お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
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「障害のある子は将来一人暮らしできるのか」「親が亡くなった後、どうやって生活するのか」「どんな支援があるのか」「どのくらいお金がかかるのか」「何を準備すればいいのか」「グループホームとどちらがいいのか」。
障害のある子を持つ親の多くが、将来の一人暮らしについて不安を抱えています。
障害のある人の一人暮らしは、適切な支援があれば可能です。重要なのは、障害の程度、本人の能力、利用できる福祉サービス、経済状況などを総合的に判断することです。
完全な自立でなくても、支援を受けながらの一人暮らしという選択肢もあります。本記事では、一人暮らしの可能性、必要なスキル、利用できる福祉サービス、費用、準備のステップ、グループホームとの比較、そして親が今からできることについて詳しく解説します。
障害のある人の一人暮らしの可能性
障害のある人が一人暮らしできるかどうかを判断する基準を説明します。
可能性の判断基準
1. 障害の程度
軽度~中度の場合
一人暮らしの可能性が高いです。
具体例
- 軽度知的障害
- 中度知的障害(支援付き)
- 発達障害(ASD、ADHD、LD)
- 精神障害(統合失調症、うつ病など、安定している場合)
- 身体障害(移動、日常生活動作が可能な場合)
重度の場合
一人暮らしは難しく、グループホームや入所施設が適しています。
2. 日常生活スキル
最低限必要なスキル
- 食事の準備(簡単な調理、電子レンジの使用)
- 掃除、洗濯
- 金銭管理(お金の計算、買い物)
- 服薬管理
- 危険回避(火の始末、戸締り)
- 緊急時の対応(119、110への連絡)
- 公共交通機関の利用
全てできなくても大丈夫
支援を受けながらであれば、全てのスキルができなくても一人暮らしは可能です。
3. コミュニケーション能力
必要な能力
- 簡単な会話ができる
- 困ったときに助けを求められる
- 電話ができる(または代替手段がある)
4. 問題解決能力
トラブル対応
- 困ったときに誰かに相談できる
- 指示に従える
5. 経済状況
収入と支出のバランス
一人暮らしには、ある程度の収入が必要です。
収入源
- 障害年金
- 就労収入
- 生活保護
詳細は後述
一人暮らしできる可能性が高いケース
- 軽度知的障害で、就労継続支援A型や障害者雇用で働いている
- 発達障害で、一般就労または障害者雇用で働いている
- 精神障害で、症状が安定し、服薬管理ができている
- 身体障害で、移動や日常生活動作が可能
一人暮らしが難しいケース
- 重度知的障害
- 重度自閉症(強度行動障害)
- 精神障害で症状が不安定
- 重度身体障害で常時介護が必要
- 日常生活スキルがほとんどない
代替案
グループホーム、入所施設、きょうだいとの同居など
一人暮らしに必要なスキル
一人暮らしに必要なスキルを詳しく説明します。
1. 食事の準備
基本的な調理
- ご飯を炊く
- 電子レンジで温める
- 簡単な料理(卵焼き、味噌汁など)
- 総菜、弁当を買う
完璧な料理は不要
総菜や冷凍食品を活用すればOKです。
2. 掃除
最低限の清潔
- ゴミを捨てる
- 掃除機をかける
- 水回りの掃除
ヘルパーの活用
苦手な場合、ヘルパーに手伝ってもらえます。
3. 洗濯
衣類の管理
- 洗濯機を使う
- 干す
- 畳む(畳まなくてもOK)
4. 金銭管理
お金の計算
- 買い物でお金を払う
- お釣りの確認
- 月々の支出を管理
サポート
日常生活自立支援事業、成年後見制度でサポート可能。
5. 服薬管理
薬を飲む
- 決まった時間に薬を飲む
- 薬を切らさない
サポート
訪問看護、ヘルパーがサポート可能。
6. 危険回避
安全確保
- 火の始末
- 戸締り
- 不審者への対応
7. 緊急時の対応
助けを呼ぶ
- 119(救急)
- 110(警察)
- 支援者への連絡
緊急連絡先リスト
作成して、見やすい場所に貼っておきます。
8. 移動
外出
- 公共交通機関の利用
- 徒歩、自転車
- 通院、買い物に行ける
9. 対人関係
近所付き合い
- 挨拶ができる
- トラブルを起こさない
- 困ったときに相談できる
10. 生活リズム
規則正しい生活
- 決まった時間に起きる
- 決まった時間に寝る
利用できる福祉サービス
一人暮らしを支援する福祉サービスを説明します。
1. 居宅介護(ホームヘルプ)
最も重要なサービス
内容
ヘルパーが自宅を訪問し、以下のサポートをします。
- 身体介護(入浴、排泄、着替えなど)
- 家事援助(掃除、洗濯、調理、買い物など)
- 通院等介助
利用時間
障害支援区分により異なります。
例
- 区分2:週3回、1回2時間程度
- 区分4以上:週5回以上も可能
費用
1割負担(所得により月額上限あり)
月額上限
- 生活保護、市町村民税非課税:0円
- 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満):9,300円
- 上記以外:37,200円
多くの人は無料
親亡き後、本人の所得が少なければ無料です。
2. 重度訪問介護
長時間の支援
対象
障害支援区分4以上で、重度の障害がある人
内容
長時間(1回8時間~)の見守り、介護
費用
居宅介護と同じ
3. 訪問看護
医療的ケア
内容
看護師が訪問し、以下のサポートをします。
- 服薬管理
- 健康チェック
- 医療的処置
費用
医療保険(1~3割負担)または自立支援医療(1割負担)
4. 配食サービス
食事の宅配
内容
栄養バランスの取れた食事を自宅に配達します。
費用
1食300円~700円程度
5. 日常生活自立支援事業
金銭管理のサポート
内容
社会福祉協議会の職員が、以下をサポートします。
- 金銭管理
- 通帳、印鑑の預かり
- 公共料金の支払い
費用
1回1,000円~2,000円程度
申込方法
市区町村の社会福祉協議会
6. 成年後見制度
法的な保護
内容
成年後見人が、財産管理、契約などをサポートします。
対象
判断能力が不十分な人
費用
申立費用:約10万円~20万円 後見人報酬:月2万円~6万円程度
7. 緊急通報システム
緊急時の連絡
内容
ボタンを押すだけで、緊急通報センターに連絡できます。
費用
自治体により異なる(無料~月1,000円程度)
8. 見守りサービス
安否確認
内容
定期的に訪問または電話で安否確認します。
費用
サービスにより異なる
9. 移動支援
外出のサポート
内容
ヘルパーが外出に同行します。
費用
市区町村により異なる
10. 地域活動支援センター
日中の居場所
内容
日中、地域活動支援センターに通い、創作活動などをします。
費用
無料~低額
一人暮らしにかかる費用
一人暮らしにかかる月々の費用を試算します。
月々の支出
家賃
5万円~10万円(地域により異なる)
住宅確保給付金
家賃補助が受けられる場合があります。
光熱費
1万円~2万円
食費
3万円~5万円
配食サービス利用の場合
1日2食 × 500円 × 30日 = 月3万円
通信費
5,000円~1万円(スマホ、インターネット)
日用品
5,000円~1万円
医療費
2,000円~5,000円(自立支援医療利用で1割負担)
福祉サービス利用料
0円~9,300円(所得により)
多くの場合は無料
その他(趣味、交際費など)
1万円~2万円
月々の支出合計
12万円~18万円程度
月々の収入
障害年金
- 障害基礎年金2級:月約6.6万円
- 障害基礎年金1級:月約8.3万円
就労収入
- 就労継続支援B型:月約1.6万円
- 就労継続支援A型:月約8万円
- 障害者雇用:月約12万円~15万円
生活保護
収入が少なく、生活できない場合、生活保護を受けられます。
金額
- 東京23区:月約13万円
- 地方:月約10万円
収支のバランス
ケース1:B型 + 障害年金2級
収入
- 障害年金2級:6.6万円
- B型工賃:1.6万円
- 合計:8.2万円
支出
- 12万円~18万円
不足額
- 月▲3.8万円~9.8万円
対応
生活保護を受給する、または親からの仕送り
ケース2:A型 + 障害年金2級
収入
- 障害年金2級:6.6万円
- A型賃金:8万円
- 合計:14.6万円
支出
- 12万円~18万円
収支
- ±0円~+2.6万円
ギリギリ生活できる
ケース3:障害者雇用 + 障害厚生年金3級
収入
- 障害厚生年金3級:5万円
- 給与:12万円
- 合計:17万円
支出
- 12万円~18万円
収支
- ±0円~+5万円
生活できる
ケース4:生活保護
収入
- 生活保護:13万円(東京23区の場合)
支出
- 13万円
収支
- ±0円
生活保護で賄える
準備のステップ
一人暮らしに向けた準備のステップを説明します。
ステップ1:本人の意思確認
一人暮らししたいか
本人が一人暮らしを望んでいるか確認します。
重要
無理に一人暮らしさせる必要はありません。
ステップ2:能力の評価
できること、できないこと
相談支援専門員と一緒に、本人の能力を評価します。
評価項目
- 日常生活スキル
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
ステップ3:スキルの訓練
できないことを訓練
訓練の場
- 自立訓練(生活訓練)
- グループホーム(訓練型)
- 家庭での訓練
訓練期間
1年~数年
ステップ4:体験する
お試し
短期間、一人暮らしを体験します。
方法
- 短期入所を利用して、一人で過ごす
- 週末だけ一人暮らし
ステップ5:住居を探す
物件探し
探し方
- 不動産業者
- 障害者向け住宅
- 公営住宅
注意点
- バリアフリー
- 支援者が通いやすい場所
- 家賃
ステップ6:福祉サービスの申請
必要なサービス
居宅介護、訪問看護、配食サービスなどを申請します。
申請先
市区町村の障害福祉課
ステップ7:生活の準備
家具、家電
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 電子レンジ
- ベッド
- テーブル、椅子
日用品
- 食器
- 調理器具
- 掃除道具
ステップ8:緊急連絡先リストの作成
誰に連絡するか
緊急連絡先リストを作成し、見やすい場所に貼ります。
連絡先
- 家族
- 相談支援専門員
- ヘルパー事業所
- 医療機関
- 119、110
ステップ9:引っ越し
サポート
家族、支援者が手伝います。
ステップ10:定期的な見守り
継続的な支援
引っ越し後も、定期的に訪問し、見守ります。
見守る人
- 家族
- 相談支援専門員
- ヘルパー
- 訪問看護師
グループホームとの比較
一人暮らしとグループホームを比較します。
一人暮らしのメリット
- 自由度が高い
- プライバシーが守られる
- 自分のペースで生活できる
- 他の利用者とのトラブルがない
一人暮らしのデメリット
- 孤独
- 緊急時の対応が不安
- 費用が高い
- スキルが必要
グループホームのメリット
- 常に支援者がいる
- 他の利用者との交流
- 安全
- 食事が提供される
- 費用が比較的安い
グループホームのデメリット
- 自由度が低い
- プライバシーが少ない
- 他の利用者とのトラブル
- 集団生活
どちらを選ぶか
本人の希望と能力
本人の希望と能力を総合的に判断します。
段階的な移行
グループホーム→一人暮らしという段階的な移行も可能です。
親が今からできること
親が今からできる準備を説明します。
1. 日常生活スキルを教える
小さい頃から
小さい頃から、日常生活スキルを教えます。
教えること
- 食事の準備
- 掃除、洗濯
- 金銭管理
- 危険回避
2. 自立訓練を利用
専門的な訓練
自立訓練(生活訓練)を利用し、専門的な訓練を受けます。
3. グループホームを体験
お試し
グループホームの短期利用で、一人暮らしの準備をします。
4. 相談支援専門員と相談
計画を立てる
相談支援専門員と一緒に、一人暮らしに向けた計画を立てます。
5. 経済的な準備
資金準備
貯金、障害者扶養共済制度などで、経済的な準備をします。
詳細
別記事「障害児 将来 資金 いくら」参照
6. 成年後見制度の検討
法的な保護
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を検討します。
7. 地域とのつながり
近所付き合い
地域の人とのつながりを作っておきます。
8. 本人の希望を聞く
意思確認
本人が一人暮らしを望んでいるか、定期的に確認します。
よくある質問
Q1: 障害のある子は一人暮らしできますか?
A: 軽度~中度の障害で、適切な支援があれば可能です。
完全な自立でなくても、福祉サービスを利用しながらの一人暮らしは可能です。
Q2: どのくらいお金がかかりますか?
A: 月12万円~18万円程度です。
家賃、光熱費、食費などを含めて、月12万円~18万円程度かかります。
Q3: 障害年金だけで生活できますか?
A: 難しいです。
障害基礎年金2級(月約6.6万円)だけでは難しいです。就労収入、生活保護などで補う必要があります。
Q4: どんな福祉サービスが使えますか?
A: 居宅介護、訪問看護、配食サービスなどです。
居宅介護(ホームヘルプ)、訪問看護、配食サービス、日常生活自立支援事業、緊急通報システムなどが利用できます。
Q5: グループホームと一人暮らし、どちらがいいですか?
A: 本人の希望と能力により異なります。
本人の希望、能力、経済状況などを総合的に判断します。グループホームから一人暮らしへの移行も可能です。
Q6: 今から何を準備すればいいですか?
A: 日常生活スキルを教え、相談支援専門員と計画を立てましょう。
小さい頃から日常生活スキルを教え、相談支援専門員と一緒に、一人暮らしに向けた計画を立てましょう。
Q7: 一人暮らしが無理な場合、どうすればいいですか?
A: グループホーム、入所施設などの選択肢があります。
一人暮らしが難しい場合、グループホーム、入所施設、きょうだいとの同居などの選択肢があります。
まとめ
障害のある人の一人暮らしは、軽度~中度の障害で、適切な支援があれば可能です。判断基準は、障害の程度、日常生活スキル、コミュニケーション能力、問題解決能力、経済状況です。
一人暮らしに必要なスキルは、食事の準備、掃除、洗濯、金銭管理、服薬管理、危険回避、緊急時の対応、移動、対人関係、生活リズムです。全てできなくても、支援を受けながらであれば可能です。
利用できる福祉サービスは、居宅介護、重度訪問介護、訪問看護、配食サービス、日常生活自立支援事業、成年後見制度、緊急通報システム、見守りサービス、移動支援、地域活動支援センターです。
一人暮らしにかかる費用は、月12万円~18万円程度です。収入は、障害年金、就労収入、生活保護などです。B型+障害年金だけでは不足し、生活保護が必要な場合が多いです。
準備のステップは、本人の意思確認、能力の評価、スキルの訓練、体験する、住居を探す、福祉サービスの申請、生活の準備、緊急連絡先リストの作成、引っ越し、定期的な見守りです。
グループホームとの比較では、一人暮らしは自由度が高いがスキルと費用が必要、グループホームは安全で費用が安いが自由度が低いです。本人の希望と能力で判断します。
親が今からできることは、日常生活スキルを教える、自立訓練を利用、グループホームを体験、相談支援専門員と相談、経済的な準備、成年後見制度の検討、地域とのつながり、本人の希望を聞くことです。
一人で抱え込まず、相談支援事業所、市区町村の障害福祉課、医療機関などに相談しながら、本人に合った生活を見つけましょう。一人暮らしは選択肢の一つであり、グループホームや入所施設も立派な選択肢です。
主な相談窓口
相談支援事業所
- 一人暮らしの計画作成
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの申請
自立訓練事業所
- 生活訓練
市区町村の社会福祉協議会
- 日常生活自立支援事業
一人で悩まず、必ず相談してください。一人暮らしに向けた準備を、一緒に進めましょう。

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