お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
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「発達障害の子どもにどう接すればいいのかわからない」「何度言っても伝わらない」「叱ってばかりで自己嫌悪」「癇癪を起こされるとお手上げ」「この接し方で合っているのか不安」「子どもの自己肯定感を守りたい」。発達障害のある子どもへの接し方に悩む親や支援者は多くいます。
発達障害の子どもへの接し方には、定型発達の子とは異なる工夫が必要です。特性を理解し、視覚支援、肯定的な言葉がけ、環境調整などを行うことで、子どもは安心し、能力を発揮できるようになります。本記事では、基本的な心構え、障害種別の特性と接し方、具体的なコミュニケーション方法、困った行動への対応、自己肯定感を育てる方法、そして親自身のケアについて詳しく解説します。
基本的な心構え
発達障害の子どもと接する上での基本的な心構えを説明します。
1. 特性を理解する
障害ではなく特性
発達障害は、脳の特性です。「できない」のではなく、「違う方法が必要」です。
理解すべきこと
- 注意力の問題(ADHD)
- 衝動性(ADHD)
- 多動性(ADHD)
- コミュニケーションの困難(ASD)
- こだわり(ASD)
- 感覚過敏・鈍麻(ASD)
- 読み書きの困難(LD)
2. その子に合った方法を見つける
一人ひとり違う
発達障害といっても、一人ひとり特性は異なります。その子に合った方法を見つけることが重要です。
試行錯誤
うまくいかなければ、別の方法を試してみましょう。
3. できることに注目する
ポジティブな視点
「できないこと」ではなく、「できること」に注目しましょう。
強みを活かす
得意なことを伸ばすことで、自己肯定感が育ちます。
4. 比較しない
他の子と比べない
定型発達の子やきょうだいと比較しないようにしましょう。
比較するなら
過去のその子と比較し、成長を感じましょう。
5. 叱るより褒める
肯定的に
叱るよりも、褒めることを心がけましょう。
目安
叱る1回に対して、褒める5回(1:5の法則)
6. 完璧を求めない
できる範囲で
完璧を求めず、できる範囲でサポートしましょう。
7. 長期的な視点を持つ
ゆっくり成長する
発達障害の子は、ゆっくり成長します。焦らず、長期的な視点を持ちましょう。
8. 親自身も完璧でなくていい
失敗してもいい
親も完璧である必要はありません。失敗したら、謝ればいいです。
障害種別の特性と接し方
障害の種類別に、特性と接し方を説明します。
ADHD(注意欠如・多動症)
特性
不注意
- 注意力が続かない
- 忘れ物が多い
- 聞いていない
多動性
- じっとしていられない
- 落ち着きがない
衝動性
- 思ったことをすぐ口に出す
- 順番が待てない
- カッとなって暴力をふるう
接し方
指示は短く、具体的に
長い説明は理解できません。短く、具体的に伝えます。
悪い例 「部屋を片付けなさい。おもちゃを箱に入れて、本を本棚に戻して、服は洗濯機に入れてね」
良い例 「まず、おもちゃを箱に入れよう」→終わったら→「次は本を本棚に戻そう」
視覚支援
言葉だけでなく、絵カード、写真、チェックリストなどを使います。
肯定的な言葉
「○○しないで」ではなく、「○○しよう」
悪い例 「走らないで」
良い例 「歩こう」
動く機会を作る
じっとしていることが苦手なので、こまめに動く機会を作ります。
例
- 配布物を配る係
- 黒板消しの係
- 休憩時間に外で遊ぶ
選択肢を与える
選択肢を与えることで、コントロール感が生まれます。
例 「算数と漢字、どっちから?」
褒める
小さなことでも褒めます。
例
- 5分座っていられた→「すごい!」
- 忘れ物をしなかった→「えらい!」
ASD(自閉スペクトラム症)
特性
コミュニケーションの困難
- 言葉の遅れ
- 会話のキャッチボールができない
- 冗談、比喩が理解できない
社会性の困難
- 空気が読めない
- 暗黙のルールがわからない
こだわり
- 同じことを繰り返す
- 予定の変更が苦手
- 特定のことへの強い興味
感覚過敏・鈍麻
- 音、光、触覚などに敏感または鈍感
接し方
言葉は具体的に
抽象的な言葉ではなく、具体的に伝えます。
悪い例 「ちょっと待ってて」
良い例 「10分待ってて」(タイマーを見せる)
視覚支援を活用
スケジュール、絵カード、写真などで見える化します。
予定変更は事前に伝える
予定が変わる場合、事前に伝えます。
例 「今日は、いつもの公園じゃなくて、違う公園に行くよ」
感覚過敏への配慮
感覚過敏がある場合、環境を調整します。
例
- イヤーマフ(聴覚過敏)
- サングラス(視覚過敏)
- タグを切る(触覚過敏)
こだわりを尊重する(可能な範囲で)
こだわりは、安心のためです。可能な範囲で尊重しましょう。
ただし
生活に支障がある場合は、少しずつ変える工夫をします。
社会のルールを明示的に教える
暗黙のルールがわからないので、明示的に教えます。
例
- 「人の話を聞くときは、顔を見る」
- 「順番を守る」
冗談は避ける
冗談や皮肉は理解できないので、避けましょう。
LD(学習障害)
特性
読字障害(ディスレクシア)
- 文字を読むのが苦手
書字障害(ディスグラフィア)
- 文字を書くのが苦手
算数障害(ディスカリキュリア)
- 計算が苦手
接し方
得意な方法で学ぶ
読み書きが苦手なら、聞く、話す、見るなど、得意な方法で学びます。
例
- 読み上げソフト
- タブレット
- 音声入力
時間をかける
時間がかかることを理解し、焦らせません。
スモールステップ
小さなステップに分けて、達成感を感じられるようにします。
褒める
努力を褒めます。
合理的配慮を依頼
学校に合理的配慮を依頼します。
例
- 板書を写さない
- テストの時間延長
- 読み上げ
具体的なコミュニケーション方法
発達障害の子どもとのコミュニケーション方法を説明します。
1. 視線を合わせる(強制しない)
目を見て話す(親が)
親は、子どもの目を見て話します。
ただし
子どもに「目を見なさい」と強制しないでください。ASDの子は、目を合わせることが苦手です。
2. 名前を呼ぶ
注意を引く
話しかける前に、名前を呼んで注意を引きます。
例 「○○くん」→子どもが振り向く→「ご飯だよ」
3. 短く、簡潔に
わかりやすく
長い説明は理解できません。短く、簡潔に伝えます。
一度に一つ
一度に複数の指示をせず、一つずつ伝えます。
4. 具体的に
抽象的ではなく
抽象的な言葉ではなく、具体的に伝えます。
悪い例 「ちゃんとして」「しっかりして」「頑張って」
良い例 「椅子に座ろう」「声を小さくしよう」「5問解こう」
5. 肯定的な言葉で
否定形を避ける
「○○しないで」ではなく、「○○しよう」
悪い例 「走らないで」「騒がないで」「忘れないで」
良い例 「歩こう」「静かにしよう」「持っていこう」
6. 選択肢を与える
自己決定
選択肢を与えることで、自分で決める経験を積めます。
例 「りんごとバナナ、どっち?」「赤い服と青い服、どっち着る?」
7. 待つ
反応を待つ
話しかけたら、子どもの反応を待ちます。
待ち時間
5秒~10秒
8. 視覚支援
見える化
言葉だけでなく、視覚的に示します。
方法
- 絵カード
- 写真
- イラスト
- ホワイトボード
- スケジュール表
- チェックリスト
9. 繰り返す
定着するまで
何度も繰り返し伝えることで、定着します。
10. 褒める
具体的に
何ができたのか、具体的に褒めます。
悪い例 「えらいね」
良い例 「靴を揃えられたね、えらい!」「5分座っていられたね、すごい!」
困った行動への対応
発達障害の子の困った行動への対応方法を説明します。
1. 癇癪・パニック
対応
- 安全確保
- 刺激を減らす(静かな場所に移動)
- 落ち着くまで待つ
- 話しかけすぎない
詳細
別記事「自閉症 癇癪 対応」参照
2. 忘れ物
対応
- チェックリストを作る
- 前日の夜に一緒に準備
- 玄関に「水筒持った?」などの札を貼る
- 学校に予備を置く
3. 宿題をやらない
対応
- 環境を整える
- 一緒にやる
- スモールステップに分ける
- 褒める
詳細
別記事「ADHD 宿題 やらない」参照
4. 友達とのトラブル
対応
- 話を聞く
- 相手の気持ちを教える
- 適切な行動を教える
- ロールプレイで練習
5. 切り替えができない
対応
- 事前予告(「あと5分で終わりだよ」)
- タイマーを使う
- 次の活動を魅力的に伝える
6. こだわり
対応
- 可能な範囲で尊重する
- 生活に支障がある場合、少しずつ変える
- 代替案を提示する
自己肯定感を育てる
発達障害の子は、失敗経験が多く、自己肯定感が低くなりがちです。自己肯定感を育てる方法を説明します。
1. たくさん褒める
小さなことでも
小さなことでも、たくさん褒めます。
褒めるポイント
- できたこと
- 努力したこと
- 成長したこと
2. 成功体験を積む
達成感
成功体験を積むことで、自信がつきます。
方法
- 簡単なことから始める
- スモールステップ
- 得意なことをさせる
3. 失敗を責めない
挑戦を褒める
失敗しても、挑戦したことを褒めます。
声かけ 「失敗してもいいよ」「挑戦したことがえらい」
4. 比較しない
その子なりの成長
他の子と比較せず、その子なりの成長を認めます。
5. ありのままを受け入れる
存在を肯定
「○○ができるから好き」ではなく、「あなたがいるだけで嬉しい」と伝えます。
6. 得意なことを伸ばす
強みを活かす
苦手なことを克服するより、得意なことを伸ばすことに注力します。
7. 味方であることを伝える
安心感
「お母さん(お父さん)は、あなたの味方だよ」と伝えます。
環境調整
発達障害の子が過ごしやすい環境を整えることも重要です。
1. 刺激を減らす
静かな環境
- テレビを消す
- おもちゃを片付ける
- 机の上をシンプルに
2. スケジュールの見える化
予測可能に
1日のスケジュールを視覚的に示します。
方法
- 絵カード
- 写真
- ホワイトボード
3. 居場所を作る
安心できる場所
クールダウンできる居場所を作ります。
例
- テント
- 押し入れ
- 静かな部屋
4. ルーティン化
習慣にする
毎日同じ流れにすることで、安心します。
例
- 朝の準備の順番
- 帰宅後の流れ
5. 感覚過敏への配慮
環境調整
感覚過敏に配慮した環境を整えます。
例
- 照明を調整
- 静かな場所
- 肌触りの良い服
支援者(先生、祖父母など)へのお願い
支援者(先生、祖父母、親戚など)に、発達障害の子への接し方をお願いする方法を説明します。
1. 特性を説明する
理解してもらう
発達障害の特性を、わかりやすく説明します。
資料を渡す
パンフレット、本などを渡すと理解されやすいです。
2. 効果的な接し方を伝える
具体的に
「こうしてください」と具体的に伝えます。
例
- 「指示は短く、具体的にお願いします」
- 「褒めてください」
- 「叱るときは、人前ではなく、個別にお願いします」
3. やってほしくないことを伝える
明確に
やってほしくないことも、明確に伝えます。
例
- 「他の子と比較しないでください」
- 「『やればできる』と言わないでください」
4. 定期的にコミュニケーション
情報共有
定期的に情報共有します。
親自身のケア
発達障害の子育ては大変です。親自身をケアすることも重要です。
1. 完璧を求めない
できる範囲で
完璧な対応を求めず、できる範囲でサポートしましょう。
2. 失敗したら謝る
修復
失敗したら、子どもに謝りましょう。
謝り方 「さっきは怒ってごめんね」
3. 一人の時間を作る
休息
一人の時間を作り、休息しましょう。
4. 誰かに話す
吐き出す
つらい気持ちを、誰かに話しましょう。
5. 親の会に参加
ピアサポート
親の会に参加し、同じ悩みを持つ親と交流しましょう。
6. 専門家に相談
サポート
相談支援専門員、カウンセラーなどに相談しましょう。
よくある質問
Q1: 何度言っても伝わりません。どうすればいいですか?
A: 言い方を変えてみましょう。
言葉だけでなく、視覚支援(絵カード、写真など)を使う、短く具体的に伝える、一度に一つずつ伝えるなど、工夫してみましょう。
Q2: 叱ってばかりで自己嫌悪です。
A: 褒めることを意識しましょう。
叱る1回に対して、褒める5回を目指しましょう。小さなことでも褒めることで、子どもの行動が変わります。
Q3: この接し方で合っていますか?
A: 子どもの様子を見て判断しましょう。
子どもが安心している、笑顔が増えた、問題行動が減ったなら、合っています。うまくいかなければ、別の方法を試しましょう。
Q4: 祖父母が理解してくれません。
A: 資料を渡し、具体的にお願いしましょう。
発達障害のパンフレットや本を渡し、「こうしてほしい」と具体的にお願いしましょう。
Q5: いつまでこの対応を続ければいいですか?
A: 子どもが自分でできるようになるまでです。
成長とともに、サポートは減らしていきます。ただし、完全に手を離すのではなく、見守りは続けます。
Q6: 定型発達の子と同じように接してはダメですか?
A: 発達障害の特性に合わせた接し方が必要です。
定型発達の子と同じ方法では、うまくいかないことが多いです。特性に合わせた工夫が必要です。
Q7: 甘やかしすぎではないですか?
A: 合理的配慮であり、甘やかしではありません。
発達障害の特性に合わせた配慮は、甘やかしではなく、必要なサポートです。
まとめ
発達障害の子どもへの接し方の基本的な心構えは、特性を理解する、その子に合った方法を見つける、できることに注目する、比較しない、叱るより褒める、完璧を求めない、長期的な視点を持つ、親自身も完璧でなくていいことです。
障害種別では、ADHDは指示を短く具体的に、視覚支援、肯定的な言葉、動く機会を作る、選択肢を与える、褒めることが大切です。ASDは言葉を具体的に、視覚支援を活用、予定変更は事前に伝える、感覚過敏への配慮、こだわりを尊重、社会のルールを明示的に教える、冗談は避けることが重要です。LDは得意な方法で学ぶ、時間をかける、スモールステップ、褒める、合理的配慮を依頼することが効果的です。
具体的なコミュニケーション方法は、視線を合わせる(強制しない)、名前を呼ぶ、短く簡潔に、具体的に、肯定的な言葉で、選択肢を与える、待つ、視覚支援、繰り返す、褒めることです。
困った行動への対応は、癇癪・パニックは安全確保と刺激を減らす、忘れ物はチェックリスト、宿題は環境整備と一緒にやる、友達とのトラブルは話を聞いて教える、切り替えは事前予告、こだわりは尊重することです。
自己肯定感を育てるには、たくさん褒める、成功体験を積む、失敗を責めない、比較しない、ありのままを受け入れる、得意なことを伸ばす、味方であることを伝えることが大切です。
環境調整として、刺激を減らす、スケジュールの見える化、居場所を作る、ルーティン化、感覚過敏への配慮が有効です。
親自身のケアとして、完璧を求めない、失敗したら謝る、一人の時間を作る、誰かに話す、親の会に参加、専門家に相談することが重要です。
一人で抱え込まず、発達障害者支援センター、相談支援事業所、医療機関、親の会などに相談しながら、その子に合った接し方を見つけましょう。
主な相談窓口
発達障害者支援センター
- 各都道府県・指定都市に設置
- 相談、情報提供
相談支援事業所
- 継続的な相談
ペアレントトレーニング
- 発達障害者支援センター、医療機関で実施
一人で悩まず、必ず相談してください。効果的な接し方を学ぶことで、子育てが楽になります。

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