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「発達障害があるけれど、最近やる気が出ない」「何もかもがつらい」「これはうつ病なのか」「発達障害とうつ病、どちらの症状なのかわからない」「どう対処すればいいのか」。発達障害のある大人は、うつ病を併発しやすいことが知られています。
発達障害のある人は、社会生活の中で困難に直面し続け、失敗体験を重ね、自己肯定感が低下し、うつ病を発症するリスクが高くなります。本記事では、発達障害とうつ病の関係、併発する原因、症状の見分け方、対処法、治療方法、そして予防について詳しく解説します。
発達障害とうつ病の関係
発達障害のある人はうつ病になりやすい
研究結果
複数の研究で、発達障害のある人は、そうでない人に比べてうつ病を発症するリスクが高いことが報告されています。
ASD(自閉スペクトラム症)の場合
- うつ病の併存率:約30~50%
ADHD(注意欠如・多動症)の場合
- うつ病の併存率:約20~30%
なぜ併発しやすいのか
二次障害としてのうつ病
発達障害そのものが直接うつ病を引き起こすのではなく、発達障害による社会生活の困難、失敗体験の蓄積、周囲からの理解不足などが原因で、二次的にうつ病を発症します。これを「二次障害」と呼びます。
主な原因
- 社会適応の困難
- 失敗体験の蓄積
- 自己肯定感の低下
- 周囲からの理解不足
- 孤立感
- 慢性的なストレス
発達障害とうつ病が併発する原因
発達障害のある人がうつ病を併発する原因を、詳しく説明します。
1. 社会生活での困難
ASDの場合
コミュニケーションの困難
- 言葉の裏を読めない
- 空気を読めない
- 雑談が苦手
- 人間関係がうまくいかない
感覚過敏
- 音、光、匂いに敏感
- 職場の環境が苦痛
こだわり・変化への抵抗
- 急な予定変更が苦手
- ルールの変更に対応できない
ADHD の場合
不注意
- 忘れ物が多い
- ケアレスミスが多い
- 約束を忘れる
- 仕事の期限を守れない
多動性・衝動性
- じっとしていられない
- 思ったことをすぐ口に出してしまう
- 衝動買い
- 計画的に行動できない
これらの困難が積み重なり
日常生活や仕事で失敗を繰り返し、疲弊していきます。
2. 失敗体験の蓄積
繰り返される失敗
発達障害の特性により、以下のような失敗を繰り返します。
職場での失敗
- 仕事のミスを繰り返す
- 期限を守れない
- 上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかない
- 評価が低い
- 異動や降格
人間関係の失敗
- 友人ができない
- 恋愛がうまくいかない
- 結婚生活がうまくいかない
- 孤立
これらの失敗体験が
自己肯定感を低下させ、うつ病のリスクを高めます。
3. 周囲からの理解不足
見えない障害
発達障害は外見からはわかりにくい「見えない障害」です。
周囲の反応
- 「やる気がない」
- 「努力が足りない」
- 「わがまま」
- 「性格の問題」
- 「なまけている」
本人の気持ち
- 「わかってもらえない」
- 「努力しているのに」
- 「自分が悪いのか」
- 「孤立している」
理解されないことが
孤立感を深め、うつ病のリスクを高めます。
4. 自己肯定感の低下
繰り返される否定
失敗を繰り返し、周囲から否定され続けることで、自己肯定感が低下します。
否定的な自己認識
- 「自分はダメな人間だ」
- 「何をやってもうまくいかない」
- 「生きている価値がない」
- 「みんなに迷惑をかけている」
これが
うつ病の中核症状である「抑うつ気分」「無価値感」につながります。
5. 慢性的なストレス
常に緊張
社会生活に適応するために、常に緊張し、エネルギーを消耗します。
具体例
- 職場で普通に振る舞うために、常に気を張っている
- 感覚過敏に耐えている
- コミュニケーションに必死
- 失敗しないよう過度に注意を払う
燃え尽き
慢性的なストレスが続くと、燃え尽き、うつ病を発症します。
6. 診断の遅れ
大人になってから診断
大人になってから発達障害と診断される人も多く、それまでの長い間、理由のわからない困難に苦しみます。
診断前の苦しみ
- 「なぜ自分は他の人のようにできないのか」
- 「自分が悪いのか」
- 「性格の問題なのか」
診断の遅れが
うつ病のリスクを高めます。
7. 薬の副作用
ADHD治療薬の副作用
ADHD治療薬(メチルフェニデート、アトモキセチンなど)の副作用で、気分が落ち込むことがあります。
発達障害とうつ病の症状の見分け方
発達障害の症状と、うつ病の症状は重なる部分があり、見分けが難しいことがあります。
発達障害の症状
ASD(自閉スペクトラム症)
- コミュニケーションの困難
- 社会性の困難
- こだわり、興味の限局
- 感覚過敏・感覚鈍麻
- 想像力の困難
ADHD(注意欠如・多動症)
- 不注意(忘れ物、ケアレスミス)
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動性(思ったことをすぐ口に出す)
うつ病の症状
精神症状
- 抑うつ気分(憂うつ、気分が落ち込む、何をしても楽しくない)
- 興味・喜びの喪失(以前楽しかったことが楽しくない)
- 意欲の低下(やる気が出ない)
- 思考力・集中力の低下
- 決断困難
- 自責感、無価値感(自分はダメだ、価値がない)
- 希死念慮(死にたい、消えたい)
身体症状
- 睡眠障害(眠れない、または寝すぎる)
- 食欲の変化(食欲がない、または過食)
- 倦怠感、疲れやすい
- 体の痛み(頭痛、肩こり、腰痛など)
- 動作の緩慢
重なる症状
集中力の低下
- ADHD の不注意
- うつ病の思考力・集中力の低下
意欲の低下
- うつ病の意欲の低下
- ADHD の先延ばし
見分けるポイント
時期
- 発達障害:子どもの頃から継続
- うつ病:ある時期から急に症状が出現、または悪化
変動
- 発達障害:比較的一定
- うつ病:日内変動あり(朝が最もつらい)、気分の波
興味・喜び
- 発達障害:興味のあることには集中できる
- うつ病:興味のあることも楽しくない
自責感
- 発達障害:自責感は強くない場合が多い(理解されていれば)
- うつ病:強い自責感、無価値感
ただし
自己判断は危険です。必ず医療機関を受診しましょう。
うつ病を併発したときの症状
発達障害のある人がうつ病を併発したときの具体的な症状を説明します。
精神症状
抑うつ気分
- 一日中、気分が落ち込む
- 何をしても楽しくない
- 好きだったことにも興味がわかない
- 絶望感
- 空虚感
意欲の低下
- やる気が出ない
- 何もしたくない
- 起き上がれない
- 身の回りのことができない
- 仕事に行けない
思考力・集中力の低下
- 考えがまとまらない
- 判断できない
- 決断できない
- 本が読めない、テレビが見られない
自責感、無価値感
- 「自分はダメな人間だ」
- 「生きている価値がない」
- 「みんなに迷惑をかけている」
- 「死んだ方がいい」
希死念慮
- 死にたい
- 消えたい
- 具体的な自殺の計画
身体症状
睡眠障害
- 入眠困難(眠れない)
- 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
- 早朝覚醒(朝早く目が覚めて、その後眠れない)
- 過眠(寝すぎる)
食欲の変化
- 食欲がない
- 何を食べても美味しくない
- 体重減少
- または、過食、体重増加
倦怠感
- 疲れやすい
- 体が重い
- 動けない
体の痛み
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
- 胃痛
- 全身の痛み
その他
- 動作が遅くなる
- 表情が乏しくなる
- 声が小さくなる
行動の変化
引きこもり
- 外出しなくなる
- 人と会いたくない
- 部屋から出ない
欠勤・遅刻
- 仕事に行けない
- 遅刻が増える
身だしなみの乱れ
- お風呂に入らない
- 歯を磨かない
- 着替えない
趣味をやめる
- 好きだったことをやらなくなる
うつ病を併発したときの対処法
うつ病を併発したときの対処法を説明します。
1. 医療機関を受診する
最も重要
うつ病の疑いがある場合、必ず医療機関を受診しましょう。
受診先
- 精神科
- 心療内科
- メンタルクリニック
受診のタイミング
- 抑うつ気分が2週間以上続く
- 日常生活に支障がある
- 仕事に行けない
- 希死念慮がある
受診時に伝えること
- 発達障害があること(診断名、診断時期)
- 現在の症状
- いつから症状が出たか
- 服用中の薬(ADHD治療薬など)
2. 薬物療法
抗うつ薬
うつ病の治療には、抗うつ薬が有効です。
主な抗うつ薬
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
- その他
効果が出るまで
- 2週間~4週間程度かかる
副作用
- 吐き気、眠気、口の渇き、便秘など
- 副作用は徐々に軽減することが多い
注意点
- 自己判断で中断しない
- 医師の指示に従う
ADHD治療薬との併用
ADHD治療薬と抗うつ薬を併用することもあります。医師に相談しましょう。
3. 精神療法・心理療法
認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、うつ病に効果的です。
内容
- 否定的な考え方のパターンを認識
- 現実的な考え方に修正
- 行動を少しずつ増やす
発達障害のある人への配慮
- 具体的、構造化された方法
- 視覚的な資料の活用
その他の心理療法
- 対人関係療法
- マインドフルネス
4. 休養
十分な休養
うつ病の治療には、休養が不可欠です。
仕事を休む
- 必要であれば、休職する
- 診断書を書いてもらう
無理をしない
- 家事も無理をしない
- できないことは諦める
罪悪感を持たない
- 休むことは、治療の一部
- 罪悪感を持つ必要はない
5. 生活リズムを整える
規則正しい生活
生活リズムを整えることが、うつ病の改善に役立ちます。
具体的な方法
- 毎朝同じ時間に起きる
- 朝日を浴びる
- 3食きちんと食べる
- 日中は活動する
- 夜は早めに寝る
無理のない範囲で
完璧を目指さず、無理のない範囲で行いましょう。
6. 運動
軽い運動
軽い運動は、うつ病に効果的です。
おすすめの運動
- 散歩
- ウォーキング
- ストレッチ
- ヨガ
注意点
- 無理をしない
- 楽しめる範囲で
7. ストレスの軽減
ストレス源を減らす
可能であれば、ストレス源を減らしましょう。
職場のストレス
- 配置転換を相談
- 業務量の調整
- 休職
人間関係のストレス
- 距離を置く
- 関わりを減らす
感覚過敏のストレス(ASDの場合)
- イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホン
- サングラス
- 刺激の少ない環境
8. 支援を求める
一人で抱え込まない
家族、友人、医師、カウンセラー、相談支援専門員など、周囲に支援を求めましょう。
相談先
- 家族、友人
- 医師、カウンセラー
- 相談支援事業所
- 発達障害者支援センター
- 精神保健福祉センター
- 職場の産業医、人事部
9. 自助グループ、ピアサポート
同じ悩みを持つ人と繋がる
発達障害やうつ病の自助グループ、ピアサポートに参加することも有効です。
探し方
- 病院で紹介してもらう
- インターネットで検索
- SNS
10. 無理をしない
完璧を求めない
発達障害のある人は、真面目で完璧主義の傾向があります。無理をせず、完璧を求めないことが大切です。
できないことは諦める
- 「まあいいか」と思う
- 「これでいい」と思う
治療の目標
発達障害とうつ病を併発している場合の治療目標を説明します。
1. まずはうつ病の治療
優先順位
まずは、うつ病の治療を優先します。
理由
- うつ病は命に関わる
- うつ病が改善しないと、発達障害の対処もできない
2. 発達障害の特性への対処
うつ病が改善したら
うつ病が改善したら、発達障害の特性への対処を考えます。
対処方法
- 環境調整(職場、家庭)
- スキルトレーニング
- 薬物療法(ADHD治療薬)
- 認知行動療法
3. 再発予防
うつ病の再発予防
うつ病は再発しやすいため、再発予防が重要です。
方法
- 薬を継続(医師の指示に従う)
- ストレス管理
- 生活リズムを整える
- 支援を継続
予防:うつ病を併発しないために
発達障害のある人が、うつ病を併発しないための予防方法を説明します。
1. 発達障害の診断と理解
自己理解
自分に発達障害があることを理解することが、第一歩です。
診断を受ける
- 精神科、心療内科、発達障害者支援センター
自分の特性を知る
- 何が得意で、何が苦手か
- どんな環境が合うか
2. 環境調整
合う環境を選ぶ
自分に合った環境を選ぶことで、ストレスを減らせます。
職場
- 自分の特性に合った仕事
- 理解のある職場
- 配置転換
- 障害者雇用
生活環境
- 刺激の少ない環境(感覚過敏の場合)
- 一人暮らしまたは理解のある家族
3. 周囲の理解を得る
カミングアウト
信頼できる人に、発達障害のことを伝えることも選択肢です。
伝えることで
- 理解してもらえる
- 配慮してもらえる
- 孤立感が減る
注意点
- 信頼できる人に
- 無理に伝える必要はない
4. スキルトレーニング
苦手なことへの対処
スキルトレーニングで、苦手なことへの対処法を学びます。
内容
- コミュニケーションスキル
- タイムマネジメント
- アンガーマネジメント
場所
- 発達障害者支援センター
- 就労移行支援
- カウンセリング
5. ストレス管理
ストレスを溜めない
ストレスを溜めないことが、予防につながります。
方法
- 趣味
- 運動
- リラクゼーション
- 休養
6. 自己肯定感を高める
成功体験を積む
小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まります。
方法
- できることから始める
- 小さな目標を立てる
- 達成したら自分を褒める
7. 支援を受ける
支援ネットワーク
医師、カウンセラー、相談支援専門員、家族、友人など、支援ネットワークを作っておきます。
8. 定期的な受診
主治医を持つ
発達障害の主治医を持ち、定期的に受診することで、うつ病の早期発見につながります。
危険なサイン:すぐに受診すべき症状
以下の症状がある場合、すぐに医療機関を受診しましょう。
危険なサイン
- 死にたいと思う(希死念慮)
- 具体的な自殺の計画がある
- 自傷行為
- 2週間以上、抑うつ気分が続く
- 仕事や日常生活ができない
- 食事がとれない、眠れない
- 急激な体重減少
緊急の場合
自殺の危険が高い場合、以下に連絡しましょう。
よりそいホットライン
- 0120-279-338(24時間無料)
いのちの電話
- 0570-783-556(24時間)
こころの健康相談統一ダイヤル
- 0570-064-556
救急車
- 119
よくある質問
Q1: 発達障害とうつ病、どちらを先に治療すべきですか?
A: まずはうつ病の治療を優先します。
うつ病は命に関わるため、まずうつ病の治療を優先します。うつ病が改善したら、発達障害の特性への対処を考えます。
Q2: ADHD治療薬を飲んでいますが、うつ病になったら中止すべきですか?
A: 自己判断せず、医師に相談しましょう。
ADHD治療薬の副作用でうつ症状が出ることもあれば、併用できることもあります。必ず医師に相談しましょう。
Q3: 発達障害があると、うつ病は治りにくいですか?
A: 適切な治療を受ければ、改善します。
発達障害があっても、適切な治療(薬物療法、精神療法、環境調整)を受ければ、うつ病は改善します。
Q4: 自分がうつ病なのか、発達障害の症状なのか、わかりません。
A: 医療機関を受診し、診断を受けましょう。
自己判断は危険です。精神科や心療内科を受診し、専門医の診断を受けましょう。
Q5: うつ病を併発したら、もう働けないのでしょうか?
A: 治療をして回復すれば、働けます。
まずは治療に専念しましょう。回復したら、自分に合った働き方(障害者雇用、短時間勤務、在宅勤務など)を見つけられます。
Q6: 家族が発達障害とうつ病を併発しています。どうすればいいですか?
A: まずは医療機関の受診を勧め、見守りましょう。
本人に医療機関の受診を勧めます。無理強いせず、見守ることが大切です。家族自身も、家族会やカウンセリングで支援を受けましょう。
まとめ
発達障害のある大人は、うつ病を併発しやすいです。原因は、社会生活での困難、失敗体験の蓄積、周囲からの理解不足、自己肯定感の低下、慢性的なストレス、診断の遅れなどです。
うつ病の症状は、抑うつ気分、興味・喜びの喪失、意欲の低下、思考力・集中力の低下、自責感、無価値感、希死念慮、睡眠障害、食欲の変化、倦怠感などです。
対処法は、医療機関を受診する、薬物療法、精神療法、休養、生活リズムを整える、運動、ストレスの軽減、支援を求める、自助グループ、無理をしないことです。
予防方法は、発達障害の診断と理解、環境調整、周囲の理解を得る、スキルトレーニング、ストレス管理、自己肯定感を高める、支援を受ける、定期的な受診です。
希死念慮や具体的な自殺の計画がある場合は、すぐに医療機関を受診するか、よりそいホットライン(0120-279-338)などに連絡しましょう。
一人で抱え込まず、医療機関、カウンセラー、相談支援専門員、家族、友人など、周囲に支援を求めてください。適切な治療を受けることで、うつ病は改善します。
主な相談窓口
よりそいホットライン
- 0120-279-338(24時間無料)
いのちの電話
- 0570-783-556(24時間)
こころの健康相談統一ダイヤル
- 0570-064-556
発達障害者支援センター
- 各都道府県・指定都市に設置
精神保健福祉センター
- 各都道府県・指定都市に設置
一人で悩まず、必ず相談してください。

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