吃音について知る

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吃音は話し言葉が滑らかに出てこない発話障害で、音の繰り返し、引き伸ばし、詰まりなどの症状が特徴です。どもりとも呼ばれ、本人の意思とは関係なく起こる神経学的な問題です。

幼児期に発症することが多く、約100人に1人が吃音を経験するとされています。

多くは自然に改善しますが、成人まで持続する人もいます。吃音は単なる話し方の癖ではなく、周囲の理解と適切な支援が必要な状態です。

本記事では吃音の症状や原因、種類、治療法、そして吃音を持つ人や周囲の人が知っておくべき情報について詳しく見ていきます。

吃音の主な症状

吃音の最も典型的な症状は、音の繰り返しです。

ぼぼぼぼくのように、最初の音や音節を何度も繰り返してしまいます。特に語頭の音で起こりやすく、本人は先に進みたいのに同じ音を繰り返してしまう状態です。

音の引き伸ばしも特徴的な症状です。ぼーーーくのように、特定の音を通常より長く伸ばしてしまいます。また言葉が詰まってブロックと呼ばれる状態になり、声が全く出なくなることもあります。口を開けているのに音が出ない、息が止まるような感覚です。

これらの中核症状に加えて、随伴症状と呼ばれる身体的な緊張や動きが現れることがあります。

目をパチパチさせる、首を振る、足を踏み鳴らすなど、言葉を出そうとする努力の表れとして様々な動作が見られます。

吃音の心理的影響

吃音は単なる発話の問題だけでなく、心理的な影響も大きい障害です。特に人前で話すことへの不安や恐怖が強くなり、発表や電話、自己紹介などの場面を避けるようになることがあります。

言いにくい言葉を予測して言い換えたり、話すこと自体を避けたりする回避行動も見られます。これにより社会生活に支障をきたし、進学や就職、人間関係の構築に困難を感じることがあります。

また吃音に対する恥ずかしさや劣等感から、自己肯定感が低下しやすくなります。からかいやいじめの対象になった経験がある人も多く、心に深い傷を負っていることがあります。

吃音の原因

吃音の原因は完全には解明されていませんが、脳の言語処理や運動制御に関わる領域の機能的な違いが関係していると考えられています。

遺伝的要因も関与しており、家族に吃音の人がいると発症リスクが高くなります。

発達の過程で言語能力が急速に伸びる時期に、脳の言語処理が追いつかないことが一因とも考えられています。2歳から5歳頃、言葉を覚え始める時期に吃音が始まることが多いのはこのためです。

ただし吃音は本人の性格や育て方、心理的なトラウマが原因ではありません。

緊張やストレスで症状が悪化することはありますが、それらが根本原因ではないのです。この誤解が当事者や家族を苦しめることが多くあります。

発達性吃音と獲得性吃音

吃音には大きく分けて発達性吃音と獲得性吃音があります。発達性吃音は幼児期、特に2歳から5歳頃に発症するもので、吃音全体の約90パーセント以上を占めます。言語発達の過程で自然に生じるものです。

獲得性吃音は、それまで吃音がなかった人が、脳損傷、脳卒中、頭部外傷、心理的ショックなどをきっかけに発症するものです。成人になってから突然吃音が始まる場合は、このタイプの可能性があります。

また心因性吃音という、強いストレスや精神的なトラウマがきっかけで起こる吃音もあります。ただし発達性吃音の大部分は心因性ではなく、神経学的な基盤を持つものです。

吃音の経過

発達性吃音は2歳から5歳頃に始まることが多く、男児に多く見られます。発症初期は本人も気づいていないことがあり、自然に話しています。この時期を境界期と呼びます。

やがて自分が他の人と違う話し方をしていることに気づき、吃音を意識するようになります。この意識化により、話すことへの不安が生まれ、症状が複雑化することがあります。

発症から1年から2年以内に自然に改善する子どもが多く、約80パーセントは自然回復するとされています。ただし学童期以降も吃音が続く場合は、成人まで持続する可能性が高くなります。

吃音の波

吃音には波があり、症状が強く出る時期と軽い時期があります。疲れている、緊張している、急いでいるときなどは症状が悪化しやすくなります。逆にリラックスしているときや、歌を歌うとき、独り言のときは症状が軽減することがあります。

また話す相手や状況によっても変動します。初対面の人や権威のある人の前では症状が強く出やすく、親しい友人や家族とは比較的話しやすいことが多いです。

この変動性が、周囲に吃音を誤解させる原因にもなります。普通に話せるときもあるのだから気の持ちようだと思われがちですが、実際には本人の意思でコントロールできるものではありません。

子どもへの対応

幼児期に吃音が始まったとき、親の対応が重要です。

最も大切なのは、焦らず、子どもの話をゆっくり聞くことです。途中で言葉を補ったり、急がせたりせず、子どものペースを尊重しましょう。

吃音を指摘したり、ゆっくり話しなさい、落ち着いてと注意したりすることは逆効果です。子どもに話し方を意識させ、不安を高めてしまいます。普通に接し、話の内容に注目することが大切です。

また家庭環境をゆったりとしたものにし、子どもが安心して話せる雰囲気を作ることも重要です。せかさない、話を奪わない、十分な話す時間を与えるなどの配慮が効果的です。

言語聴覚療法

吃音の治療には言語聴覚士による言語聴覚療法が中心となります。子どもの場合は、環境調整や間接的なアプローチが主体です。親への指導を通じて、子どもが話しやすい環境を整えます。

学童期以降や成人の場合は、より直接的な訓練が行われます。流暢性形成法では、ゆっくりとした話し方や柔らかい発声など、吃音が起こりにくい話し方を練習します。

吃音緩和法では、吃音を完全になくすのではなく、より楽に吃る方法を学びます。ブロックを軽減する技法や、随伴症状を減らす方法などを身につけます。

認知行動療法

吃音に伴う不安や恐怖、回避行動に対しては、認知行動療法が効果的です。話すことへの否定的な思い込みを修正し、より現実的な考え方を身につけます。

段階的曝露では、避けていた場面に少しずつ挑戦していきます。

最初は比較的易しい場面から始め、徐々に難易度を上げていきます。実際に経験することで、恐れていたほど悪いことは起こらないと学びます。

また吃音があっても価値ある人生を送れることを理解し、吃音に人生を支配されない生き方を目指します。完璧に話せるようになることよりも、吃音を持ちながらも自分らしく生きることを重視します。

セルフヘルプグループ

吃音を持つ人同士のセルフヘルプグループは、非常に大きな支えになります。同じ経験を持つ人と出会い、理解し合えることで、孤独感が軽減されます。

グループでは吃音について率直に話し、経験や対処法を共有します。

吃音を隠さずに話せる場所があることは、心理的な安定につながります。また様々な生き方をしている先輩の姿を見ることで、希望を持つこともできます。

日本では言友会などの当事者団体があり、定期的に集まりや活動を行っています。参加することで、吃音と向き合う力が育まれます。

学校での配慮

学校生活では、吃音を持つ子どもへの適切な配慮が必要です。

教師が吃音について正しく理解し、クラス全体で受け入れる雰囲気を作ることが重要です。

音読や発表の際には、本人の希望を尊重しましょう。無理に指名したり、時間を制限したりせず、安心して話せる環境を提供します。必要に応じて、音読の代わりに他の方法で評価することも検討します。

またいじめやからかいを防ぐために、クラスメートへの説明も有効です。本人と保護者の同意を得た上で、吃音について正しい情報を伝えることで、理解と受容が進みます。

就労と職場での対応

吃音を持つ人も、適切なサポートがあれば様々な職業で活躍できます。

電話対応が少ない職種を選ぶ、プレゼンテーションの代替方法を認めてもらうなど、工夫次第で働きやすい環境を作れます。

職場に吃音のことを伝えるかは個人の判断ですが、理解を得られれば配慮を受けやすくなります。面接時や入社時に説明し、必要な配慮を求めることも一つの方法です。

障害者雇用枠を利用することも選択肢です。吃音は身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があり、これらを活用して就労支援を受けることも可能です。

テクノロジーの活用

近年、吃音に対するテクノロジーの活用も進んでいます。DAF遅延聴覚フィードバックやFAF周波数変調聴覚フィードバックなどの装置は、自分の声を遅らせたり変調させたりして聞くことで、流暢性を改善する効果があります。

スマートフォンのアプリとしても様々なツールが開発されており、発話練習や不安の管理に役立つものがあります。また音声認識技術を利用した代替コミュニケーション手段も選択肢の一つです。

ただしこれらは補助的な手段であり、根本的な治療ではありません。専門家の指導のもとで、他の治療法と組み合わせて使用することが効果的です。

社会の理解

吃音を持つ人が生きやすい社会を作るためには、社会全体の理解が不可欠です。吃音は本人の努力不足や性格の問題ではなく、神経学的な基盤を持つ障害であることを知る必要があります。

話し方を指摘したり、途中で言葉を補ったり、急がせたりすることは避けるべきです。ゆっくり待ち、話の内容に注目し、普通に接することが最も良い対応です。

また吃音を持つ人の能力を話し方だけで判断しないことも重要です。吃音があっても、知性や能力には全く問題がありません。多様性を尊重する社会の実現が求められています。

有名人と吃音

吃音を持ちながら様々な分野で活躍している人は多くいます。イギリスのジョージ6世国王は重度の吃音を持ちながら国王の務めを果たしました。映画英国王のスピーチでも描かれています。

俳優のブルース・ウィリスやサミュエル・L・ジャクソン、歌手のエド・シーランなども吃音を公表しています。日本でも田中角栄元首相や小倉智昭アナウンサーなど、吃音を乗り越えて活躍した人がいます。

これらの例は、吃音があっても夢を諦める必要がないことを示しています。それぞれが自分なりの方法で吃音と向き合い、人生を切り開いてきたのです。

家族にできること

家族は吃音を持つ人にとって最も身近な支援者です。まず吃音について正しく理解し、本人を責めたり、話し方を直そうとしたりしないことが大切です。

話すことよりも、話の内容を大切にしましょう。吃音があってもなくても、家族の一員として尊重し、普通に接することが何より重要です。

専門家との連携も大切です。言語聴覚士や医師と協力し、適切な治療や支援を受けられるようサポートします。また本人の気持ちに寄り添い、必要なときには背中を押し、苦しいときには支える存在でいることが求められます。

まとめ

吃音は、音の繰り返しや詰まりなどにより話し言葉が滑らかに出ない発話障害で、本人の意思とは無関係な神経学的な特性です。

多くは幼児期に発症し、約80パーセントは自然に改善しますが、学童期以降も続く場合は成人まで持続することがあります。

原因は脳の言語処理の特性や遺伝的要因が関与しており、性格や育て方の問題ではありません。治療は言語聴覚療法が中心で、心理的な不安には認知行動療法も有効です。周囲が話し方ではなく内容に注目し、理解と配慮を持つことが重要です。

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