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気分が極端に高まる時期と、深く落ち込む時期が繰り返されることで日常生活に大きな支障をきたす双極性障害は、適切な理解と継続的な治療によって症状をコントロールしながら生活することができる疾患です。
この記事では、双極性障害の症状と種類、治療法、日常生活での向き合い方について解説します。
双極性障害とはどういう疾患か
双極性障害は、気分が著しく高まる躁状態または軽躁状態と、深く落ち込むうつ状態が繰り返される疾患です。以前は躁うつ病と呼ばれていました。
双極性障害はうつ病とは異なる疾患であり、うつ状態だけが続くうつ病とは治療の方法も異なります。
双極性障害においてうつ状態のみに着目して抗うつ薬だけで治療を行うと、躁状態を引き起こすリスクがあるため、正確な診断が非常に重要です。
双極性障害は脳の機能に関わる疾患であり、本人の意志や性格の問題ではありません。適切な治療と日常生活の管理によって、症状をコントロールしながら生活することが可能です。
双極性障害の主な症状
躁状態の症状
躁状態では以下のような症状があらわれます。
気分が異常に高揚し、何でもできるという万能感や自信が膨らみます。睡眠時間が極端に少なくなっても疲れを感じず、精力的に活動し続けます。思考のスピードが速くなり、次々とアイデアが浮かんでくる観念奔逸という状態になります。多弁になり、話が止まらなくなります。衝動的な行動が増え、浪費、性的な逸脱行動、無謀な投資といった判断力の低下を伴う行動をとることがあります。注意が散漫になり、一つのことに集中し続けることが難しくなります。
軽躁状態の症状
軽躁状態は躁状態よりも程度が軽く、本人が気づきにくいことがあります。気分が高揚して活動的になり、アイデアが豊富になります。睡眠時間が少なくなりますが、日常生活に深刻な支障をきたすほどではありません。本人は調子が良いと感じることが多く、治療の必要性を認識しにくい状態です。
うつ状態の症状
うつ状態では、強い気分の落ち込み、何もする気力がわかない、以前楽しめていたことへの興味の喪失、睡眠の乱れ、食欲の変化、集中力の低下、自己否定感の強まり、死にたいという気持ちの出現といった症状があらわれます。
双極性障害のうつ状態は、通常のうつ病のうつ状態と症状が似ていることがありますが、治療法が異なるため正確な診断が重要です。
混合状態
躁状態とうつ状態の症状が同時にあらわれる混合状態も生じることがあります。
気分は落ち込んでいるのに活動性が高まっている、焦燥感が強くじっとしていられないといった状態がこれにあたります。混合状態は特に自殺リスクが高まることがあるため、注意が必要です。
双極性障害の種類
双極I型障害
躁状態のエピソードが一回以上あることが診断の要件です。躁状態は一週間以上続き、入院が必要なほど重篤な状態になることがあります。うつ状態を伴うことが多いですが、躁状態だけでも診断がつきます。
双極II型障害
躁状態ではなく軽躁状態のエピソードがあり、うつ状態も伴う場合に診断されます。躁状態ほど激しい症状はありませんが、うつ状態が長く続くことが多く、生活への影響が大きい疾患です。軽躁状態を本人が気づきにくいため、うつ病と誤診されるリスクがあります。
気分循環性障害
双極I型や双極II型の診断基準を満たさないものの、軽躁症状と軽いうつ症状が慢性的に繰り返される状態です。症状の程度は軽くても長期にわたって続くことで、生活への影響が生じることがあります。
双極性障害の原因
双極性障害の原因は単一ではなく、複数の要因が関係していると考えられています。
遺伝的な要因として、双極性障害は遺伝的な影響があることが知られており、家族に双極性障害の方がいる場合は発症リスクが高まることがあります。
脳内の神経伝達物質のバランスの乱れも関係していると考えられています。ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の機能の変化が、気分の波に影響していると考えられています。
環境的な要因として、強いストレス、睡眠の乱れ、生活リズムの崩れといったことが、症状の悪化や再発のきっかけになることがあります。
双極性障害の治療
薬物療法
双極性障害の治療の中心は薬物療法です。気分安定薬と呼ばれる薬が主に使用されます。
炭酸リチウムは双極性障害の治療に長年使用されてきた気分安定薬で、躁状態とうつ状態の両方に効果があるとされています。定期的な血中濃度の確認が必要です。
バルプロ酸やラモトリギンといった抗てんかん薬も気分安定薬として使用されます。躁状態やうつ状態の予防に効果があるとされています。
非定型抗精神病薬も双極性障害の治療に使用されることがあります。躁状態の急性期への対応や、気分の安定化に効果があるとされています。
抗うつ薬は双極性障害において単独での使用は推奨されていないことが多く、使用する場合は気分安定薬と組み合わせて慎重に使用されます。
心理療法
薬物療法と並行して、心理療法が有効です。
認知行動療法では、気分の波に関連した思考パターンや行動パターンに気づき、より適応的な対処法を身につけることを目指します。
心理教育では、双極性障害の特性、症状の波のパターン、薬の重要性、再発予防のための生活管理について学びます。疾患への理解を深めることが、治療への取り組みと再発予防に重要です。
対人関係・社会リズム療法は、生活リズムの安定と対人関係の改善を通じて気分の安定を目指す心理療法です。
日常生活での管理と再発予防
生活リズムを一定に保つ
双極性障害の管理において、規則正しい生活リズムを保つことが非常に重要です。毎日同じ時間に起き、同じ時間に眠る習慣が、気分の安定につながります。
睡眠の乱れは躁状態を引き起こす要因になることが知られているため、十分な睡眠を確保することが再発予防において特に重要です。
気分の波を記録する
毎日の気分の状態を記録することで、自分の気分の波のパターンを把握することができます。気分が高まり始めているとき、うつ状態に向かっているときといった変化に早めに気づくことで、医師への相談や生活の調整を迅速に行うことができます。
ストレス管理
強いストレスは双極性障害の症状を悪化させるリスクがあります。ストレスの原因を把握し、できる範囲でストレスを減らす、ストレスへの対処法を身につけるといった取り組みが重要です。
飲酒とカフェインの管理
アルコールは睡眠の質を低下させ、気分の安定を妨げることがあります。双極性障害の方にとって飲酒は症状の悪化につながるリスクがあるため、できる限り控えることが推奨されます。カフェインも睡眠に影響するため、摂取量の管理が助けになります。
薬を継続して飲む
双極性障害の治療において、気分が安定しているときでも薬を継続して飲むことが非常に重要です。気分が良くなったからといって自己判断で薬をやめることは、再発のリスクを大幅に高めます。
薬の変更や中止については、必ず主治医と相談したうえで判断することが重要です。
信頼できる人に状態を伝える
家族や信頼できる友人に双極性障害のことを伝え、気分の波のパターンや注意すべき様子について理解してもらうことが、再発の早期発見と対処に役立ちます。
躁状態のときは本人が問題を認識しにくくなるため、周囲の人が変化に気づいて医師への相談を促せる環境をつくっておくことが重要です。
双極性障害と就労
双極性障害のある方が就労を継続するためには、職場での適切な配慮と自己管理の両方が重要です。
症状が安定している時期に就労し、疲れをためないようにする、定期的な通院を継続する、体調の変化を早めに把握して対処するといった取り組みが、就労継続の助けになります。
就労移行支援事業所や就労定着支援といった障害福祉サービスを活用することで、双極性障害の特性に合った就労の形を見つけるサポートを受けることができます。
双極性障害と福祉サービス
双極性障害の診断がある場合、精神障害者保健福祉手帳の取得が可能な場合があります。手帳を取得することで、障害福祉サービスの利用、税制上の優遇、交通機関の割引といった支援を受けることができます。
自立支援医療制度を活用することで、精神科通院にかかる医療費の自己負担を軽減することができます。申請は市区町村の窓口で行うことができます。
まとめ
双極性障害は、躁状態またはそのうつ状態が繰り返される疾患です。双極I型、双極II型、気分循環性障害といった種類があり、それぞれ症状の程度と特性が異なります。
気分安定薬を中心とした薬物療法と心理療法を組み合わせた治療を継続しながら、規則正しい生活リズムの維持、気分の記録、ストレス管理、飲酒の管理といった日常生活での自己管理が、症状のコントロールと再発予防において重要です。
双極性障害は適切な治療と管理によって、症状をコントロールしながら生活することができる疾患です。一人で抱え込まず、医療機関や支援機関のサポートを積極的に活用してください。

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