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「いつまで扶養に入れておくべきか」「外すタイミングはいつがいいのか」「外すとどうなるのか」「税金や福祉サービスへの影響は」「本人にとって得なのか損なのか」。障害のある家族を扶養に入れている場合、扶養から外すタイミングは重要な判断です。
扶養には、税法上の扶養と健康保険上の扶養があり、それぞれ外すタイミングや影響が異なります。適切なタイミングで扶養から外すことで、福祉サービスの利用料が安くなる、本人の自立意識が芽生えるなどのメリットがあります。本記事では、扶養の種類、外すメリットとデメリット、外すべきタイミング、手続き方法、そしてよくある質問について詳しく解説します。
扶養の種類
まず、扶養には2種類あることを理解しましょう。
1. 税法上の扶養
所得税・住民税の控除
税法上の扶養とは、親が所得税や住民税の計算で、扶養控除や障害者控除を受けることです。
扶養親族の要件
- 配偶者以外の親族
- 生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者でない
受けられる控除
扶養控除
- 一般の扶養親族(16歳以上):38万円(所得税)
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円(所得税)
障害者控除
- 障害者控除:27万円(所得税)
- 特別障害者控除:40万円(所得税)
- 同居特別障害者控除:75万円(所得税)
重複可能
扶養控除と障害者控除は、重複して受けられます。
例
- 20歳の障害のある子ども(同居、特別障害者)
- 扶養控除:38万円
- 同居特別障害者控除:75万円
- 合計:113万円の控除
2. 健康保険上の扶養
健康保険の被扶養者
健康保険上の扶養とは、親の健康保険の被扶養者として、保険料を支払わずに健康保険の給付を受けることです。
被扶養者の要件
主として生計を維持されていること
- 同居の場合:年収が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)かつ被保険者の年収の半分未満
- 別居の場合:年収が130万円未満かつ被保険者からの仕送り額より少ない
注意点
- 健康保険組合によって要件が異なる場合がある
- 障害年金は収入に含まれる
税法上の扶養と健康保険上の扶養の違い
別々の制度
税法上の扶養と健康保険上の扶養は、別々の制度です。
違い
| 項目 | 税法上の扶養 | 健康保険上の扶養 |
|---|---|---|
| 判定機関 | 税務署 | 健康保険組合 |
| 収入要件 | 年間所得48万円以下 | 年収130万円未満(障害者は180万円未満) |
| 障害年金 | 非課税のため所得に含まれない | 収入に含まれる |
| メリット | 親の税金が安くなる | 本人の保険料が不要 |
独立して判断
税法上の扶養から外しても、健康保険上の扶養は継続できます。逆も同様です。
扶養から外すメリット
扶養から外すことで、以下のメリットがあります。
1. 福祉サービスの利用料が安くなる
最大のメリット
障害福祉サービスの利用料は、世帯の所得に応じて決まります。
利用者負担の世帯範囲(18歳以上)
- 障害者本人とその配偶者
税法上の扶養との関係
税法上の扶養から外すことで、「世帯」が明確に分かれ、福祉サービスの利用料が安くなる可能性があります。
ただし
福祉サービスの利用料は、税法上の扶養ではなく、住民票上の世帯で判定されることが多いです。そのため、税法上の扶養から外すだけでなく、世帯分離も検討する必要があります。
健康保険上の扶養との関係
健康保険上の扶養は、福祉サービスの利用料には直接影響しません。
2. 本人の自立意識が芽生る
心理的な効果
扶養から外すことで、本人が「一人の大人」として扱われる意識が芽生えます。
3. 親の意識の変化
子離れ
親も、子どもを一人の大人として見るようになります。
4. 親亡き後への準備
自立への第一歩
扶養から外すことは、親亡き後の自立への第一歩となります。
5. 生活保護が受けやすくなる
本人だけの収入で判定
税法上の扶養から外し、世帯分離をすることで、本人だけの収入で生活保護の受給要件を判定されるため、受けやすくなります。
扶養から外すデメリット
扶養から外すことで、以下のデメリットがあります。
1. 親の税金が増える
控除が受けられなくなる
税法上の扶養から外すと、扶養控除や障害者控除が受けられなくなり、親の税金が増えます。
増額の例
障害のある子ども(20歳、同居、特別障害者)を扶養から外した場合
- 失う控除:扶養控除38万円 + 同居特別障害者控除75万円 = 113万円
- 親の所得税率が20%の場合:増える税金 約22.6万円/年
- 住民税も増える:約11.3万円/年
- 合計:約33.9万円/年の増税
対策
世帯分離をしても、実際に同居し生計を一にしていれば、扶養控除と障害者控除は受けられます。税務署に確認しましょう。
2. 本人の保険料が増える
健康保険上の扶養から外す場合
健康保険上の扶養から外すと、本人が国民健康保険に加入し、保険料を支払う必要があります。
保険料の例
- 障害基礎年金のみ(月額約6.5万円)の場合:国民健康保険料 年額数万円
ただし
市町村民税非課税世帯の場合、国民健康保険料の減免制度があり、負担は少ない場合が多いです。
3. 手続きの手間
複数の手続き
扶養から外すには、以下の手続きが必要です。
- 税法上の扶養:年末調整または確定申告で扶養親族から外す
- 健康保険上の扶養:勤務先または健康保険組合に届け出、本人を国民健康保険に加入
4. 親の家族手当がなくなる可能性
会社の福利厚生
会社によっては、扶養している家族に対して家族手当を支給している場合があります。扶養から外すと、家族手当がなくなる可能性があります。
確認
勤務先の人事部に確認しましょう。
扶養から外すべきタイミング
扶養から外すタイミングについて、税法上と健康保険上に分けて説明します。
税法上の扶養から外すタイミング
1. 本人の収入が増えたとき
扶養の要件を満たさなくなる
本人の年間所得が48万円を超えた場合、税法上の扶養の要件を満たさなくなります。
具体例
- 一般就労で給与収入が年間103万円を超えた
- 障害者雇用で給与収入が年間103万円を超えた
- A型事業所で給与収入が年間103万円を超えた
注意点
障害基礎年金は非課税所得なので、所得に含まれません。B型の工賃も、通常は所得に含まれません(雑所得として申告する必要がある場合もあります)。
2. 世帯分離をするとき
福祉サービスの利用料を安くするため
世帯分離をして、福祉サービスの利用料を安くしたい場合、税法上の扶養から外すことを検討します。
ただし
世帯分離をしても、実際に同居し生計を一にしていれば、税法上の扶養は継続できます。税務署に確認しましょう。
3. 本人が20歳になったとき
区切りとして
本人が20歳になり、障害基礎年金を受給し始めたタイミングで、扶養から外すことを検討します。
理由
- 本人に一定の収入ができる
- 成人としての自立を促す
4. グループホームや施設に入所するとき
別居
グループホームや施設に入所する場合、生計を別にするため、税法上の扶養から外すことが適切です。
ただし
実際に仕送りをしている場合、生計を一にしているとみなされ、扶養を継続できる場合もあります。
5. 本人が結婚したとき
配偶者ができる
本人が結婚した場合、配偶者の扶養に入るため、親の扶養から外れます。
健康保険上の扶養から外すタイミング
1. 本人の収入が130万円(障害者は180万円)を超えたとき
扶養の要件を満たさなくなる
本人の年収が130万円(障害者は180万円)を超えた場合、健康保険上の扶養の要件を満たさなくなります。
注意点
障害基礎年金は収入に含まれます。
具体例
- 障害基礎年金2級(月額約6.5万円、年額約78万円)のみ:扶養に入れる
- 障害基礎年金2級 + A型給与(月額約8万円、年額約96万円) = 年額約174万円:扶養に入れる(障害者は180万円未満)
- 障害基礎年金2級 + 一般就労給与(月額約10万円、年額約120万円) = 年額約198万円:扶養に入れない
2. 世帯分離をして、生計を別にしたと判断されたとき
保険組合の判断
世帯分離をした場合、健康保険組合が「生計を別にした」と判断すれば、扶養から外れます。
保険組合によって異なる
保険組合によって判断が異なるため、事前に確認しましょう。
3. グループホームや施設に入所したとき
別居
グループホームや施設に入所し、親からの仕送りがない場合、扶養から外れます。
ただし
実際に仕送りをしている場合、扶養を継続できる場合もあります。
4. 本人が結婚したとき
配偶者の扶養へ
本人が結婚した場合、配偶者の扶養に入るため、親の扶養から外れます。
総合的な判断:いつ外すべきか
メリットとデメリットのバランス
扶養から外すタイミングは、メリットとデメリットのバランスを考えて判断します。
外すべきタイミング(推奨)
以下の条件を満たす場合、扶養から外すことを検討すべきです。
- 世帯分離をして、福祉サービスの利用料を安くしたい
- 親の収入が高く、市町村民税課税世帯
- 本人は非課税
- 福祉サービスを利用している
- 本人の収入が扶養の要件を超えた
- 税法上:年間所得48万円超
- 健康保険上:年収130万円超(障害者は180万円超)
- グループホームや施設に入所し、生計を別にする
- 親亡き後への準備として、本人の自立を促したい
外さない方がいいタイミング
以下の場合、扶養から外さない方がいいです。
- 親も市町村民税非課税世帯
- 福祉サービスの利用料は既に0円
- 扶養から外すメリットが少ない
- 本人の収入が少なく、国民健康保険料の負担が大きい
- 健康保険上の扶養に入っていた方が得
- 親の税金の増額が、福祉サービス利用料の減額を上回る
手続き方法
扶養から外す手続き方法を説明します。
税法上の扶養から外す手続き
1. 年末調整(会社員の場合)
扶養控除等申告書
会社から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で、扶養親族から外します。
方法
- 扶養親族の欄に記入しない
- または、前年記入していた扶養親族を削除
提出
- 会社に提出
2. 確定申告(自営業の場合)
確定申告書
確定申告書で、扶養親族から外します。
方法
- 扶養親族の欄に記入しない
提出
- 税務署に提出
3. 年の途中で外す場合
年末調整または確定申告で調整
年の途中で収入要件を超えた場合でも、手続きは年末調整または確定申告で行います。
健康保険上の扶養から外す手続き
1. 勤務先または健康保険組合に届け出
被扶養者(異動)届
勤務先または健康保険組合に、「被扶養者(異動)届」を提出します。
必要書類
- 被扶養者(異動)届
- 本人の収入証明(給与明細、年金証書など)
- その他、健康保険組合が指定する書類
提出期限
- 扶養から外れる事由が発生してから5日以内(保険組合によって異なる)
2. 本人が国民健康保険に加入
市区町村の国民健康保険窓口
本人が、市区町村の国民健康保険窓口で、国民健康保険に加入します。
必要書類
- 健康保険資格喪失証明書(親の勤務先または健康保険組合が発行)
- 本人確認書類
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 印鑑(自治体によっては不要)
保険料
- 所得に応じて計算
- 市町村民税非課税の場合、減免制度あり
シミュレーションの重要性
扶養から外す前に、必ずシミュレーションをしましょう。
シミュレーション項目
- 親の税金の増額
- 扶養控除と障害者控除を失うことによる増税額
- 本人の国民健康保険料
- 健康保険上の扶養から外す場合
- 福祉サービスの利用料の減額
- 世帯分離も併せて行う場合
- 親の家族手当の減額
- 会社の福利厚生
- 総合的な損益
- 増えるコスト vs 減るコスト
相談先
税務署または税理士
- 親の税金の増額
市区町村の国民健康保険窓口
- 本人の国民健康保険料
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの利用料
親の勤務先人事部
- 家族手当
ファイナンシャルプランナー
- 総合的な損益計算
よくある質問
Q1: 税法上の扶養だけを外して、健康保険上の扶養は継続できますか?
A: できます。
税法上の扶養と健康保険上の扶養は別の制度なので、税法上の扶養だけを外すことは可能です。ただし、健康保険組合によって判断が異なる場合があるため、確認しましょう。
Q2: 世帯分離をすると、自動的に扶養から外れますか?
A: いいえ、別の手続きが必要です。
世帯分離をしても、税法上の扶養や健康保険上の扶養は自動的には外れません。別途、年末調整や確定申告、健康保険の手続きが必要です。
Q3: 扶養から外すと、本人が損をしますか?
A: 総合的に判断が必要です。
扶養から外すことで、福祉サービスの利用料が安くなる、自立意識が芽生えるなどのメリットがあります。一方で、親の税金が増える、本人の保険料が発生するなどのデメリットもあります。シミュレーションをして、総合的に判断しましょう。
Q4: 障害基礎年金は扶養の収入に含まれますか?
A: 税法上は含まれませんが、健康保険上は含まれます。
- 税法上の扶養:障害基礎年金は非課税所得なので含まれない
- 健康保険上の扶養:障害基礎年金は収入に含まれる
Q5: 扶養から外した後、また扶養に戻すことはできますか?
A: できます。
収入が要件を満たせば、再度扶養に入ることができます。
Q6: B型の工賃は扶養の収入に含まれますか?
A: 税法上は通常含まれませんが、健康保険上は含まれる場合があります。
- 税法上の扶養:B型の工賃は雑所得として申告する必要がある場合もありますが、通常は少額のため所得48万円を超えません
- 健康保険上の扶養:保険組合によって判断が異なります。確認しましょう。
Q7: 親が亡くなった後、扶養はどうなりますか?
A: 自動的に外れます。
親が亡くなると、扶養は自動的に外れます。本人は、国民健康保険に加入する必要があります。
まとめ
扶養には、税法上の扶養と健康保険上の扶養があり、それぞれ別の制度です。
扶養から外すメリットは、福祉サービスの利用料が安くなる(世帯分離も併せて行う場合)、本人の自立意識が芽生える、親亡き後への準備、生活保護が受けやすくなることです。
扶養から外すデメリットは、親の税金が増える(年間最大約34万円)、本人の保険料が増える、手続きの手間、親の家族手当がなくなる可能性です。
扶養から外すべきタイミングは、世帯分離をして福祉サービスの利用料を安くしたいとき、本人の収入が扶養の要件を超えたとき、グループホームや施設に入所したとき、親亡き後への準備として本人の自立を促したいときです。
手続きは、税法上の扶養は年末調整または確定申告で扶養親族から外し、健康保険上の扶養は勤務先または健康保険組合に届け出て、本人を国民健康保険に加入させます。
必ず事前にシミュレーションをし、メリットとデメリットを比較してから、扶養から外すかどうかを判断しましょう。税務署、市区町村の国民健康保険窓口、障害福祉課、親の勤務先人事部、ファイナンシャルプランナーなどに相談しながら進めることをおすすめします。
主な相談窓口
税務署または税理士
- 税法上の扶養、親の税金への影響
市区町村の国民健康保険窓口
- 本人の国民健康保険料
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの利用料
親の勤務先人事部または健康保険組合
- 健康保険上の扶養、家族手当
一人で決めず、必ず専門家に相談してください。

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