障害者の親が倒れたら 緊急時の対処法と備え

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「もし親が突然倒れたら、障害のある子はどうなるのか」「誰が面倒を見るのか」「子どもは一人で救急車を呼べるのか」「入院したら、子どもはどこで生活するのか」「何も準備していない、どうすればいいのか」。障害のある子を持つ親の多くが、自分が倒れたときのことを心配しています。

親が突然倒れることは、誰にでも起こりうることです。備えがないと、障害のある子が途方に暮れ、適切な支援を受けられず、危険な状況に陥る可能性があります。本記事では、親が倒れたときに起こること、緊急時の対処法、事前に準備すべきこと、利用できる支援サービス、そして親亡き後への備えについて詳しく解説します。

目次

親が倒れたときに起こること

親が突然倒れた場合、障害のある子に何が起こるのかを理解しましょう。

1. 親が救急搬送される

突然の出来事

脳梗塞、心筋梗塞、転倒による骨折など、親が突然倒れ、救急搬送されることがあります。

子どもの状況

  • 何が起きたのかわからない
  • パニックになる
  • 一人で取り残される

2. 子どもが一人で家に残される

危険な状況

親が入院すると、障害のある子が一人で家に残されます。

問題

  • 食事ができない
  • 生活できない
  • 薬が飲めない
  • 不安、孤独
  • 事故のリスク

3. 誰も気づかない

孤立

一人暮らしの親子や、きょうだいが遠方に住んでいる場合、誰も気づかず、数日間放置される可能性があります。

最悪のケース

  • 食事がとれず、衰弱
  • 服薬できず、体調悪化
  • 火事、事故

4. 緊急の保護が必要

行政の介入

近所の人や警察が気づいた場合、行政が介入し、緊急的に保護されます。

保護先

  • 短期入所(ショートステイ)
  • 入所施設(一時的)
  • きょうだいや親族の家

5. 今後の生活をどうするか

長期的な対応

親の入院が長期化する場合、または親が亡くなった場合、今後の生活をどうするか決める必要があります。

選択肢

  • きょうだいや親族が引き取る
  • グループホーム
  • 入所施設
  • 一人暮らし(支援付き)

緊急時の対処法:子ども本人ができること

親が倒れたとき、障害のある子ども本人ができることを説明します。

1. 救急車を呼ぶ

119番

親が倒れたら、119番に電話して救急車を呼びます。

練習しておくこと

  • 119番のかけ方
  • 「救急です」と言う
  • 住所を伝える
  • 「親が倒れました」と伝える

住所カード

電話の近くに、住所を書いたカードを貼っておきます。

メモの例

  • 「住所:○○県○○市○○町1-2-3」
  • 「名前:○○」
  • 「電話番号:○○」

2. 助けを呼ぶ

周囲に助けを求める

近所の人、大家さん、管理人さんなどに助けを求めます。

練習しておくこと

  • 「助けてください」と言う
  • 「親が倒れました」と伝える

近所との関係

日頃から近所の人と顔見知りになっておくことが大切です。

3. 緊急連絡先に電話

きょうだい、親族、支援者

緊急連絡先に電話します。

連絡先リスト

電話の近くに、緊急連絡先のリストを貼っておきます。

リストの例

  • きょうだい:○○ 電話番号○○
  • 叔父:○○ 電話番号○○
  • 相談支援専門員:○○ 電話番号○○
  • ケアマネージャー:○○ 電話番号○○

写真付き

写真付きのリストにすると、わかりやすいです。

4. 落ち着いて待つ

パニックにならない

救急車や助けが来るまで、落ち着いて待ちます。

練習しておくこと

  • 深呼吸
  • 「大丈夫」と自分に言い聞かせる

5. 身分証、お薬手帳を用意

持っていくもの

救急隊員や支援者が来たら、以下を渡します。

持っていくもの

  • 親の健康保険証
  • 親のお薬手帳
  • 本人の障害者手帳
  • 本人のお薬手帳

保管場所

これらをまとめて、決まった場所に保管しておきます。

緊急時の対処法:周囲ができること

親が倒れたとき、周囲の人ができることを説明します。

1. 救急車を呼ぶ

119番

親が倒れているのを発見したら、すぐに119番に電話します。

2. 障害のある子の安全確保

保護

障害のある子が一人で取り残されている場合、安全を確保します。

対応

  • 声をかける
  • 落ち着かせる
  • 一緒にいる

3. きょうだいや親族に連絡

緊急連絡先

緊急連絡先リストがあれば、きょうだいや親族に連絡します。

4. 行政に連絡

市区町村の障害福祉課

きょうだいや親族がすぐに来られない場合、市区町村の障害福祉課に連絡します。

時間外の場合

  • 市区町村の夜間・休日窓口
  • 警察(#9110または110)

5. 相談支援専門員に連絡

継続的な支援

相談支援事業所を利用している場合、相談支援専門員に連絡します。

6. 一時的な保護

短期入所など

緊急的に、短期入所(ショートステイ)や入所施設で一時的に保護します。

手配

  • 市区町村の障害福祉課
  • 相談支援専門員

緊急時に利用できる支援サービス

親が倒れたときに利用できる支援サービスを紹介します。

1. 短期入所(ショートステイ)

一時的な宿泊

短期入所施設で、一時的に宿泊できます。

緊急時の利用

緊急時は、通常の予約なしで利用できる場合があります。

費用

  • 1泊3,000円~7,000円程度
  • 所得に応じて月額上限あり

申請方法

  • 市区町村の障害福祉課

2. 緊急一時保護

行政の保護

行政が緊急的に保護します。

保護先

  • 短期入所施設
  • 入所施設(一時的)

手続き

  • 市区町村の障害福祉課

3. 居宅介護(ホームヘルプ)

自宅での生活支援

親が入院しても、自宅で生活を続ける場合、ヘルパーが支援します。

支援内容

  • 食事の準備
  • 掃除、洗濯
  • 買い物
  • 服薬管理
  • 見守り

申請方法

  • 市区町村の障害福祉課

4. 重度訪問介護

長時間の介助

重度の障害がある場合、長時間の介助を受けられます。

5. 相談支援専門員のサポート

体制作り

相談支援専門員が、今後の生活について相談に乗り、支援体制を作ります。

6. 成年後見制度の緊急申立

法的な保護

判断能力が不十分な場合、緊急的に成年後見制度を申し立てることもできます。

申請方法

  • 家庭裁判所

7. 地域包括支援センター(親が高齢の場合)

親の支援

親が65歳以上の場合、地域包括支援センターが親の支援を調整します。

事前に準備すべきこと

親が倒れる前に、準備しておくべきことを説明します。

1. 緊急連絡先リストの作成

見やすい場所に

緊急連絡先リストを作成し、電話の近くや冷蔵庫など、見やすい場所に貼っておきます。

記載内容

  • きょうだい、親族の名前と電話番号
  • 相談支援専門員の名前と電話番号
  • かかりつけ医の名前と電話番号
  • ケアマネージャーの名前と電話番号(親が要介護の場合)
  • 近所の人の名前と電話番号

写真付き

写真付きにすると、わかりやすいです。

2. 住所カードの作成

119番用

住所を書いたカードを、電話の近くに貼っておきます。

3. 救急車の呼び方を練習

定期的に練習

定期的に、救急車の呼び方を練習します。

練習内容

  • 119番をかける
  • 「救急です」と言う
  • 住所を伝える
  • 「親が倒れました」と伝える

4. 近所との関係構築

日頃からの付き合い

日頃から近所の人と挨拶を交わし、顔見知りになっておきます。

伝えておくこと

  • 「障害のある子がいます」
  • 「何かあったら助けてください」

5. 情報をまとめる

ライフプランノート、エンディングノート

以下の情報をまとめておきます。

内容

  • 障害のある子の基本情報(名前、生年月日、障害の種類)
  • 病歴、服薬
  • 利用している福祉サービス
  • 相談支援事業所の連絡先
  • 親の病歴、服薬
  • 親のかかりつけ医
  • 親の健康保険証、お薬手帳の保管場所
  • 預貯金口座
  • 不動産
  • 遺言書の有無
  • きょうだい、親族の連絡先

保管場所

わかりやすい場所に保管し、きょうだいや親族、相談支援専門員に保管場所を伝えておきます。

6. 相談支援事業所の利用

継続的な相談相手

相談支援事業所を利用し、相談支援専門員と関係を築いておきます。

メリット

  • 緊急時に相談できる
  • 支援体制を作ってくれる

7. 短期入所の登録

緊急時に利用できるように

短期入所施設に登録しておくことで、緊急時にすぐに利用できます。

登録方法

  • 短期入所施設に問い合わせ

8. きょうだいや親族との話し合い

役割分担

きょうだいや親族と、親が倒れたときの役割分担を話し合っておきます。

話し合うこと

  • 誰が駆けつけるか
  • 誰が子どもを引き取るか(一時的に)
  • 今後の生活をどうするか

9. 成年後見制度の検討

任意後見契約

親が元気なうちに、将来の後見人を決めておく任意後見契約を結ぶことも選択肢です。

10. 経済的な準備

親亡き後への備え

親が倒れることは、親亡き後の予行演習でもあります。経済的な準備をしておきましょう。

方法

  • 障害者扶養共済制度への加入
  • 貯金
  • 遺言書の作成
  • 信託

11. グループホームや施設の見学

住まいの選択肢

グループホームや施設を見学し、申し込んでおくことも準備の一つです。

12. 本人への説明

心の準備

本人に、「親が倒れることもある」「そのときはこうする」と説明しておくことも大切です。

説明内容

  • 「お母さん(お父さん)が倒れたら、119番に電話してね」
  • 「近所の○○さんに助けを求めてね」
  • 「大丈夫、助けが来るからね」

親の入院が長期化した場合

親の入院が長期化した場合の対処法を説明します。

1. 当面の生活をどうするか

選択肢

きょうだいや親族が引き取る(一時的)

きょうだいや親族が、一時的に引き取ります。

短期入所を継続利用

短期入所を継続的に利用します。

ヘルパーを利用して自宅で生活

居宅介護(ホームヘルプ)を利用し、自宅で生活を続けます。

グループホームへの緊急入居

空きがあれば、グループホームに緊急入居することもあります。

2. 今後の生活を考える

長期的な計画

親の回復の見込み、親亡き後のことを考え、長期的な計画を立てます。

選択肢

  • 親が回復したら、同居に戻る
  • グループホームへの入居
  • 入所施設への入所
  • きょうだいや親族との同居
  • 一人暮らし(支援付き)

3. 相談支援専門員と連携

計画作り

相談支援専門員と連携し、サービス等利用計画を見直します。

4. 親の退院後の生活

親の介護

親が退院しても、介護が必要になる場合があります。

親の支援

  • 介護保険サービス
  • 地域包括支援センター

子どもの支援

  • 障害福祉サービスの継続

親が亡くなった場合

親が倒れた後、亡くなった場合の対処法は、別の記事「障害者 親の死後 手続き」を参照してください。

よくある質問

Q1: 親が突然倒れたら、障害のある子はどうなりますか?

A: 一人で家に残され、危険な状況になる可能性があります。

備えがない場合、食事ができない、生活できない、誰も気づかないなどの問題が起こります。事前の準備が重要です。

Q2: 救急車を呼べるように練習させていますが、本当にできるか不安です。

A: 定期的に練習し、近所との関係も築きましょう。

定期的に練習することで、できるようになります。また、近所の人に「何かあったら助けてください」と伝えておくことも大切です。

Q3: きょうだいが遠方に住んでいます。どうすればいいですか?

A: 相談支援事業所の利用、短期入所の登録をしておきましょう。

きょうだいがすぐに来られない場合、相談支援専門員や短期入所施設が頼りになります。事前に登録しておきましょう。

Q4: 一人暮らしの親子です。誰も気づかない可能性があります。

A: 見守りサービスや緊急通報システムを利用しましょう。

見守りサービス、緊急通報システム、配食サービスなどを利用することで、異変に気づいてもらえます。また、相談支援専門員に定期的に訪問してもらうことも有効です。

Q5: 親が入院したら、子どもの生活費はどうなりますか?

A: 障害年金、貯金、生活保護などで賄います。

障害年金を受給している場合、それで生活費を賄います。不足する場合は、貯金を使うか、生活保護を申請します。

Q6: 成年後見制度を利用していないと、緊急時に困りますか?

A: 困る可能性があります。

成年後見制度を利用していない場合、契約などの法律行為ができず、困ることがあります。緊急的に申し立てることもできますが、時間がかかります。事前の準備が重要です。

Q7: 親が倒れたとき、誰に連絡すればいいですか?

A: きょうだい、親族、相談支援専門員、市区町村の障害福祉課です。

緊急連絡先リストを作成しておき、これらに連絡します。

まとめ

親が突然倒れることは、誰にでも起こりうることです。備えがないと、障害のある子が途方に暮れ、危険な状況に陥る可能性があります。

親が倒れたときに起こることは、親が救急搬送される、子どもが一人で家に残される、誰も気づかない、緊急の保護が必要、今後の生活をどうするかを決める必要があることです。

緊急時に本人ができることは、救急車を呼ぶ(119番)、助けを呼ぶ、緊急連絡先に電話、落ち着いて待つ、身分証・お薬手帳を用意することです。

緊急時に利用できる支援サービスは、短期入所(ショートステイ)、緊急一時保護、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、相談支援専門員のサポート、成年後見制度の緊急申立などです。

事前に準備すべきことは、緊急連絡先リストの作成、住所カードの作成、救急車の呼び方を練習、近所との関係構築、情報をまとめる(ライフプランノート)、相談支援事業所の利用、短期入所の登録、きょうだいや親族との話し合い、成年後見制度の検討、経済的な準備、グループホームや施設の見学、本人への説明です。

親の入院が長期化した場合は、当面の生活をどうするか(きょうだいが引き取る、短期入所、ヘルパー、グループホーム)、今後の生活を考える、相談支援専門員と連携、親の退院後の生活を考えることが必要です。

親が元気なうちに、緊急時の備えをしておくことが、障害のある子の安全と安心につながります。一人で抱え込まず、相談支援専門員、きょうだい、親族、市区町村の障害福祉課などと連携しながら、準備を進めましょう。


主な相談窓口

市区町村の障害福祉課

  • 緊急時の保護、福祉サービスの相談

相談支援事業所

  • 継続的な相談、緊急時のサポート

地域包括支援センター(親が高齢の場合)

  • 親の支援

警察(緊急時)

  • #9110または110

一人で抱え込まず、必ず事前に準備してください。備えがあれば、緊急時も乗り越えられます。

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