就労継続支援B型の次のステップ 目指せる進路と移行のための準備完全ガイド

就労継続支援B型事業所で経験を積み、「次のステップに進みたい」と考えるようになったとき、どのような選択肢があるのでしょうか。B型事業所は終着点ではなく、より自分らしい働き方や生活を目指すための通過点でもあります。本記事では、B型事業所からの次のステップとして考えられる選択肢、それぞれのメリット・デメリット、移行のための準備、そして成功のためのポイントを詳しく解説します。

B型事業所から次のステップを考えるタイミング

まず、「いつステップアップを考えるべきか」について整理します。

ステップアップを検討する目安

体調や症状が安定してきた、B型事業所に週4~5日安定して通えるようになった、作業にも慣れ、物足りなさを感じるようになった、もっと収入を増やしたい、より責任のある仕事に挑戦したい、一般企業で働くことに興味が出てきたといった状況が、ステップアップを考える目安です。

また、主治医や相談支援専門員、事業所の職員から「次のステップを検討してもいいかもしれませんね」と提案されることもあります。専門家の客観的な評価は、判断の重要な材料になります。

焦る必要はない

重要なのは、焦ってステップアップする必要はないということです。B型事業所で長期的に働き続けることも、立派な選択肢です。

無理にステップアップして症状が悪化したり、再び働けなくなったりするよりも、今の環境で安定して働き続ける方が、QOL(生活の質)が高い場合もあります。

「次のステップに進まなければ」というプレッシャーを感じる必要はありません。自分のペースで、自分が望むタイミングで検討すれば良いのです。

就労継続支援B型からの次のステップ選択肢

B型事業所からは、様々な進路が考えられます。それぞれの特徴を理解し、自分に合った選択をしましょう。

1. 就労継続支援A型事業所

就労継続支援A型は、雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を得ながら働く福祉サービスです。

A型の特徴

雇用契約を結ぶため、労働基準法が適用され、最低賃金(時給900円~1,000円程度、地域による)が保障されます。B型の工賃(月平均16,000円程度)と比べて、大幅に収入が増えます。

作業内容は、B型よりやや高度で、企業からの受注業務、施設外就労、飲食店運営、清掃業務などが一般的です。

利用期間の制限はなく、長期的に利用できます。

メリット

収入が大幅に増える(月10万円前後が目安)、雇用保険や社会保険に加入できる、より責任のある仕事に携われる、一般就労に近い環境で働ける、働くことへの自信がつくといった点です。

デメリット

B型より求められるレベルが高い(勤務日数、時間、作業精度など)、雇用契約のため勤怠管理が厳しくなる、体調の波への柔軟性がB型より低い、プレッシャーや責任が増える、場合によっては障害年金が減額される可能性があるといった点です。

向いている人

体調が比較的安定している、週5日程度の勤務が可能、収入を増やしたい、B型の作業では物足りない、一般就労の前段階として経験を積みたいという方に適しています。

2. 就労移行支援事業所

就労移行支援は、一般就労を目指すための訓練を行う福祉サービスです。利用期間は原則2年間です。

就労移行支援の特徴

ビジネスマナー、パソコンスキル、コミュニケーションスキル、ビジネス文書作成、企業実習、面接練習など、就職に必要なスキルを総合的に訓練します。

就職活動のサポート、企業とのマッチング、求人開拓なども行い、就職後も6か月間の定着支援があります。

工賃は発生しないか、あってもわずかです。訓練が目的であるため、収入を得ることは主目的ではありません。

メリット

一般就労に必要なスキルを体系的に学べる、就職活動を専門スタッフがサポート、企業実習で実際の職場を体験できる、就職後も定着支援が受けられる、障害者雇用での就職実績があるといった点です。

デメリット

利用期間が2年間と限定されている、訓練がメインのため収入はほぼない、一般就労を目指すことが前提のため、プレッシャーを感じることもある、就職できない場合もある、B型より通所日数・時間の要求が高いといった点です。

向いている人

一般就労(障害者雇用)を明確に目指している、2年間の訓練期間を経済的に乗り切れる(障害年金や家族の支援など)、週4~5日の通所が可能、新しいスキルを学ぶ意欲がある、訓練中心の生活に耐えられるという方に適しています。

3. 一般就労(障害者雇用枠)

障害者手帳を持っている方は、障害者雇用枠で一般企業に就職できます。

障害者雇用の特徴

企業側に障害への配慮義務があり、勤務時間、業務内容、環境などで配慮を受けられます。

障害をオープンにして働くため、無理なく長く働ける可能性が高まります。

一定規模以上の企業には障害者雇用の法定雇用率があり、求人も増えています。

給与は企業や職種により異なりますが、一般的にA型より高く、月15万円~20万円程度が目安です。フルタイムであれば、より高収入も可能です。

メリット

収入が大幅に増える、社会的な達成感が得られる、キャリアを積める、社会保険や福利厚生が充実、より自立した生活が可能になるといった点です。

デメリット

求められるレベルが高い、責任やプレッシャーが大きい、通勤や勤務時間の負担、人間関係のストレス、体調悪化のリスク、就職しても定着が難しい場合もあるといった点です。

向いている人

症状が安定しており、フルタイムまたは週5日程度の勤務が可能、一定のスキルや経験がある、一般企業で働く意欲が強い、ストレス耐性がある程度ある、就労定着支援などのサポートを受けられるという方に適しています。

4. 一般就労(クローズ就労)

障害を開示せずに、一般枠で就職する選択肢もあります。

特徴

障害を持っていることを会社に伝えず、通常の社員として働きます。給与や待遇は一般社員と同じです。

メリット

給与が障害者雇用より高い場合がある、キャリアの選択肢が広い、「障害者」という枠組みに縛られない、昇進や昇給の機会が平等といった点です。

デメリット

配慮を受けられない、体調が悪くても理解されにくい、通院や服薬を隠す必要がある、ストレスが大きく、症状悪化のリスクが高い、離職率が高いといった点です。

向いている人

症状が非常に安定している、配慮がなくても働ける、障害をオープンにしたくない強い理由がある、高い収入やキャリアを重視するという方に限られます。

ただし、多くの専門家は、精神障害の場合はオープン就労(障害者雇用)を推奨しています。

5. 職業訓練校や専門学校

新しいスキルを身につけるために、職業訓練校や専門学校に進学する選択肢もあります。

特徴

ハロートレーニング(公的職業訓練)、専門学校、オンライン講座などで、IT、デザイン、介護、経理など、様々なスキルを学べます。

職業訓練校は無料または低額で受講でき、訓練期間中は訓練手当が支給される場合もあります。

メリット

新しいスキルが身につく、資格取得ができる、就職の選択肢が広がる、学ぶ意欲が満たされるといった点です。

デメリット

訓練期間中の収入が限られる、学習の負担がある、卒業後の就職が保証されない、通学の負担といった点です。

向いている人

新しい分野に興味がある、学ぶ意欲が高い、経済的に訓練期間を乗り切れる、体調が安定している、将来の就職に向けた投資と考えられるという方に適しています。

6. 在宅就労・フリーランス

在宅で仕事をする選択肢もあります。

特徴

クラウドソーシング、在宅ワーク、フリーランスとして、データ入力、ライティング、デザイン、プログラミングなどの仕事を受注します。

自分のペースで働け、通勤の負担がありません。

メリット

自分のペースで働ける、通勤不要、人間関係のストレスが少ない、体調に合わせて仕事量を調整できる、好きな分野の仕事を選べるといった点です。

デメリット

収入が不安定、社会保険の負担が大きい、孤立しやすい、仕事の獲得が大変、自己管理能力が必要といった点です。

向いている人

特定のスキルがある、自己管理ができる、孤独に耐えられる、収入の不安定さを許容できる、通勤や対人関係が特に負担という方に適しています。

7. B型事業所での継続

次のステップとして、「今のB型事業所で働き続ける」という選択も立派な道です。

特徴

無理にステップアップせず、自分に合ったペースで働き続けます。

メリット

症状の安定を最優先できる、ストレスが少ない、慣れた環境で安心して働ける、無理なく社会参加を継続できるといった点です。

向いている人

今の環境に満足している、症状が完全には安定していない、ステップアップのプレッシャーを避けたい、生活リズムの維持を最優先したいという方に適しています。

次のステップへの移行準備

ステップアップを決めたら、準備を進めます。

相談支援専門員との相談

まず、相談支援専門員に次のステップを考えていることを伝えます。専門家の視点で、現在の状況、適切なタイミング、おすすめの進路などをアドバイスしてもらえます。

サービス等利用計画の見直しも必要になります。

主治医への相談

次のステップに進むことについて、主治医の意見を聞きます。医学的な観点から、今のタイミングが適切か、どの程度の負荷なら大丈夫か、注意すべき点などを確認します。

必要に応じて、診断書や意見書を作成してもらいます。

B型事業所職員との相談

現在通っている事業所の職員にも、次のステップを考えていることを伝えます。これまでの成長を評価してもらい、現状のスキルレベル、改善すべき点などをフィードバックしてもらいます。

事業所によっては、ステップアップ支援として、より高度な作業への挑戦、企業実習の紹介、就労移行支援事業所の紹介などをしてくれることもあります。

見学と体験

次のステップ先の事業所や企業を、複数見学します。実際に見て、雰囲気や環境を確認することが重要です。

可能であれば、体験利用や企業実習を行い、自分に合っているか確かめます。B型事業所に在籍しながら、他の事業所を体験することも可能です。

スキルアップ

次のステップで求められるスキルを、B型事業所にいる間に身につけておきます。

パソコンスキル、ビジネスマナー、コミュニケーションスキル、時間管理能力などを向上させます。

B型事業所で提供される訓練プログラムを積極的に活用します。

生活リズムの安定

次のステップでは、より安定した勤怠が求められます。B型事業所にいる間に、週4~5日の安定した通所、遅刻や欠勤を減らす、体調管理の徹底などを実践し、習慣化します。

経済面の準備

A型や一般就労で収入が増えると、障害年金が減額または停止される可能性があります。収入と支出のバランスを計算し、経済的に成り立つか確認します。

また、就労移行支援を利用する場合は、2年間収入がほぼないため、経済的な準備が必要です。

家族の理解と協力

次のステップに進むことについて、家族に相談し、理解と協力を得ます。通勤のサポート、体調管理のサポート、経済的なサポートなど、家族の協力が成功の鍵となることもあります。

移行時の注意点

次のステップに移行する際の注意点を理解しておきます。

段階的な移行

いきなり環境を完全に変えるのではなく、段階的に移行することが推奨されます。

例えば、B型事業所に週3日通いながら、A型事業所に週2日通うといった併用期間を設けることもできます(事業所によって対応は異なります)。

試用期間の活用

A型事業所や一般就労では、試用期間が設定されることが多くあります。この期間を活用し、自分に合っているか、続けられそうかを慎重に判断します。

無理だと感じたら、早めに相談し、元のB型事業所に戻ることも選択肢です。

就労定着支援の利用

一般就労に移行した場合、就労定着支援サービスを利用できます。就職後3年間、月1回以上の職場訪問や面談を通じて、職場定着をサポートしてくれます。

積極的に活用し、困ったことがあればすぐに相談します。

戻る選択肢も持つ

次のステップに進んだものの、体調が悪化した、環境が合わなかったという場合、元のB型事業所に戻ることも選択肢です。

「一度ステップアップしたら後戻りできない」わけではありません。健康が最優先です。

失敗しないためのポイント

次のステップへの移行を成功させるためのポイントをまとめます。

焦らない

「早くステップアップしなければ」と焦る必要はありません。自分のペースで、準備が整ってから進むことが、長期的な成功につながります。

自己評価と他者評価

自分の能力や体調を客観的に評価します。「できると思う」だけでなく、専門家や周囲の人の評価も参考にします。

過大評価も過小評価も避け、現実的な判断をすることが重要です。

無理をしない

次のステップで無理をして症状が悪化するくらいなら、今の環境で安定している方が良いという判断も大切です。

小さな成功体験の積み重ね

いきなり大きなステップを目指すのではなく、小さなステップを積み重ねることが確実です。

「B型で週3日→週5日→A型で短時間→A型でフルタイム→一般就労」といった段階的な進み方が理想的です。

サポート体制の確保

次のステップに進んでも、相談支援専門員、主治医、就労定着支援員など、サポート体制を維持します。

困ったときにすぐ相談できる体制があることが、安心感につながります。

成功事例

実際にB型事業所から次のステップに進んだ方の例を紹介します。

Aさん(30代男性、うつ病)

B型事業所に3年間通所し、症状が安定。A型事業所に移行し、清掃業務に従事。収入が月3万円から月10万円に増加。1年後、さらに就労移行支援に移行し、訓練を経て障害者雇用で一般企業に就職。現在は事務職として週5日働いている。

Bさん(40代女性、双極性障害)

B型事業所に5年間通所。症状が安定しているが、プレッシャーに弱いため、一般就労は目指さず、A型事業所に移行。週4日勤務で、収入と体調のバランスを保ちながら働いている。

Cさん(20代男性、ASD)

B型事業所でパソコンスキルを磨き、在宅フリーランスとして独立。クラウドソーシングでWebデザインの仕事を受注。収入は不安定だが、自分のペースで働ける環境に満足している。

まとめ

就労継続支援B型事業所からの次のステップには、A型事業所、就労移行支援、一般就労、在宅就労、職業訓練、そしてB型での継続など、様々な選択肢があります。どの道が正解ということはなく、自分の体調、能力、希望、生活状況に応じて選ぶことが大切です。

ステップアップを考える際は、焦らず、専門家や支援者と相談しながら、十分に準備を整えて進むことが成功の鍵です。無理をして症状を悪化させるよりも、安定した状態を維持することを最優先にしましょう。

また、次のステップに進むことだけが成長ではありません。B型事業所で長期的に安定して働き続けることも、立派な選択です。「自分らしい働き方」「自分らしい生き方」を見つけることが、最も重要です。

あなたのペースで、あなたらしい道を進んでいってください。

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