頭では分かっているのに言葉が出ない原因7つ 心理的背景と今日からできる対処法

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「言いたいことはわかっているのに、言葉にできない」「頭の中には考えがあるのに、うまく話せない」という経験は、決して珍しいものではありません。この状態は、言語化の難しさや言葉の詰まりなどとして感じられ、緊張や疲労、ストレスから、発達特性や心身の状態、脳の働きに関わる病気まで、さまざまな背景が考えられます。

一時的な緊張やストレスによって、誰にでも起こることがあります。一方で、何度も繰り返す、特定の場面で強く起こる、以前はできていたのに急に言葉が出なくなったといった場合には、背景にある原因を考えることも大切です。

重要なのは、言葉が出ないからといって「頭が悪い」「能力がない」ということではないという点です。考えることと、それを言葉にして順序立てて伝えることには、それぞれ異なる認知的な過程が関わっています。そのため、考えはしっかりあるのに、言葉にする段階でつまずくことはあります。

また、「いつ言葉が出にくくなるのか」「話すときだけなのか、書くときも難しいのか」を振り返ることは、原因を考えるうえで役立ちます。

この記事では、頭でわかっていても言葉が出ない状態の特徴や原因、考えられる背景、日常生活でできる対処法や支援の選択肢について、順を追って解説していきます。

言葉にしづらい悩みは、自分だけの問題だと思ってしまいがちですが、実は多くの人が似た経験をしています。

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2. 頭でわかっていても言葉が出ない主な症状

この状態には、いくつかの特徴があります。すべての人に同じ症状が現れるわけではなく、場面や体調によって程度が変わることもあります。

言葉が出てこない

言いたいことは頭の中にあるのに、適切な言葉が思い浮かばない状態です。特に、固有名詞(人名・地名・商品名など)や特定の言葉が出てこず、「あれ」「それ」といった指示語で代用することがあります。

会話の途中で「えーと」「その……」などと言いながら、言葉が出てくるまで時間がかかることもあります。

文章にまとめられない

個々の単語や伝えたい内容は思い浮かぶものの、それを適切な順序で並べて文章にすることが難しい状態です。

話し始めたものの途中で何を言いたかったのかわからなくなったり、話が脱線したりして、自分では伝えたいことがあるのに、相手にうまく伝わらないことがあります。

表現が思い浮かばない

自分の感情や考えを表す言葉が見つからず、「なんて言えばいいのかわからない」と悩んでしまいます。

特に、複雑な気持ちや微妙なニュアンスを説明するときには、言葉にすることを難しく感じる場合があります。

とっさの返答ができない

質問されたときや意見を求められたときに、すぐに答えられない状態です。

考えがないわけではなく、頭の中で考えを整理して言葉にするまでに時間が必要なことがあります。急かされると、さらに言葉が出にくくなる場合もあります。

書くことはできるのに話せない

文章を書くときには問題なく表現できるのに、口頭で話すとうまく言葉が出てこない人もいます。

書く場合は考える時間を取り、文章を修正できますが、会話ではその場で内容を整理して言葉を選ぶ必要があります。そのため、「書けば伝えられるのに、話すとうまく伝えられない」という違いが生じることがあります。

3. 主な原因

頭でわかっていても言葉が出ない状態には、さまざまな原因が考えられます。

緊張・不安・ストレス

人前で話すとき、初対面の人と話すとき、重要な場面などで緊張や不安が高まると、普段より言葉が出にくくなることがあります。

強いストレスが続いている場合も、集中したり考えを整理したりすることが難しくなり、言葉にするまでに時間がかかることがあります。

人と話す場面で強い不安や恐怖を感じる場合には、社交不安症(社会不安症・対人恐怖症)が背景にある可能性もあります。

疲労・睡眠不足

心身の疲労が蓄積すると、集中力や注意力が低下し、言葉を思い出したり、文章を組み立てたりすることが難しくなる場合があります。

特に睡眠不足が続くと、「頭がぼんやりする」「考えがまとまらない」などの状態が起こりやすくなり、言葉が出にくいと感じることがあります。

発達障害(ASD・ADHD)

自閉スペクトラム症(ASD)の人では、相手の意図を読み取ったり、頭の中にある考えを相手に伝わる形に整理したりすることに難しさを感じる場合があります。

注意欠如・多動症(ADHD)では、注意を保つことや考えを整理することが難しく、話している途中で別の話題に移ったり、伝えたかったことを忘れたりすることがあります。

ただし、こうした特徴があるだけでASDやADHDと判断できるわけではなく、生活上の困りごとやこれまでの発達の経過などを含めて考える必要があります。

学習障害(限局性学習症)

学習障害(限局性学習症・SLD)では、読み書きや計算など特定の学習に困難が生じます。

言語に関する困難がある場合、言葉の理解や表現に苦手さがみられることもあります。ただし、言葉が出にくいという症状だけで限局性学習症と判断することはできません。

うつ病・抑うつ状態

うつ病や強い抑うつ状態では、思考や判断のスピードが落ちたり、集中しにくくなったりすることがあります。

そのため、「何を話せばいいかわからない」「言葉を選ぶのに時間がかかる」「話すこと自体が負担に感じる」といった状態になる場合があります。

失語症

失語症は、脳卒中や脳外傷などによって脳の言語機能が損なわれることで起こる、言葉を理解したり、話したり、読んだり、書いたりすることに関わる障害です。

「言いたい言葉が出てこない」だけでなく、相手の話が理解しにくい、読み書きが難しくなるなど、さまざまな症状がみられます。

認知症の初期症状

認知症では、進行に伴って記憶や注意、言語などの認知機能に変化がみられることがあります。

そのため、物の名前が思い出せない、会話の途中で言葉に詰まる、同じ話を繰り返すなどの変化がみられる場合があります。ただし、言葉が出にくいだけで認知症とは限りません。

言語発達の遅れ

子どもの場合、年齢に応じた言葉の発達が十分に進まず、言いたいことをうまく言葉にできないことがあります。

理解する力は比較的保たれていても、話すための語彙や文章を組み立てる力の発達に時間がかかる場合があります。

性格・気質

完璧主義で「正確に伝えなければ」と考えすぎると、適切な言葉を選ぼうとして、かえって話し始めるまでに時間がかかることがあります。

また、普段から自分の考えや気持ちを言葉にする機会が少ない場合、表現に慣れておらず、難しさを感じることもあります。

語彙不足・経験不足

単純に知っている言葉が少ない場合だけでなく、自分の気持ちや考えを言葉にする経験が少ないことも、言語化の難しさにつながることがあります。

日記を書く、人に話す、文章を読むなど、普段から言葉に触れる機会を増やすことで、表現の選択肢が広がることがあります。

4. 考えられる疾患や障害

言葉が出ない状態が長く続く場合や、日常生活に大きな支障がある場合には、以下のような疾患や障害が背景にある可能性があります。

失語症(ブローカ失語・ウェルニッケ失語など)

脳の言語に関わる領域が損傷すると、言葉を理解したり、話したりする機能に障害が生じることがあります。

ブローカ失語では、言いたいことは理解していても、言葉をうまく組み立てて話すことが難しくなる傾向があります。一方、ウェルニッケ失語では、流暢に話せても、言葉の意味を理解することや、話の内容を適切にまとめることに困難が生じる場合があります。

失語症では、話すことだけでなく、理解・読み書きなどにも影響することがあります。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD)では、社会的なコミュニケーションや対人関係に特徴がみられることがあります。

相手の表情や言葉の裏にある意図を読み取ること、会話の流れに合わせて話すことなどに難しさを感じ、「何をどう伝えればよいのかわからない」状態につながる場合があります。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意を持続させたり、頭の中で複数の情報を整理したりすることが難しい場合があります。

そのため、話している途中で別の考えが浮かんで話題が変わったり、伝えたいことを忘れたりして、結果的にうまく説明できないことがあります。

社交不安症(社会不安症・対人恐怖症)

人前で話すことや注目されることに強い不安や恐怖を感じる状態です。

「失敗したらどうしよう」「変に思われたらどうしよう」と考えることで緊張が強まり、頭が真っ白になったように感じたり、普段なら言える言葉が出なくなったりすることがあります。

うつ病

うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、集中力や思考力、意欲などにも影響が出ることがあります。

そのため、考えをまとめたり言葉を選んだりすることに時間がかかり、会話が負担に感じられる場合があります。

認知症(初期)

認知症では、記憶や注意、言語などの認知機能に変化が生じることがあります。

その一つとして、人や物の名前が思い出しにくい、会話の途中で言葉が出てこないなどの症状がみられる場合があります。

ただし、加齢による物忘れや一時的な「ど忘れ」と認知症による変化は異なるため、症状が続く場合は医療機関で相談することが大切です。

脳血管障害の後遺症

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって、言語機能が損なわれることがあります。

突然、言葉が出なくなったり、話している内容が理解できなくなったりした場合は、脳卒中の可能性があるため、緊急の対応が必要です。

発達性言語症

子どもの発達過程で、言葉の理解や話すことに持続的な困難がみられる場合があります。

単に「話すのが遅い」というだけで判断するのではなく、年齢や発達の経過、言葉を理解する力などを含めて確認することが大切です。気になる場合は、小児科や発達を専門とする医療機関などへの相談が役立ちます。

5. 日常生活での対処法

言葉が出にくい状態を改善したり、話しやすくしたりするために、日常生活でできる工夫があります。

焦らず、時間をかける

言葉が出ないときに「早く答えなければ」と焦ると、さらに考えを整理しにくくなることがあります。

深呼吸をして少し間を取り、「少し考えさせてください」「うまく言葉にできないので、少し待ってください」と伝えることも有効です。

メモや図を活用する

言葉で伝えることが難しい場合は、メモに書いたり、図や箇条書きにしたりして視覚的に伝える方法があります。

スマートフォンのメモ機能を使うなど、「話すことだけ」にこだわらず、自分が伝えやすい方法を選ぶことも大切です。

事前に準備する

重要な会議やプレゼンテーション、面接などの前には、言いたいことをあらかじめ整理してメモを作っておくと安心です。

「最初に伝えたいこと」「理由」「具体例」のように順番を決めておくと、話すときに内容を整理しやすくなります。

想定される質問への答えを簡単に準備しておくことも役立ちます。

シンプルな言葉で伝える

難しい表現や完璧な言い回しを探そうとせず、まずは短く、簡単な言葉で伝えることを意識しましょう。

一度にすべて説明しようとせず、短い文に分けて話すと、自分自身も整理しやすく、相手にも伝わりやすくなります。

言い換えや具体例を使う

適切な言葉が思いつかない場合は、別の言葉で言い換えたり、具体例を挙げたりして説明する方法があります。

「たとえば」「つまり」「具体的には」などの言葉を使うと、話の組み立てを助けることがあります。

語彙を増やす

読書や文章を読む習慣は、さまざまな表現に触れる機会になります。

また、日記やメモを書くことで、「自分は何を感じたのか」「なぜそう思ったのか」を言葉にする練習にもなります。

リラックスできる環境を作る

緊張や不安が強い場合は、安心して話せる環境を選ぶことも大切です。

信頼できる人との会話から始めたり、静かで落ち着いた場所で話したりすることで、言葉にしやすくなる場合があります。

睡眠と休息を十分にとる

疲労や睡眠不足があると、集中力や考えを整理する力が低下し、言葉が出にくいと感じることがあります。

睡眠時間を確保し、無理をしすぎず休息を取ることも、話す力を保つための基本的な対策です。

ストレス管理

慢性的なストレスは、集中力や気分、睡眠などに影響することがあります。

趣味や運動、入浴、深呼吸など、自分に合った方法で心身をリラックスさせる時間を作りましょう。

「言葉が出ない=言葉を知らない」とは限りません。緊張や疲労、考えを整理する時間の不足などによって、一時的に言葉にしにくくなることもあります。話す速度を落とす、メモを使う、返答までの時間を確保するなど、「言葉を出しやすい環境」を作ることも大切です。

6. コミュニケーションのコツ

言葉が出にくい状態でも、伝え方を工夫することで、コミュニケーションの負担を減らすことができます。

大切なのは、「うまく話さなければ」と無理をするのではなく、自分が伝えやすい方法を選ぶことです。

相手に理解を求める

信頼できる相手には、「言葉が出にくいことがある」「返事をするまで少し時間がかかることがある」と事前に伝えておくと安心です。

あらかじめ事情を知ってもらうことで、相手も急かさず待ってくれたり、質問を整理してくれたりするなど、サポートしやすくなります。

質問形式で進める

自分から長く話すことが難しい場合は、相手に質問してもらい、それに答える形で会話を進める方法もあります。

たとえば、「仕事のこと?」「今日のこと?」など、選択肢を出してもらうことで、頭の中を整理しやすくなる場合があります。

「今、考えています」と伝える

沈黙が続くと、「何も考えていないと思われるのでは」と不安になることがあります。

そのようなときは、「今、どう説明しようか考えています」「少し待ってください」と伝えてみましょう。

沈黙は、必ずしも「話せない」「考えていない」という意味ではありません。考えを言葉にまとめるための時間として、間を取ることも大切です。

ゆっくり話す

急いで話そうとすると、考えを整理する前に次の言葉を出そうとして、かえって話しにくくなることがあります。

一文を短くしたり、言葉と言葉の間に少し間を取ったりすることで、落ち着いて話しやすくなります。

「早く答えること」よりも「伝わること」を優先すると考えると、焦りを減らしやすくなります。

ボディランゲージを活用する

言葉だけでなく、表情やうなずき、指差し、ジェスチャーなどもコミュニケーションの手段になります。

すべてを言葉で説明しようとせず、「はい・いいえ」で答える、指を差す、スマートフォンの画面を見せるなど、使いやすい方法を組み合わせてもよいでしょう。

書いてから話す

会議や面談などで発言する前に、伝えたいことをメモに書き出しておくと、内容を整理しやすくなります。

「結論→理由→具体例」のように順番を決めておくと、話が脱線しにくくなります。

また、どうしても言葉が出てこない場合は、「メモに書いたものを読んでもいい」「そのまま相手に見せてもいい」と考えておくことも大切です。

ポイント

コミュニケーションは、「流暢に話すこと」だけが正解ではありません。話す・書く・指差す・ジェスチャーを使うなど、自分に合った方法を組み合わせることで、伝える負担を減らすことができます。

7. 専門的な支援・治療

自己対処だけでは改善が難しい場合や、言葉が出にくい状態が長く続いている場合は、専門家に相談することで原因を整理し、自分に合った支援につなげられることがあります。

医療機関の受診

言葉が出にくい状態が続き、仕事や学校、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

症状や考えられる原因によって、相談先は異なります。

  • 神経内科:脳血管障害や認知症、その他の神経の病気が疑われる場合
  • 精神科・心療内科:うつ病や不安、発達特性などが関係していると考えられる場合
  • 耳鼻咽喉科:声の出しにくさや発音など、発声・構音の問題がある場合
  • 小児科・児童精神科:子どもの言語発達やコミュニケーションに関する問題が気になる場合

どこを受診すればよいか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらう方法もあります。

言語聴覚士によるリハビリテーション

失語症や構音障害、言語発達の遅れなどに対しては、言語聴覚士(ST)が専門的なリハビリテーションやコミュニケーション支援を行うことがあります。

具体的には、言葉を思い出す練習、文章を組み立てる練習、発音の練習、コミュニケーション方法を身につける訓練などがあります。

カウンセリング・心理療法

不安や強い緊張、過去のつらい経験、自己評価の低さなど、心理的な要因が背景にある場合は、カウンセリングや認知行動療法などの心理的な支援が役立つことがあります。

話すことへの不安や「失敗したらどうしよう」という気持ちを整理し、少しずつ自信を取り戻していくことを目指します。

発達障害の支援

発達障害の特性がコミュニケーションの難しさに関係している場合は、ソーシャルスキルトレーニング(SST)やコミュニケーション支援などを活用できることがあります。

自分の特性を理解するだけでなく、話す順番を決める、メモを活用する、質問に答える形で会話するなど、自分に合ったコミュニケーション方法を見つけることが大切です。

薬物療法

うつ病や不安症などが背景にある場合、医師の判断によって抗うつ薬などの薬物療法が行われることがあります。

薬によって不安や抑うつなどの症状が改善すると、結果として言葉を出しやすくなることもあります。ただし、言葉が出にくいこと自体を直接治す薬があるとは限らず、原因や症状に応じて治療方法が選ばれます。

就労支援

仕事上のコミュニケーションに困難を感じている場合は、就労移行支援事業所などの福祉サービスを利用できる場合があります。

ビジネスコミュニケーションの練習だけでなく、職場での困りごとの整理や、自分に合った働き方を考える支援を受けられることもあります。

言葉が出にくい悩みは、「話す練習」だけで解決するとは限りません。原因が不安やストレスなのか、発達特性なのか、脳や神経の病気なのかによって必要な支援は異なります。症状が続く場合は、無理に自分だけで解決しようとせず、原因を確認することから始めることが大切です。

8. 周囲の人ができるサポート

言葉が出にくい人をサポートするときは、本人が焦らず、自分のペースで伝えられる環境をつくることが大切です。

焦らせない、急かさない

言葉が出るまで、ゆっくりと待つ姿勢が大切です。「早く」「まだ?」など、返答を急かすような言葉は避けましょう。

言葉を奪わない

途中で言葉を補ったり、代わりに話したりすると、本人が自分の言葉で伝える機会を奪ってしまうことがあります。必要以上に先回りせず、最後まで聞く姿勢を持ちましょう。

共感と理解を示す

「言いたいことがあるのに、うまく言えないのはつらいよね」など、本人の気持ちに寄り添うことで、安心して話しやすくなります。

プレッシャーをかけない

「ちゃんと話して」「もっとはっきり言って」といった言葉は、本人にとってプレッシャーとなり、さらに言葉が出にくくなることがあります。

話し方を責めるのではなく、何を伝えようとしているのかに目を向けることが大切です。

代替手段を提案する

「書いてもらってもいいよ」「図で説明してもらっても大丈夫だよ」など、別の方法を提案することで、コミュニケーションがスムーズになることがあります。

スマートフォンのメモや文字入力、指差し、身振りなど、本人が伝えやすい方法を一緒に探してみましょう。

環境を整える

周囲の音や人の多さなどが負担になる場合は、静かで落ち着いた場所に移動するなど、話しやすい環境を整えましょう。

否定しない

「そんなことないよ」「考えすぎだよ」と本人が感じている困難を否定するのではなく、「そう感じているんだね」「話すのが大変なんだね」と受け止めることが大切です。

なるほどポイント

言葉が出にくい人へのサポートでは、「正しく話させる」ことより「伝えられる方法を一緒に探す」ことが大切です。待つ、書く、指差すなど、複数の方法を組み合わせることで、本人の負担を減らせることがあります。

9. 子どもの場合の対応

子どもが「言葉が出ない」状態にある場合は、年齢だけで判断せず、発達の段階や普段のコミュニケーションの様子を考慮した対応が必要です。

年齢相応の発達を確認する

言語発達には個人差があります。ただし、言葉の理解や話す力、コミュニケーションの様子などに気になる点が続く場合は、専門家に相談しましょう。

1歳6か月児健診、3歳児健診などでは、子どもの発達や言葉の様子について確認する機会があります。気になることがあれば、保健師や医師などに相談してください。

たくさん話しかける

子どもの言語発達には、周囲とのやり取りを通じてさまざまな言葉に触れることが大切です。日常生活の中で子どもの興味に合わせて話しかけたり、絵本を読み聞かせたりしましょう。

一方的にたくさん話すだけでなく、子どもの反応を待ち、やり取りを楽しむことも大切です。

無理に話させない

「ちゃんと言いなさい」と無理に話させようとすると、話すことへの不安や苦手意識につながることがあります。子どものペースを尊重し、伝えようとする気持ちを受け止めましょう。

言い換えてあげる

子どもが「あれ」「それ」などの言葉を使ったときは、「これは〇〇だね」と大人が自然に正しい言葉を添えてあげることで、新しい言葉に触れる機会になります。

間違いを強く指摘するよりも、正しい表現を自然に聞かせることがポイントです。

遊びの中で言葉を育てる

ごっこ遊び、しりとり、絵本の読み聞かせなど、子どもが楽しめる活動を通して、言葉に触れる機会を増やしましょう。

専門機関への相談

言語発達やコミュニケーションについて気になることがある場合は、児童発達支援センター、言語聴覚士、小児科などに相談できます。

必要に応じて発達全体を確認しながら、子どもに合った支援方法を考えていきます。早めに相談することで、家庭での関わり方や利用できる支援について知ることができます。

10. よくある質問(FAQ)

Q  年齢のせいでしょうか? 加齢で言葉が出にくくなることはありますか? 

A 加齢により、知っている人や物の名前などが一時的に思い出しにくくなる「度忘れ」は、多くの人にみられることがあります。

ただし、言葉が出にくい状態が頻繁に起こる、日常生活に支障が出ている、以前より明らかに悪化しているといった場合は、認知機能の低下などが関係している可能性があります。気になる場合は、神経内科や物忘れ外来などに相談しましょう。

Q ストレスが原因の場合、どれくらいで改善しますか?

A ストレスによる言葉の出にくさは、ストレスの程度や続いている期間、睡眠や体調などによって改善までの期間が異なります。

ストレスの原因が軽減されることで改善することもありますが、「数週間~数か月で必ず改善する」とは一概にいえません。十分な休息や睡眠、ストレスを減らす工夫を行い、それでも症状が続く場合や生活に支障がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。

Q 発達障害かもしれないと感じたら、どうすればいいですか?

A 大人の場合は精神科や心療内科、発達特性を専門的に診療している医療機関などに相談できます。子どもの場合は、小児科や児童精神科、地域の発達相談窓口などが相談先になります。

言葉が出にくいという一つの症状だけで、発達障害と判断できるわけではありません。診察や発達の経過などを確認したうえで、必要な支援を検討します。

Q 書くことはできるのに、話すのが苦手です。これは異常ですか?

A 書くときと話すときでは、必要となる認知的な処理に違いがあります。書く場合は時間をかけて考えたり、文章を直したりできますが、会話では相手の話を聞きながら、その場で考えて言葉にする必要があります。

そのため、書くほうが考えを整理しやすく、話すことに苦手意識を感じる人もいます。必ずしも異常というわけではありません。

ただし、以前は問題なく話せていたのに急に話しにくくなった場合や、日常生活に大きな支障がある場合は、専門家に相談しましょう。

Q 突然、言葉が出なくなりました。すぐに病院に行くべきですか?

A 突然、言葉が出なくなったり、相手の話が理解できなくなったりした場合は、脳卒中(脳梗塞・脳出血など)の可能性があります。

片側の手足に力が入らない、顔の片側がゆがむ、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛などを伴う場合は、すぐに救急車を呼ぶなど、緊急の対応が必要です。

脳卒中は治療開始までの時間が重要になるため、「少し様子を見よう」とせず、突然の症状は早急に医療機関へつなげることが大切です。

Q 練習すれば改善しますか?

A 改善するかどうかは、言葉が出にくくなる原因によって異なります。

語彙や経験の不足、話すことへの苦手意識などが関係している場合は、日記を書く、会話の練習をするなどの方法が役立つことがあります。失語症などの場合は、言語聴覚士によるリハビリテーションが行われることがあります。

不安や緊張など心理的な要因が関係している場合は、カウンセリングや認知行動療法、リラクゼーションなどが役立つこともあります。

まずは原因や背景を確認し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

Q 周囲に理解されず、「努力が足りない」と言われます。どうすればいいですか?

A 言葉が出にくい状態は外から見えにくいため、「もっと頑張れば話せる」と誤解されることがあります。

可能であれば、「返事をするまで少し時間が必要」「書くほうが伝えやすい」など、具体的な困りごとを周囲に伝えてみましょう。

医療機関を受診している場合は、必要に応じて診断書や医師の意見書などを利用し、職場や学校に配慮を相談する方法もあります。職場では産業医や人事・相談窓口などに相談することもできます。

まとめ

頭でわかっていても言葉が出ない状態は、緊張やストレス、疲労などによる一時的なものから、発達特性、心理的な要因、脳や神経の病気などが関係しているものまで、原因はさまざまです。

焦らずに時間をかける、メモや文字を活用する、周囲に待ってもらうなど、自分が伝えやすい方法を取り入れることで、コミュニケーションの負担を減らせることがあります。

一方で、症状が長く続いている、日常生活や仕事・学校に支障がある、以前より明らかに悪化している場合は、専門家に相談することも大切です。

特に、突然言葉が出なくなった場合は脳卒中などの可能性があるため、早急な対応が必要です。

「うまく話せないから自分はダメだ」と考える必要はありません。原因や自分の特徴を知り、自分に合った伝え方や支援を見つけていきましょう。

いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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