高尾山薬王院について知る

高尾山薬王院は東京都八王子市の高尾山にある真言宗智山派の大本山で、正式には高尾山薬王院有喜寺といいます。都心から約1時間でアクセスできる高尾山は年間約300万人が訪れる人気の山であり、その中心的存在が薬王院です。修験道の霊場としての長い歴史を持ち、飯縄大権現を祀る山岳信仰の聖地として、また観光スポットとしても多くの参詣者を集めています。本記事では高尾山薬王院の歴史や由緒、ご本尊、境内の見どころ、そして参拝する際に知っておきたい情報について詳しく見ていきます。

高尾山薬王院の歴史と由緒

高尾山薬王院の開山は天平16年744年とされ、約1300年の歴史を持つ古刹です。奈良時代に聖武天皇の勅命により行基菩薩が開山し、薬師如来を本尊として祀ったことに始まります。

南北朝時代の永和年間には京都醍醐寺の俊源大徳が入山し、飯縄大権現を勧請して中興開山しました。これ以降、高尾山は修験道の霊場として発展し、多くの修験者が修行を行う場となりました。

江戸時代には徳川家の庇護を受け、薬王院は関東屈指の修験道の聖地として栄えました。現在でも真言宗智山派の大本山として、また東京都唯一のミシュラン三つ星観光地として、国内外から多くの参詣者や登山者が訪れています。

ご本尊と飯縄大権現

高尾山薬王院のご本尊は薬師如来です。薬師如来は病気平癒や健康長寿の仏様として信仰されており、心身の苦しみを取り除き、安楽を与えてくださるとされています。

しかし高尾山で最も崇敬されているのは飯縄大権現です。飯縄大権現は戦国武将からも信仰された勝負運や開運の神仏で、烏天狗の姿をした独特の姿で表されます。厄除けや災難除け、開運、火防の神として広く信仰されています。

飯縄大権現は不動明王の化身とされ、修験道における重要な本尊です。高尾山は江戸を守る霊山として、また火伏せの山として庶民の信仰も集めてきました。

天狗信仰と修験道

高尾山は天狗の山として知られており、薬王院でも天狗が神仏の眷属として崇められています。境内には大天狗と小天狗の像が安置されており、参詣者を迎えています。

天狗は修験道と深く結びついた存在で、山の守護者、修行者の守り神とされています。高尾山では飯縄大権現が烏天狗の姿で表されることもあり、天狗信仰が色濃く残っています。

現在でも薬王院では修験道の伝統が守られており、護摩焚きや各種修法が執り行われています。一般の参詣者も護摩行に参加することができ、修験道の雰囲気を体験できます。

境内の見どころ

高尾山の山頂近くに位置する薬王院への道のりには、多くの見どころがあります。まず1号路を登ると浄心門があり、ここから先が薬王院の境内となります。門をくぐることで俗世から聖域へと入る意味があります。

男坂と女坂の分岐点を過ぎると、108段の石段が続きます。この石段は煩悩の数を表し、登ることで煩悩を浄化するとされています。石段を登りきると山門があり、その先に本堂が見えてきます。

本堂である薬師堂は荘厳な建築で、ご本尊の薬師如来が安置されています。また本社である飯縄権現堂は山頂近くにあり、飯縄大権現を祀る最も神聖な場所です。権現堂の前では護摩焚きが行われ、参詣者が願いを込めます。

護摩焚きと祈祷

薬王院では毎日護摩焚きが執り行われており、一般の参詣者も参加することができます。護摩焚きは真言密教の重要な修法で、炎の中で護摩木を焚き上げることで願いを天に届けます。

護摩行に参加すると、僧侶による読経と太鼓の音、炎の迫力を間近で体験できます。参詣者は護摩木に願い事を書いて奉納し、炎の中で焚き上げてもらいます。この体験は高尾山参詣の大きな魅力の一つです。

また個別の祈祷も受け付けており、厄除け、家内安全、商売繁盛、合格祈願など様々な願いに応じた祈祷が執り行われます。事前に申し込むことで、丁寧な祈祷を受けることができます。

天狗焼きと精進料理

高尾山名物の一つが天狗焼きです。天狗の顔をかたどった今川焼きのようなお菓子で、中には黒豆の餡が入っています。参道の茶屋で購入でき、登山の休憩にぴったりです。

また薬王院では精進料理をいただくこともできます。事前予約が必要ですが、山で採れる山菜や豆腐を中心とした健康的で美味しい精進料理を味わえます。修行僧が食べる料理を体験できる貴重な機会です。

他にも参道にはとろろそばや団子など、様々な名物があります。登山の疲れを癒しながら、高尾山の味を楽しむことができます。

年中行事

高尾山薬王院では一年を通じて様々な行事が執り行われています。1月1日の初護摩や1月8日の初薬師など、新年の行事には多くの参詣者が訪れます。高尾山からの初日の出を拝む人も多くいます。

3月の火渡り祭は最も有名な行事の一つで、山伏による火渡り修行が公開されます。燃え盛る炎の上を素足で渡る様子は圧巻で、一般の参加者も火渡り体験ができます。

また毎月8日、18日、28日は薬師如来の縁日で、特別な法要が営まれます。紅葉の時期には多くの観光客が訪れ、境内は美しい紅葉に彩られます。

登山ルートと参拝方法

高尾山には複数の登山ルートがあります。最も一般的なのは1号路で、舗装された道で薬王院まで直接行けるルートです。ケーブルカーやリフトを使えば中腹まで楽に登れ、そこから徒歩約40分で薬王院に到着します。

体力に自信がある方は徒歩で麓から登ることもできます。所要時間は約1時間半から2時間程度で、途中には杉並木や滝など見どころもあります。登山の達成感とともに参拝できます。

また2号路から6号路まで様々なルートがあり、自然を楽しみながら登山することもできます。ただし薬王院への参拝が主目的であれば、1号路が最も確実で快適です。

厄除けと開運のご利益

高尾山薬王院は厄除けと開運で特に有名です。飯縄大権現の御神徳により、災難を除け、運を開くご利益があるとされています。厄年の人々が全国から厄除け祈願に訪れます。

また勝負運や仕事運の向上を願うビジネスパーソンも多く参詣します。戦国武将が信仰したように、勝負事や事業の成功を祈願する人が後を絶ちません。

さらに病気平癒や健康祈願のご利益もあります。ご本尊の薬師如来は医薬の仏様であり、心身の健康を守ってくださるとされています。登山という運動と合わせて、健康増進の効果も期待できます。

参拝の作法とマナー

薬王院は寺院ですので、神社とは若干作法が異なります。山門をくぐる際には合掌して一礼します。本堂や権現堂での参拝は、お賽銭を入れてから鈴を鳴らし、合掌して一礼します。神社のように拍手は打ちません。

境内は神聖な場所であり、また修験道の霊場でもありますので、静かに敬虔な気持ちで参拝することが大切です。写真撮影は許可されている場所でのみ行い、護摩行中など撮影禁止の場合もあります。

また登山道は譲り合いの精神が大切です。登りの人を優先し、すれ違うときは挨拶を交わすなど、山のマナーを守りましょう。ゴミは必ず持ち帰ることも重要です。

授与品とお守り

高尾山薬王院では様々なお守りや授与品が用意されています。開運厄除守は特に人気があり、飯縄大権現の御神徳をいただけるお守りです。また勝守は勝負運や仕事運を願う人に人気です。

天狗守も高尾山ならではのお守りで、天狗の力で災難を除け、幸運を招くとされています。また健康守や病気平癒守は、薬師如来のご利益を願うお守りです。

御朱印も授与されており、参拝の記念として多くの人が受けています。御朱印帳も販売されており、高尾山オリジナルのデザインが人気です。山頂で御朱印をいただく達成感は格別です。

アクセスと参拝時間

高尾山へのアクセスは京王線の高尾山口駅が最寄りです。新宿から京王線特急で約50分、高尾山口駅から徒歩約5分でケーブルカー乗り場に到着します。

ケーブルカーまたはリフトで山上駅まで行き、そこから徒歩約40分で薬王院に到着します。体力に自信がある方は麓から徒歩で登ることもできますが、所要時間は約1時間半から2時間です。

薬王院は基本的に終日参拝可能ですが、授与所や護摩祈祷の受付時間は午前9時から午後4時頃までです。早朝や夕方の静かな時間帯の参拝も趣があります。

まとめ

高尾山薬王院は約1300年の歴史を持つ真言宗智山派の大本山であり、修験道の霊場として長く信仰を集めてきました。薬師如来をご本尊とし、飯縄大権現を祀ることから、厄除け、開運、病気平癒など幅広いご利益があるとされています。天狗信仰や修験道の伝統が色濃く残り、毎日執り行われる護摩焚きは参詣者も参加できる貴重な体験です。都心から約1時間でアクセスできる立地の良さと、登山と参拝を同時に楽しめることから、年間約300万人が訪れる人気のスポットとなっています。境内には荘厳な堂宇が立ち並び、参道には名物の天狗焼きや精進料理など楽しみも多くあります。火渡り祭などの伝統行事も魅力的で、四季折々の自然も美しい場所です。東京を訪れた際には、都会の喧騒を離れて高尾山薬王院で心身を清め、自然と信仰の力を感じる貴重な体験をしてみてはいかがでしょうか。

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