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仕事に行くのが怖い、職場に入るだけで体が固まる、仕事のことを考えると強い恐怖や不安が生じる、以前は普通にできていた仕事が怖くてできなくなったという状態が続いていませんか。
仕事への恐怖は意志の弱さや甘えではなく様々な背景から生じる心理的な状態です。この記事では、仕事が怖いと感じる理由と克服するための方法について解説します。
仕事が怖いと感じる状態とはどういうものか
仕事が怖いという感覚にはいくつかの異なるパターンがあります。
職場そのものへの恐怖として職場に近づくだけで体が固まる、職場の建物を見るだけで強い不安が生じるという状態があります。
特定の人への恐怖として特定の上司や同僚への強い恐怖から職場に行くことが怖くなっている状態があります。
失敗への恐怖としてミスをすることへの強い恐怖から仕事に取り組むこと自体が怖くなっている状態があります。
評価への恐怖として他者に否定的に評価されることへの強い恐怖から仕事のあらゆる場面が怖く感じられる状態があります。
これらのパターンが重なっていることも多くそれぞれの恐怖に合わせた対処が重要です。
仕事が怖いと感じる主な原因
過去の職場での辛い体験
パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、理不尽な叱責、激しい批判、いじめ、孤立といった過去の職場での辛い体験が仕事への恐怖の最も大きな原因のひとつです。
過去の辛い体験が心に深く刻まれることで新しい職場でも同じことが起きるのではないかという恐怖が生じます。
失敗体験の蓄積
仕事でのミス、プロジェクトの失敗、大きな叱責といった失敗体験が積み重なることでまた失敗するのではないかという強い恐怖が生じます。
完璧主義的な傾向がある方は一度の失敗が大きな恐怖として定着しやすく仕事全般への恐怖につながりやすくなります。
長期間の休職や離職後の復帰への恐怖
病気やけが、育児、介護等による長期間の離職後に再び働くことへの恐怖が生じることがあります。
社会から離れていた期間が長いほど職場環境への再適応への恐怖が強くなりやすく自分についていけるかどうかという不安が恐怖として現れます。
社交不安障害
他者に否定的に評価されることへの強い恐怖を特徴とする社交不安障害は仕事上の様々な場面での強い恐怖として現れることがあります。
会議での発言、電話対応、上司への報告、同僚との会話といった対人的な場面全般への恐怖が仕事そのものへの恐怖として感じられることがあります。
PTSD的な反応
職場でのトラウマ体験が未処理のまま残っている場合PTSDに類似した反応として仕事に関連した刺激への強い恐怖反応が生じることがあります。
上司の大きな声、叱責の言葉、職場の特定の場所といったトリガーとなる刺激に強く反応して体が固まる、動悸が起きるといった身体的な反応が現れることがあります。
うつ病や不安障害の影響
うつ病や不安障害の症状として仕事への強い恐怖や回避が現れることがあります。
これらの疾患が関与している場合は適切な治療なしには恐怖の克服が難しいことがあります。
仕事への恐怖を克服するための基本的な考え方
恐怖を否定せずに認める
仕事が怖いという感覚を弱さや甘えとして否定することは克服への道を遠ざけます。
今自分は仕事に対して恐怖を感じているということを正直に認めることが向き合いの出発点です。
恐怖は現実に対して何かを伝えようとしているサインであり否定するのではなく向き合うべき大切な感情です。
恐怖を完全になくすことを目標にしない
仕事への恐怖を完全になくしてから動こうとすることは行動を永久に先送りにすることにつながります。
恐怖を感じながらでも少しずつ行動できるようになることを目標にすることが現実的なアプローチです。
恐怖があっても行動できるという体験を積み重ねることで恐怖の強さが徐々に和らいでいきます。
段階的なアプローチが基本
仕事への恐怖を克服するためには恐怖の低い状況から始めて少しずつ困難な状況へと段階的に取り組む曝露的なアプローチが最も効果的とされています。
一気に全ての恐怖を克服しようとするのではなく小さな一歩を積み重ねることが長期的な克服につながります。
仕事への恐怖を克服するための具体的な方法
恐怖の原因を具体的に整理する
何が具体的に怖いのかを書き出して整理することが克服への第一歩になります。
特定の人が怖い、失敗することが怖い、評価されることが怖い、職場の雰囲気が怖いといった具体的な恐怖の対象を特定することで対処の方向性が明確になります。
恐怖の強さを十段階で評価することも有効です。最も怖い状況から最も怖くない状況までリストアップして段階的に取り組む順序を決めることができます。
恐怖の強さが低いことから少しずつ始める
恐怖を克服するためには最も恐怖の強さが低い状況から始めて少しずつ恐怖の強い状況へと段階的に慣れていくアプローチが効果的です。
職場に行くことが怖い場合は最初は職場の建物の近くまで行くだけから始める、次は建物に入るだけにする、次は短時間だけ職場にいるというように段階を踏んでいきます。
特定の人が怖い場合は最初は同じ空間にいるだけから始めて次は軽い挨拶をする、次は短い会話をするという段階的なアプローチが有効です。
認知の歪みに気づいて修正する
恐怖を強めている思考パターンの歪みに気づいて修正することが恐怖の軽減につながります。
また必ず失敗するという思い込みを持っていませんか。本当に必ず失敗するでしょうかという問いを向けることで思考の歪みに気づくことができます。
一度の失敗が全ての失敗を意味するという思い込みや、他者が常に自分を批判的に評価しているという思い込みといった認知の歪みを特定して修正することが恐怖の軽減に役立ちます。
リラクゼーション法を活用する
恐怖が高まったときに体の緊張を和らげるリラクゼーション法を持っておくことが重要です。
腹式呼吸として鼻からゆっくり息を吸い口からゆっくり長く吐くという呼吸を数回繰り返すことが自律神経を整え体の緊張を和らげる助けになります。
漸進的筋弛緩法として体の各部位を順番に緊張させてから緩めることを繰り返すことも恐怖による体の緊張を解放するうえで有効です。
職場以外での小さな成功体験を積む
仕事への恐怖が強い状態では仕事以外の場面での小さな成功体験を積むことが自信の回復につながります。
地域のコミュニティへの参加、ボランティア活動、趣味のサークルへの参加といった少人数での活動から始めて人との関わりへの慣れと自信を積み重ねることが仕事への復帰への準備につながります。
信頼できる人のサポートを得る
仕事への恐怖を一人で克服しようとするのではなく信頼できる人のサポートを得ることが重要です。
家族や友人への相談、産業医やカウンセラーへの相談、支援機関のスタッフのサポートといった人的なサポートが恐怖の克服を助けます。
可能であれば職場の理解ある同僚や上司に状況を伝えてサポートを求めることが職場での安全感を高める助けになります。
段階的な職場復帰プログラムを活用する
休職後の職場復帰に向けて医療機関や職場と連携した段階的な復帰プログラムを活用することが安全な復帰につながります。
リワークプログラムと呼ばれる職場復帰に向けたリハビリプログラムを提供している医療機関では認知行動療法、生活リズムの回復、職場でのストレス対処スキルの習得といった支援が受けられます。
最初は短時間の試し出勤から始めて徐々に勤務時間を延ばしていくという段階的な復帰が恐怖の克服と再発防止に効果的です。
専門家のサポートを受ける
仕事への恐怖が非常に強く自分だけでは対処が難しい場合は専門家のサポートを受けることが重要です。
認知行動療法は仕事への恐怖の克服において最も効果が確立されている心理療法のひとつです。恐怖を引き起こす思考パターンの修正と段階的な曝露を組み合わせたアプローチが恐怖の軽減に効果的です。
EMDRはトラウマ的な体験に関連した恐怖の処理に効果的な心理療法です。過去の職場でのトラウマ体験が恐怖の原因となっている場合に活用されることがあります。
薬物療法として社交不安障害やうつ病が関与している場合はSSRI等の薬物療法が恐怖の軽減に有効なことがあります。
就労支援サービスの活用
仕事への恐怖から一般就労が難しい状態の場合は就労支援サービスを活用することが段階的な社会復帰への助けになります。
就労移行支援事業所は一般就労に向けたスキルトレーニングと心理的なサポートを提供しており仕事への恐怖を抱えながら社会復帰を目指す方への支援が受けられます。
就労継続支援B型は雇用契約なしで自分のペースで働く環境を提供しており仕事への恐怖が強い方が安全な環境で少しずつ働く経験を積むことができます。
地域障害者職業センターでは仕事への復帰に向けた職業評価と個別の支援計画の作成が行われます。
仕事への恐怖が改善しない場合の選択肢
段階的な取り組みを続けても仕事への恐怖が改善しない場合はいくつかの選択肢を検討することが重要です。
現在の職場環境そのものが恐怖の原因である場合は職場環境の改善を求める、配置転換を申し出る、転職するといった環境の変更が根本的な解決策になることがあります。
疾患が関与している場合はその疾患への適切な治療を優先することが恐怖の克服への基盤をつくります。
働き方を変えることとして在宅ワーク、フリーランス、障害者雇用枠の活用といった働き方の変更が仕事への恐怖を軽減しながら働き続けるための選択肢となることがあります。
まとめ
仕事が怖いと感じる原因は過去の職場での辛い体験、失敗体験の蓄積、長期休職後の復帰への恐怖、社交不安障害、PTSDに類似した反応、うつ病や不安障害の影響といった様々なものがあります。
恐怖を否定せずに認め、恐怖の原因を具体的に整理し、恐怖の強さが低いことから段階的に取り組み、認知の歪みを修正し、専門家のサポートを得るといった方法を組み合わせることが恐怖を克服するうえで重要です。
恐怖を完全になくしてから行動しようとするのではなく恐怖を感じながらでも少しずつ行動できるようになることを目標にすることが現実的なアプローチです。
一人で抱え込まず専門家や支援機関のサポートを積極的に活用しながら自分のペースで取り組んでいただければと思います。


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