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就労継続支援B型事業所における「囲い込み」は、残念ながら一部の事業所で見られる問題です。本来、B型事業所は利用者の自立や一般就労への移行を支援すべき場所ですが、経営上の理由などから、利用者を事業所に留め置こうとする「囲い込み」が起こることがあります。
「一般就労は無理だ」と言われ続ける、退所したいのに引き止められる、他の選択肢を教えてもらえない、こうした状況に違和感や不安を感じている方もいるでしょう。
本記事では、就労継続支援B型における囲い込みとは何か、なぜ起こるのか、どう見極めるか、そしてどう対処すればよいかについて詳しく解説していきます。
「囲い込み」とは
定義
囲い込みとは、事業所が利用者の意思や利益よりも、事業所の都合を優先し、利用者を事業所に留め置こうとする行為です。
具体的な囲い込みの例
一般就労や他のサービスへの移行を妨げる
「あなたには無理」と言い続ける:就労移行支援やA型への移行、一般就労への挑戦を否定する
可能性を示さない:実際には可能性があるのに、「難しい」「無理だ」と言う
情報を与えない:他の選択肢や制度について教えない
積極的に支援しない:一般就労を目指したいという希望を無視する、協力しない
退所を妨げる
退所届を受理しない:辞めたいと言っても、手続きをしてくれない
過度に引き止める:「裏切り者だ」「恩知らず」などと言って引き止める
脅す:「他に行っても続かない」「また戻ってきても受け入れない」と脅す
手続きを遅らせる:わざと手続きを遅らせ、退所を難しくする
依存させる
自立を妨げる:過度に世話を焼き、自分で考える力を奪う
外部との接点を制限:他の事業所の見学や体験を認めない
選択肢を与えない:「ここしかない」と思い込ませる
経済的な囲い込み
工賃を人質にする:「辞めたら工賃を払わない」と脅す(違法行為)
借金を作らせる:事業所からお金を借りさせ、辞められなくする
なぜ囲い込みが起こるのか
1. 経営上の理由
給付費収入の確保
事業所の主な収入は、国や自治体から支払われる給付費です。利用者が減ると収入が減るため、利用者を確保したいという動機が働きます。
給付費の仕組み:利用者一人あたり、一日あたりの単価で計算される
収入減少の恐怖:利用者が減ると経営が苦しくなる
定員を満たしたい:定員を満たすことで加算がつく場合がある
安定した労働力の確保
優秀な利用者は、事業所にとって貴重な労働力です。
生産性の高い利用者:作業が早く、正確な利用者は手放したくない
教育コスト:新しい利用者を教育するコストを避けたい
受注の安定:優秀な利用者がいることで、安定して受注できる
2. 職員の認識不足
一般就労への理解不足
職員が障害者雇用や一般就労の現状を理解していない場合があります。
偏見:「障害者は一般就労は無理」という偏見
情報不足:最新の障害者雇用の状況を知らない
企業とのつながりがない:一般企業との接点がなく、就労支援ができない
過保護
利用者を守りたいという思いが強すぎて、挑戦を止めてしまうことがあります。
失敗させたくない:一般就労に挑戦して失敗するのを避けさせたい
親心の暴走:「ここにいた方が幸せ」と決めつける
3. 福祉マインドの欠如
利用者主体ではない
本来、福祉サービスは利用者の自立や幸福を最優先すべきですが、事業所の都合を優先してしまうことがあります。
利用者の意思を無視:「あなたのため」と言いながら、実は事業所の都合
自己決定の尊重がない:利用者の選択を尊重しない
4. 制度の理解不足
就労移行支援の役割を理解していない
B型は本来、一般就労が難しい人のための場所ですが、同時に、可能性がある人は就労移行支援などを通じて一般就労を目指すべきです。
B型の役割の誤解:「一度B型に来たら、ずっとB型」と思い込んでいる
ステップアップの意識がない:B型から次のステップへ進むという視点がない
囲い込みの見極め方
以下のような兆候がある場合、囲い込みの可能性があります。
チェックリスト
一般就労の話をすると否定される:「無理だ」「やめておけ」と言われる
他の選択肢を教えてくれない:就労移行支援やA型について説明がない
就職相談に乗ってくれない:相談しても真剣に取り合ってもらえない
他の事業所の見学を嫌がる:「見学する必要はない」と言われる
退所したいと言うと態度が変わる:冷たくなる、怒る、引き止める
「ここが一番良い」と繰り返される:他と比較させようとしない
利用者の成功例を聞かない:一般就労に成功した人の話が全くない
外部との交流がない:企業見学、職場体験などの機会がない
自己決定を尊重しない:「あなたのため」と言って、選択肢を与えない
脅しや罪悪感を使う:「裏切り者」「恩知らず」などと言われる
囲い込みへの対処法
1. 自分の意思を明確にする
まず、自分が本当はどうしたいのかを明確にしましょう。
何を望んでいるか:一般就労、A型への移行、就労移行支援の利用、他のB型事業所など
なぜそう思うのか:理由を整理する
自分の権利を知る:利用者には、サービスを選ぶ権利、退所する権利がある
2. 外部に相談する
事業所内で解決しない場合、外部に相談しましょう。
相談支援事業所
サービス等利用計画を作成している相談支援専門員に相談します。
中立的な立場:事業所とは別の立場で、利用者の味方になってくれる
調整役:事業所と利用者の間に入って調整してくれる
他の選択肢の提案:適切な他のサービスや事業所を紹介してくれる
市町村の障害福祉窓口
お住まいの市町村の障害福祉課に相談します。
事業所への指導:不適切な行為があれば、事業所に指導してくれる
サービスの変更支援:他のサービスへの変更を支援してくれる
都道府県の障害福祉担当部署
より重大な問題の場合、都道府県に相談します。
監査:事業所への立ち入り調査
指導・改善命令:改善を命じる
指定取り消し:悪質な場合、事業所の指定を取り消す
運営適正化委員会(社会福祉協議会)
都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会に相談します。
苦情解決:第三者の立場で苦情を受け付け、解決を支援
無料:相談は無料
秘密厳守:プライバシーは守られる
3. 記録を残す
囲い込みと思われる行為があったら、記録を残しましょう。
日時:いつ起きたか
相手:誰が言ったか、したか
内容:何を言われたか、何をされたか
証拠:可能であれば、メール、メモ、録音など
4. 退所の手続きを進める
退所したいという意思が固まったら、手続きを進めましょう。
退所の流れ
相談支援事業所に相談:まず相談支援専門員に相談し、サポートを受ける
退所の意思を伝える:事業所に退所の意思を伝える(書面が望ましい)
退所届の提出:事業所の退所届を提出する
受給者証の変更:他のサービスを利用する場合、市町村で受給者証の変更手続き
引き継ぎ:次の事業所やサービスへの引き継ぎ
退所を妨害された場合
相談支援専門員に同席してもらう:一人で話すのが不安なら、同席を依頼
市町村に相談:退所を妨害されている旨を市町村に報告
書面で通知:口頭ではなく、書面で退所の意思を通知する
強制的に引き止めることはできない:法律上、利用者の意思に反して引き止めることはできない
5. 次の選択肢を準備する
辞める前に、次の選択肢を準備しておきましょう。
他のB型事業所:複数の事業所を見学・体験して比較
就労移行支援:一般就労を目指すなら、就労移行支援への移行を検討
就労継続支援A型:雇用契約を結び、給料がもらえる
一般就労:障害者雇用枠での就職活動
ハローワーク:障害者専門窓口で相談
6. 家族や信頼できる人に相談
一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に相談しましょう。
客観的な意見:第三者の視点で、冷静なアドバイスがもらえる
サポート:手続きや事業所との交渉をサポートしてもらえる
精神的な支え:不安な時に支えてもらえる
囲い込みをしない良い事業所の特徴
逆に、利用者の自立を本気で支援している良い事業所の特徴も知っておきましょう。
利用者の意思を尊重する
自己決定を尊重:利用者の選択を尊重し、支援する
情報提供:様々な選択肢について、正確な情報を提供する
相談に乗る:一般就労や他のサービスへの移行について、真剣に相談に乗る
一般就労への支援がある
企業とのつながり:企業との連携があり、職場体験や見学の機会がある
就労移行支援との連携:必要に応じて、就労移行支援事業所を紹介する
成功例がある:実際に一般就労に成功した利用者がいる
祝福する:退所や一般就労を喜んで祝福してくれる
透明性がある
工賃の内訳を説明:工賃がどう計算されているか、明確に説明する
契約内容を丁寧に説明:契約時に十分な説明がある
苦情窓口がある:苦情や相談の窓口が明示されている
外部との交流がある:閉鎖的ではなく、外部との交流がある
利用者の成長を支援
スキルアップの機会:研修や学習の機会を提供する
挑戦を応援:新しいことへの挑戦を応援する
ステップアップの道筋:B型から次のステップへの道筋が示されている
利用者の権利
以下のことを知っておきましょう。
サービスを選ぶ権利:どのサービスを利用するか、どの事業所を利用するかは、利用者が自分で決める権利がある
退所する権利:辞めたいと思ったら、辞める権利がある。事業所は強制的に引き止めることはできない
情報を得る権利:他の選択肢やサービスについて、正確な情報を得る権利がある
尊重される権利:人として尊重され、自己決定を尊重される権利がある
相談する権利:外部の相談機関に相談する権利がある
まとめ
就労継続支援B型における囲い込みは、利用者の自立や幸福よりも事業所の都合を優先する、不適切な行為です。一般就労への挑戦を否定される、退所を妨害される、他の選択肢を教えてもらえないなどの兆候があれば、囲い込みの可能性があります。
囲い込みに気づいたら、一人で抱え込まず、相談支援事業所、市町村、運営適正化委員会などの外部機関に相談しましょう。記録を残し、自分の意思を明確にし、必要であれば退所の手続きを進めることができます。
あなたには、サービスを選ぶ権利、退所する権利、自己決定を尊重される権利があります。事業所の都合ではなく、あなた自身の人生を、あなた自身が決める権利があるのです。
自分らしい人生を歩むために、適切な選択をし、必要なサポートを受けながら、前に進んでいきましょう。あなたが自分の意思で選んだ道を歩み、充実した人生を送れることを心から願っています。
相談先
- 相談支援事業所:サービス等利用計画を作成している相談支援専門員
- 市町村障害福祉窓口:お住まいの市町村の障害福祉課
- 運営適正化委員会:都道府県社会福祉協議会
- 障害者110番:都道府県の障害者権利擁護センター

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