「息子が何度転職しても仕事が続かない」「すぐに辞めてしまう」「このままで大丈夫なのか不安」
息子さんが仕事を続けられないことに悩んでいる親御さんへ向けて、本記事では仕事が続かない背景と原因、親としてできること・してはいけないこと、利用できる支援制度、専門機関への相談方法について詳しく解説します。
責めるのではなく、理解し、適切な支援につなげることが大切です。
仕事が続かない背景と原因
まず、なぜ仕事が続かないのか、その背景を理解しましょう。
主な背景・原因
仕事が続かない理由は一人ひとり異なりますが、主な要因を紹介します。
1. 精神疾患・メンタル不調
医学的な問題
- うつ病 意欲低下、疲労感、集中力低下で仕事が困難
- 不安障害 職場での不安、対人恐怖、パニック発作
- 適応障害 職場環境への適応困難
- 双極性障害 気分の波で仕事の継続が困難
- 統合失調症 症状により就労が困難
特徴
- 本人の意思だけでは改善が難しい
- 医療的な治療が必要
- 適切な治療で改善する可能性が高い
2. 発達障害
生まれつきの特性
- ADHD(注意欠如・多動症)
- ケアレスミス、忘れ物が多い
- 集中力が続かない
- 衝動的な行動
- 時間管理が苦手
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- コミュニケーションの困難
- 暗黙のルールが理解できない
- 急な変更への対応が苦手
- 感覚過敏(音、光など)
- 学習障害(LD)
- 読み書き、計算など特定の能力の困難
特徴
- 大人になってから気づくケースも多い
- 本人の努力不足ではない
- 適切な環境や支援で働ける
- 診断を受けることで障害者雇用枠が利用できる
3. 職場環境の問題
ブラック企業、ハラスメント
- 長時間労働、過重労働
- パワハラ、いじめ
- セクハラ
- 理不尽な扱い
- 給与未払い
特徴
- 本人に問題があるのではなく、職場が問題
- 退職は正しい判断の場合もある
- トラウマになっている可能性
4. 人間関係の困難
対人関係のストレス
- 上司、同僚との関係
- コミュニケーションの苦手さ
- 孤立
- いじめ、無視
5. 仕事のミスマッチ
適性と仕事が合わない
- 能力と求められる水準の乖離 難しすぎる、簡単すぎる
- 興味関心と仕事内容の不一致
- 体力的に合わない 立ち仕事が辛い、体力がない
- 働き方が合わない 朝が苦手、夜型など
6. 体調不良・身体疾患
身体の病気
- 慢性疲労
- 睡眠障害
- 持病の悪化
- 原因不明の体調不良
7. 社会性・経験不足
働くことへの準備不足
- 社会人経験が少ない
- ビジネスマナーが身についていない
- 仕事の基本が分からない
- コミュニケーションスキル不足
8. 自己理解・適職理解の不足
自分に合った仕事が分からない
- 自分の強み、弱みが分からない
- 何をしたいのか分からない
- どんな仕事が向いているか分からない
- とりあえず就職した
9. 家庭環境の影響
過去の経験
- 過保護、過干渉な育ち 自立心が育たなかった
- 厳しすぎる育て方 自己肯定感が低い
- 家庭内の問題 両親の不和、虐待など
10. 経済的な問題がない
切迫感の欠如
- 実家暮らし 生活費がかからない
- 親の経済的支援 働かなくても生活できる
- 危機感が薄い
複合的な要因
一つではなく複数の原因
多くの場合、一つの原因ではなく、複数の要因が絡み合っています。例えば
- 発達障害があり、さらに職場でいじめがあった
- うつ病があり、さらに仕事のミスマッチもあった
親として知っておくべきこと
息子さんの状況を理解するために、親が知っておくべきことがあります。
1. 本人も苦しんでいる
「辞めたくて辞めている」わけではない
仕事が続かない本人も、多くの場合
- 「続けたいのに続けられない」苦しさ
- 自己嫌悪、罪悪感
- 将来への不安
- 親への申し訳なさ
を感じています。「怠けている」「甘えている」わけではありません。
2. 「頑張れ」「根性」では解決しない
精神論では改善しない
特に精神疾患や発達障害が背景にある場合、「頑張れ」「根性を出せ」という精神論では解決しません。適切な診断と支援が必要です。
3. 責任は親にない
自分を責めすぎないで
「育て方が悪かったのか」と自分を責める親御さんは多いですが、仕事が続かない原因は複雑で多様です。親の育て方だけが原因ではありません。
4. 早めの専門家相談が重要
放置すると悪化する
「そのうち何とかなる」と放置すると
- 引きこもりが長期化
- 自己肯定感がさらに低下
- 回復に時間がかかる
早めに専門家に相談することが、回復への近道です。
5. 適切な支援で働ける可能性
希望はある
精神疾患や発達障害がある場合でも、適切な治療や支援、環境調整により、働けるようになる方は多くいます。
親としてできること
息子さんに対して、親ができることを具体的に紹介します。
1. 話を聴く
まずは傾聴
- 批判しない 「なんで続かないんだ」「情けない」と責めない
- 否定しない 「甘えだ」「気の持ちようだ」と否定しない
- 最後まで聴く 途中で遮らない
- 共感する 「辛かったんだね」「大変だったね」と気持ちに寄り添う
- 質問する 「何が一番辛かった?」「どんな感じだった?」と優しく聞く
2. 理由を理解しようとする
背景を知る
- 職場で何があったのか
- どんな困難があったのか
- 体調は大丈夫か
- 人間関係のトラブルはなかったか
表面的な「すぐ辞める」だけでなく、その背景を理解しようとする姿勢が大切です。
3. 受診を勧める
専門家に相談
仕事が続かない背景に、精神疾患や発達障害がある可能性を考え、受診を勧めます。
勧め方 「最近、仕事が続かなくて辛そうだね。一度、心療内科で相談してみない?」 「もしかしたら、何か体や心の不調があるかもしれない。専門家に診てもらおう」 「一緒に行くから」
ポイント
- 強制しない
- 責めるニュアンスを避ける
- 「心配している」という気持ちを伝える
4. 就労支援機関を紹介する
専門の支援を活用
- ハローワーク 一般の就職相談
- わかものハローワーク 35歳未満対象
- 地域若者サポートステーション(サポステ) 15〜49歳対象
- 障害者就業・生活支援センター 障害がある場合
- 就労移行支援 障害や病気がある方の就労準備
(詳細は後述)
5. 焦らせない、急かさない
時間をかける
「早く次の仕事を見つけろ」とプレッシャーをかけると、焦って合わない仕事を選び、また続かないという悪循環になります。
- まずは休息を取る
- 原因を見極める
- 適切な支援につなげる
- 準備が整ってから就職活動
という順序が大切です。
6. 経済的な自立を促す
適度なプレッシャー
ただし、いつまでも経済的に全面支援すると、本人の危機感が薄れることもあります。
バランスが大切
- 一定期間は支援する(例 半年、1年)
- その間に支援機関につなげる
- 段階的に自立を促す
- 「家にお金を入れる」ルールを作る
7. 小さな進歩を認める
前向きな変化を評価
- 支援機関に相談に行った
- 病院を受診した
- アルバイトを始めた
- 就労継続支援に通い始めた
こうした小さな進歩を認め、「よく頑張ったね」と伝えましょう。
8. 家族自身のケアも大切
親も休む
息子さんの問題を一人で抱え込むと、親自身が疲弊します。
- 配偶者や他の家族と相談
- 友人に話す
- 専門家に相談(親だけでも)
- 自分の時間を持つ
親がしてはいけないこと
良かれと思ってやっていることが、逆効果になることもあります。
1. 責める、批判する
追い詰める言葉は避ける
「なんでお前はすぐ辞めるんだ」 「情けない」 「恥ずかしい」 「いつまで親のスネをかじるんだ」 「甘えるな」
こうした言葉は、本人の自己肯定感をさらに下げ、回復を遅らせます。
2. 他人と比較する
比較は自信を失わせる
「○○くんは立派に働いている」 「兄弟は頑張っているのに」 「同級生はみんな働いている」
比較は本人を追い詰めるだけです。
3. 無理やり就職させる
焦って合わない仕事を選ぶ
「とにかく働け」と焦らせると、また合わない仕事を選び、続かない悪循環になります。
4. 全面的に甘やかす
自立を妨げる
何でもやってあげる、お金を無制限に渡す、などの過保護は、自立を妨げます。
5. 放置する
「勝手にしろ」は避ける
完全に突き放すと、引きこもりが長期化したり、孤立が深まります。適度な距離感で見守り、支援につなげることが大切です。
6. 一人で抱え込む
専門家の力を借りる
家族だけで何とかしようとせず、専門家の力を借りましょう。
利用できる支援機関・制度
息子さんが利用できる支援機関や制度を紹介します。
1. 心療内科・精神科
医療的な診断と治療
内容
- 診察、診断
- 薬物療法
- カウンセリング
- 診断書の発行
対象
- うつ病、不安障害などの精神疾患が疑われる場合
- 発達障害が疑われる場合
問い合わせ
- 「心療内科 ○○市」で検索
- まずは電話で相談
2. 地域若者サポートステーション(サポステ)
15〜49歳の就労支援
内容
- キャリア相談
- コミュニケーション訓練
- ビジネスマナー講座
- 職場体験
- 就職活動支援
- 心理カウンセリング
対象
- 15〜49歳
- 働くことに悩みを抱えている方
- 無料
探し方
- 「サポステ ○○県」で検索
- 全国に177箇所(2024年時点)
特徴
- 無料で利用できる
- じっくり時間をかけて支援
- 親だけの相談も可能
3. わかものハローワーク
35歳未満の就職支援
内容
- 職業相談
- 職業紹介
- セミナー、面接対策
- 応募書類の添削
対象
- 正社員就職を目指す35歳未満
- 無料
探し方
- 「わかものハローワーク ○○県」で検索
4. 障害者就業・生活支援センター
障害のある方の就労と生活支援
内容
- 就職相談
- 職場定着支援
- 生活面の相談
- 関係機関との連携
対象
- 障害者手帳を持っている方
- または精神疾患、発達障害がある方
問い合わせ
- 市区町村の障害福祉課
- 「障害者就業・生活支援センター ○○県」で検索
5. 就労移行支援
障害のある方の就労準備
内容
- ビジネスマナー、スキル訓練
- コミュニケーション訓練
- 職場実習
- 就職活動支援
- 定着支援
対象
- 障害や病気があり、一般就労を目指す方
- 65歳未満
- 利用期間 原則2年
利用料
- 収入により異なる(多くの場合無料)
問い合わせ
- 市区町村の障害福祉課
6. 就労継続支援B型
すぐに働くのが難しい方の就労支援
内容
- 自分のペースで作業
- 工賃が出る(平均月額約16,000円)
- 社会とのつながり
- 生活リズムを整える
対象
- 障害や病気があり、すぐに就職が難しい方
- 就労移行支援を利用したが就職に至らなかった方
問い合わせ
- 市区町村の障害福祉課
7. 生活困窮者自立相談支援機関
生活全般の相談
内容
- 経済的な困窮の相談
- 就労支援
- 家計改善支援
- 住居確保給付金
対象
- 生活に困っている方、その家族
問い合わせ
- 市区町村の福祉課
- 「生活困窮者自立相談支援機関 ○○市」で検索
8. 発達障害者支援センター
発達障害の相談
内容
- 発達障害に関する相談
- 診断機関の紹介
- 就労支援機関の紹介
- 家族支援
問い合わせ
- 「発達障害者支援センター ○○県」で検索
9. ハローワーク(一般)
一般の就職支援
内容
- 職業相談、職業紹介
- 雇用保険の手続き
10. 職業訓練(ハロートレーニング)
スキルアップ
内容
- 無料または低額で職業訓練
- IT、事務、介護、建設など
問い合わせ
- ハローワーク
段階的な支援のステップ
息子さんの状況に応じて、段階的に支援を進めます。
ステップ1 現状把握
まずは理解する
- なぜ仕事が続かないのか
- どんな困難があるのか
- 体調は大丈夫か
- 精神疾患や発達障害の可能性はないか
ステップ2 医療機関への受診
必要であれば
精神疾患や発達障害が疑われる場合、心療内科や精神科を受診します。
ステップ3 休息と回復
焦らず休む
体調やメンタルが回復するまで、焦らず休息を取ります。
ステップ4 支援機関につなげる
専門家の支援
サポステ、就労移行支援、就労継続支援B型など、本人に合った支援機関につなげます。
ステップ5 就労準備
スキルや自信を身につける
- ビジネスマナー
- コミュニケーションスキル
- 自己理解
- 職場体験
ステップ6 就職活動
適職を見つける
- 自分に合った仕事を探す
- 障害者雇用枠も検討
- サポートを受けながら就職活動
ステップ7 定着支援
仕事を続けるサポート
就職後も、定着支援を受けることで、仕事を続けやすくなります。
親御さんへのメッセージ
焦らないで
仕事が続かない問題は、すぐに解決するものではありません。長期的な視点を持ちましょう。
一人で抱え込まないで
専門家の力を借りることは、決して悪いことではありません。早めに相談することが、回復への近道です。
本人を信じて
適切な支援を受けることで、多くの方が働けるようになっています。希望を持ちましょう。
親も休んで
親が疲弊してしまうと、本人を支えられません。親自身のケアも大切にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1 何度も転職を繰り返しています。これは本人の性格の問題でしょうか?
A 性格の問題とは限りません。精神疾患や発達障害が背景にあることも多いです。一度、医療機関や専門機関に相談してみましょう。
Q2 本人が「働きたくない」と言います。どうすればいいですか?
A 「働きたくない」の背景には、不安や恐怖、トラウマなどがある可能性があります。まずは話を聴き、専門家に相談しましょう。無理に働かせようとすると逆効果です。
Q3 いつまで経済的に支援すればいいのでしょうか?
A 一定期間(例 半年、1年)は支援し、その間に専門機関につなげましょう。期限を決めておくことも一つの方法です。
Q4 発達障害かもしれないと言われましたが、今さら診断を受ける意味はありますか?
A 大人になってから診断を受けることには、大きな意味があります。自己理解が深まり、適切な支援が受けられ、障害者雇用枠も利用できるようになります。
Q5 障害者手帳を取得すると、将来不利になりませんか?
A 障害者手帳は、将来的に不利になることはありません。むしろ、様々な支援が受けられるメリットがあります。また、手帳は返納もできます。
Q6 親として何もしてあげられないのが辛いです
A 親が「話を聴く」「受け入れる」「専門家につなげる」だけでも、十分大きな支援です。家族だけで全てを解決しようとせず、専門家の力を借りましょう。
まとめ
息子さんが仕事を続けられない理由には、精神疾患、発達障害、職場環境、ミスマッチなど、様々な背景があります。「怠けている」「甘えている」と決めつけず、まずは理由を理解しようとすることが大切です。
親としてできることは
- 話を聴く(批判せず、共感する)
- 受診を勧める(心療内科、精神科)
- 支援機関につなげる(サポステ、就労移行支援など)
- 焦らせない、急かさない
- 小さな進歩を認める
- 家族自身のケアも大切にする
そして何より、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが最も大切です。
サポステ、わかものハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援、就労継続支援B型など、様々な支援機関があります。本人に合った支援につなげることで、多くの方が働けるようになっています。
仕事が続かない問題は、時間がかかりますが、適切な支援を受けることで必ず道は開けます。焦らず、希望を持って、一歩ずつ進んでいきましょう。
あなたと、あなたの息子さんが、少しでも楽になれますように。

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