お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
まず読むべき基礎知識5記事
施設選びでつまずきやすいポイント5記事
障害のある人のお金の管理をどうすればいいか、適切な管理方法は何か、本人の能力を伸ばしながら安全に管理する方法はないかなど、実践的なお金の管理方法について解説します。障害の程度や特性に応じた様々な方法があります。
お金の管理方法の基本的な考え方
お金の管理方法の基本的な考え方について説明します。
本人の能力に応じた方法を選ぶことです。障害の種類、程度、年齢、経験によって、適切な管理方法は異なります。一律の方法はありません。個別に考える必要があります。
本人の自己決定を尊重することです。できる限り本人の意思を尊重し、本人ができることは本人にやってもらいます。過度な管理は本人の尊厳を損ないます。
安全性と自立のバランスを取ることです。安全を重視しすぎると本人の自立を妨げ、自立を重視しすぎると危険にさらされます。両方のバランスが大切です。
段階的にステップアップすることです。最初は親や支援者が管理し、徐々に本人の管理部分を増やしていきます。急に任せるのではなく、段階的に移行します。
失敗を学びの機会とすることです。安全な範囲での失敗は、学びの機会です。失敗を恐れて何もさせないのではなく、失敗から学べる環境を作ります。
複数の管理方法を組み合わせることです。一つの方法に頼らず、複数の方法を組み合わせることで、より効果的な管理ができます。
定期的に見直すことです。本人の能力、生活状況、ニーズは変化します。定期的に管理方法を見直し、必要に応じて変更します。
家族だけで抱え込まないことです。福祉サービス、専門家、地域の支援を活用します。家族だけで管理し続けることは限界があります。
障害の程度別の管理方法
障害の程度別の管理方法について説明します。
軽度の知的障害や発達障害の場合です。本人が主体的に管理し、家族や支援者がサポートする形が理想です。本人が銀行口座を持つ、給与や工賃を自分で受け取る、自分で買い物をする、家計簿をつける練習をするなどです。サポートとしては、一緒に買い物に行く、定期的に収支を確認する、困った時に相談に乗る、詐欺に遭わないよう見守るなどです。
中度の知的障害の場合です。基本的な管理は家族や支援者が行い、日常的な小額の管理は本人が行う形が適切です。銀行口座は親や後見人が管理する、毎週または毎月一定額のお小遣いを渡す、買い物は付き添いまたは見守りの下で行う、レシートを一緒に確認するなどです。徐々に本人ができる範囲を広げていきます。
重度の知的障害や重複障害の場合です。ほぼ全面的に家族や後見人が管理します。本人は小額のお金を使う経験をする程度です。銀行口座の管理、収支の管理、支払いなどはすべて管理者が行います。本人には、お金を払う経験、お釣りをもらう経験など、基本的な体験をさせることが大切です。
精神障害の場合です。症状が安定している時は自己管理できても、不調時には管理が困難になることがあります。安定している時は本人が管理し、不調時には家族や支援者がサポートする体制を作ります。日常生活自立支援事業を利用し、生活費の管理を依頼することも有効です。
発達障害ADHDの場合です。衝動性、計画性のなさが問題になります。自動引き落とし、定期積立など、自動化できることは自動化します。スマホアプリで収支を管理する、アラームで支払日を通知するなど、テクノロジーを活用します。使いすぎを防ぐため、デビットカードやプリペイドカードを使います。
発達障害ASDの場合です。こだわり、変化への抵抗が問題になることがあります。ルーティン化する、視覚的に分かりやすくする、パターンを作るなどの工夫が有効です。同じ方法を継続することで、安定した管理ができます。
具体的な管理方法 – 口座管理
具体的な口座管理の方法について説明します。
口座を複数に分けることです。生活費用の口座、貯金用の口座、緊急時用の口座など、目的別に分けます。生活費用の口座だけキャッシュカードを持つ、貯金用の口座は親や後見人が管理するなどです。
自動振込を活用することです。給与や年金が振り込まれる口座から、自動的に貯金用口座に一定額を振り込む設定をします。本人が意識しなくても、自動的に貯金ができます。
自動引き落としを活用することです。家賃、光熱費、通信費、保険料など、固定費は自動引き落としにします。払い忘れを防ぎ、計画的な支出ができます。
キャッシュカードの管理です。本人の能力に応じて、キャッシュカードを持たせるか、親や支援者が管理するか決めます。持たせる場合でも、引き出し限度額を低く設定する、ATMの使い方を教えるなどの工夫をします。
通帳の管理です。本人が通帳を持つか、親や後見人が管理するか決めます。定期的に一緒に記帳し、収支を確認することが大切です。視覚的に残高が分かることで、理解が深まります。
ネットバンキングの利用です。スマホやパソコンで残高確認、振込などができます。便利ですが、セキュリティリスクもあります。パスワード管理、二段階認証などをしっかり行います。本人の能力によっては使わない方が安全です。
代理人カードの利用です。本人の口座から、親や家族が引き出せる代理人カードを発行できる銀行もあります。本人の承諾を得て利用します。
信託口座の活用です。後見制度支援信託、特別障害者扶養信託など、信託銀行が管理する口座を活用します。大金を安全に管理できます。
定期預金の活用です。簡単に引き出せない定期預金に貯金することで、使いすぎを防ぎます。満期まで引き出さないことで、確実に貯まります。
具体的な管理方法 – 日常的な現金管理
日常的な現金管理の方法について説明します。
お小遣い制の実施です。週単位または月単位で一定額を渡します。本人の能力に応じて、週1,000円、月5,000円など金額を決めます。使い切っても追加で渡さないルールを作ります。
封筒仕分け法です。食費、交通費、娯楽費など、用途別に封筒に分けてお金を入れます。それぞれの封筒から使うようにします。視覚的に分かりやすく、使いすぎを防げます。
財布の使い分けです。日常用の財布、外出用の財布、貯金用の財布など、複数の財布を使い分けます。用途ごとに分けることで、管理しやすくなります。
小銭入れの活用です。硬貨の管理が苦手な場合、小銭入れを使います。種類ごとに分けられる小銭入れもあります。レジでの支払いがスムーズになります。
現金は少額だけ持たせることです。多額の現金を持ち歩かせません。必要な分だけ渡します。紛失や盗難のリスクを減らします。
レシートを必ず取っておくことです。何に使ったか記録するため、レシートは必ず受け取ります。ノートに貼る、写真を撮るなどして保管します。
買い物リストを作ることです。買い物に行く前にリストを作ります。リストにないものは買わないルールを作ります。衝動買いを防ぎます。
付き添いや見守りです。買い物に付き添う、遠くから見守る、買い物後にレシートを確認するなど、本人の能力に応じたサポートをします。
おつりの確認を習慣化することです。レジで必ずおつりを確認する習慣をつけます。間違いに気づく力、お金の計算力が身につきます。
具体的な管理方法 – キャッシュレス決済
キャッシュレス決済の活用方法について説明します。
デビットカードの活用です。口座残高の範囲内でしか使えないため、使いすぎを防げます。クレジットカードより安全です。利用明細も分かりやすいです。即座に口座から引き落とされるため、管理しやすいです。
プリペイドカードの活用です。事前にチャージした金額しか使えません。交通系ICカードSuica、PASMOなど、電子マネーnanaco、WAONなど、スマホ決済PayPay、LINE Payなどがあります。残高が視覚的に分かりやすいです。
クレジットカードは慎重に判断することです。使いすぎのリスクが高いため、基本的には持たせない方が安全です。どうしても必要な場合は、限度額を最低に設定する、家族カードにして親が管理するなどの工夫をします。
スマホ決済アプリの活用です。PayPay、LINE Payなどのスマホ決済は、使用履歴が残り、管理しやすいです。ただし、チャージしすぎない、パスワードをしっかり管理するなどの注意が必要です。
利用通知機能の活用です。カードやスマホ決済を使った時に、メールやアプリで通知が来る機能を設定します。家族も通知を受け取れるようにすれば、見守りになります。
利用限度額の設定です。1日あたり、1ヶ月あたりの利用限度額を設定します。使いすぎを防げます。
オートチャージ機能の注意です。自動的にチャージされる機能は便利ですが、使いすぎのリスクがあります。オートチャージはオフにする、または限度額を低く設定します。
家族が管理できるサービスの選択です。家族が利用状況を確認できる、家族が承認しないと使えないなど、管理機能があるサービスを選びます。
現金とキャッシュレスの併用です。日常の小額の買い物は現金、大きな買い物はデビットカードなど、使い分けます。両方の良さを活かします。
具体的な管理方法 – 記録と見える化
収支の記録と見える化の方法について説明します。
お小遣い帳や家計簿をつけることです。手書きのノート、専用の家計簿、ノートにレシートを貼るなど、本人のレベルに合った方法を選びます。毎日つけるのが難しければ、週に1回でも構いません。
家計簿アプリの活用です。スマホアプリは入力が簡単で、自動で集計してくれます。レシートを撮影するだけで記録できるアプリもあります。グラフで表示されるため、視覚的に分かりやすいです。おすすめアプリは、マネーフォワード ME、Zaim、家計簿カケイなどです。
カレンダーでの管理です。壁掛けカレンダーに、給料日、支払日、買い物予定日などを書き込みます。視覚的にスケジュールが分かります。
グラフやチャートの活用です。収入と支出をグラフにする、貯金額の推移をグラフにするなど、視覚化します。数字が苦手でも、グラフなら理解しやすいです。
貯金箱の活用です。透明な貯金箱を使い、貯まっていく様子が見えるようにします。目標金額に達したらご褒美など、モチベーションを高めます。
貯金額の記録シートです。毎月の貯金額を記録するシートを作ります。色を塗る、シールを貼るなど、視覚的に楽しく記録できる工夫をします。
定期的な振り返りです。週に1回、月に1回など、定期的に一緒に振り返ります。何に使ったか、残りはいくらか、計画通りだったかなどを確認します。
写真での記録です。買ったもの、レシート、通帳などを写真に撮って記録します。スマホなら簡単に記録できます。
一緒に記録する時間を作ることです。親や支援者と一緒に記録する時間を定期的に作ります。一人では続かなくても、一緒ならできることがあります。
福祉サービスを活用した管理方法
福祉サービスを活用した管理方法について説明します。
日常生活自立支援事業の活用です。社会福祉協議会が実施するサービスです。生活費の管理、預金の出し入れ、公共料金の支払い、福祉サービスの利用料の支払いなどを支援してもらえます。費用は月1,000円〜3,000円程度です。専門員が定期的に訪問し、一緒に管理します。
成年後見制度の活用です。判断能力が著しく不十分な場合、成年後見人が財産管理を行います。包括的な管理ができますが、費用は月2〜6万円程度と高額です。
相談支援専門員のサポートです。サービス等利用計画を作成する相談支援専門員に、金銭管理についても相談します。適切なサービスの紹介、家族へのアドバイスなどを受けられます。
グループホームでの管理サポートです。グループホームに入居している場合、世話人が金銭管理をサポートします。お小遣い制の実施、買い物の付き添い、貯金の管理などを行います。
訪問系サービスの活用です。居宅介護ホームヘルプで、買い物の付き添い、支払いの支援などを受けられます。同行援護、行動援護も活用できます。
就労継続支援事業所での支援です。A型やB型事業所で、給与や工賃の管理方法をアドバイスしてもらえることがあります。貯金の勧奨、計画的な使い方の指導などを受けられます。
地域活動支援センターの活用です。金銭管理のプログラム、買い物の練習、社会生活技能訓練SSTなどを実施しているところもあります。
自立訓練生活訓練の活用です。金銭管理を含む生活スキルの訓練を受けられます。最長2年間利用できます。実践的な訓練ができます。
家族以外のサポート体制
家族以外のサポート体制について説明します。
信頼できるきょうだいの関与です。親が高齢になった場合、きょうだいがサポートすることもあります。ただし、きょうだいの意思を確認し、過度な負担をかけないことが大切です。
親族ネットワークの構築です。祖父母、叔父叔母、いとこなど、親族全体で見守る体制を作ります。何かあった時に相談できる人を増やします。
地域の民生委員との連携です。民生委員に事情を話し、見守ってもらいます。定期的に訪問してもらう、困った時に相談するなどです。
近隣住民との関係づくりです。近所の人に事情を説明し、協力してもらいます。不審な訪問者がいたら連絡してもらう、困っていたら助けてもらうなどです。
友人や仲間との相互支援です。作業所の仲間、サークルの友人など、同じ立場の人との相互支援も有効です。お互いに見守り、助け合います。
専門職との連携です。相談支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士などの専門職と連携します。定期的に相談し、アドバイスを受けます。
複数の目でチェックする体制です。親だけ、支援者だけではなく、複数の人が関わることで、不正や問題を早期に発見できます。
将来に向けた準備
将来に向けた準備について説明します。
徐々に自己管理の範囲を広げることです。最初は親が全部管理していても、徐々に本人ができることを増やしていきます。長期的な視点で、自立を目指します。
親亡き後の管理体制を構築することです。成年後見人の選任、日常生活自立支援事業の利用開始、グループホームへの入居など、親がいなくても管理できる体制を作ります。
金銭管理のマニュアルを作ることです。本人の特性、管理方法、注意点、支援のポイントなどをまとめたマニュアルを作ります。将来の支援者が参考にできます。
定期的に見直すことです。本人の能力、生活状況、ニーズは変化します。年に1回程度、管理方法を見直し、必要に応じて変更します。
本人の意思を尊重する姿勢です。本人がどうしたいか、何に使いたいかを聞き、可能な限り尊重します。お金は本人のものです。
失敗から学ぶ機会を作ることです。安全な範囲での失敗は、学びの機会です。失敗を恐れすぎず、失敗から学べる環境を作ります。
まとめ
障害者のお金の管理には、様々な方法があります。
基本的な考え方としては、本人の能力に応じた方法を選ぶ、本人の自己決定を尊重する、安全性と自立のバランス、段階的にステップアップ、失敗を学びの機会に、複数の方法を組み合わせる、定期的な見直し、家族だけで抱え込まないなどです。
障害の程度別の管理方法として、軽度の場合は本人主体でサポート、中度の場合は基本は管理者で日常は本人、重度の場合はほぼ全面管理、精神障害の場合は状態に応じて柔軟に、発達障害の場合は特性に応じた工夫などです。
具体的な管理方法として、口座管理複数口座、自動振込、自動引き落とし、キャッシュカード管理、信託など、日常的な現金管理お小遣い制、封筒仕分け、財布の使い分け、少額のみ、レシート、買い物リストなど、キャッシュレス決済デビットカード、プリペイドカード、スマホ決済など、記録と見える化お小遣い帳、アプリ、カレンダー、グラフ、貯金箱などがあります。
福祉サービスを活用した管理方法として、日常生活自立支援事業、成年後見制度、相談支援、グループホーム、訪問サービス、就労継続支援、地域活動支援センター、自立訓練などがあります。
家族以外のサポート体制、将来に向けた準備も重要です。
障害者のお金の管理に悩んでいる方は、一人で抱え込まないでください。本人の能力、障害の特性、生活状況に応じた適切な方法があります。社会福祉協議会、相談支援事業所、専門家などに相談してください。様々な方法を試しながら、本人と家族に合った方法を見つけてください。完璧な管理を目指すのではなく、本人らしい生活ができることを目標にしてください。

コメント