お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
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就労継続支援B型を利用する本人だけでなく、その家族も様々な不安や悩みを抱えています。「このままで大丈夫なのか」「将来はどうなるのか」「もっと良い選択肢があるのではないか」——こうした不安は、家族として当然のものです。
家族の不安には、経済的な心配、本人の将来への不安、社会的な目、介護の負担など、多岐にわたる要因があります。また、本人の意思を尊重したいという思いと、心配する気持ちの間で揺れ動くこともあるでしょう。
本記事では、B型事業所を利用する家族が抱える不安の種類、その背景、不安との向き合い方、そして家族としてできるサポートについて詳しく解説していきます。
家族が抱える主な不安
1. 経済的な不安
工賃が低すぎる
月額1万円台では生活できない:全国平均約16,000円では自立した生活は不可能
将来の生活費:親が亡くなった後、どうやって生活していくのか
貯金ができない:将来のための貯蓄ができない
家計への負担
家族が支援し続ける必要:食費、住居費、医療費など、家族が負担している
親の老後資金への影響:子どもの支援のため、自分たちの老後資金が不安
きょうだいへの負担:将来、きょうだいに負担がかかるのではないか
2. 将来への不安
親亡き後
自分たちが亡くなった後が心配:誰が面倒を見るのか
一人で生きていけるのか:自立できるのか、生活できるのか
成年後見制度:将来の財産管理、生活支援をどうするか
自立できない不安
いつまでもB型のまま:ずっとB型にいて、成長しないのではないか
一般就労の可能性:本当は一般就労できるのではないか
現状維持でいいのか:もっと頑張れるのではないか、甘やかしているのではないか
3. 本人の成長・スキルへの不安
スキルが身につかない
単純作業ばかり:成長につながる仕事をしていない
時間の無駄では:貴重な若い時間を無駄にしているのではないか
もっと良い環境があるのでは:他に適した場所があるのではないか
やる気が見えない
惰性で通っている:目標もなく、ただ通っているだけ
向上心がない:現状に満足して、成長しようとしない
もったいない:もっと能力があるはずなのに、活かせていない
4. 人間関係・環境への不安
事業所の質
職員の質が心配:適切な支援をしてくれているのか
いじめはないか:利用者同士のトラブルに巻き込まれていないか
安全か:事故や怪我の心配
適切な事業所か:本当にここで良かったのか
悪い影響を受けないか
問題のある利用者:悪い習慣や言葉遣いを学ばないか
向上心のない環境:周りに流されて、やる気を失わないか
閉鎖的な環境:外の世界を知らずに育つのではないか
5. 社会的な不安
世間体
恥ずかしい:正直なところ、世間体が気になる
周りにどう説明するか:親戚や知人にどう説明すればいいか
きょうだいへの影響:きょうだいの結婚などに影響しないか
理解されない
福祉サービスへの偏見:「障害者施設」というイメージへの抵抗
本人の能力が認められない:もっとできるはずなのに、評価されない
6. 親自身の不安
介護疲れ・心労
いつまで支え続けるのか:先が見えない不安
自分の人生:自分の人生を犠牲にしている感覚
休めない:常に心配で、気が休まらない
正解がわからない
これで良かったのか:選択が正しかったのか自信がない
もっと厳しくすべきか:甘やかしすぎているのではないか
過保護か:干渉しすぎているのか、放任すべきか
7. 健康面の不安
体調管理:きちんと自己管理できているのか
通院:定期的に通院しているのか、薬は飲んでいるのか
生活習慣:不規則な生活になっていないか
孤立:引きこもりにならないか
不安の背景にあるもの
愛情と心配
家族の不安の根底にあるのは、本人への深い愛情と心配です。
幸せになってほしい:何より本人に幸せになってほしい
苦労させたくない:苦労や困難から守りたい
自分が守れなくなった後:自分がいなくなった後のことが心配
情報不足
B型事業所や障害福祉制度について、十分な情報がないことも不安の原因です。
制度を理解していない:B型がどういうサービスか、よくわかっていない
他の選択肢を知らない:就労移行支援、A型、一般就労などの違いがわからない
将来の制度:親亡き後の支援制度を知らない
比較と焦り
他の人と比べて、焦りや不安を感じることがあります。
友人の子どもと比較:同年代の子は就職して結婚しているのに
きょうだいと比較:きょうだいは順調なのに
SNSでの比較:他の障害者の成功例を見て焦る
社会の目
社会の障害者に対する目や偏見も、家族の不安を増幅させます。
無理解:障害や福祉サービスへの無理解
偏見:「障害者=何もできない」という偏見
差別:露骨な差別や心ない言葉
不安との向き合い方
1. 情報を得る
不安の多くは、情報不足から来ています。正しい情報を得ることで、不安が和らぐことがあります。
B型について正しく理解する
制度の理解:B型がどういうサービスか、目的、対象者、期限など
他のサービスとの違い:就労移行支援、A型、生活介護などとの違い
工賃の現実:全国平均、なぜ低いのか、どうすれば上がるか
将来の制度を知る
親亡き後の支援:グループホーム、成年後見制度、地域生活支援など
経済的支援:障害年金、生活保護、各種手当
相談先:困った時に相談できる場所
2. 相談する
一人で抱え込まず、専門家や同じ立場の人に相談しましょう。
専門家に相談
相談支援専門員:サービス等利用計画を作成している専門家
事業所の職員:本人の様子、今後の方向性について
市町村の障害福祉窓口:制度、サービスについて
弁護士・社会福祉士:将来の財産管理、成年後見制度について
家族会・親の会
同じ悩みを持つ親:共感し合える、情報交換できる
先輩の親:既に経験した人からアドバイスをもらえる
孤独感の軽減:一人ではないと感じられる
3. 本人と話す
本人の気持ちや考えを聞くことも大切です。
本人の意思を尊重する
何をしたいか:本人は何をしたいのか、どう生きたいのか
今の状況をどう思っているか:B型での生活に満足しているか、不満はないか
将来の希望:将来どうなりたいか
押し付けない
親の価値観の押し付けは避ける:「一般就労すべき」「もっと頑張るべき」と決めつけない
本人のペース:本人には本人のペースがある
比較しない:他の人と比較して責めない
4. 現実を受け入れる
できることとできないことを見極める
能力を正しく評価:過大評価も過小評価もしない
障害の特性:障害による制約を理解する
今の最善:今の選択が、今の本人にとって最善かもしれない
完璧を求めない
B型が悪いわけではない:B型は立派な選択肢の一つ
一般就労だけが正解ではない:幸せの形は人それぞれ
今を認める:今の本人を認め、受け入れる
5. 自分自身を大切にする
家族も、自分自身の人生を大切にすることが重要です。
共依存を避ける
本人の人生と自分の人生を分ける:本人の人生は本人のもの
過度な干渉を避ける:見守ることも愛情
自分の時間を持つ:趣味、友人、自分の楽しみを大切に
休む
完璧な親でなくていい:時には手を抜いてもいい
息抜きをする:レスパイト(一時的な休息)も必要
カウンセリング:必要なら専門家のサポートを受ける
6. 将来に備える
漠然とした不安を減らすために、具体的な準備をしましょう。
経済的準備
障害年金の確認:受給できているか、額は適切か
貯蓄:可能な範囲で貯蓄をする
成年後見制度の検討:将来の財産管理について考える
生命保険・信託:親亡き後の資金について
生活の準備
グループホームの見学:将来の住まいの選択肢を知る
日常生活スキル:少しずつ自立に向けたスキルを身につける
支援ネットワーク:相談できる人、助けてくれる人を増やす
エンディングノート:親の希望、連絡先、財産などを記録
家族としてできるサポート
1. 見守る
過度に干渉せず、適度な距離で見守ることも大切です。
信じる:本人を信じる
任せる:できることは本人に任せる
失敗を許す:失敗も成長のチャンス
2. 応援する
本人の頑張りや成長を認め、応援しましょう。
褒める:小さな成長も褒める
励ます:落ち込んでいる時は励ます
感謝を伝える:通所していること、働いていることに感謝を伝える
3. 環境を整える
本人が安心して通所できる環境を整えます。
規則正しい生活:起床、食事、就寝の時間を規則正しく
健康管理:栄養のある食事、十分な睡眠
話を聞く:事業所での出来事を聞く
相談に乗る:困った時は相談に乗る
4. 情報を提供する
本人が知らない情報や選択肢を提供します。
他のサービス:就労移行支援、A型などの情報
スキルアップの機会:資格取得、講座などの情報
成功例:障害者の就労成功例を共有
5. 事業所と連携する
事業所と良好な関係を築き、連携しましょう。
定期的な面談:職員と定期的に話す機会を持つ
情報共有:家での様子を伝え、事業所での様子を聞く
協力する:イベントや行事に協力する
感謝を伝える:職員への感謝を伝える
6. 境界線を引く
適度な距離感を保つことも大切です。
過保護にならない:何でもやってあげない
過干渉にならない:本人の選択を尊重する
本人の人生:最終的には本人の人生、本人が決める
家族自身のケア
家族も、自分自身のケアを忘れないでください。
ストレスケア
話す:信頼できる人に話す
趣味:自分の楽しみを持つ
運動:適度な運動でストレス発散
カウンセリング:専門家のサポートを受ける
家族の会
親の会:同じ立場の親と交流
きょうだいの会:障害者のきょうだいの会
オンラインコミュニティ:SNSやオンラインでつながる
自分の人生を生きる
自分の人生も大切:子どものためだけに生きない
夫婦の時間:配偶者との時間も大切に
自己実現:自分のやりたいことも大切に
まとめ
就労継続支援B型を利用する家族が不安を抱くことは、当然のことです。経済的な心配、将来への不安、本人の成長、社会の目、様々な不安があります。
不安と向き合うには、正しい情報を得る、専門家や同じ立場の人に相談する、本人と話す、現実を受け入れる、自分自身を大切にする、将来に備えることが大切です。
そして、家族としてできるサポートは、見守る、応援する、環境を整える、情報を提供する、事業所と連携する、適度な境界線を引くことです。
家族も、自分自身のケアを忘れず、自分の人生を大切にしてください。完璧な親である必要はありません。一人で抱え込まず、周りの力も借りながら、本人とともに歩んでいきましょう。
本人も家族も、それぞれが幸せに生きられることを心から願っています。
相談先
- 相談支援事業所:サービス等利用計画を作成している相談支援専門員
- 市町村障害福祉窓口:お住まいの市町村の障害福祉課
- 発達障害者支援センター:発達障害に関する相談
- 精神保健福祉センター:精神障害に関する相談
- 親の会・家族会:各地域の障害者家族会

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