「お金がない」という不安は、心を強く締め付け、冷静な判断力を奪います。生活費が足りない、借金がある、将来への蓄えがないという状況は、精神的にも大きな負担です。しかし、どんなに困難な状況でも、必ず打開策があります。本記事では、お金がない不安に対する緊急対処法、利用できる公的支援制度、収入を増やす方法、支出を減らす工夫、そして長期的な経済的安定への道筋を詳しく解説します。
お金がない不安がもたらす影響
まず、経済的な不安が心身に与える影響を理解しましょう。
精神的な影響
常に不安で落ち着かない、眠れない、集中できない、うつ状態になる、自己肯定感が低下する、将来に希望が持てない、孤独感や孤立感が強まるといった状態に陥ります。
身体的な影響
ストレスによる体調不良、食事を削ることによる栄養不足、医療費が払えず病院に行けない、慢性的な疲労といった問題が生じます。
社会的な影響
人付き合いを避ける、冠婚葬祭に参加できない、子どもの教育機会を奪う、家族関係の悪化といった影響があります。
悪循環
お金の不安→精神的ストレス→判断力の低下→さらなる経済的失敗→不安の増大、という悪循環に陥りやすくなります。
現状を把握する
まず、冷静に現状を把握することが第一歩です。
1. 収入と支出を正確に把握する
毎月の収入(給与、年金、手当など)、固定費(家賃、光熱費、通信費、保険料、ローンなど)、変動費(食費、日用品、交通費、娯楽費など)、借金がある場合はその総額と月々の返済額を書き出します。
家計簿アプリ(マネーフォワード、Zaimなど)を使うと、自動で集計してくれます。
2. 資産を確認する
預貯金、保険の解約返戻金、売却可能な資産(車、貴金属、ブランド品など)、未請求の給付金や手当がないかを確認します。
3. 今後の予定される支出
近い将来に必要な支出(家賃更新料、税金、保険料、冠婚葬祭など)を洗い出します。
4. 緊急度の判断
「今日明日の食費もない」という緊急事態なのか、「来月の家賃が払えない」という切迫した状態なのか、「将来が不安」という漠然とした不安なのか、状況の緊急度を判断します。
緊急度によって、取るべき対処が異なります。
緊急時の対処法
「今日明日のお金がない」という緊急事態の対処法です。
1. 公的支援制度の活用
生活福祉資金貸付制度
市区町村の社会福祉協議会が実施している、低所得者向けの貸付制度です。
一時的な生活費、住宅費、医療費などを低利または無利子で借りられます。連帯保証人がいれば無利子、いなくても年1.5%程度の低利で借りられます。
審査に時間がかかる(1か月程度)ため、緊急性が高い場合は他の方法と併用します。
緊急小口資金
生活福祉資金の一種で、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に、少額(10万円以内)を貸し付ける制度です。
比較的迅速に対応してもらえます。
生活保護
最後のセーフティネットです。生活に困窮している場合、誰でも申請する権利があります。
「持ち家があると受けられない」「若いと受けられない」といった誤解がありますが、実際には条件を満たせば受給できます。
市区町村の福祉事務所で相談できます。申請は権利であり、遠慮する必要はありません。
2. 食料支援
フードバンク・フードパントリー
食品を無料または低価格で提供する団体があります。「〇〇市 フードバンク」で検索すると、地域の団体が見つかります。
子ども食堂
子どもだけでなく、困っている大人も利用できる場合があります。無料または数百円で食事ができます。
社会福祉協議会
食料支援を行っている社協もあります。相談してみましょう。
3. 家族・友人に頼る
プライドが邪魔をするかもしれませんが、信頼できる家族や友人に正直に状況を話し、一時的な援助をお願いすることも選択肢です。
「貸してほしい」ではなく、「援助してほしい」と正直に伝えることで、理解を得られることもあります。
4. 不要品の売却
メルカリ、ラクマ、ヤフオクなどで、使わないものを売ります。ブランド品、電化製品、本、ゲームなどは意外と高く売れることがあります。
リサイクルショップに持ち込めば、即日現金化できます。
5. 日雇い・短期バイト
即日払いの日雇い仕事、単発バイト(イベントスタッフ、引っ越し、清掃など)で、すぐに現金を得ることができます。
タイミーなどのアプリで、即日働ける仕事が見つかります。
6. 給与の前借り
勤務先に事情を説明し、給与の前借りをお願いすることもできます。法律上、労働者が「非常の場合」に請求すれば、既に働いた分の給与を支払う義務があります(労働基準法第25条)。
7. クレジットカードのキャッシング(最終手段)
緊急時の最終手段として、クレジットカードのキャッシング枠があれば利用できます。
ただし、金利が高い(年15〜18%)ため、本当に緊急の場合のみにし、すぐに返済計画を立てます。
やってはいけないこと
消費者金融からの安易な借入(多重債務の入口)、闇金融(絶対に手を出さない)、クレジットカードの現金化(違法行為)、ギャンブルで増やそうとする、犯罪行為(万引き、詐欺など)は絶対に避けてください。
利用できる公的支援制度
経済的に困窮している場合、様々な公的支援があります。知らないと損をします。
1. 生活保護
憲法で保障された、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利です。
生活扶助、住宅扶助、医療扶助、教育扶助などがあり、生活費、家賃、医療費などが支給されます。
受給条件は、資産や能力を活用しても生活できない状態です。持ち家があっても、ローンがなければ受給できる場合があります。
2. 住居確保給付金
離職や廃業、やむを得ない休業などで住居を失うおそれがある方に、家賃相当額を支給する制度です。
原則3か月、最長9か月支給されます。市区町村の自立相談支援機関で申請できます。
3. 傷病手当金
健康保険に加入している方が、病気やけがで働けなくなった場合、給与の約3分の2が最長1年6か月支給されます。
4. 失業保険(雇用保険)
離職後、ハローワークで求職申込をすることで、失業保険を受給できます。
自己都合退職でも、一定期間後(2か月または3か月の給付制限後)に受給開始できます。
5. 児童扶養手当
ひとり親家庭に支給される手当です。月額最大44,140円(2024年4月現在、子ども1人の場合)が支給されます。
6. 生活困窮者自立支援制度
市区町村の自立相談支援機関で、生活困窮者の相談を受け付け、就労支援、家計改善支援、住居確保支援などを行います。
7. 国民健康保険料・国民年金保険料の減免
収入が少ない場合、保険料の減免や猶予を受けられます。市区町村や年金事務所で相談できます。
滞納したまま放置せず、必ず相談することが重要です。
8. 税金の減免・猶予
住民税、固定資産税などの税金も、生活困窮の場合、減免や分割払い、猶予を受けられることがあります。
9. 公営住宅
家賃が安い公営住宅(都営住宅、市営住宅など)に申し込むことで、住居費を大幅に削減できます。
抽選ですが、ひとり親世帯、高齢者世帯などは優先枠があります。
10. 奨学金・教育支援
子どもの教育費が負担な場合、奨学金、就学援助、高等学校等就学支援金などの制度があります。
支出を減らす方法
収入を増やすより、支出を減らす方が即効性があります。
1. 固定費の見直し
住居費
家賃が収入の3割を超えている場合、引っ越しを検討します。公営住宅、家賃の安いエリアへの移転、シェアハウスなども選択肢です。
通信費
格安SIM(月1,000円〜3,000円程度)に変更する、不要なサブスクリプション(動画配信、音楽配信など)を解約する、インターネット回線を見直すことで、大幅に削減できます。
保険
過剰な生命保険、医療保険を見直します。独身者や子どもがいない場合、高額な生命保険は不要です。
車
維持費が高い場合、手放すことを検討します。車検、保険、駐車場、ガソリン代などを合計すると、月数万円かかります。
公共交通機関やカーシェアの方が安い場合もあります。
2. 食費の節約
自炊をする、まとめ買い、特売品の活用、冷凍保存、もやし・豆腐・卵などの安価な食材を活用する、外食を減らすといった工夫です。
フードバンクや子ども食堂の利用も検討します。
3. 光熱費の節約
電力会社・ガス会社の見直し(自由化により選択肢が増えています)、節電・節水の徹底、エアコンの適切な使用などです。
4. 娯楽費の削減
有料の娯楽を減らし、無料の楽しみ(図書館、公園、無料イベントなど)を活用します。
5. クレジットカード・ローンの見直し
リボ払いは即座にやめ、一括払いに変更します。リボ払いは金利が高く、借金が膨らみます。
高金利のローンがあれば、低金利のローンへの借り換えを検討します。
6. 不要な支出の排除
コンビニでの無駄遣い、衝動買い、タバコ・酒・ギャンブルなどの嗜好品を見直します。
1か月間、すべての支出を記録することで、無駄な支出が見えてきます。
収入を増やす方法
支出削減と並行して、収入を増やすことも重要です。
1. 副業
現在の仕事を続けながら、副業で収入を増やします。
データ入力、ライティング、デザイン、プログラミング、アンケートモニター、ウーバーイーツ配達、家事代行、オンライン講師など、様々な副業があります。
クラウドソーシング(クラウドワークス、ランサーズ)で仕事を探せます。
2. 転職
現在の収入が低すぎる場合、より給与の高い仕事への転職を検討します。
スキルアップのための資格取得や職業訓練も検討します。
3. スキルアップ
資格取得、専門スキルの習得により、収入アップやキャリアチェンジが可能になります。
ハロートレーニング(公的職業訓練)は、無料または低額で受講でき、訓練期間中は給付金が出る場合もあります。
4. 不用品の販売
継続的に不用品を販売することで、定期的な収入源にすることもできます。
5. 能力の活用
特技や趣味を活かして収入を得る方法もあります。手芸品の販売、音楽のレッスン、語学の指導、料理教室などです。
6. 公的給付の確認
受給資格があるのに受け取っていない給付金や手当がないか、確認します。
児童手当、児童扶養手当、障害年金、失業保険など、受け取れるものは必ず申請します。
借金がある場合の対処
借金が原因でお金がない場合、専門的な対処が必要です。
1. 債務整理
借金が返済できない場合、債務整理を検討します。
任意整理
弁護士・司法書士が債権者と交渉し、利息をカットして返済額を減らす方法です。裁判所を通さないため、比較的手続きが簡単です。
個人再生
裁判所を通じて、借金を大幅に減額(5分の1程度)し、3〜5年で返済する方法です。住宅を残せる場合があります。
自己破産
すべての借金を免除してもらう方法です。財産は処分されますが、生活に最低限必要なものは残せます。
「人生の終わり」ではなく、「再スタート」のための制度です。
2. 法テラス
経済的に困難な場合、法テラスを利用すれば、無料で弁護士に相談でき、費用の立て替えもしてもらえます。
3. 多重債務相談窓口
国民生活センター、消費生活センター、市区町村の相談窓口などで、多重債務の相談ができます。
4. 絶対に避けるべきこと
闇金融から借りる、借金を借金で返す(自転車操業)、放置して逃げる(時効は成立しにくく、状況が悪化します)ことは避けてください。
メンタルヘルスのケア
お金の不安は、精神的に大きな負担です。心のケアも重要です。
1. 一人で抱え込まない
信頼できる家族、友人、専門家に相談します。話すだけで心が軽くなります。
2. 専門機関への相談
お金の不安で精神的に追い詰められている場合、心療内科やカウンセラーに相談します。
無料の相談窓口(よりそいホットライン:0120-279-338など)もあります。
3. 小さな楽しみを見つける
お金がなくても楽しめることを見つけます。図書館、散歩、無料イベント、自然に触れるなど、無料の楽しみはたくさんあります。
4. 自己肯定感を保つ
お金がないことと、人間の価値は別です。経済的な困難は、あなたの価値を下げません。
長期的な経済的安定への道
緊急対処と並行して、長期的な安定を目指します。
1. 家計管理の習慣化
継続的に家計簿をつけ、収支を把握する習慣を身につけます。
2. 緊急資金の確保
生活費3〜6か月分の緊急資金を、少しずつでも貯めることを目標にします。
3. スキルと収入の向上
継続的な学習とスキルアップにより、収入を増やす基盤を作ります。
4. 無駄な支出をしない習慣
「本当に必要か」を常に問い、衝動買いを避ける習慣を身につけます。
5. 将来への計画
老後資金、子どもの教育費など、長期的な計画を立てます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA(少額投資非課税制度)などの制度も活用できます。
まとめ
お金がない不安は深刻ですが、必ず打開策があります。まず現状を冷静に把握し、緊急度に応じて適切な対処をします。
緊急時は、生活福祉資金、生活保護、フードバンク、不用品売却、日雇いバイトなどを活用します。公的支援制度は遠慮せず利用し、支出を徹底的に見直し、副業などで収入を増やします。
借金がある場合は、債務整理を検討し、専門家に相談します。一人で抱え込まず、家族、友人、専門機関に助けを求めることが重要です。
お金の問題は、必ず解決できます。焦らず、一歩ずつ、確実に前進していきましょう。あなたには、経済的な困難を乗り越える力があります。

コメント