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「兄弟が社会に出られない状態が続いている」「どうサポートすれば良いのかわからない」「家族としてできることは何か」――兄弟が引きこもりや無職の状態で社会に出られない状況に直面し、どう接すれば良いのか、どこに相談すれば良いのかと悩んでいる方へ向けて、本記事では兄弟が社会に出られない背景、家族としてできるサポート、避けるべき対応、専門家への相談方法、利用できる支援制度について詳しく解説します。
兄弟の状況を心配する気持ちは自然なことですが、焦りや不安から逆効果な対応をしてしまうこともあります。適切な理解と対応、そして専門家の力を借りることで、状況は少しずつ改善していく可能性があります。
兄弟が社会に出られない背景を理解する
まず、兄弟がなぜ社会に出られない状態にあるのか、その背景を理解することが重要です。
考えられる背景
1. 精神的な問題
- うつ病、不安障害、適応障害などの精神疾患
- 対人恐怖症、社交不安障害
- パニック障害
- 統合失調症
- 発達障害(ASD、ADHDなど)
- PTSD(過去のトラウマ)
2. 過去の経験
- 職場でのパワハラ、いじめ
- 学校でのいじめ
- 受験や就職活動の失敗
- リストラや解雇
- 人間関係のトラブル
- 大きな失敗体験
3. 身体的な問題
- 慢性疲労症候群
- 睡眠障害
- 慢性的な痛み
- その他の身体疾患
4. 社会的なスキルの課題
- コミュニケーションの困難
- 対人関係の構築が苦手
- 社会的なルールの理解が難しい
- 自己肯定感の低さ
5. 環境的な要因
- 家族関係の問題
- 経済的な問題
- 地域の雇用状況
- 社会的な孤立
重要な理解
本人も苦しんでいる
社会に出られない状態は、本人にとっても非常に苦しいものです。「働きたくない」「楽をしたい」という理由だけではなく、何らかの理由で「働けない」「社会に出られない」状態にあることが多いです。
複合的な要因
多くの場合、単一の原因ではなく、複数の要因が絡み合っています。
時間がかかる
社会に出られない状態からの回復には、時間がかかることが一般的です。焦らず、段階的なアプローチが必要です。
家族としてできるサポート
兄弟が社会に出られない状況で、家族としてできることを紹介します。
1. 話を聞く姿勢を持つ
批判せず、共感的に聞く
- 「なぜ働かないのか」と責めるのではなく、「どんな気持ちなのか」を聞く
- 本人の話を否定せず、まずは受け止める
- アドバイスを急がず、じっくり聞く
タイミングを見極める
- 本人が話したいタイミングを待つ
- 無理に聞き出そうとしない
- リラックスできる環境で
2. 専門家への相談を促す
医療機関の受診
精神的な問題がある可能性を考え、医療機関の受診を勧めます。
- 「心療内科や精神科に一度相談してみたらどうか」と提案
- 「一緒に行こうか」と付き添いを申し出る
- 本人が拒否する場合、まず家族だけで相談することも可能
相談窓口の利用
- 地域の保健センター
- ひきこもり地域支援センター
- 若者サポートステーション
- 就労支援センター
3. 小さな目標から始める
段階的なアプローチ
いきなり「働け」ではなく、小さな目標から:
- 規則正しい生活リズムを整える
- 外出する(散歩から始める)
- 趣味や興味のあることに取り組む
- ボランティア活動に参加する
- デイケアや就労支援施設の見学
- 短時間のアルバイトから
4. プレッシャーをかけすぎない
焦らない
- 「早く働け」「いつまでこのままなのか」といった言葉は避ける
- 本人のペースを尊重する
- 小さな進歩を認める
比較しない
- 他の兄弟や友人と比較しない
- 「○○さんの子は」という話をしない
5. 家族自身のケア
共倒れを防ぐ
- 家族が精神的に追い詰められないよう、自分自身のケアも大切
- 家族会や支援グループに参加する
- カウンセリングを受ける
- 息抜きの時間を持つ
6. 情報提供
利用できる制度の紹介
- 就労継続支援(A型、B型)
- 就労移行支援
- 障害者手帳の取得
- 生活保護
- 若者サポートステーション
- ハローワークの支援
押し付けず、提案として
「こういう制度があるみたいだよ」と情報を提供し、本人の判断を尊重します。
7. 安心できる居場所を提供
家庭が安全基地であること
- 家族が批判ばかりする場所ではなく、安心できる場所であることが重要
- 本人の存在を否定しない
- 「いてくれるだけで良い」という気持ちを伝える
避けるべき対応
良かれと思った対応が逆効果になることもあります。
1. 強制や脅し
避けるべき言動
- 「働かないなら家を出ていけ」
- 「いつまで甘えているのか」
- 「恥ずかしい」
- 「情けない」
- 経済的な支援を突然打ち切る
なぜ避けるべきか
これらは本人を追い詰め、状況を悪化させる可能性があります。
2. 過保護
避けるべき対応
- 何でもやってあげる
- 本人の代わりに全て決める
- 本人に何も求めない
なぜ避けるべきか
過保護は本人の自立を妨げます。適度な距離感が大切です。
3. 無視
避けるべき対応
- 本人の存在を無視する
- 話しかけない
- 関心を示さない
なぜ避けるべきか
無視は本人をさらに孤立させ、状況を悪化させます。
4. 比較
避けるべき言動
- 「○○は働いているのに」
- 「昔はできたのに」
- 「普通は」
なぜ避けるべきか
比較は本人の自尊心を傷つけ、やる気を奪います。
専門家への相談方法
家族だけで抱え込まず、専門家の力を借りることが重要です。
1. 医療機関
心療内科・精神科
精神的な問題がある場合、医療機関の受診が必要です。
受診方法
- 本人が行きたがらない場合、まず家族だけで相談可能な医療機関もある
- 「健康診断」「体調不良」など、本人が受け入れやすい理由で勧める
- 初回は家族が付き添う
2. ひきこもり地域支援センター
全国に設置
各都道府県・指定都市に設置されています。
支援内容
- ひきこもりに関する相談
- 訪問支援
- 家族向けの相談会・講座
- 支援機関の紹介
問い合わせ方法
お住まいの地域の「ひきこもり地域支援センター」を検索してください。
3. 若者サポートステーション(サポステ)
15歳〜49歳が対象
働くことに悩みを抱える若者を支援します。
支援内容
- キャリアコンサルティング
- 就労体験
- コミュニケーション講座
- 就職活動支援
問い合わせ方法
全国に設置されています。「地域名 サポステ」で検索してください。
4. 地域包括支援センター・保健センター
身近な相談窓口
市区町村の保健センターや地域包括支援センターでも相談できます。
支援内容
- 健康相談
- 精神保健相談
- 関係機関の紹介
5. 家族会
同じ悩みを持つ家族との交流
ひきこもりや精神疾患を持つ家族の会があります。
参加のメリット
- 同じ悩みを共有できる
- 情報交換ができる
- 孤立感が軽減される
- 対処法を学べる
6. 就労支援機関
障害者就業・生活支援センター
障害のある方の就労と生活を支援します。
ハローワーク
専門援助部門があります。
利用できる支援制度
兄弟が利用できる可能性のある支援制度を紹介します。
1. 就労継続支援B型
対象
- 一般企業での就労が困難な方
- 障害者手帳がなくても、医師の診断や自治体の判断で利用できる場合がある
内容
- 軽作業やパソコン作業などの仕事を通じて、働く訓練をする
- 工賃がもらえる(平均月額約16,000円)
- 自分のペースで通所できる
2. 就労移行支援
対象
- 一般企業への就職を目指す方
- 65歳未満
内容
- 就職に向けた訓練
- 面接練習、履歴書作成支援
- 職場実習
- 就職後の定着支援
- 利用期間:原則2年
3. 障害者手帳
種類
- 精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳
- 療育手帳(愛の手帳)
メリット
- 障害者雇用枠での就職
- 医療費の助成
- 税金の控除
- 公共交通機関の割引
- 各種サービスの利用
4. 生活保護
対象
- 生活に困窮している方
内容
- 生活費の支給
- 医療費の支給
- 住宅費の支給
- 就労支援
5. 自立支援医療(精神通院医療)
対象
- 精神疾患で通院している方
内容
- 医療費の自己負担が原則1割に軽減
6. デイケア・ナイトケア
対象
- 精神疾患のある方
内容
- 病院や診療所で実施
- グループ活動を通じて社会復帰を目指す
- 生活リズムの改善
- 対人関係の練習
段階的なアプローチの例
社会に出られない状態からの回復は、段階的に進みます。
ステップ1:生活リズムの安定
- 規則正しい睡眠
- 3食しっかり食べる
- 日中は起きている
ステップ2:家の中での活動
- 家事の手伝い
- 趣味の時間
- 家族との会話
ステップ3:外出
- 散歩
- 買い物
- 図書館などの公共施設
ステップ4:人との交流
- デイケアや支援施設の見学
- ボランティア活動
- 趣味のサークル
ステップ5:働く準備
- 就労移行支援や就労継続支援B型の利用
- 短時間のアルバイト
- 職業訓練
ステップ6:就労
- 障害者雇用枠での就職
- 一般就労
- 就労継続支援A型
重要なポイント
- 各ステップに時間がかかる
- 後戻りすることもある
- 焦らず、本人のペースで
家族自身のケア
兄弟を支える家族自身のケアも非常に重要です。
1. 一人で抱え込まない
- 家族会に参加する
- 友人や信頼できる人に話す
- カウンセリングを受ける
2. 自分の時間を持つ
- 趣味の時間
- リラックスの時間
- 休息
3. 情報を得る
- 本を読む
- セミナーに参加する
- 専門家から学ぶ
4. 境界線を引く
- 全てを背負い込まない
- 本人と家族の問題を分ける
- 適切な距離感を保つ
よくある質問
Q1: いつまでこの状態が続くのか不安です
期間は人それぞれです。焦らず、専門家と相談しながら、段階的に進めていくことが大切です。小さな進歩を認め、長期的な視点を持ちましょう。
Q2: 本人が相談に行きたがりません
まず家族だけで相談することから始めましょう。専門家から、本人への関わり方のアドバイスをもらえます。訪問支援を利用する方法もあります。
Q3: お金がかかりますか?
多くの公的な相談窓口は無料です。医療機関も自立支援医療を利用すれば負担が軽減されます。就労支援サービスも、所得に応じて利用料が決まります(多くの場合無料)。
Q4: 強制的に連れて行っても良いですか?
強制は避けましょう。本人の同意がない状態での支援は、かえって状況を悪化させる可能性があります。まず信頼関係を築き、本人が「行ってみようかな」と思えるように働きかけることが大切です。
Q5: 親が亡くなった後が心配です
「8050問題」として知られる課題です。早めに地域の相談窓口に相談し、将来の生活設計について専門家と一緒に考えることが大切です。成年後見制度や福祉サービスの利用を検討しましょう。
まとめ
兄弟が社会に出られない状況は、家族にとっても本人にとっても非常に辛いものです。しかし、適切な理解と対応、そして専門家の力を借りることで、状況は少しずつ改善していく可能性があります。
重要なポイント:
- 本人も苦しんでいることを理解する
- 話を聞く姿勢を持つ(批判せず、共感的に)
- 専門家に相談する(ひきこもり地域支援センター、医療機関、若者サポートステーションなど)
- 小さな目標から段階的に進める
- プレッシャーをかけすぎない(焦らない、比較しない)
- 利用できる支援制度を知る(就労継続支援、就労移行支援、障害者手帳など)
- 家族自身のケアも大切にする
社会に出られない状態からの回復には時間がかかります。焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。家族だけで抱え込まず、専門家の力を借りながら、本人が安心して前に進める環境を作っていくことが大切です。
兄弟を心配する気持ちは大切ですが、家族が精神的に追い詰められては元も子もありません。自分自身のケアも忘れずに、長期的な視点で支えていきましょう。
必ず、道は開けます。焦らず、諦めず、一緒に歩んでいきましょう。
