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インターネットで検索すると、アスペルガー症候群の人には特有の顔つきがあるといった情報を目にすることがあります。
無表情、目つきが鋭い、独特の雰囲気があるなど、様々な記述が広まっていますが、こうした情報は科学的に正しいのでしょうか。
自分や身近な人がアスペルガー症候群ではないかと心配する方や、顔つきで判断されることに悩む当事者の方もいるかもしれません。
この記事ではアスペルガー症候群と顔つきの関係について、事実に基づいた現実的な視点を解説します。
アスペルガー症候群という言葉について
まず前提として、現在の医学的な診断基準ではアスペルガー症候群という診断名は使われなくなりました。
2013年以降、世界の診断基準で自閉スペクトラム症(ASD)という名称に統合されています。
知的発達に遅れがない自閉スペクトラム症の特性を持つ方が、かつてアスペルガー症候群と呼ばれていた人たちにあたります。
この記事ではわかりやすさのため、検索される言葉に合わせてアスペルガー症候群という表現を使いますが、医療的にはASDとして理解されているという点を踏まえて読み進めてください。
顔つきで判断することはできない
結論から述べると、アスペルガー症候群の方に共通する特有の顔つきというものは、医学的に証明されていません。
ASDは脳の発達特性であり、外見的な特徴によって診断されるものではありません。
ASDの方の顔立ちは他の人と同じく多様であり、顔だけを見て判断することは不可能です。
世の中にはASDの特性を持つ俳優、モデル、研究者、教師、ビジネスパーソンが数多くいますが、その方々の顔立ちはまったく異なります。
顔つきで人の特性を判断しようとすることは、相貌差別と呼ばれる偏見の一種であり、当事者を傷つける行為にもなります。
科学的根拠のない情報を信じて、誰かを勝手にアスペルガーだと決めつけることは絶対に避けるべきです。
表情の出にくさが誤解を生むことがある
ただしASDの特性として、表情が乏しく見える、目線が合いにくい、独特の表情を浮かべるといった現象が起こることはあります。
これは顔の作りそのものではなく、表情筋の使い方やコミュニケーションの取り方の特性から来るものです。
ASDの方は感情と表情を結びつけて表現することに困難を感じることがあり、結果として無表情に見えたり、感情と表情が一致しないように見えたりします。
また視線を合わせることが苦痛で目を逸らす傾向があるため、目つきが冷たいと誤解されることもあります。
これらは顔つきというより表情や仕草の特性であり、本人が悪意を持っているわけではありません。
周囲がこの特性を理解することで、誤解は大きく減らせます。
ネットの情報を鵜呑みにしない
インターネット上にはアスペルガー特有の顔つきといった画像や記事が散見されますが、これらは科学的根拠に乏しい情報です。
特定の有名人や架空のイメージを基に作られた偏見が、あたかも事実のように広まっているケースが多くあります。
こうした情報を信じて自分や他人を診断することは、何の意味もないだけでなく、誤った思い込みを生む有害な行為です。
ASDかどうかを知りたいなら、専門の医療機関で正式な評価を受けることが唯一の正しい方法です。
児童精神科、精神科、発達障害者支援センターなど、専門機関での診察と発達検査を通じて、初めて適切な判断ができます。
顔つきや雰囲気で判断しようとする情報は、すべて信頼に値しないと考えて構いません。
当事者が顔つきで悩むときに
ASDの当事者の方の中には、自分の顔つきや表情について悩む方もいます。
笑顔が自然に作れない、目線を合わせるのが苦痛で冷たい印象を与えてしまう、表情が乏しいと言われた、こうした経験から自己肯定感を下げてしまうことがあります。
しかし表情の出方は脳の特性であり、本人の人格や価値とは無関係です。
無理に他の人と同じ表情を作ろうとすると、かえって不自然になり疲弊してしまいます。
自分の表現スタイルを受け入れ、信頼できる人にはその特性を伝えておくという姿勢が、長期的に楽な生き方につながります。
周囲の人も、表情だけで相手の気持ちを判断せず、言葉や行動から本人の思いを理解しようとする姿勢が大切です。
大切なのは中身を見ようとする姿勢
人を顔つきで判断しようとする姿勢そのものを見直すことが、本質的に大切です。
ASDがあるかどうかにかかわらず、人はそれぞれ異なる顔と表情を持っており、それは多様性として尊重されるべきです。
ASDの特性を持つ方は、コミュニケーションのスタイルが多数派と少し違うだけで、知性、感情、誠実さ、創造性において他の人と何ら変わりません。
外見ではなく、その人がどんなことを考え、どんな価値を持っているかに目を向けることが、本当の意味で人を理解するということです。
特性を持つ方への偏見を減らし、誰もが安心して暮らせる社会を作るためには、根拠のない情報を広めないこと、出会った人を顔つきで判断しないことが第一歩となります。
まとめ
アスペルガー症候群やASDに特有の顔つきというものは、医学的に証明されていません。
表情の出にくさや視線の特性が誤解を生むことはありますが、それは顔の作りではなく表現の特性です。
ネット上の根拠のない情報を信じて自分や他人を判断することは、何の意味もない有害な行為です。
ASDかどうかを知りたい場合は、必ず専門の医療機関で正式な評価を受けてください。
顔つきや雰囲気ではなく、その人の言葉や行動、考え方を通じて理解しようとする姿勢こそが、人と向き合う本来の姿です。
