身延山久遠寺は山梨県南巨摩郡身延町に位置する日蓮宗の総本山です。文永11年(1274年)に日蓮聖人が身延山に草庵を結んだことに始まり、約750年の歴史を持ちます。日蓮宗信徒にとって最も重要な聖地であり、年間を通じて多くの参拝者が訪れます。標高約400メートルの身延山中腹に位置し、豊かな自然に囲まれた広大な境内には、本堂、祖師堂、五重塔などの堂宇が立ち並びます。特に樹齢400年を超えるしだれ桜は全国的に有名で、春には多くの観光客で賑わいます。この記事では身延山久遠寺の歴史、見どころ、参拝方法、アクセスなど詳しく解説します。
身延山久遠寺の基本情報
正式名称
正式名称は身延山妙法華院久遠寺(みのぶさんみょうほうけいんくおんじ)です。通称は身延山、身延の祖山と呼ばれます。
所在地
山梨県南巨摩郡身延町身延3567に位置します。JR身延線身延駅からバスで約15分です。富士川沿いの山中にあります。
宗派
日蓮宗の総本山です。全国約5000の日蓮宗寺院の頂点に立ちます。
開山と歴史
文永11年(1274年)、日蓮聖人が身延山に草庵を結びました。弘安4年(1281年)に本格的な寺院となりました。約750年の歴史を持ちます。
本尊
本尊は一塔両尊四士です。中央に法華経の宝塔、左右に釈迦如来と多宝如来、その周囲に四菩薩を配します。日蓮宗独特の本尊形式です。
山号
山号は身延山です。身延山全体が霊場とされます。
歴史的背景
日蓮聖人と身延山
日蓮聖人は鎌倉で布教活動を行いましたが、幕府や他宗派から迫害を受けました。佐渡流罪から赦免された後、文永11年(1274年)に甲斐国の地頭波木井実長の招きで身延山に入りました。以後9年間、この地で法華経の修行と弟子の教育に専念しました。
草庵から寺院へ
最初は簡素な草庵でした。弘安4年(1281年)に波木井実長が堂宇を建立し、本格的な寺院となりました。日蓮聖人自らこの地を久遠寺と名付けました。法華経の根本道場としました。
日蓮聖人の入滅
弘安5年(1282年)、日蓮聖人は病を得て身延山を下りました。常陸国(現在の茨城県)の湯治場に向かう途中、武蔵国池上(現在の東京都大田区)で入滅しました。61歳でした。遺言により遺骨は身延山に納められました。
江戸時代の隆盛
徳川家康から朱印地を与えられました。幕府の保護を受けて発展しました。多くの堂宇が建立されました。参詣者が絶えませんでした。
近代以降
明治の神仏分離、廃仏毀釈の影響を受けましたが、信徒の篤い信仰により守られました。昭和に入り多くの建物が再建されました。現在も日蓮宗の中心として機能しています。
境内の見どころ
三門
身延山久遠寺の正面入口となる大きな門です。昭和62年に再建されました。高さ約21メートルの堂々とした門です。仁王像が安置されています。ここから境内が始まります。
菩提梯(ぼだいてい)
三門から本堂へ続く287段の石段です。急な階段で修行の道とされます。登り切ると本堂に到着します。体力に自信のない人は斜行エレベーターも利用できます。
斜行エレベーター
三門と本堂を結ぶエレベーターです。高低差約100メートルを約3分で結びます。有料です(片道100円、往復200円程度)。体力に自信のない人や高齢者に便利です。
本堂(祖師堂)
日蓮聖人を祀る中心的な建物です。明治14年の火災後、明治17年に再建されました。入母屋造りの壮大な建物です。内部には日蓮聖人像が安置されています。朝と夕方にお勤めが行われます。参拝者も参加できます。
仏殿(本院)
本尊の一塔両尊四士を安置する建物です。昭和60年に再建されました。鉄筋コンクリート造りながら伝統的な様式です。
五重塔
平成21年に完成した新しい五重塔です。高さ約39メートルです。木造では日本で4番目の高さです。伝統的な工法で建てられました。内部には釈迦如来が安置されています。境内のシンボルです。
報恩閣
宝物館です。日蓮聖人ゆかりの品々が展示されています。聖人の真筆、法衣、仏像、絵画など貴重な文化財があります。拝観料が必要です(300円程度)。
御廟所(おたまやしょ)
日蓮聖人の墓所です。奥之院ともいいます。聖人の遺骨が納められています。本堂から徒歩約20分の山道を登ります。日蓮宗信徒にとって最も神聖な場所です。静寂に包まれた厳粛な空間です。
祖廟(御真骨堂)
御廟所にある建物です。日蓮聖人の遺骨を納めた宝塔があります。信徒が最も崇敬する場所です。
しだれ桜
境内に2本の巨大なしだれ桜があります。樹齢400年以上とされます。全国しだれ桜10選に選ばれています。高さ約15メートル、枝張り約20メートルの見事な桜です。春には満開の桜が滝のように垂れ下がります。圧倒的な美しさです。3月下旬から4月上旬が見頃です。
宿坊
身延山には多数の宿坊があります。参拝者が宿泊できます。精進料理をいただけます。朝のお勤めに参加できます。宿坊体験ができます。
ロープウェイ
久遠寺から身延山山頂(標高1153メートル)へロープウェイが運行しています。約7分で山頂に到着します。山頂からは富士山、南アルプス、八ヶ岳などの絶景が楽しめます。別料金です(往復1500円程度)。
身延山山頂(奥之院思親閣)
ロープウェイで登った山頂にあるお堂です。日蓮聖人が両親を偲んで建てたとされる場所です。展望台があり360度のパノラマビューが楽しめます。富士山の絶景スポットです。
ご利益と信仰
立正安国
日蓮聖人の教えである立正安国の精神が根本です。正しい教えで国を安らかにすることを願います。
諸願成就
様々な願いを叶える霊場として信仰されています。日蓮聖人の加護を願います。
病気平癒
日蓮聖人の霊験により病気が治ると信じられています。健康祈願に訪れる人が多いです。
家内安全
家族の健康と平安を祈願します。一家そろっての参拝も多いです。
先祖供養
お墓参り、先祖供養の聖地です。永代供養を依頼する人もいます。
開運厄除
厄を払い運を開くご利益があるとされます。厄年の方が参拝します。
年中行事
元朝祈祷会(1月1日)
新年最初の祈祷です。多くの参拝者が訪れます。初詣で賑わいます。
節分会(2月3日)
豆まきが行われます。福豆が撒かれます。
御会式(おえしき)(3月から4月)
日蓮聖人の入山会が行われます。重要な法要です。
花まつり(4月8日)
お釈迦様の誕生を祝う法要です。しだれ桜の見頃と重なることが多いです。
しだれ桜まつり(3月下旬から4月上旬)
樹齢400年のしだれ桜が満開になる時期です。夜間ライトアップも行われます。多くの観光客で賑わいます。最も混雑する時期です。
開闢会(かいびゃくえ)(5月12日)
日蓮聖人が身延山に入った日を記念する法要です。身延山にとって重要な日です。
盂蘭盆会(8月15日)
お盆の法要です。先祖供養のため多くの人が訪れます。
御会式(10月11日から13日)
日蓮聖人の命日を偲ぶ法要です。身延山最大の行事です。万灯行列が行われます。全国から信徒が集まります。数十万人が訪れます。
紅葉まつり(11月)
境内の紅葉が美しい時期です。しだれ桜の紅葉も見事です。
参拝方法とマナー
基本的な参拝作法
三門で一礼します。菩提梯を登ります(またはエレベーター利用)。本堂(祖師堂)で参拝します。合掌して南無妙法蓮華経と唱えます。お寺なので柏手は打ちません。仏殿も参拝します。
お題目
日蓮宗では南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)と唱えます。参拝時にこのお題目を唱えます。
朝のお勤め
朝6時から本堂でお勤めが行われます。参拝者も自由に参加できます。荘厳な雰囲気を体験できます。
御廟所参拝
時間があれば御廟所を参拝します。山道を約20分登ります。歩きやすい靴が必要です。日蓮聖人の眠る聖地です。静かに参拝します。
写真撮影
境内での撮影は基本的に可能です。建物内部は撮影禁止の場合があります。他の参拝者の迷惑にならないよう配慮します。
おすすめの参拝ルート
標準コース
三門から入ります。菩提梯を登ります(または斜行エレベーター利用)。本堂で参拝します。仏殿を参拝します。五重塔を見ます。しだれ桜を鑑賞します。境内を散策します。所要時間は1時間から1時間半です。
じっくりコース
標準コースに加えて御廟所を参拝します。報恩閣で宝物を見学します。ゆっくり境内を散策します。所要時間は2時間半から3時間です。
山頂コース
久遠寺参拝後、ロープウェイで身延山山頂へ登ります。奥之院思親閣を参拝します。絶景を楽しみます。所要時間は3時間から4時間です。
宿坊体験コース
宿坊に宿泊します。精進料理をいただきます。朝のお勤めに参加します。じっくり身延山を体験します。1泊2日のコースです。
アクセス方法
電車とバスでのアクセス
JR身延線身延駅から山梨交通バス身延山行きで約15分、身延山下車すぐです。バスは1時間に1から2本程度です。時刻表の確認が必要です。新幹線利用の場合は新富士駅または静岡駅で身延線に乗り換えます。東京からは約3時間半です。
自動車でのアクセス
中央自動車道甲府南ICから国道52号経由で約50分です。東名高速道路富士ICから国道139号、52号経由で約1時間です。駐車場は境内に無料駐車場があります(約300台)。しだれ桜の時期や御会式の時期は混雑します。
高速バス
新宿から身延山への直通高速バスがあります(期間限定運行の場合があります)。約3時間半です。乗り換えなしで便利です。
周辺の観光スポット
西谷(にしたに)
久遠寺の西側にある宿坊街です。多数の宿坊が並びます。精進料理が味わえます。静かな雰囲気です。
身延山ロープウェイ
久遠寺から身延山山頂を結びます。山頂からの富士山の眺めは絶景です。往復1500円程度です。
本栖湖
身延山から車で約30分です。富士五湖の一つです。千円札の富士山の絵柄になった景色が見られます。
富士川
身延町を流れる大きな川です。川沿いの景色が美しいです。桜の季節は特に見事です。
下部温泉郷
身延町にある温泉地です。武田信玄の隠し湯として知られます。日帰り入浴も可能です。
参拝のベストシーズン
春(しだれ桜の季節)
3月下旬から4月上旬が最高のシーズンです。樹齢400年のしだれ桜が満開になります。夜間ライトアップも行われます。最も混雑する時期です。早朝の参拝がおすすめです。見頃は天候により変動します。
初夏
新緑が美しい季節です。比較的空いています。気候も良く参拝しやすいです。
秋
紅葉が美しい季節です。11月上旬から中旬が見頃です。しだれ桜の紅葉も見事です。御会式(10月)は最も重要な行事で大変混雑します。
冬
初詣は混雑します。それ以外は静かです。雪景色の身延山も趣があります。防寒対策が必要です。
参拝時の注意点
参拝時間
境内は基本的に24時間参拝可能です。諸堂の拝観時間は朝5時から夕方17時頃までです。季節により変動します。
所要時間
通常の参拝なら1時間から1時間半です。御廟所を含めると2時間半から3時間です。山頂まで行くなら3時間から4時間です。
混雑状況
しだれ桜の時期(3月下旬から4月上旬)は大変混雑します。御会式(10月11日から13日)も混みます。平日の午前中が比較的空いています。
服装
特別な服装は不要ですが清潔感のある服装が望ましいです。御廟所へ行く場合は歩きやすい靴が必須です。山の中なので気温の変化に注意します。
標高
身延山は標高約400メートルの場所にあります。平地より気温が低いです。季節に応じた服装が必要です。
体力
菩提梯は287段の急な石段です。体力に自信のない人は斜行エレベーターを利用します。御廟所への道も山道なので体力が必要です。
まとめ
身延山久遠寺は日蓮宗の総本山として約750年の歴史を持つ聖地です。文永11年(1274年)に日蓮聖人が身延山に草庵を結び、9年間この地で修行と教化に専念しました。
聖人の遺骨が納められた御廟所があり、日蓮宗信徒にとって最も重要な参拝地です。全国から年間を通じて多くの信徒が訪れます。
三門、菩提梯、本堂、仏殿、五重塔、御廟所など見どころが豊富です。特に樹齢400年を超えるしだれ桜は全国的に有名で、春には圧倒的な美しさを見せます。
身延駅からバスで約15分、自動車でもアクセス可能です。身延山ロープウェイで山頂へ登れば富士山の絶景が楽しめます。
日蓮宗信徒の方、桜を楽しみたい方、歴史ある寺院を訪れたい方、自然豊かな霊場で心を落ち着けたい方。多くの人に愛される身延山久遠寺は、日本仏教史上重要な聖地です。287段の菩提梯を登り、日蓮聖人の御霊に手を合わせ、樹齢400年のしだれ桜に心を奪われてください。ぜひ訪れてみてください。

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