はじめに
就労継続支援B型事業所を利用したい、または現在利用しているものの、「朝起きれない」「午前中は動けない」「朝の通所が辛い」という悩みを抱えている方は少なくありません。うつ病の症状、薬の副作用、睡眠障害、昼夜逆転——様々な理由で、朝起きることが困難な方にとって、午前中からの通所は大きなハードルです。
しかし、朝起きれなくてもB型は利用できます。B型事業所は、利用者の体調や生活リズムに合わせて柔軟に対応してくれるサービスです。午後からの通所、短時間利用、週1〜2日から——様々な調整が可能です。「朝起きれないからB型は無理」と諦める必要はありません。
また、朝起きれない状態を改善する方法もあります。生活リズムの調整、薬の見直し、睡眠環境の改善——段階的なアプローチで、少しずつ朝起きられるようになることも可能です。ただし、無理は禁物です。体調を最優先にしながら、自分のペースで進めていくことが大切です。
本記事では、朝起きれない理由、朝起きれなくてもB型を利用する方法、起床困難を改善する具体的な方法、そして朝起きれない自分を責めないためのメッセージまで、詳しく解説していきます。
朝起きれない理由
理由1: うつ病の症状
典型的な症状 うつ病では、朝起きれないことが典型的な症状の一つです。
メカニズム:
- 朝が最も症状が重い(日内変動)
- 倦怠感、疲労感が強い
- 起き上がる気力がない
- 「起きなければ」と思うほど、プレッシャーで起きられない
特徴: 午前中は調子が悪く、午後から夕方にかけて少し楽になることが多いです。
理由2: 薬の副作用
向精神薬の副作用 抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などの副作用で、朝起きれないことがあります。
症状:
- 強い眠気
- 体が重い
- 頭がぼーっとする
- ふらつき
持ち越し効果: 睡眠薬の効果が翌朝まで持ち越し(ハングオーバー)、起きられないことがあります。
理由3: 睡眠障害
不眠症 夜眠れず、明け方にようやく眠り、昼まで寝てしまいます。
種類:
- 入眠困難:寝付けない
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒:早朝に目が覚めて眠れない
- 熟眠障害:眠りが浅い
過眠症 いくら寝ても眠く、朝起きられません。
理由4: 昼夜逆転
生活リズムの乱れ 夜型の生活が続き、昼夜が逆転しています。
原因:
- 長期のひきこもり
- 夜にスマホ、ゲーム、動画
- 不規則な生活
悪循環: 朝起きられない → 昼過ぎまで寝る → 夜眠れない → 朝起きられない
理由5: 慢性疲労
疲労が蓄積 慢性的な疲労で、朝起きる体力がありません。
原因:
- うつ病
- 慢性疲労症候群
- 自律神経失調症
- 過労
理由6: 低血圧
起立性低血圧 朝、起き上がると血圧が下がり、めまい、ふらつきで起きられません。
症状:
- めまい
- 立ちくらみ
- 吐き気
- 動悸
理由7: 季節性
冬季うつ 冬場、日照時間が短くなると、朝起きられなくなることがあります。
メカニズム: 日光不足により、セロトニンが不足し、うつ症状が悪化します。
理由8: 動機の欠如
起きる理由がない 「起きなければいけない理由」がなく、起きる動機がありません。
状況:
- 仕事がない
- 予定がない
- ひきこもり
- 「起きても何もすることがない」
理由9: 過去のトラウマ
朝への恐怖 過去に、朝が辛かった経験(学校でのいじめ、職場のパワハラなど)があり、朝に恐怖を感じます。
条件反射: 朝が来ると、無意識に体が固まり、起きられません。
理由10: 体内時計の乱れ
概日リズム障害 体内時計が乱れ、睡眠-覚醒リズムが一般的な時間帯とずれています。
種類:
- 睡眠相後退症候群:寝る時間、起きる時間が遅い
- 非24時間睡眠覚醒症候群:毎日少しずつ寝る時間がずれる
朝起きれなくてもB型を利用する方法
方法1: 午後からの通所
最も現実的な方法 午後から通所できる事業所を選びましょう。
時間帯:
- 13時から
- 14時から
- 15時から
確認: 見学時に「午後からの通所は可能ですか?」と質問しましょう。
多くの事業所が対応: 多くのB型事業所が、午後からの通所に柔軟に対応してくれます。
方法2: 短時間利用
午後から短時間 午後から2〜3時間だけ通所します。
例:
- 14時〜16時(2時間)
- 13時〜16時(3時間)
メリット: 無理なく通所でき、継続しやすいです。
方法3: 週1〜2日から始める
少ない日数 朝起きられない日が多い場合、週1〜2日から始めましょう。
例:
- 週1日、午後2時間
- 週2日、午後3時間
段階的に: 慣れてきたら、徐々に日数を増やします。
方法4: 在宅B型
通所不要 在宅B型なら、朝起きる必要がありません。
メリット:
- 起きた時間から作業開始
- 自分のペースで作業
- 通勤の負担ゼロ
注意: 完全に昼夜逆転すると、在宅でも仕事ができなくなるため、ある程度の生活リズムは必要です。
方法5: フレックスタイム制の事業所
柔軟な時間設定 一部の事業所では、フレックスタイム制を採用しています。
内容:
- 10時〜16時の間で、好きな時間に来て、好きな時間に帰る
- コアタイムなし
確認: 事業所に「フレックスタイム制ですか?」と確認しましょう。
方法6: 送迎サービス(午後)
送迎で楽に 午後からの送迎サービスがあれば、利用しましょう。
メリット:
- 自宅まで迎えに来てくれる
- 通勤の負担が軽減
- 「迎えが来る」という外的な動機
確認: 「午後からの送迎はありますか?」と確認しましょう。
方法7: 起きた時間に連絡
当日の体調で決める 起きた時間に事業所に連絡し、「今から行けます」と伝えます。
柔軟な事業所: 柔軟な事業所なら、「何時でもいいですよ」と受け入れてくれます。
確認: 「起きた時間に連絡して、その時間から通所できますか?」と確認しましょう。
方法8: 午後の作業を選ぶ
午後専用の作業 午後専用の作業がある事業所を選びます。
例:
- 午前:軽作業、午後:パソコン作業
- 午後からパソコン作業専門
確認: 「午後だけの作業はありますか?」と確認しましょう。
方法9: 理解のある事業所を選ぶ
最重要 「朝起きれない」ことを理解してくれる事業所を選びましょう。
見学時に確認: 「うつ病で朝起きれないのですが、午後からの通所は可能ですか?」と正直に伝えましょう。
理解のある事業所: 「全然大丈夫ですよ」「午後からで構いません」と答えてくれる事業所を選びましょう。
方法10: 段階的に朝へシフト
最終目標は朝 最初は午後から、徐々に朝へシフトしていきます。
例:
- 1〜2ヶ月目:14時から
- 3〜4ヶ月目:13時から
- 5〜6ヶ月目:12時から
- 7〜8ヶ月目:11時から
- 9〜10ヶ月目:10時から
焦らない: 焦らず、自分のペースで進めましょう。
朝起きられるようになるための改善方法
改善方法1: 医師に相談
最優先 朝起きられないことを、主治医に相談しましょう。
相談内容:
- 朝起きられない
- 薬の副作用かもしれない
- 睡眠障害かもしれない
対応:
- 薬の調整(睡眠薬の変更、量の調整など)
- 睡眠薬の種類を変える(持ち越し効果が少ないもの)
- 診断書(B型事業所に提出)
改善方法2: 生活リズムの調整
少しずつ早める 就寝時間、起床時間を少しずつ早めます。
方法:
- 毎日15分ずつ早める
- 1週間ごとに30分早める
例:
- 現在:4時就寝、12時起床
- 1週間後:3時30分就寝、11時30分起床
- 2週間後:3時就寝、11時起床
- …
- 最終目標:23時就寝、7時起床
焦らない: 急激な変化は無理です。数ヶ月かけて、ゆっくり調整しましょう。
改善方法3: 朝日を浴びる
体内時計をリセット 起きたら、すぐにカーテンを開けて朝日を浴びましょう。
効果:
- 体内時計がリセットされる
- セロトニンが分泌される
- 夜に眠くなる
時間: 15〜30分程度、朝日を浴びましょう。
曇りの日でも: 曇りの日でも、外の光を浴びることが重要です。
改善方法4: 夜のスマホを避ける
ブルーライトの影響 夜、スマホやパソコンの画面を見ると、ブルーライトで眠れなくなります。
ルール: 就寝1〜2時間前からスマホ、パソコン、テレビを見ない。
代わりに:
- 本を読む(紙の本)
- 音楽を聴く
- ストレッチをする
改善方法5: 規則正しい食事
朝食を食べる 朝食を食べることで、体内時計がリセットされます。
内容:
- タンパク質(卵、納豆など)
- 炭水化物(ご飯、パン)
食欲がない場合: バナナ、ヨーグルトなど、軽いものでOKです。
改善方法6: カフェインの制限
午後以降のカフェイン 午後以降(特に夕方以降)のカフェインを避けましょう。
含まれるもの:
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶
- エナジードリンク
- チョコレート
代わりに: カフェインレスのお茶、水、ハーブティー。
改善方法7: 適度な運動
日中に体を動かす 日中に軽い運動をすることで、夜に眠くなります。
運動:
- 散歩(20〜30分)
- ラジオ体操
- ストレッチ
- ヨガ
タイミング: 午前中〜午後が理想。夜遅くの運動は、かえって眠れなくなります。
改善方法8: 睡眠環境の改善
快適な寝室 寝室を快適にしましょう。
改善点:
- 暗くする(遮光カーテン)
- 静かにする(耳栓)
- 適温にする(夏:25〜26℃、冬:18〜20℃)
- 寝具を快適に(枕、マットレス)
改善方法9: アラームの工夫
起きやすいアラーム アラームを工夫しましょう。
方法:
- 光で起きるアラーム時計
- 好きな音楽をアラームに
- スヌーズ機能を活用
- アラームを遠くに置く(起き上がらないと止められない)
- 複数のアラームを設定
改善方法10: ご褒美を設定
起きる動機 朝起きたら、自分にご褒美をあげましょう。
例:
- 好きな朝食を食べる
- 好きなコーヒーを飲む
- 好きな音楽を聴く
動機: 「起きたら良いことがある」という動機が、起きる力になります。
改善方法11: 誰かに起こしてもらう
外部の力 家族に起こしてもらう、または電話で起こしてもらうサービスを利用します。
家族: 「毎朝○時に起こして」と頼みましょう。
サービス: モーニングコール代行サービスもあります。
改善方法12: 目標を設定
起きる理由を作る 「朝起きる理由」を作りましょう。
例:
- B型に通所する
- 朝の散歩をする
- 朝食を食べる
- 朝のテレビ番組を見る
理由: 「起きる理由」があると、起きやすくなります。
朝起きれない自分を責めない
自己否定をやめる
責めない 「朝起きれない自分はダメだ」と自分を責めないでください。
理由:
- 朝起きれないのは、病気の症状です
- あなたのせいではありません
- 怠けているわけではありません
理解: 朝起きれないことを、自分自身が理解し、許しましょう。
比較しない
他人と比べない 「普通の人は朝起きられるのに」と比較しないでください。
理由:
- あなたは病気と闘っています
- 比較は無意味です
- あなたはあなたのペースで進めばいいのです
できることを認める
できたことを褒める たとえ午後でも、起きられたこと、通所できたことを褒めましょう。
例:
- 「午後だけど、起きられた」
- 「2時間だけど、通所できた」
- 「今日は起きられなかったけど、昨日は起きられた」
小さな成功: 小さな成功を認め、自分を褒めましょう。
周囲の理解を求める
家族に理解してもらう 家族に「朝起きれないのは病気の症状」と理解してもらいましょう。
説明:
- 「怠けているわけではない」
- 「薬の副作用もある」
- 「でも、午後からは頑張っている」
プロに相談
専門家に相談 朝起きれないことを、主治医、相談支援専門員に相談しましょう。
サポート: 専門家が、適切なサポートをしてくれます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 朝起きれないと、B型は利用できませんか?
A: いいえ、午後からの通所が可能です。多くの事業所が柔軟に対応してくれます。
Q2: 午後から通所できる事業所は多いですか?
A: はい、多くの事業所が午後からの通所に対応しています。見学時に確認しましょう。
Q3: 在宅B型なら、朝起きなくてもいいですか?
A: はい、在宅なら起きた時間から作業できます。ただし、完全に昼夜逆転すると仕事ができなくなるため、ある程度のリズムは必要です。
Q4: 薬の副作用で朝起きれません。どうすればいいですか?
A: 主治医に相談し、薬の調整をしてもらいましょう。睡眠薬の種類を変える、量を調整するなど。
Q5: 朝起きられるようになる方法はありますか?
A: はい、生活リズムの調整、朝日を浴びる、夜のスマホを避ける、医師に相談するなど、様々な方法があります。ただし、無理は禁物です。
Q6: 昼夜逆転していますが、B型は利用できますか?
A: 午後からの通所、または在宅B型なら利用できます。ただし、徐々に生活リズムを整えることをお勧めします。
Q7: 家族に「怠けている」と言われます…
A: 朝起きれないのは病気の症状です。家族に理解してもらうよう、説明しましょう。必要なら、主治医から説明してもらうことも可能です。
Q8: 午後から通所すると、工賃は減りますか?
A: 作業時間が短ければ、工賃は少なくなります。ただし、無理して朝から通所して体調を崩すより、午後から無理なく続ける方が大切です。
Q9: 将来、一般就労を目指していますが、朝起きられないとダメですか?
A: 一般企業では、朝からの勤務が一般的です。ただし、午後からの勤務、在宅勤務、フレックスタイム制の企業もあります。まずはB型で生活リズムを整え、徐々に朝起きられるようになることを目指しましょう。
Q10: 朝起きれない自分が情けないです…
A: 朝起きれないのは、病気の症状です。あなたのせいではありません。自分を責めないでください。午後からでも、起きられたこと、通所できたことを褒めてください。
まとめ:朝起きれなくても大丈夫
就労継続支援B型は、朝起きれなくても利用できます。午後からの通所、短時間利用、週1〜2日から、在宅B型——様々な選択肢があります。「朝起きれないからB型は無理」と諦める必要は全くありません。
大切なポイント
- 朝起きれなくても利用可能 午後からの通所が可能な事業所を選びましょう。
- 理解のある事業所を選ぶ 見学時に「朝起きれない」と正直に伝え、理解してくれる事業所を選びましょう。
- 午後から短時間でOK 最初は午後2〜3時間、週1〜2日からでOKです。
- 在宅B型も選択肢 通所が難しければ、在宅B型も検討しましょう。
- 医師に相談 朝起きれないことを主治医に相談し、薬の調整などをしてもらいましょう。
- 段階的な改善 生活リズムの調整、朝日を浴びるなど、段階的に改善を試みましょう。
- 無理は禁物 無理をして朝から通所して体調を崩すより、午後から無理なく続ける方が大切です。
- 自分を責めない 朝起きれないのは病気の症状です。自分を責めないでください。
- 小さな成功を認める 午後でも起きられたこと、通所できたことを褒めましょう。
- 焦らない 焦らず、自分のペースで進めましょう。
あなたへのメッセージ
「朝起きられない」——その悩みは、とても辛いものです。
毎朝、アラームが鳴っても起き上がれない。頭では「起きなきゃ」と分かっているのに、体が動かない。ようやく起きた時には午後になっている——そんな自分に、罪悪感や情けなさを感じているかもしれません。
でも、知ってください。朝起きられないのは、あなたのせいではありません。それは、うつ病の症状であり、薬の副作用であり、睡眠障害であり——病気の一部です。怠けているわけではありません。弱いわけでもありません。あなたは、病気と闘っています。
そして、朝起きれなくても、B型は利用できます。午後からの通所、短時間利用、在宅B型——あなたに合った方法が必ずあります。「朝起きれないからB型は無理」と諦める必要は全くありません。
事業所を選ぶ時、正直に伝えてください。「うつ病で朝起きれません。午後からの通所は可能ですか?」と。理解のある事業所なら、「全然大丈夫ですよ」と答えてくれます。そして、あなたのペースを尊重してくれます。
最初は、午後2時から2時間だけでいいんです。週1日だけでいいんです。それでも、あなたは「働いている」んです。「社会参加している」んです。それは、素晴らしいことです。自分を褒めてください。
そして、少しずつ、生活リズムを整えていきましょう。焦る必要はありません。数ヶ月、1年、2年——長い時間をかけて、ゆっくりと朝起きられるようになっていけばいいんです。午後2時が、午後1時になり、12時になり、11時になり——そうやって少しずつ、前進していきましょう。
もし、どうしても朝起きられるようにならなくても、大丈夫です。午後からの人生だって、立派な人生です。在宅で働く人生だって、素晴らしい人生です。朝起きられることが、人間の価値を決めるわけではありません。
あなたには、価値があります。朝起きられても、起きられなくても、あなたには価値があります。自分のペースで、自分らしく、生きていきましょう。
B型の支援員、相談支援専門員、主治医——たくさんの人が、あなたを支えてくれます。一人で抱え込まないでください。助けを求めてください。そして、自分に優しくしてください。
あなたが、自分のペースで、無理なく、少しずつ前に進んでいけることを心から願っています。朝起きられない今のあなたも、素晴らしいです。そして、少しずつ改善していくあなたも、素晴らしいです。焦らず、諦めず、自分を信じて、一歩ずつ進んでいきましょう。あなたには、その力があります。

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