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「毎日泣いている」「何もする気が起きない」「子どもを愛せない」「死にたい」「朝起きられない」「食欲がない」「これってうつ病なのか」「病院に行くべきか」「薬を飲むべきか」「うつになったら育児はどうするのか」「治るのか」「夫は理解してくれない」「誰にも言えない」。発達障害のある子を育てる母親の多くが、うつ病やうつ状態に悩んでいます。
発達障害児の母親がうつになる原因は、慢性的なストレス、睡眠不足、社会的孤立、将来への不安、自責の念、夫の無理解、経済的困窮などです。
うつ病の症状は、抑うつ気分、意欲低下、興味喜び喪失、睡眠障害、食欲変化、罪悪感、希死念慮などで、2週間以上続く場合は医療機関の受診が必要です。
治療は薬物療法とカウンセリングが中心で、適切な治療により改善します。予防には、レスパイトケア、睡眠確保、誰かに話す、完璧を諦めることが重要です。
本記事では、うつ病の症状、原因、診断、治療法、育児との両立、予防法、そして家族のサポートについて詳しく解説します。
うつ病とは
まず、うつ病の基本を説明します。
定義
精神疾患
うつ病は、脳の機能障害により、気分が強く落ち込み、様々な症状が出る精神疾患です。
誰でもなる
特別な病気ではない
うつ病は、誰でもなりうる病気で、特別な病気ではありません。
生涯有病率
約15人に1人が、生涯に1度はうつ病を経験すると言われています。
うつ状態とうつ病の違い
うつ状態
一時的に気分が落ち込んでいる状態。数日~1週間程度で回復します。
うつ病
2週間以上、抑うつ気分や興味喜び喪失などの症状が続き、日常生活に支障をきたす病気。治療が必要です。
発達障害児の母親のうつ病罹患率
非常に高い
発達障害児の母親のうつ病罹患率は、一般の母親の約2~3倍と言われています。
研究データ
- 一般の母親:約10~15%
- 発達障害児の母親:約30~50%
うつ病の症状
うつ病の症状を詳しく説明します。
主要症状(診断基準)
以下のうち、5つ以上が2週間以上ほぼ毎日続き、日常生活に支障をきたす場合、うつ病と診断されます。
1. 抑うつ気分
気分が沈む
- ほとんど一日中、気分が沈んでいる
- 悲しい、空虚な気持ち
- 涙が止まらない
- 絶望的な気持ち
2. 興味喜び喪失
楽しめない
- 以前は楽しめたことが、楽しめない
- 趣味に興味がない
- 子どもの成長に喜びを感じない
3. 食欲の変化
食べられない、または過食
- 食欲がない、食事が喉を通らない
- 体重減少(1か月で5%以上)
- 過食、体重増加
4. 睡眠障害
眠れない、または寝すぎる
- 入眠困難(なかなか眠れない)
- 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
- 早朝覚醒(朝早く目が覚める)
- 過眠(寝すぎる)
5. 精神運動の変化
動きが遅い、または焦燥感
- 動作が遅くなる
- 話すスピードが遅くなる
- 焦燥感、イライラ、じっとしていられない
6. 疲労感、気力低下
疲れ、やる気が出ない
- 慢性的な疲労感
- やる気が出ない
- 何もする気が起きない
- 朝起きられない
7. 無価値感、罪悪感
自分を責める
- 自分には価値がないと思う
- 「私は悪い母親だ」
- 「子どもがこうなったのは私のせいだ」
- 過度な自責
8. 思考力・集中力の減退
考えられない、決められない
- 集中できない
- 考えがまとまらない
- 決断できない
- 仕事や家事のミスが増える
9. 希死念慮、自殺企図
死にたい
- 死にたいと思う
- 消えたいと思う
- 自殺の計画を立てる
- 自殺未遂
最も危険な症状
希死念慮、自殺企図がある場合、すぐに医療機関を受診してください。
その他の症状
身体症状
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
- 胃痛
- めまい
- 動悸
- 息苦しさ
認知の歪み
- 物事を悪い方向に考える
- 自分を責める
- 将来に希望が持てない
重症度
軽度
症状が軽く、日常生活への影響が少ない。
中等度
症状が中程度で、日常生活にかなりの影響がある。
重度
症状が重く、日常生活がほとんどできない。入院が必要なこともあります。
うつ病になる原因
発達障害児の母親がうつ病になる原因を説明します。
1. 慢性的なストレス
最大の原因
24時間365日の育児、癇癪・パニックへの対応、周囲の無理解などによる慢性的なストレスが、最大の原因です。
ストレスホルモン
慢性的なストレスにより、ストレスホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌され、脳の機能が低下します。
2. 睡眠不足
脳の疲労
慢性的な睡眠不足により、脳が疲労し、うつ病のリスクが高まります。
3. 社会的孤立
孤独
友人が離れ、社会から孤立することで、うつ病のリスクが高まります。
4. 将来への不安
絶望感
将来への不安、絶望感が、うつ病につながります。
5. 自責の念
自分を責める
「自分の育て方が悪かった」と自分を責め続けることで、うつ病になります。
6. 夫の無理解・非協力
孤独感
夫が理解せず、協力しないことで、孤独感が増し、うつ病のリスクが高まります。
7. 経済的困窮
不安
経済的な不安が、うつ病のリスクを高めます。
8. 完璧主義
燃え尽き
完璧な母親を目指し、燃え尽きることで、うつ病になります。
9. 過去のトラウマ
再燃
過去のトラウマ(虐待、いじめなど)が再燃し、うつ病につながることがあります。
10. 遺伝的要因
体質
うつ病になりやすい体質(遺伝的要因)があります。
11. 脳の機能変化
セロトニン不足
ストレスにより、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスが崩れ、うつ病になります。
診断
うつ病の診断について説明します。
診断基準
DSM-5
アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)に基づいて診断されます。
主要症状
前述の9つの症状のうち、5つ以上が2週間以上続き、日常生活に支障をきたす場合、うつ病と診断されます。
診断に必要なこと
問診
医師が、症状、生活状況、ストレスなどを詳しく聞きます。
質問票
うつ病のスクリーニング質問票(PHQ-9など)を使うこともあります。
身体検査
身体疾患(甲状腺機能低下症など)を除外するため、身体検査、血液検査を行うこともあります。
受診するタイミング
2週間以上続く
抑うつ気分、興味喜び喪失などの症状が2週間以上続く場合、受診してください。
日常生活に支障
日常生活に支障をきたしている場合、受診してください。
希死念慮
「死にたい」と思う場合、すぐに受診してください。
どの診療科を受診するか
精神科、心療内科
精神科、心療内科を受診します。
かかりつけ医
まずはかかりつけ医に相談し、紹介してもらうこともできます。
治療法
うつ病の治療法を説明します。
1. 休養
最も重要
休養が、最も重要です。
方法
- 育児を一時的に休む(レスパイトケア)
- 仕事を休む(休職)
- 家事を休む(家事支援サービス)
- ゆっくり寝る
2. 薬物療法
抗うつ薬
脳内物質のバランスを整える
抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスを整えます。
主な抗うつ薬
- SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬):パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):サインバルタ、イフェクサーなど
- NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬):リフレックスなど
効果が出るまで
効果が出るまで、2~4週間かかります。
副作用
吐き気、眠気、口の渇きなどの副作用がありますが、多くは数日~数週間で軽減します。
服薬の継続
症状が改善しても、自己判断で服薬を中止せず、医師の指示に従います。
妊娠・授乳中
妊娠中、授乳中でも服用できる抗うつ薬があります。医師に相談してください。
抗不安薬
不安を軽減
不安が強い場合、抗不安薬を併用します。
主な抗不安薬
- デパス、ソラナックス、レキソタンなど
短期使用
長期使用は依存のリスクがあるため、短期使用が基本です。
睡眠薬
睡眠を改善
睡眠障害がある場合、睡眠薬を使用します。
主な睡眠薬
- マイスリー、ハルシオン、レンドルミンなど
3. 精神療法(カウンセリング)
認知行動療法(CBT)
考え方を変える
認知行動療法は、否定的な考え方(認知の歪み)を修正し、行動を変える治療法です。
効果
うつ病に効果があるとされています。
対人関係療法
人間関係を改善
対人関係の問題を解決する治療法です。
支持的精神療法
話を聞いてもらう
カウンセラーに話を聞いてもらい、気持ちを整理します。
4. 入院治療
重度の場合
重度のうつ病、自殺のリスクが高い場合、入院治療を行います。
入院期間
数週間~数か月
5. 電気けいれん療法(ECT)
薬が効かない場合
薬物療法が効かない重度のうつ病に対して、電気けいれん療法を行うことがあります。
育児との両立
うつ病の治療と育児を両立する方法を説明します。
1. レスパイトケアの最大限活用
育児を休む
短期入所、日中一時支援、放課後等デイサービスなどを最大限活用し、育児を休みます。
2. 夫・家族の協力
任せる
夫、家族に育児を任せます。
3. 家事支援サービス
家事を外注
家事支援サービスを利用し、家事の負担を減らします。
4. 完璧を諦める
手を抜く
完璧な育児、完璧な家事を諦め、手を抜きます。
5. 優先順位
命が最優先
あなたの命が最優先です。育児、家事は後回しです。
6. 一時保護・入所施設
限界なら離れる
限界を感じたら、一時保護、入所施設など、親子を離す選択肢もあります。
回復までの期間
回復までの期間を説明します。
個人差が大きい
数か月~数年
回復までの期間は、個人差が大きく、数か月~数年かかります。
軽度
3~6か月
軽度のうつ病は、適切な治療により、3~6か月で回復することが多いです。
中等度~重度
6か月~2年
中等度~重度のうつ病は、6か月~2年かかることがあります。
焦らない
焦りは禁物
焦らず、じっくり治療に取り組むことが重要です。
再発予防
服薬継続
症状が改善しても、再発予防のため、6か月~1年程度は服薬を継続します。
予防法
うつ病を予防する方法を説明します。
1. レスパイトケアの定期利用
定期的に休む
短期入所、日中一時支援などを定期的に利用し、休みます。
頻度
月1回以上が理想
2. 睡眠を確保
最優先
睡眠を最優先します。
方法
- 子どもが寝たら、すぐに寝る
- 夫に夜の対応を任せる日を作る
- 睡眠導入剤を医師に相談
3. 誰かに話す
吐き出す
つらい気持ちを、誰かに話します。
話す相手
- 夫、家族
- 友人
- 相談支援専門員
- カウンセラー
- 親の会
4. 完璧を諦める
手を抜く
完璧な育児、完璧な家事を諦め、手を抜きます。
5. 比較しない
他人と比べない
定型発達の子や他の障害児と比較しません。
6. 小さな楽しみ
ご褒美
小さな楽しみ、ご褒美を見つけます。
7. 運動
軽い運動
散歩、ヨガなど、軽い運動はうつ病予防に効果があります。
8. 栄養
バランスの良い食事
バランスの良い食事を心がけます。
9. 早めの受診
限界前に
限界を感じる前に、医療機関を受診します。
10. 定期的なカウンセリング
予防的カウンセリング
うつ病になる前から、定期的にカウンセリングを受けます。
家族のサポート
家族(夫、祖父母など)のサポートについて説明します。
夫ができること
1. 話を聞く
否定しない
妻の話を、否定せず聞きます。
アドバイスは不要
アドバイスではなく、ただ聞くことが重要です。
2. 育児を代わる
積極的に
育児を積極的に代わります。
3. 家事を代わる
家事も
家事も代わります。
4. 病院に付き添う
一緒に
病院に一緒に行きます。
5. 服薬を見守る
飲み忘れ防止
服薬を見守り、飲み忘れを防ぎます。
6. 希死念慮に注意
危険なサイン
「死にたい」と言った場合、すぐに医療機関を受診させます。
7. 焦らせない
ゆっくり
「早く治して」と焦らせません。
8. 自分も休む
共倒れ防止
夫自身も休み、共倒れを防ぎます。
祖父母ができること
1. 孫を預かる
レスパイト
孫を預かり、娘(嫁)を休ませます。
2. 話を聞く
否定しない
話を、否定せず聞きます。
3. 経済的支援
可能なら
可能であれば、経済的支援をします。
4. 批判しない
責めない
「甘えている」「気合いが足りない」と批判しません。
よくある質問
Q1: これってうつ病ですか?
A: 2週間以上、抑うつ気分や興味喜び喪失が続く場合、うつ病の可能性があります。
医療機関を受診し、診断を受けてください。
Q2: 病院に行くべきですか?
A: はい、症状が2週間以上続く場合、受診してください。
特に、「死にたい」と思う場合、すぐに受診してください。
Q3: 薬を飲むのが怖いです。
A: 適切な薬物療法は、うつ病の改善に効果があります。
副作用が心配な場合、医師に相談してください。授乳中でも服用できる薬があります。
Q4: 薬を飲んだら、一生飲み続けなければなりませんか?
A: いいえ、症状が改善したら、徐々に減薬・中止します。
ただし、再発予防のため、6か月~1年程度は服薬を継続します。
Q5: うつ病になったら、育児はどうするのですか?
A: レスパイトケア、夫・家族の協力、家事支援サービスを活用します。
限界なら、一時保護、入所施設など、親子を離す選択肢もあります。
Q6: 治りますか?
A: はい、適切な治療により、多くの人が回復します。
焦らず、じっくり治療に取り組むことが重要です。
Q7: 予防する方法はありますか?
A: レスパイトケアの定期利用、睡眠確保、誰かに話す、完璧を諦めることが重要です。
早めに医療機関を受診することも、予防につながります。
まとめ
発達障害児の母親がうつ病になる原因は、慢性的なストレス、睡眠不足、社会的孤立、将来への不安、自責の念、夫の無理解、経済的困窮、完璧主義、過去のトラウマ、遺伝的要因、脳の機能変化などです。
うつ病の症状は、抑うつ気分、興味喜び喪失、食欲の変化、睡眠障害、精神運動の変化、疲労感・気力低下、無価値感・罪悪感、思考力・集中力の減退、希死念慮・自殺企図です。5つ以上が2週間以上続き、日常生活に支障をきたす場合、うつ病と診断されます。
治療法は、休養、薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬)、精神療法(認知行動療法など)、入院治療です。適切な治療により、多くの人が回復します。
育児との両立は、レスパイトケアの最大限活用、夫・家族の協力、家事支援サービス、完璧を諦める、優先順位(命が最優先)、一時保護・入所施設(限界なら離れる)です。
回復までの期間は、個人差が大きく、軽度で3~6か月、中等度~重度で6か月~2年です。焦らず、じっくり治療に取り組むことが重要です。
予防法は、レスパイトケアの定期利用、睡眠確保、誰かに話す、完璧を諦める、比較しない、小さな楽しみ、運動、栄養、早めの受診、定期的なカウンセリングです。
家族のサポートは、夫が話を聞く、育児・家事を代わる、病院に付き添う、服薬を見守る、希死念慮に注意、焦らせない、自分も休むことです。祖父母は、孫を預かる、話を聞く、経済的支援、批判しないことです。
一人で抱え込まず、精神科・心療内科、相談支援事業所、カウンセラー、親の会などに相談しましょう。うつ病は治る病気です。「死にたい」と思ったら、すぐに医療機関を受診してください。あなたの命が最優先です。
主な相談窓口
精神科・心療内科
- うつ病の診断、治療
いのちの電話
- 0570-783-556(24時間)
よりそいホットライン
- 0120-279-338(24時間無料)
こころの健康相談統一ダイヤル
- 0570-064-556
相談支援事業所
- 育児の相談、レスパイトケアの手配
親の会
- ピアサポート
一人で悩まず、必ず相談してください。うつ病は治る病気です。適切な治療を受けましょう。「死にたい」と思ったら、今すぐ医療機関を受診、またはいのちの電話(0570-783-556)に連絡してください。

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