就労継続支援B型 見学の電話ができない 電話以外の方法と不安への対処法

はじめに

就労継続支援B型事業所を利用したいと思っても、「見学の予約をするために電話をかけなければならない」というハードルが、大きな壁となっている方は少なくありません。電話が怖い、何を話せばいいか分からない、緊張して言葉が出てこない、相手の反応が怖い、電話をかける勇気が出ない——こうした悩みから、見学の予約すらできず、B型事業所の利用を諦めかけている方もいらっしゃいます。

特に、社会不安障害、場面緘黙、対人恐怖、電話恐怖症などの特性を持つ方にとって、電話は非常に高いハードルです。しかし、電話ができないからといって、B型事業所を利用できないわけではありません。電話以外の方法もありますし、電話の不安を軽減する方法もあります。

本記事では、見学の電話ができない理由、電話以外で見学を予約する方法、電話の不安を軽減する具体的なテクニック、そして最終的に電話をかけるためのステップを、詳しく解説していきます。あなたが、自分に合った方法で、見学の予約ができるようにサポートします。

なぜ見学の電話ができないのか

理由1  電話恐怖症・電話不安

電話そのものへの恐怖

  • 電話のベルの音が怖い
  • 受話器を取るのが怖い
  • 電話で話すこと自体が恐怖
  • 過去の電話でのトラウマ

不安の症状

  • 動悸がする
  • 手が震える
  • 声が震える
  • 頭が真っ白になる
  • パニックになる

理由2  社会不安障害・対人恐怖

人と話すことへの不安

  • 人と話すのが怖い
  • 相手にどう思われるか不安
  • 変なことを言ってしまわないか不安
  • 判断されるのが怖い

電話ならではの不安

  • 顔が見えないから余計怖い
  • 相手の反応が読み取れない
  • 沈黙が怖い

理由3  場面緘黙

特定の状況で話せない

  • 電話では言葉が出てこない
  • 緊張すると声が出ない
  • 頭では分かっているのに話せない

理由4  何を話せばいいか分からない

台本がない不安

  • 何を言えばいいか分からない
  • どう切り出せばいいか分からない
  • 質問されたら答えられるか不安
  • 会話が続かなかったらどうしよう

予測不能な展開への不安

  • 相手が何を聞いてくるか分からない
  • 予想外の質問をされたらパニックになる

理由5  過去のネガティブな経験

電話でのトラウマ

  • 過去に電話で嫌な思いをした
  • 電話で怒られたことがある
  • 電話でうまく話せなくて恥ずかしい思いをした

一般化された恐怖

  • 一度の失敗が、すべての電話への恐怖につながっている

理由6  完璧主義

完璧に話さなければという思い

  • 完璧に話せないなら、電話したくない
  • 失敗したらどうしよう
  • 変なことを言って笑われたらどうしよう

ハードルの高さ 完璧主義が、ハードルを必要以上に高くしています。

理由7  聴覚過敏・聴覚処理の困難

発達障害の特性

  • 電話の音が不快
  • 相手の声が聞き取りにくい
  • 音声情報の処理が難しい
  • 聴覚過敏で電話の音が辛い

理由8  言語の困難

言葉にするのが難しい

  • 考えを言葉にするのが苦手
  • 瞬時に返答するのが難しい
  • ゆっくり考える時間が必要

理由9  単純に電話が苦手

電話が苦手な性格

  • 電話より対面の方が得意
  • 電話よりメールの方が得意
  • 電話は緊張する

電話以外で見学を予約する方法

方法1  メールで問い合わせる

多くの事業所はメール対応可能 事業所のホームページに、メールアドレスが記載されていることが多いです。

メールのメリット

  • 文章を考える時間がある
  • 何度も書き直せる
  • 記録が残る
  • 緊張しない
  • 自分のペースで送れる

メールの例文

件名 見学のお願い(○○)

○○事業所 ご担当者様

はじめまして。

就労継続支援B型の利用を検討している○○と申します。

貴事業所に興味を持ち、ぜひ見学させていただきたく、

ご連絡いたしました。

見学可能な日時を教えていただけますでしょうか。

なお、電話でのやり取りが苦手なため、

メールでご連絡させていただきました。

ご理解のほどよろしくお願いいたします。

お忙しいところ恐れ入りますが、

ご検討いただけますと幸いです。

○○(あなたの名前)

電話番号 xxx-xxxx-xxxx(緊急時のみ)

メールアドレス xxx@xxx.com

ポイント

  • 件名を分かりやすく
  • 簡潔に要件を伝える
  • 「電話が苦手」と正直に伝える
  • 連絡先(メールアドレス、電話番号)を明記

返信を待つ 通常、数日以内に返信が来ます。1週間経っても返信がない場合、再度メールするか、次の方法を試しましょう。

方法2  ホームページの問い合わせフォームを使う

問い合わせフォーム 多くの事業所のホームページには、問い合わせフォームがあります。

使い方

  1. ホームページの「お問い合わせ」をクリック
  2. 必要事項(名前、連絡先、内容)を入力
  3. 「見学を希望しています」と記入
  4. 送信

メリット

  • メールアドレスを探さなくていい
  • 形式が決まっているので書きやすい

方法3  相談支援事業所を通じて依頼する

相談支援専門員に代行してもらう 相談支援事業所の担当者に、見学の予約を代行してもらいましょう。

依頼の仕方 「○○事業所の見学をしたいのですが、電話が苦手で困っています。代わりに連絡していただけませんか?」

相談支援専門員ができること

  • 事業所に電話して、見学を予約する
  • 日程を調整する
  • あなたの特性(電話が苦手など)を事前に伝える
  • 見学に同行する

メリット

  • あなたは電話しなくていい
  • 専門家が間に入ってくれる
  • 事業所側もあなたの特性を理解してくれる

最もおすすめの方法 電話が苦手な方には、相談支援専門員を通じる方法が最もおすすめです。

方法4  市区町村の窓口で相談する

障害福祉課で相談 市区町村の障害福祉課で、「見学したいが電話が苦手」と相談しましょう。

窓口職員ができること

  • 事業所に連絡して、見学を手配してくれる
  • または、事業所を紹介し、「メールで連絡していいか」確認してくれる

方法5  医療機関のソーシャルワーカーに依頼する

通院先のPSW 通院している病院やクリニックの精神保健福祉士(PSW)やソーシャルワーカーに依頼しましょう。

PSWができること

  • 事業所に連絡して、見学を手配する
  • あなたに同行する

方法6  家族に代わりに電話してもらう

家族のサポート 家族に、代わりに電話してもらいましょう。

電話してもらう内容 「息子(娘)が見学を希望しているのですが、電話が苦手なため、私が代わりに連絡しています」

注意点

  • 本人の名前、連絡先を伝える
  • 本人の希望(見学したい日時など)を伝える
  • 「本人は電話が苦手」と伝えておく

方法7  SNS(Twitter、Facebook、LINEなど)で連絡する

事業所がSNSをやっている場合 一部の事業所は、Twitter、Facebook、Instagram、LINEなどのSNSで情報発信しています。

連絡方法

  • TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)
  • FacebookのMessenger
  • LINEの公式アカウント

メッセージ例 「見学を希望しています。電話が苦手なため、こちらで連絡させていただきました。可能でしょうか?」

注意点

  • SNSでの対応をしていない事業所もある
  • 返信に時間がかかることもある

方法8  直接訪問する(最終手段)

事前連絡なしで直接行く これは最終手段ですが、事業所に直接訪問する方法もあります。

手順

  1. 事業所の営業時間を確認(ホームページなどで)
  2. 営業時間内に訪問
  3. 受付で「見学を希望しています。電話が苦手で、直接来てしまいました」と伝える

メリット

  • 電話しなくていい
  • その場で対応してもらえることもある

デメリット

  • 突然の訪問は、対応できないこともある
  • 支援員が不在、または忙しい可能性
  • 失礼と思われる可能性

事前にメールを送ってから訪問 「○日に直接お伺いしたいのですが、よろしいでしょうか」とメールで確認してから訪問する方が良いでしょう。

電話の不安を軽減する方法

方法1  台本を作る

事前に言うことを書き出す 電話で話す内容を、事前に台本として書き出しましょう。

台本の例

1. 挨拶

「お忙しいところ失礼します」

2. 自己紹介

「就労継続支援B型の利用を検討している○○と申します」

3. 要件

「見学をさせていただきたいのですが、可能でしょうか?」

4. 相手の返答を待つ

[「はい、可能ですよ」と言われたら]

「ありがとうございます。いつ頃がよろしいでしょうか?」

[「少々お待ちください」と言われたら]

「はい、お願いします」(待つ)

5. 日程調整

「○月○日の○時頃は可能でしょうか?」

[都合が合わない場合]

「では、いつ頃がよろしいでしょうか?」

6. 確認

「では、○月○日の○時ですね。場所は○○でよろしいでしょうか?」

7. お礼と終わり

「ありがとうございました。では、当日よろしくお願いいたします。失礼いたします」

台本を手元に置く 電話する時、台本を手元に置いて、読みながら話してOKです。

方法2  質問されそうなことへの回答を準備

想定される質問とその回答

Q  お名前は?

A  ○○です

Q  電話番号は?

A  xxx-xxxx-xxxxです

Q  どのようにしてこちらを知りましたか?

A  インターネットで調べました(または、相談支援事業所で紹介されました)

Q  どんな作業に興味がありますか?

A  パソコン作業に興味があります(または、まだ決めていません)

Q  障害者手帳はお持ちですか?

A  はい、持っています(または、申請中です、または、まだ持っていません)

Q  いつ頃から利用を考えていますか?

A  なるべく早く利用したいと思っています(または、まだ決めていません)

回答を紙に書いておく 電話中に見られるよう、回答を紙に書いておきましょう。

方法3  リハーサルをする

一人でリハーサル 電話する前に、一人で台本を読んでリハーサルします。

家族・友人と練習 家族や友人に相手役をしてもらい、練習します。

何度も練習 何度も練習することで、自信がつきます。

方法4  時間を決める

「○時に電話する」と決める ダラダラ悩むより、「今日の15時に電話する」と決めてしまいましょう。

タイマーを使う 15時になったらアラームが鳴るようにセットし、アラームが鳴ったら電話します。

方法5  ご褒美を用意する

電話したら自分にご褒美 「電話したら、好きなケーキを食べる」「電話したら、好きな動画を見る」など、ご褒美を用意します。

モチベーション向上 ご褒美があると、電話する動機づけになります。

方法6  深呼吸をする

電話の前に深呼吸 電話する直前に、深呼吸を5回します。

リラックス効果 深呼吸は、不安を軽減し、リラックス効果があります。

方法7  「完璧でなくていい」と自分に言い聞かせる

完璧主義を手放す 「完璧に話さなくていい」「多少詰まってもいい」と自分に言い聞かせます。

失敗してもいい 失敗しても、命に関わるわけではありません。

方法8  短く済ませることを優先

長話しなくていい 見学の予約だけなら、1〜2分で終わります。長話しする必要はありません。

要件だけ伝える 最低限の要件だけ伝えれば、OKです。

方法9  留守番電話でもOKと思う

留守番電話に残す 電話して、留守番電話になったら、メッセージを残しましょう。

メッセージ例 「○○と申します。見学を希望しています。お手数ですが、折り返しご連絡いただけますでしょうか。電話番号は、xxx-xxxx-xxxxです」

相手から電話が来る 留守番電話にメッセージを残せば、相手から電話がかかってきます。その時に対応すればOKです。

方法10  時間帯を選ぶ

混雑していない時間 午前中の早い時間(9 30〜10 00)や、午後の早い時間(13 30〜14 00)は、比較的空いています。

避けた方がいい時間

  • 始業直後(9 00〜9 30) バタバタしている
  • 昼休み(12 00〜13 00) 昼休みで不在の可能性
  • 終業間際(17 00以降) 帰り支度で忙しい

段階的に電話に慣れる方法

ステップ1  情報収集の電話から始める

ハードルの低い電話 見学の予約ではなく、「パンフレットをもらえますか?」「営業時間を教えてください」など、簡単な電話から始めます。

慣れる 簡単な電話を何度か経験することで、徐々に慣れます。

ステップ2  台本を完璧に準備してから電話

準備万端にする 台本を完璧に準備し、リハーサルを何度もしてから、電話します。

安心感 準備が万端だと、安心して電話できます。

ステップ3  家族に隣にいてもらう

サポートを受ける 家族に隣にいてもらい、必要なら助けてもらいます。

安心感 誰かがそばにいるだけで、安心します。

ステップ4  スピーカーフォンで家族と一緒に聞く

家族も聞く スピーカーフォンにして、家族も会話を聞けるようにします。

必要なら代わってもらう どうしても話せなくなったら、家族に代わってもらいます。

ステップ5  一人で電話する

最終ステップ 慣れてきたら、一人で電話してみます。

電話以外の方法で予約した後の注意点

事業所側に理解してもらう

「電話が苦手」と伝える 見学時に、「電話が苦手なので、メールで連絡しました」と伝えましょう。

理解してもらえる 多くの事業所は、利用者の特性を理解しています。

今後の連絡方法 「今後もメールで連絡させていただいてもよろしいですか?」と確認しましょう。

電話以外の連絡手段を確保

メールアドレスの交換 事業所の担当者のメールアドレスを聞き、今後はメールでやり取りできるようにします。

LINEの交換 事業所によっては、LINEでのやり取りも可能です。

緊急時の対応

緊急時は電話が必要 体験当日のキャンセルなど、緊急時は電話が必要になることもあります。

家族に電話してもらう その場合は、家族に代わりに電話してもらいましょう。

事前に伝えておく 「緊急時は家族が連絡します」と事前に伝えておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1  電話ができないと、B型事業所は利用できませんか?

A  いいえ、電話ができなくても利用できます。メール、相談支援専門員を通じる、家族に代わってもらうなど、電話以外の方法があります。

Q2  メールで連絡したら、「電話してください」と言われました。どうすればいいですか?

A  「電話が苦手で困っています。メールでやり取りしていただけませんか?」と再度お願いしてみましょう。それでも「電話で」と言われたら、相談支援専門員や家族に代わってもらいましょう。

Q3  相談支援専門員がいません。どうすればいいですか?

A  市区町村の障害福祉課に相談しましょう。相談支援事業所を紹介してもらえます。または、医療機関のPSWに相談しましょう。

Q4  電話の台本を作りましたが、それでも怖いです。

A  台本を作っても怖い場合は、無理に電話する必要はありません。メールや相談支援専門員を通じる方法を選びましょう。

Q5  事業所のメールアドレスが見つかりません。

A  ホームページの「お問い合わせ」に問い合わせフォームがあるかもしれません。それもない場合は、相談支援専門員や市区町村の窓口を通じて連絡しましょう。

Q6  電話恐怖症は治りますか?

A  認知行動療法などの治療で改善することがあります。医療機関に相談してみましょう。ただし、無理に治す必要はありません。電話以外の方法で生活できるなら、それでいいのです。

Q7  「電話が苦手」と伝えたら、変に思われませんか?

A  B型事業所の支援員は、様々な特性を持つ利用者と接しています。「電話が苦手」と伝えても、変に思われることはありません。むしろ、正直に伝えることで、適切なサポートを受けられます。

Q8  電話以外で連絡したら、印象が悪くなりませんか?

A  いいえ。きちんと連絡していれば、印象は悪くなりません。むしろ、自分の特性を理解し、適切な方法でコミュニケーションを取ろうとする姿勢は、評価されます。

Q9  いつか電話ができるようになりたいです。どうすればいいですか?

A  段階的に慣れていく方法(本記事のステップ参照)を試してみましょう。また、認知行動療法などの専門的な治療も効果があります。ただし、焦る必要はありません。

Q10  電話ができない自分はダメな人間ですか?

A  いいえ、そんなことはありません。電話が苦手なことは、あなたの一つの特性に過ぎません。電話以外の方法でコミュニケーションを取れば問題ありません。自分を責める必要はありません。

まとめ 電話ができなくても、見学はできる

見学の電話ができないことは、決して恥ずかしいことでも、ダメなことでもありません。電話が苦手なことは、あなたの一つの特性であり、多くの人が同じ悩みを抱えています。

大切なポイント

  1. 電話以外の方法がある メール、相談支援専門員、家族など、電話以外の方法で見学を予約できます。
  2. 相談支援専門員が最も頼れる 電話が苦手な方には、相談支援専門員を通じる方法が最もおすすめです。
  3. 正直に伝える 「電話が苦手」と正直に伝えることで、事業所側も理解し、適切に対応してくれます。
  4. 段階的に慣れる どうしても電話が必要な場合は、段階的に慣れる方法があります。
  5. 完璧でなくていい 電話する場合、完璧に話す必要はありません。要件だけ伝えればOKです。
  6. 自分を責めない 電話ができないからといって、自分を責める必要はありません。
  7. サポートを求める 一人で抱え込まず、家族、相談支援専門員、医療機関など、サポートを求めましょう。
  8. 無理しない 電話が苦手なら、無理に電話する必要はありません。自分に合った方法を選びましょう。

あなたへのメッセージ

「見学の電話ができない」という悩みを抱えているあなたは、一人ではありません。多くの方が、同じ悩みを抱え、そして乗り越えてきました。

電話ができないからといって、B型事業所を諦める必要はありません。メール、相談支援専門員、家族——電話以外の方法はたくさんあります。そして、これらの方法を使うことは、何も恥ずかしいことではありません。

大切なのは、自分に合った方法で、前に進むことです。無理に電話しなくてもいい。自分のペースで、自分に合った方法で、見学の予約をしましょう。

相談支援専門員、市区町村の窓口、医療機関のスタッフ、家族——あなたをサポートしてくれる人がたくさんいます。一人で抱え込まず、助けを求めてください。

そして、もし電話にチャレンジしたいと思ったら、段階的に慣れていく方法を試してみてください。台本を作る、リハーサルをする、家族に隣にいてもらう——小さなステップを積み重ねることで、いつか電話できるようになるかもしれません。ただし、焦る必要はありません。

あなたが、自分に合った方法で見学の予約をし、B型事業所での新しい一歩を踏み出せることを心から願っています。電話ができないことは、あなたの価値を下げません。あなたには、あなたなりの方法で、前に進む力があります。

一歩ずつ、自分のペースで、前に進んでいきましょう。あなたにぴったりの場所が、必ず見つかります。

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