メニエール病の症状チェックリスト セルフチェック方法と受診の目安

1. メニエール病の症状チェックの重要性

メニエール病は、内耳の異常によって引き起こされる病気で、激しいめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感を繰り返すことが特徴です。早期に診断し、適切な治療を開始することで、症状の悪化や聴力低下の進行を防ぐことができます。

「最近、めまいが繰り返し起こる」「耳が詰まった感じがする」「耳鳴りがひどい」といった症状がある場合、メニエール病の可能性を考える必要があります。

この記事では、メニエール病の症状をチェックするための具体的なリストと、受診すべき目安、そして似た症状を示す他の病気との見分け方について、詳しく解説していきます。

2. メニエール病の4大症状

メニエール病には、4つの主要な症状があります。これらがセットで現れることが、診断の重要なポイントです。

回転性めまい

メニエール病の最も特徴的な症状が、激しい回転性めまいです。

突然始まる激しいめまいとして、前触れなく、または耳の症状の後に、激しいめまいが突然始まります。自分や周囲がぐるぐると回っているように感じる、天井や壁がグルグル回る、自分の体が回転している感覚などがあります。

持続時間は、通常10分から数時間です。多くの場合、20分から数時間続きます。短くて数十分、長い場合は6時間から12時間続くこともありますが、丸一日以上続くことは稀です。

めまい中は動けない状態になります。立っていることも座っていることも困難で、多くの場合、横にならざるを得ません。目を開けているのも辛く、少しの頭の動きでもめまいが悪化します。

随伴症状として、強い吐き気や嘔吐を伴うことが多くあります。冷や汗が出る、顔面蒼白になる、動悸がするなどの自律神経症状も現れます。

難聴(聴力低下)

メニエール病では、めまいとともに難聴が現れます。

初期の特徴として、低音域の聴力が低下します。「ボーッとした感じで音が聞こえにくい」「音がこもって聞こえる」といった症状です。電話の声が聞き取りにくい、テレビの音量を上げるようになったという変化があります。

発作時に悪化し、めまい発作のときに、聴力がさらに低下します。発作が治まると、初期には聴力が回復しますが、発作を繰り返すうちに、徐々に回復が不完全になっていきます。

進行すると高音域も影響を受けます。発作を繰り返すうちに、徐々に高音域の聴力も低下していきます。

通常は片側性で、多くの場合、片側の耳のみに起こります。発症時は約85%が片側性ですが、長期経過の中で約30%から40%が両側性になるとされています。

耳鳴り

多くの患者が耳鳴りを経験します。

音の種類として、「ジー」「ザー」「ブーン」といった低音の耳鳴りが多く報告されています。高音の「キーン」という耳鳴りが起こることもあります。「ゴー」「ボー」といった音も多くあります。

発作の前兆として、耳鳴りが強くなると、間もなくめまい発作が来ることがあります。「耳鳴りが強くなってきたら要注意」と気づく患者も多くいます。

持続性として、めまい発作の間も、耳鳴りが続くことがあります。

耳閉感(耳の詰まった感じ)

耳が詰まったような感覚、耳に膜が張ったような感覚、耳が圧迫されているような感覚を感じます。

表現の例として、「飛行機に乗ったときのような感じ」「トンネルに入ったときのような感じ」「水が耳に入ったような感じ」「耳栓をしているような感じ」といった訴えがあります。

発作の前兆として、耳閉感も、めまい発作の前に強くなることがあります。

変動することがあり、一日の中で、耳閉感の程度が変わることがあります。

3. メニエール病の症状チェックリスト

以下のチェックリストで、あなたの症状がメニエール病に該当するか確認してみましょう。

基本チェック項目

□ 突然、激しい回転性のめまいが起こる □ めまいは10分以上、数時間続く □ めまいに伴って、強い吐き気や嘔吐がある □ めまいの発作を2回以上経験している □ 発作の際に、片方の耳の聞こえが悪くなる □ 耳鳴りがある(特にめまいの前後) □ 耳が詰まった感じ(耳閉感)がある □ めまいの発作は繰り返すが、発作と発作の間は比較的元気である □ 発作の頻度は不規則である(数日おき、数週間おき、数か月おきなど)

判定の目安

以下の条件を満たす場合、メニエール病の可能性が高いです。

激しい回転性めまいの発作が、20分以上続き、2回以上経験している。めまいの発作時に、片側の耳の難聴、耳鳴り、耳閉感のいずれか、または複数がある。

これらの条件に該当する場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

追加チェック項目

以下の項目も、メニエール病でよく見られる特徴です。

□ めまいの前に、耳鳴りや耳閉感が強くなる(前兆がある) □ めまいの後、ふらつきや体のだるさが数日間続く □ ストレスが多いと、発作が起こりやすい □ 塩分の多い食事の後、症状が悪化する □ 気圧の変化(台風の接近など)で、発作が起こりやすい □ 睡眠不足のときに、発作が起こりやすい □ 朝に発作が起こることが多い

これらの項目に多く該当する場合も、メニエール病の可能性が高まります。

4. 発作のパターンと経過

メニエール病の発作には、典型的なパターンがあります。

発作の3つの段階

前兆期(数時間前から数日前)として、耳鳴りの増強、耳閉感の悪化、聴力の低下、なんとなく耳の調子が悪い、頭が重い感じがするといった前兆が現れることがあります。

ただし、前兆なく突然発作が起こることもあります。

発作期(数十分から数時間)では、突然激しい回転性めまいが始まります。難聴、耳鳴り、耳閉感が同時に強くなります。強い吐き気や嘔吐を伴います。動くことができず、横になって安静にするしかない状態です。

回復期(数時間から数日間)として、めまいは徐々に軽減しますが、ふらつき感や体のだるさが数日間続くことがあります。聴力は、初期には元に戻りますが、発作を繰り返すと回復が不完全になります。

発作の頻度

発作の間隔は不規則で、予測困難です。数日から数週間、あるいは数か月に1回という場合もあります。

頻繁に発作が起こる時期と、しばらく起こらない時期があることもあります。

長期経過

発症から数年から10年程度経過すると、自然に発作が起こらなくなることもあります。これは、内耳の機能が完全に失われたため、めまいが起こらなくなった状態です(burnout現象)。

ただし、約20%から30%の患者では、両側性に進行したり、難聴が高度になったりすることがあります。

5. すぐに受診すべき症状

以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

初めての激しいめまい

初めて激しいめまいを経験した場合は、メニエール病なのか、他の重大な病気なのかを判断するため、すぐに受診が必要です。

脳梗塞、脳出血、小脳梗塞などの脳の病気でも、激しいめまいが起こることがあります。

以下の症状を伴う場合は緊急受診

激しい頭痛を伴う、ろれつが回らない、手足のしびれや麻痺がある、激しい嘔吐が続き、水分も取れない、意識がもうろうとする、複視(物が二重に見える)があるという場合は、脳の病気の可能性があり、緊急受診が必要です。

救急車を呼ぶか、すぐに救急外来を受診してください。

めまいが丸一日以上続く

メニエール病のめまいは、通常数時間で治まります。丸一日以上続く場合は、メニエール病ではなく、他の病気の可能性があります。

聴力が急激に低下

突然、片側の耳がまったく聞こえなくなった場合は、突発性難聴の可能性があります。突発性難聴は、早期治療が予後を左右するため、すぐに受診が必要です。

発作が頻繁になった

これまで数か月に1回程度だった発作が、週に数回など頻繁になった場合は、症状が悪化している可能性があります。早めに受診し、治療を見直す必要があります。

6. メニエール病と似た症状の病気

めまいや耳の症状を起こす病気は、メニエール病以外にも多数あります。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

最も多いめまいの病気です。

症状の特徴として、頭を動かしたときに短時間(数秒から数十秒)のめまいが起こります。寝返りを打ったとき、起き上がったとき、上を向いたときなどに起こります。めまいは短時間で、難聴や耳鳴りは伴いません。

メニエール病との違いは、めまいの持続時間が短い(数秒から数十秒)、頭の位置を変えると起こる、難聴・耳鳴り・耳閉感がないという点です。

突発性難聴

突然、片側の耳が聞こえなくなる病気です。

症状の特徴として、ある日突然、片側の耳の聴力が低下します。耳鳴りを伴うことが多くあります。めまいを伴うこともありますが、軽度で、繰り返すことは稀です。

メニエール病との違いは、めまいは軽度で繰り返さない、聴力低下が主症状という点です。

早期治療が重要で、発症後1週間以内に治療を開始することが推奨されます。

前庭神経炎

前庭神経の炎症により、激しいめまいが起こる病気です。

症状の特徴として、突然、激しいめまいが起こり、数日間続きます。吐き気や嘔吐を伴います。難聴は伴いません。めまいは徐々に軽快しますが、ふらつきは数週間続くことがあります。

メニエール病との違いは、めまいが数日間続く、難聴・耳鳴り・耳閉感がない、繰り返さないという点です。

聴神経腫瘍

聴神経にできる良性腫瘍です。

症状の特徴として、片側の難聴が徐々に進行します。耳鳴りを伴うことが多くあります。めまいやふらつきが起こることもあります。顔面神経麻痺が起こることもあります。

メニエール病との違いは、症状が徐々に進行する、激しいめまい発作はないという点です。

MRIで診断できます。

脳の病気(脳梗塞、脳出血など)

脳の血管障害でも、めまいが起こることがあります。

危険なサインとして、激しい頭痛、ろれつが回らない、手足のしびれや麻痺、複視(物が二重に見える)、意識障害があります。

これらの症状を伴う場合は、すぐに救急受診が必要です。

7. 診断のための検査

メニエール病の診断には、以下のような検査が行われます。

問診

症状の詳細(めまいの種類、持続時間、頻度、耳の症状など)、発症の経過、きっかけとなる要因、既往歴、服用中の薬などについて詳しく聞かれます。

聴力検査(純音聴力検査)

どの音域の聴力が低下しているかを調べます。メニエール病では、初期に低音域の聴力低下が特徴的です。

発作時と発作間の聴力を比較することも重要です。

平衡機能検査

眼振検査(目の動きを観察)、体平衡検査(体のバランスを調べる)、温度刺激検査(耳に水や空気を入れて反応を見る)などが行われます。

グリセロール試験

メニエール病に特徴的な検査です。グリセロールという薬を飲んだ後に聴力検査を行い、聴力が改善すれば、内リンパ水腫の存在が示唆されます。

ただし、陽性率は50%から70%程度で、陰性でもメニエール病を否定できません。

MRI検査

内リンパ水腫を画像で確認できる特殊なMRI(造影MRI)が開発されています。また、他の病気(脳腫瘍、聴神経腫瘍など)を除外するためにも行われます。

血液検査

他の病気(甲状腺機能異常、梅毒など)を除外するために行われることがあります。

8. 発作が起きたときの対処法

めまい発作が起きたときは、以下のように対処しましょう。

すぐにできること

安全な場所で横になることが最優先です。転倒しないよう、すぐに横になれる場所に移動します。暗く静かな部屋で休むと良いでしょう。

頭を動かさないようにします。頭を動かすと、めまいが悪化します。

目を閉じることで、視覚刺激を減らすと、めまいが少し楽になることがあります。

水分補給ができるようなら、少しずつ水分を取ります。ただし、嘔吐がひどい場合は無理に飲まないでください。

常備薬

メニエール病の診断を受けている場合は、医師から発作時の薬(抗めまい薬、制吐薬など)を処方してもらっておきましょう。

発作の予兆を感じたら、早めに服用することで、症状を軽減できることがあります。

いつ医療機関を受診すべきか

初めてのめまい発作、いつもと違う激しい症状、めまいが長時間続く、嘔吐がひどく水分も取れない、頭痛やしびれなど他の症状を伴うという場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

発作後の注意

発作後は、無理をせず十分な休息を取りましょう。車の運転は、めまいやふらつきが完全に治まってから再開してください。

9. 日常生活での注意点

メニエール病と診断された場合、日常生活で以下の点に注意することで、発作の予防につながります。

減塩

1日の塩分摂取量を6グラム以下に制限することが推奨されます。塩分を控えることで、体内の水分バランスが改善され、内リンパ水腫が軽減されます。

加工食品、インスタント食品、外食は塩分が多いので注意が必要です。

十分な睡眠

睡眠不足は発作の引き金となります。毎日7時間から8時間の睡眠を確保しましょう。

ストレス管理

ストレスは発作を誘発します。リラクゼーション、趣味の時間、適度な運動などでストレスを発散しましょう。

規則正しい生活

毎日同じ時間に起きる、食事を取る、寝るなど、規則正しい生活リズムを保ちましょう。

カフェイン、アルコール、タバコを控える

これらは発作の誘因となることがあります。控えめにするか、できれば避けましょう。

水分摂取

適度な水分摂取を心がけます。脱水も過剰摂取も避けましょう。

10. まとめ:早期発見と継続的な治療が大切

メニエール病は、激しい回転性めまい、難聴、耳鳴り、耳閉感を繰り返す病気です。めまい発作が20分以上続き、2回以上経験しており、発作時に耳の症状を伴う場合は、メニエール病の可能性が高いです。

セルフチェックで気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。早期診断、早期治療が、聴力低下の進行を防ぎ、発作をコントロールする鍵となります。

メニエール病は、適切な治療と生活管理により、約70%から80%の患者で症状をコントロールできます。減塩療法を中心とした生活習慣の改善と、利尿薬などの薬物療法が基本となります。

発作が繰り返される場合でも、諦めずに医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。メニエール病と上手に付き合いながら、充実した生活を送ることは十分に可能です。

気になる症状がある方は、この記事のチェックリストを参考に、早めに専門医を受診してください。

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