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障害のある子どもが成人を迎える、または成人した後、親として抱える不安や心配事は計り知れません。自分がいなくなった後はどうなるのか、誰が支えてくれるのか、生活していけるのかなど、障害者の成人後に親が抱える不安とその対処法について解説します。
親が抱える主な不安
障害者が成人後、親が抱える主な不安について説明します。
自分が亡くなった後の生活への不安です。親亡き後、誰が面倒を見るのか、一人で生活できるのか、住む場所はあるのか、経済的に困らないかなどです。最も大きな不安です。
経済的な不安です。親が働けなくなったらどうするか、年金だけで生活できるのか、医療費や介護費用は大丈夫か、貯金はいくら必要かなどです。
日常生活への不安です。一人で食事ができるか、身の回りのことができるか、健康管理ができるか、薬の管理ができるか、家事ができるかなどです。
医療や介護への不安です。適切な医療を受け続けられるか、介護サービスは利用できるか、病気になったときはどうするか、緊急時の対応はどうするかなどです。
悪質商法や犯罪被害への不安です。だまされないか、お金を取られないか、犯罪に巻き込まれないか、虐待されないかなどです。判断能力が十分でない場合、特に心配です。
孤立への不安です。友人や仲間がいるか、社会とのつながりがあるか、引きこもらないか、孤独にならないかなどです。
兄弟姉妹への負担の不安です。きょうだいに負担をかけないか、きょうだいの人生を縛らないか、関係が悪化しないかなどです。
施設や支援者への不安です。信頼できる施設はあるか、虐待やネグレクトはないか、適切な支援が受けられるか、支援者は信頼できるかなどです。
法律や制度の変化への不安です。福祉制度が変わらないか、年金が減額されないか、サービスが削減されないかなどです。
自分自身の健康への不安です。自分が病気になったらどうするか、介護が必要になったらどうするか、認知症になったらどうするかなどです。
親の不安が障害者本人に与える影響
親の不安が障害者本人に与える影響について説明します。
過保護や過干渉になることです。心配のあまり、何でも親がやってしまう、本人の自立を妨げる、挑戦の機会を奪うなどです。本人の成長を妨げます。
自立の機会を奪うことです。できることも親がやってしまう、失敗を経験させない、決断をさせないなどです。自立する力が育ちません。
本人の自信を失わせることです。親が心配しすぎると、本人も自分はできないと思い込む、自己肯定感が下がる、挑戦する意欲が失われるなどです。
親子の共依存関係を作ることです。親が子どもに依存する、子どもも親に依存する、お互いに離れられない関係になるなどです。健全ではありません。
本人の意思や希望を無視することです。親の不安が優先され、本人の希望が聞かれない、やりたいことを制限される、親の安心が優先されるなどです。
社会参加の機会を減らすことです。心配で外に出さない、人と関わらせない、新しい経験をさせないなどです。社会性が育ちません。
将来への不安を本人にも植え付けることです。親の不安が伝わり、本人も将来を不安に思う、希望を持てなくなる、消極的になるなどです。
経済的な備え
経済的な不安に対する備えについて説明します。
障害年金について理解することです。障害基礎年金、障害厚生年金の種類、受給要件、金額などを確認します。20歳前から障害がある場合は障害基礎年金が受給できる可能性があります。現在の受給額は障害基礎年金1級で月約8万円、2級で月約6万円程度です。
生活保護制度を知ることです。年金だけでは生活できない場合、生活保護を受けることができます。障害年金と生活保護は併給可能です。最低限の生活は保障されます。
貯蓄計画を立てることです。いくら必要か計算する、計画的に貯める、専用の口座を作るなどです。ファイナンシャルプランナーに相談することも有効です。
生命保険を活用することです。親が亡くなった後の生活資金として、生命保険に加入します。死亡保険金の受取人を子どもにする、信託を活用するなどの方法があります。
特別障害者扶養信託を利用することです。親が亡くなった後も、定期的に金銭を受け取れる仕組みです。銀行や信託銀行で設定できます。一定額まで非課税です。
遺言書を作成することです。財産の分配方法を明確にする、不動産などの処分方法を決める、兄弟姉妹との関係を配慮するなどです。公正証書遺言が確実です。
成年後見制度の利用を検討することです。財産管理や契約行為を支援してもらえます。親が元気なうちに準備します。
障害者扶養共済制度に加入することです。親が掛金を払い、親が亡くなった後、障害者本人が年金を受け取れる制度です。都道府県が運営しています。掛金は月9,300円から23,300円程度で、親が亡くなった後は月2万円または4万円の年金が生涯受け取れます。
就労支援を活用することです。就労継続支援A型やB型、就労移行支援などを利用し、本人が収入を得られるようにします。少しでも自立した経済基盤を作ります。
生活の場の準備
親亡き後の生活の場の準備について説明します。
グループホームを検討することです。障害者が共同生活をする住居です。世話人や生活支援員のサポートを受けられます。早めに見学し、入居の申し込みをすることが大切です。人気のあるところは待機期間が長いです。
入所施設を検討することです。障害者支援施設では、住まいと日中活動の場が提供されます。重度の障害がある場合や、グループホームでの生活が難しい場合に選択します。
公営住宅を活用することです。障害者向けの公営住宅があります。家賃が安い、バリアフリーなどのメリットがあります。
賃貸住宅での一人暮らしを支援することです。地域生活支援拠点や相談支援事業所のサポートを受けながら、一人暮らしをすることも可能です。訪問系サービスを活用します。
きょうだいとの同居を考える場合の注意点です。きょうだいの意思を確認する、きょうだいの家族の理解を得る、経済的な負担を明確にする、将来の計画を話し合うなどが必要です。きょうだいに過度な負担をかけないよう配慮します。
地域の社会資源を把握することです。近隣のグループホーム、入所施設、相談支援事業所、地域活動支援センターなどを調べます。見学に行き、雰囲気や支援内容を確認します。
体験利用をすることです。グループホームや施設の短期入所体験ステイを利用し、本人に合うか確認します。本人も慣れることができます。
日中活動の場の準備
親亡き後の日中活動の場の準備について説明します。
就労継続支援B型事業所を活用することです。働く場と生産活動の機会が提供されます。工賃は少額ですが、社会参加と生きがいにつながります。
就労継続支援A型事業所を検討することです。雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が得られます。より自立した生活につながります。
生活介護事業所を利用することです。重度の障害がある場合、日中の介護や生産活動の機会が提供されます。
地域活動支援センターを活用することです。創作活動、生産活動、社会との交流などの機会が提供されます。
複数の事業所を見学することです。本人に合った雰囲気か、スタッフは信頼できるか、活動内容は適切かなどを確認します。
本人の意思を尊重することです。親の希望だけでなく、本人がどこに通いたいか、何をしたいかを大切にします。
支援体制の構築
親亡き後の支援体制の構築について説明します。
相談支援専門員との関係を築くことです。サービス等利用計画を作成してもらう、定期的に相談する、信頼関係を作るなどです。親亡き後も支援してもらえる存在です。
地域の支援ネットワークを作ることです。相談支援事業所、行政の福祉課、社会福祉協議会、民生委員、近隣住民などとつながります。
成年後見制度を利用することです。判断能力が不十分な場合、成年後見人、保佐人、補助人が財産管理や契約行為を支援します。親が元気なうちに申し立てをすることもできます。
将来的には法人後見を検討することです。社会福祉法人やNPO法人が成年後見人になる制度です。個人の後見人より長期的に安定したサポートが期待できます。
日常生活自立支援事業を利用することです。福祉サービスの利用手続き、日常的な金銭管理などを支援してもらえます。成年後見制度より軽度の支援です。
地域生活支援拠点を活用することです。緊急時の対応、体験の機会、相談機能などを提供する拠点です。地域によって整備状況は異なります。
医療機関との連携を確保することです。かかりつけ医、訪問看護ステーション、薬局などとの関係を築きます。医療情報をまとめておきます。
親の会や家族会に参加することです。同じ悩みを持つ親と情報交換する、先輩の親から学ぶ、支え合うなどです。孤立を防ぎます。
成年後見制度の活用
成年後見制度について詳しく説明します。
成年後見制度とは何かです。判断能力が不十分な人の財産管理や契約行為を支援する制度です。家庭裁判所が後見人等を選任します。
3つの類型があります。後見判断能力がほとんどない、保佐判断能力が著しく不十分、補助判断能力が不十分です。本人の状態に応じて選択します。
法定後見と任意後見の違いです。法定後見は家庭裁判所が後見人を選ぶ、任意後見は本人が元気なうちに後見人を選ぶ契約です。
後見人の仕事です。財産管理銀行口座の管理、不動産の管理など、身上監護医療や福祉サービスの契約など、定期的な家庭裁判所への報告などです。
後見人になれる人です。親族、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職、社会福祉法人などの法人後見人などです。家庭裁判所が適任者を選びます。
申し立ての方法です。本人、配偶者、4親等内の親族などが家庭裁判所に申し立てます。診断書、財産目録、親族関係図などの書類が必要です。費用は数万円から十数万円程度です。
親が後見人になることもできます。ただし、親が高齢になったり亡くなったりした後のことを考え、将来的には専門職や法人後見に引き継ぐことを検討します。
きょうだいへの配慮
障害者のきょうだいへの配慮について説明します。
きょうだいの意思を確認することです。将来どの程度関わりたいか、どこまで支援できるか、率直に話し合います。押し付けてはいけません。
きょうだいの人生を尊重することです。きょうだいにも自分の人生があります。結婚、出産、仕事、住む場所など、自由に選択できるようにします。
過度な期待や負担をかけないことです。面倒を見てくれるだろうと勝手に期待しない、きょうだいだから当然という考えを持たないことです。
経済的な負担を明確にすることです。親の財産の分配方法、障害者の生活費の出どころ、きょうだいの負担の有無などを明確にします。
きょうだいへの感謝を伝えることです。これまでの協力に感謝する、理解してくれることに感謝するなど、感謝の気持ちを伝えます。
きょうだいの気持ちを理解することです。複雑な感情愛情と負担感、罪悪感と怒りなどを抱えていることを理解します。
きょうだいの会に参加を勧めることです。同じ立場のきょうだいと交流することで、気持ちの整理ができます。
親が元気なうちに体制を整えることです。きょうだいに丸投げせず、親が元気なうちに支援体制を構築します。
本人の自立を促す
親の不安を軽減するために、本人の自立を促すことが重要です。
できることを増やすことです。年齢に応じて、生活スキルを身につける、社会性を育てる、コミュニケーション能力を高めるなどです。
失敗を経験させることです。安全な範囲で失敗を経験させる、失敗から学ばせる、チャレンジを応援するなどです。過保護にしすぎないことが大切です。
意思決定の練習をすることです。小さなことから自分で決めさせる、選択肢を与える、決断する経験を積ませるなどです。
社会参加の機会を作ることです。地域のイベントに参加する、ボランティア活動をする、趣味のサークルに入るなどです。親以外の人間関係を作ります。
金銭管理の練習をすることです。お小遣いの管理、買い物の練習、計画的な使い方などを教えます。
移動の練習をすることです。公共交通機関の利用、道順の覚え方、困ったときの対処法などを教えます。
コミュニケーションツールを活用することです。スマホの使い方、メールやLINEの使い方、緊急時の連絡方法などを教えます。
情報収集と相談
不安を軽減するために、情報収集と相談が重要です。
行政の福祉課に相談することです。利用できる制度、サービス、施設などの情報を得られます。定期的に相談します。
相談支援事業所を活用することです。専門的なアドバイスを受けられます。将来の計画を一緒に考えてもらえます。
親の会や家族会に参加することです。同じ悩みを持つ親と情報交換する、先輩の経験を聞く、励まし合うなどです。
セミナーや勉強会に参加することです。親亡き後の準備、成年後見制度、経済的な備えなどのテーマのセミナーがあります。
専門家に相談することです。弁護士、司法書士、社会福祉士、ファイナンシャルプランナーなどに相談します。
書籍やウェブサイトで情報を得ることです。親亡き後の準備に関する書籍、行政や福祉団体のウェブサイトなどを参考にします。
地域の社会資源を調べることです。グループホーム、入所施設、日中活動の場などを実際に見学します。
親自身のケア
親自身のケアも重要です。
不安を抱え込まないことです。不安は自然な感情です。一人で抱え込まず、誰かに話します。
完璧を求めないことです。すべてを準備することは不可能です。できる範囲で準備します。
自分の人生も大切にすることです。子どものことだけでなく、自分の趣味、友人関係、夫婦関係なども大切にします。
健康管理をすることです。自分が健康でいることが、子どもを支える基盤です。定期的に健診を受ける、適度な運動をするなどです。
カウンセリングを受けることです。不安が強い、眠れない、抑うつ状態などがある場合、専門家に相談します。
レスパイトケアを利用することです。短期入所などを利用し、親自身が休息を取ります。
夫婦で話し合うことです。夫婦で不安を共有する、役割分担をする、協力して準備するなどです。
まとめ
障害者が成人後の親の不安は、とても大きく、自然な感情です。
親が抱える主な不安としては、親亡き後の生活、経済的な不安、日常生活、医療や介護、悪質商法や犯罪被害、孤立、きょうだいへの負担、施設や支援者、制度の変化、自分自身の健康などがあります。
親の不安が本人に与える影響としては、過保護や過干渉、自立の機会を奪う、自信を失わせる、共依存関係、本人の意思の無視、社会参加の減少、不安の伝染などがあります。
対処法としては、経済的な備え障害年金、生活保護、貯蓄、生命保険、信託、遺言書、成年後見制度、扶養共済、就労支援、生活の場の準備グループホーム、入所施設、公営住宅、一人暮らし支援、日中活動の場就労継続支援、生活介護、地域活動支援センター、支援体制の構築相談支援専門員、支援ネットワーク、成年後見制度、地域生活支援拠点、医療機関との連携、親の会などがあります。
成年後見制度の活用、きょうだいへの配慮、本人の自立を促すこと、情報収集と相談、親自身のケアも重要です。
障害者の成人後に不安を抱えている親御さんは、一人で抱え込まないでください。不安は自然な感情であり、多くの親が同じ悩みを持っています。完璧な準備はできなくても、できることから少しずつ始めてください。専門家や支援機関の力を借りながら、準備を進めてください。本人の自立を信じ、応援することも大切です。親の会や家族会で、同じ立場の人と支え合ってください。あなたは一人ではありません。

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