うつ病チェック 症状の確認方法と受診の目安を徹底解説

1. うつ病のセルフチェックとは

うつ病は、誰にでも起こりうる心の病気です。「最近何となく気分が晴れない」「やる気が出ない」「疲れやすい」といった症状が続いている場合、それはうつ病のサインかもしれません。

うつ病のセルフチェックは、自分の心の状態を客観的に見つめ、専門家の助けが必要かどうかを判断するための第一歩です。ただし、セルフチェックはあくまで目安であり、正式な診断ではありません。

この記事では、うつ病の症状チェックリスト、診断基準、セルフチェックの方法、受診の目安、そして気になる症状がある場合の対処法について、詳しく解説していきます。

2. うつ病の主な症状

うつ病には、心の症状と体の症状があります。これらの症状が2週間以上続いている場合は、うつ病の可能性があります。

心の症状

抑うつ気分として、気分が沈む、憂うつである、悲しい気持ちになる、何をしても晴れない気持ちが続くといった症状があります。特に朝に症状が強く、夕方になると少し楽になることが多くあります(日内変動)。

興味や喜びの喪失として、これまで楽しめていたことが楽しめない、趣味に興味がなくなる、何をしても面白くない、テレビを見ても笑えないといった症状が現れます。

意欲の低下として、やる気が出ない、何もしたくない、おっくうである、人と会いたくない、外出したくないといった症状があります。

思考力・集中力の低下として、考えがまとまらない、決断できない、仕事や家事が手につかない、本や新聞を読んでも頭に入らないといった症状が現れます。

自己否定感・罪悪感として、自分を責める、自分は価値がないと思う、周りに迷惑をかけていると感じる、申し訳ないという気持ちが強いといった症状があります。

将来への悲観として、将来に希望が持てない、この先良くなる気がしない、絶望的な気持ちになるといった症状が現れます。

死にたい気持ち(希死念慮)として、死にたいと思う、消えてしまいたいと思う、死について考えることが増えるといった症状があります。これは非常に重要なサインで、すぐに専門家に相談する必要があります。

体の症状

睡眠の問題として、寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)、寝ても寝た気がしない、逆に寝すぎてしまう(過眠)といった症状があります。

食欲の変化として、食欲がない、食べてもおいしく感じない、体重が減る、逆に食べ過ぎてしまう、体重が増えるといった症状が現れます。

疲労感・倦怠感として、常に疲れている、体が重い、だるい、休んでも疲れが取れないといった症状があります。

身体の痛みとして、頭痛、肩こり、腰痛、胃痛など、原因不明の身体の痛みが現れることがあります。

その他の身体症状として、めまい、動悸、息苦しさ、便秘や下痢、性欲の減退などが見られることがあります。

3. うつ病チェックリスト

以下のチェックリストで、現在の自分の状態を確認してみましょう。過去2週間の状態を思い出しながら、当てはまる項目にチェックを入れてください。

基本チェックリスト

□ ほとんど一日中、気分が沈んでいる、または憂うつである □ ほとんど一日中、ほとんどすべての活動に対する興味や喜びがない □ 食欲が著しく減退している、または増加している(体重の変化を伴う) □ 寝つきが悪い、夜中や早朝に目が覚める、または寝すぎてしまう □ 動作や話し方が遅くなった、またはイライラして落ち着かない □ 疲れやすい、または気力がない □ 自分に価値がないと感じる、または過度に自分を責める □ 思考力や集中力が低下している、または決断ができない □ 死について繰り返し考える、死にたいと思う、または自殺を計画している

判定の目安

最初の2項目(抑うつ気分または興味・喜びの喪失)のうち、少なくとも1つ以上に該当し、かつ全体で5項目以上に該当する場合、うつ病の可能性があります。

これらの症状が2週間以上続いており、日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関への受診を強くお勧めします。

追加チェック項目

以下の項目も、うつ病でよく見られる症状です。

□ 朝が特につらく、午後から夕方にかけて少し楽になる(日内変動) □ 些細なことでも涙が出る □ 人と会うのが億劫で、避けるようになった □ 身だしなみに気を使わなくなった □ 仕事や家事のミスが増えた □ 趣味や娯楽に興味がなくなった □ テレビを見ても内容が頭に入らない □ 電話に出たくない、メールを返すのも億劫 □ 原因不明の頭痛や肩こり、胃痛がある □ お酒の量が増えた

これらの項目に多く該当する場合も、専門家への相談を検討しましょう。

4. 医学的な診断基準(DSM-5)

医療機関では、DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)やICD-11(WHOの国際疾病分類)に基づいて診断が行われます。

DSM-5によるうつ病(大うつ病性障害)の診断基準

以下の症状のうち、5つ以上が同じ2週間の間に存在し、これまでの機能からの変化を示していること。これらの症状のうち、少なくとも1つは「抑うつ気分」または「興味または喜びの喪失」であること。

  1. ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分
  2. ほとんど一日中、ほとんど毎日の、すべてまたはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退
  3. 著しい体重減少または体重増加、食欲の減退または増加
  4. 不眠または過眠
  5. 精神運動性の焦燥または制止
  6. 疲労感または気力の減退
  7. 無価値感、または過度あるいは不適切な罪責感
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難
  9. 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

また、これらの症状が、臨床的に著しい苦痛、または社会的・職業的な機能の障害を引き起こしていることが必要です。

5. オンラインで利用できるセルフチェックツール

インターネット上には、様々なうつ病のセルフチェックツールがあります。

主なセルフチェックツール

簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)は、16項目の質問に答えることで、うつ症状の重症度を評価できます。医療機関でも使用される信頼性の高いツールです。

ベックうつ病調査票(BDI)は、世界中で広く使われているうつ病の自己評価尺度です。

Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)は、9項目の質問でうつ病のスクリーニングと重症度評価ができます。

セルフチェックの注意点

セルフチェックツールは、あくまでスクリーニング(ふるい分け)のためのものであり、正式な診断ではありません。

結果が「うつ病の可能性が高い」と出ても、必ずしもうつ病とは限りません。逆に、「可能性が低い」と出ても、実際にはうつ病である可能性もあります。

セルフチェックで気になる結果が出た場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診して専門家の診断を受けることが重要です。

6. 受診の目安

以下のような場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

すぐに受診すべき場合

死にたいという気持ちが強い場合は、すぐに受診が必要です。自殺を計画している、自殺の方法を考えているなどの場合は、緊急性が高いため、すぐに精神科救急や相談窓口に連絡してください。

日常生活に大きな支障がある場合として、仕事に行けない、学校に行けない、家事ができない、外出できない、人と会えないなどの状態が続いている場合は、早めの受診が必要です。

身体症状が強い場合として、食事がまったく取れない、体重が急激に減少している、まったく眠れない日が続いているなどの場合は、早急に受診しましょう。

早めの受診が望ましい場合

抑うつ気分や興味の喪失が2週間以上続いている場合は、受診を検討しましょう。

症状が徐々に悪化している場合、様子を見ていても改善せず、むしろ悪化している場合は、早めの受診が望ましいです。

以前にうつ病を経験したことがあり、同じような症状が現れている場合は、再発の可能性があるため、早めに受診しましょう。

家族や友人から心配されている場合、周囲の人が変化に気づいて心配している場合は、客観的に見ても症状が現れている可能性があります。

受診をためらう理由への対処

「こんなことで受診していいのか」と思う必要はありません。つらい症状があれば、それは受診する理由として十分です。

「精神科や心療内科に行くのは抵抗がある」という方は、まずかかりつけの内科医に相談することもできます。

「忙しくて時間がない」と思うかもしれませんが、症状が悪化すると、かえって長期間の休養が必要になることがあります。早めの受診が、結果的に早い回復につながります。

7. どの診療科を受診すべきか

うつ病が疑われる場合、以下の診療科を受診できます。

精神科

心の病気を専門に診療する科です。うつ病の診断と治療に最も適しています。

心療内科

心身症(心理的要因が身体症状として現れる疾患)を主に扱いますが、うつ病の診療も行っています。

メンタルクリニック

精神科や心療内科をより親しみやすい名称にしたものです。内容は精神科とほぼ同じです。

かかりつけの内科医

まず身体疾患がないか確認するため、かかりつけの内科医に相談することもできます。必要に応じて、精神科や心療内科を紹介してもらえます。

8. 初診時の準備

初めて精神科や心療内科を受診する際、以下の準備をしておくとスムーズです。

持参するもの

健康保険証、お薬手帳(現在服用している薬がある場合)、紹介状(かかりつけ医からもらった場合)、症状のメモ(いつから、どんな症状があるか)を持参しましょう。

伝えること

いつから症状が始まったかどんな症状があるか(気分、睡眠、食欲、体の症状など)、日常生活への影響(仕事、家事、人間関係など)、きっかけとなった出来事(もしあれば)、過去の病歴家族の精神疾患の有無現在の生活状況(仕事、家族、住環境など)を医師に伝えます。

話すのが難しい場合は、メモに書いて渡すこともできます。

9. うつ病以外の可能性

うつ症状があっても、うつ病以外の疾患の可能性もあります。

適応障害

明確なストレス要因があり、それに対する反応として抑うつ症状が現れる状態です。ストレス要因が解消されれば、症状も改善します。

双極性障害(躁うつ病)

うつ状態だけでなく、躁状態(気分が異常に高揚する状態)も現れる疾患です。うつ状態のときに受診すると、うつ病と誤診されることがあります。

身体疾患によるうつ症状

甲状腺機能低下症、脳血管障害、認知症、がん、慢性疼痛など、様々な身体疾患がうつ症状を引き起こすことがあります。

薬剤性うつ

一部の薬剤(降圧薬、ステロイドなど)の副作用として、うつ症状が現れることがあります。

医師は、これらの可能性も含めて、総合的に診断します。

10. 症状があるときの過ごし方

受診までの間、または治療を始めた後、以下のことに気をつけましょう。

休養を取る

無理をせず、十分な休息を取ることが大切です。可能であれば、仕事や学校を休むことも検討しましょう。

規則正しい生活

できる範囲で、規則正しい生活リズムを保ちます。決まった時間に起きる、食事を取る、適度に体を動かすことが回復を助けます。

一人で抱え込まない

信頼できる人に話すことで、気持ちが楽になることがあります。話すことが難しければ、そばにいてもらうだけでも支えになります。

重大な決断を避ける

うつ状態のときは、判断力が低下しています。退職、離婚、引っ越しなど、重大な決断は先延ばしにしましょう。

アルコールに頼らない

お酒で気分を紛らわそうとすると、依存のリスクがあります。アルコールは一時的に気分を良くするかもしれませんが、長期的には症状を悪化させます。

自分を責めない

うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、あなたのせいではありません。「怠けている」「弱い」と自分を責めないでください。

11. 家族や友人ができること

身近な人がうつ病かもしれないと思ったら、以下のようなサポートができます。

話を聴く

解決策を提示するよりも、ただ話を聴くことが大切です。「つらいんだね」と共感を示しましょう。

受診を勧める

無理強いせず、優しく受診を勧めます。「一緒に病院に行こうか」と提案するのも良いでしょう。

励まさない

「頑張れ」「気の持ちようだ」といった言葉は、本人をさらに追い詰めます。

見守る

急かさず、焦らせず、見守ることが大切です。回復には時間がかかることを理解しましょう。

自殺の兆候に注意

「死にたい」という言葉が出たら、真剣に受け止め、すぐに専門家に相談しましょう。

12. まとめ:早めの気づきと受診が大切

うつ病は、誰にでも起こりうる病気です。抑うつ気分、興味や喜びの喪失、睡眠障害、食欲の変化、疲労感などの症状が2週間以上続いている場合は、うつ病の可能性があります。

セルフチェックで気になる結果が出た場合、または日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。早期発見、早期治療が、回復への近道です。

うつ病は適切な治療により改善する病気です。一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることが大切です。受診をためらう必要はありません。つらい症状があれば、それは十分な受診理由です。

もしあなた自身や身近な人にうつ病の症状がある場合は、この記事を参考に、早めの対応を心がけてください。適切な治療とサポートがあれば、必ず回復への道が開けます。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。