含まれています。

開門時間は季節によって異なります。夏期は朝4時30分頃から、冬期は朝6時頃から開門します。閉門は日没頃までです。早朝のお朝事に参加する場合は、さらに早い時間から入場できます。

年中無休で参拝できますが、法要などで内陣に入れない時間帯もあります。特に大きな行事の際は混雑しますので、事前に確認してから訪れると良いでしょう。

アクセス方法

善光寺へのアクセスはJR長野駅が最寄りです。長野駅から善光寺までは約2キロメートルで、バスで約15分、徒歩では約30分です。

バスは長野駅善光寺口から頻繁に運行されており、善光寺大門バス停で下車すると仲見世通りの入口です。また善光寺バス停で下車すると本堂に近くなります。

タクシーを利用する場合は約10分、料金は1000円程度です。車で訪れる場合は周辺に有料駐車場がありますが、週末や御開帳期間中は混雑するため、公共交通機関の利用がお勧めです。

周辺の見どころ

善光寺周辺には他にも見どころがあります。西光寺や往生寺など、善光寺に関連する寺院が点在しており、合わせて参拝することもできます。

また長野市街には善光寺門前町の風情が残っており、散策を楽しめます。蔵造りの建物や老舗の店が並び、歴史を感じられます。

長野駅周辺には土産物店や飲食店も充実しており、参拝後にショッピングや食事を楽しむこともできます。信州そばや郷土料理など、長野ならではの味を堪能できます。

まとめ

善光寺は約1400年の歴史を持つ無宗派の古刹であり、日本最古の仏像とされる一光三尊阿弥陀如来を本尊として祀っています。宗派を問わず誰でも参拝でき、一生に一度は善光寺参りと言われるほど古くから庶民の信仰を集めてきました。国宝の本堂は東日本最大級の木造建築で、内陣でのお戒壇巡りは真っ暗な回廊を進む神秘的な体験ができます。七年に一度の御開帳は数百万人が訪れる一大行事で、前立本尊を拝む貴重な機会です。朝のお朝事での御数珠頂戴や、宿坊での宿泊体験など、善光寺ならではの体験が豊富にあります。参道の仲見世通りには老舗の店が並び、蕎麦や七味唐辛子などの名物も楽しめます。長野駅からバスで約15分とアクセスも良好で、年間約600万人が訪れる日本有数の霊場です。性別や宗派を超えて誰でも平等に救われるという教えのもと、開かれた寺として多くの人々に親しまれています。善光寺参りで心の安らぎと信仰の深さを体験してみてはいかがでしょうか。

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