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障害のある子どもを育てている保護者にとって、自分たちがいなくなった後に子どもが安心して暮らし続けられるかどうかという不安は、常に心の奥にある深い悩みです。
親亡き後の問題は、早すぎるということはなく、できるだけ早い段階から考え始めることが、子どもの将来を守るうえで非常に重要です。
この記事では、障害のある子どもの親亡き後に備えるための準備と支援制度について解説します。
親亡き後の問題を早めに考えることの重要性
親亡き後の問題は、縁起でもないと先送りにしてしまいがちなテーマです。しかし準備が遅くなるほど、子どもの将来の選択肢が狭まったり、緊急の状況での対応が困難になったりするリスクが高まります。
早めに準備を始めることで、子どもが地域で安心して暮らし続けるための仕組みを整える時間が確保できます。また子ども自身が自立に向けたスキルを身につける時間も、早く始めるほど長くなります。
親亡き後の問題は、一度に全てを解決しようとするのではなく、今できることから少しずつ準備を積み重ねていくという姿勢で取り組むことが大切です。
親亡き後に備えるための主な課題
住まいの確保
親と同居していた子どもが、親亡き後もどこに住むかという問題は最も重要な課題のひとつです。グループホームへの入居、入所施設への入所、一人暮らしの支援といった選択肢があります。
希望する住まいの形によっては、入居待機が数年に及ぶことがあるため、早めに情報収集と申し込みを始めることが重要です。
日中の活動場所の確保
就労継続支援事業所、生活介護、就労継続支援A型、一般就労といった日中の活動場所の確保も重要な課題です。子どもの特性や能力に合った活動の場を見つけるためには、学校在学中からの就労準備と移行支援が重要になります。
財産と金銭の管理
親亡き後に子どもが自分の財産や年金を適切に管理できるかという問題があります。知的障害や精神障害のある方の場合、金銭管理が難しいことがあり、成年後見制度や日常生活自立支援事業の活用が重要になります。
医療と健康管理
持病の管理、定期受診の継続、緊急時の対応といった医療面での継続的なサポートをどのように確保するかという問題があります。かかりつけ医との関係構築と、医療情報の引き継ぎ先の確保が重要です。
支援者とのつながり
親が担ってきた支援のコーディネート役を誰が担うかという問題があります。相談支援専門員、支援機関、地域のネットワークとの関係を構築しておくことが、親亡き後の支援の継続に重要です。
今から取り組める具体的な準備
子どもの自立スキルを育てる
親亡き後を見据えた最も重要な準備のひとつが、子ども自身の自立スキルを育てることです。年齢と特性に応じて、食事、着替え、入浴といった身辺自立のスキル、金銭管理の基本、交通機関の利用、緊急時の対応方法といったスキルを少しずつ身につけることが、将来の自立した生活の土台になります。
学校での自立活動や就労移行支援事業所でのトレーニングを活用しながら、家庭でも日常生活のなかで実践的に練習することが有効です。
グループホームや施設の情報収集と見学
希望する住まいの形を早めに決め、候補となる事業所への見学と情報収集を始めることが重要です。グループホームは地域によって空き状況が大きく異なり、入居待機が生じることがあるため、早めに申し込みリストに名前を載せておくことが助けになります。
実際に見学することで、どんな環境で、どんな支援を受けながら生活できるかをイメージすることができます。本人も一緒に見学に行くことで、将来の生活への見通しと理解を深めることができます。
相談支援専門員との関係を深める
相談支援専門員は、障害福祉サービスの利用計画を作成するだけでなく、子どもの生活全般を支援するための重要なパートナーです。親が元気なうちから継続的な関係を築いておくことで、親亡き後にもスムーズに支援が継続される体制をつくることができます。
定期的なモニタリングの機会を活用して、将来の見通しや不安について相談しておくことが重要です。
成年後見制度の準備
知的障害や精神障害のある方が成人した後の財産管理と身上監護をサポートする成年後見制度について、早めに理解を深めることが重要です。
成年後見制度には、家庭裁判所が選任する法定後見と、本人が元気なうちに後見人を決めておける任意後見があります。親が元気なうちに任意後見の準備を進めることで、信頼できる人を後見人に選ぶことができます。
成年後見制度の手続きは家庭裁判所に申し立てることで始まります。司法書士や弁護士、社会福祉士といった専門家に相談することで、手続きの進め方についてのサポートを受けることができます。
日常生活自立支援事業の活用
判断能力に不安がある方が、日常的な金銭管理や福祉サービスの利用手続きのサポートを受けられる日常生活自立支援事業を、成年後見制度の準備段階として活用することができます。
社会福祉協議会が運営しており、比較的低い費用で利用することができます。成年後見制度ほど厳格な手続きは必要なく、比較的利用しやすい制度です。
遺言書と信託の準備
親亡き後の財産の管理と使い方について、遺言書の作成と信託の活用を検討することが重要です。
特定贈与信託という制度を使うことで、特別障害者や障害者に対して信託銀行等を受託者として財産を信託し、障害のある方の生活費等に使ってもらうという仕組みをつくることができます。利用にあたっては、税務上の優遇措置もあるため、税理士や金融機関に相談することをおすすめします。
遺言書については、専門家のサポートのもとで公正証書遺言を作成しておくことで、相続に関するトラブルを防ぎ、子どもの将来のための財産を確実に残すことができます。
親族や地域とのつながりをつくる
兄弟姉妹や親族との関係を大切にし、親亡き後に子どもを見守ってくれる人のネットワークをつくっておくことが重要です。ただし親族だけに頼りすぎることは、親族への過剰な負担につながるため、専門的な支援機関や地域のネットワークとのバランスを取ることが大切です。
地域の障害者支援団体や親の会への参加を通じて、同じ立場の保護者とつながることも、情報収集と精神的な支えの両面で助けになります。
活用できる制度とサービス
障害年金
一定の障害がある場合、障害年金を受給することができます。障害基礎年金と障害厚生年金があり、障害の程度によって受給できる金額が異なります。
子どもが二十歳になった時点で障害の状態が認められれば、障害基礎年金を申請することができます。親亡き後の収入の基盤として、障害年金の受給資格を確認しておくことが重要です。
特別障害者手当
在宅で生活している重度の障害がある方に対して、特別障害者手当が支給される制度があります。日常生活において常時特別の介護を必要とする程度の重度の障害がある二十歳以上の方が対象です。
グループホームの入居支援
共同生活援助と呼ばれるグループホームへの入居支援は、障害のある方が地域で自立した生活を送るための重要な選択肢です。食事の提供、日常生活上の援助、相談支援といったサポートを受けながら共同生活を送ることができます。
地域移行支援と地域定着支援
施設入所者や精神科病院に入院している方が地域生活に移行するための地域移行支援と、地域生活を継続するための緊急時の相談対応等を行う地域定着支援という制度があります。
保護者自身のケアも忘れずに
親亡き後の準備を考えることは、精神的に非常に重いテーマです。一人で抱え込まず、同じ立場の保護者と繋がることや、支援者に相談することが保護者自身の心の健康を守るうえで重要です。
全てを完璧に準備しようとするのではなく、今日できることを一つ、今年できることを一つという積み重ねで準備を進めることが、長い目で見て確実な準備につながります。
まとめ
障害のある子どもの親亡き後に備えるためには、子どもの自立スキルを育てる、住まいの情報収集と申し込みを早めに始める、成年後見制度の準備をする、遺言書と信託を整える、相談支援専門員との関係を深めるといった多方面からの準備が必要です。早めに取り組み始めることで選択肢が広がり、子どもが地域で安心して生活し続けられる環境を整える可能性が高まります。一人で抱え込まず、専門家や支援者、同じ立場の保護者とつながりながら、一歩ずつ準備を進めていただければと思います。

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