「今の作業が合わない」「別の作業をやってみたい」「体調的に続けられない」就労継続支援B型を利用していて、作業を変更したいと思うことがあります。しかし、「わがままだと思われないか」「断られるのでは」と不安で言い出せない人も多いでしょう。本記事では、作業変更を希望する理由、変更は可能なのか、変更の手続き、伝え方、変更時の注意点、そしてよくある質問まで詳しく解説します。
就労継続支援B型における「作業」とは
まず、作業の基本を理解しましょう。
就労継続支援B型の主な作業内容
事業所によって異なりますが、以下のような作業があります。
軽作業
- 部品の組み立て、仕分け
- 封入作業(ダイレクトメール、チラシなど)
- シール貼り
- 検品作業
- 梱包作業
- 袋詰め
清掃・施設管理
- ビル清掃
- 施設内清掃
- 公園清掃
- 除草作業
農作業
- 野菜の栽培、収穫
- 農園の管理
- 出荷準備
食品関係
- パン・クッキー製造
- 弁当製造
- カフェ運営
- 食品加工
PC・事務作業
- データ入力
- 文書作成
- ホームページ更新
- デザイン作業
クリエイティブ作業
- 手工芸品製作
- アクセサリー製作
- 絵画、イラスト
- 木工作業
その他
- リサイクル作業
- クリーニング
- 内職
- 配達
作業の選び方
多くの事業所では、利用開始時に以下のように作業を選びます。
本人の希望
「やってみたい作業」「興味のある作業」を聞かれます。
アセスメント(評価)
スタッフが、利用者の能力、適性、体調、障害特性などを評価し、適した作業を提案します。
試行期間
複数の作業を試してから、決める場合もあります。
作業変更を希望する理由
なぜ作業を変更したくなるのか、よくある理由です。
1. 身体的な理由
体力的にきつい
- 立ち仕事が辛い
- 重いものを持つのが辛い
- 長時間同じ姿勢がつらい
- 体力がなくてついていけない
身体の痛み
- 腰痛、肩こり、首の痛み
- 手首の痛み(腱鞘炎など)
- 膝の痛み
感覚過敏(発達障害など)
- 騒音が耐えられない
- 強い匂いが苦手
- 触覚過敏(特定の素材が触れない)
- 光が眩しすぎる
病気の悪化・体調不良
- 持病が悪化した
- 薬の副作用で体調が変わった
- アレルギー反応が出た
2. 精神的な理由
ストレス
- 作業がストレスになっている
- プレッシャーを感じる
- 緊張しすぎて疲れる
不安
- ミスをするのが怖い
- うまくできるか不安
- 責任が重すぎて不安
モチベーションの低下
- 作業がつまらない
- やりがいを感じない
- 興味が持てない
- 飽きてしまった
対人関係
- 一緒に作業する人と合わない
- 人と話しながらの作業が苦手
- 一人で黙々とやりたい(または逆に、もっと交流したい)
3. 能力・適性の問題
難しすぎる
- 作業が複雑で理解できない
- 覚えられない
- スピードについていけない
- ミスが多い
簡単すぎる
- 能力を活かせていない
- もっとチャレンジしたい
- 成長を感じられない
向いていない
- やってみたら自分に合わなかった
- 適性がないと感じる
4. 興味・関心の変化
新しい作業に興味
- 他の利用者がやっている作業に興味が湧いた
- 新しい作業が導入されて、やってみたくなった
キャリアの方向性
- 将来の就職に役立つスキルを身につけたい
- 特定の分野のスキルを磨きたい
5. 環境的な理由
作業場所の環境
- 暑い・寒い
- 汚れる
- 危険を感じる
- 換気が悪い
作業変更は可能か?
基本的には可能
結論から言えば、作業変更は可能です。
就労継続支援B型は、利用者が無理なく、自分のペースで働ける環境を提供することが目的です。
合わない作業を無理に続けさせることは、本来の目的に反します。
事業所による違い
ただし、事業所によって対応が異なります。
柔軟な事業所
- 複数の作業がある
- 利用者の希望を尊重する
- 試行期間を設けてくれる
- 定期的に面談で希望を聞く
制約のある事業所
- 作業の種類が少ない(1〜2種類しかない)
- 人員配置の都合で変更が難しい
- 一度決めたら変更できない方針
変更できない場合
以下の場合、変更が難しいことがあります。
- 作業の種類が1つしかない事業所
- 希望する作業の定員が埋まっている
- 他の利用者とのバランス
- 本人の安全上の理由(危険作業など)
その場合、他の事業所への移行を検討することもできます。
作業変更の手続き
具体的に、どのように進めるかを解説します。
ステップ1 自分の気持ちを整理する
なぜ変更したいのか
理由を明確にします。
「何となく嫌」ではなく、「〇〇が辛い」「△△がしたい」と具体的に。
どの作業に変更したいか
希望する作業があれば、明確にします。
「分からない」場合は、「相談したい」でOKです。
いつから変更したいか
すぐなのか、少し様子を見てからなのか。
ステップ2 スタッフに相談する
誰に相談するか
- 担当の支援員
- サービス管理責任者
- 施設長
普段から話しやすいスタッフに、まず相談します。
いつ相談するか
個別面談の時 定期的な個別面談(モニタリング)があれば、そのタイミングで。
作業終了後 作業が終わった後、「少しお時間いただけますか?」と声をかける。
別途アポイント 「相談したいことがあるので、時間を取っていただけますか?」と事前に依頼。
ステップ3 相談・面談
伝え方(例)
身体的な理由の場合 「実は、今の作業が身体的にきつくて、腰痛がひどくなってしまいました。座ってできる作業に変更できないでしょうか?」
精神的な理由の場合 「今の作業が自分に合わないようで、ストレスを感じています。別の作業を試させていただけないでしょうか?」
スキルアップしたい場合 「今の作業にも慣れてきたので、もう少しチャレンジできる作業に挑戦してみたいです。PC作業に興味があるのですが、可能でしょうか?」
対人関係の場合 「今の作業グループの雰囲気が自分に合わないようで、一人で黙々とできる作業に変更できないでしょうか?」
遠慮しない
「わがままかもしれませんが…」と前置きする必要はありません。
正直に、率直に伝えます。
医師の意見書がある場合
医師から「〇〇の作業は避けるべき」などの意見がある場合、それを伝えます。
ステップ4 検討・調整
スタッフ側の検討
スタッフは、以下を検討します。
- 希望する作業が可能か
- 定員、人員配置
- 本人の能力、適性
- 他の利用者への影響
代替案の提示
希望通りにならない場合、代替案が提示されることもあります。
「PC作業は今定員いっぱいですが、〇〇作業はいかがですか?」
試行期間の設定
「まず1週間、新しい作業を試してみましょう。合わなかったら、また相談しましょう」
と試行期間を設けることが多いです。
ステップ5 作業変更の実施
いつから変更するか
日程を決めます。
すぐに変更できる場合もあれば、「来月から」など、少し先になることもあります。
引継ぎ・準備
現在の作業の引継ぎ、新しい作業の準備が行われます。
新しい作業の説明・指導
新しい作業について、スタッフから説明・指導を受けます。
ステップ6 フォローアップ
様子を見る
変更後、スタッフが様子を見て、フォローしてくれます。
振り返り
1週間後、1か月後など、「新しい作業はどうですか?」と聞かれます。
さらなる調整
もし新しい作業も合わなければ、さらに調整します。
作業変更を伝えるときのポイント
1. 早めに相談する
限界まで我慢せず、「合わないかも」と思った段階で相談します。
2. 正直に伝える
「本当の理由を言いにくい」と思っても、正直に伝える方が、適切な対応をしてもらえます。
3. 否定的な言い方は避ける
「この作業は最悪です」ではなく、「自分には合わないようです」と伝えます。
4. 希望を明確に
「とにかく今の作業は嫌」だけでなく、「〇〇作業をやってみたい」と具体的に伝えます。
5. 感謝を伝える
「相談に乗っていただきありがとうございます」と感謝を伝えます。
6. 柔軟に対応する
希望通りにならないこともあります。
代替案を受け入れる柔軟性も大切です。
作業変更後の注意点
1. 新しい作業に慣れるまで時間がかかる
最初は慣れず、戸惑うのは当然です。
焦らず、少しずつ慣れていきます。
2. 分からないことは質問する
遠慮せず、スタッフに質問します。
「分からない」は恥ずかしいことではありません。
3. 完璧を求めない
最初からうまくできなくて当然です。
「60点でOK」の気持ちで。
4. 合わなければまた相談
新しい作業も合わなければ、また相談して大丈夫です。
5. ポジティブな面を見つける
新しい作業の良いところ、楽しいところを見つけるよう意識します。
作業変更が難しい場合の対処法
1. 作業内容の調整
完全な変更ではなく、今の作業の内容を調整してもらいます。
「重いものを持つのは避ける」「座ってできる部分を増やす」など。
2. 作業時間の調整
作業時間を短くする、休憩を増やす、といった調整です。
3. サポートを増やす
スタッフのサポートを増やしてもらう、ペアで作業するなど。
4. 他の事業所への移行を検討
どうしても合わない場合、他の事業所への移行も選択肢です。
相談支援専門員に相談します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 何度も作業を変更してもいいですか?
A. 基本的には可能ですが、あまりに頻繁だと、「本当に自分に合う作業」を見つけるのが難しくなります。
少なくとも1〜2か月は試してから判断することをお勧めします。
ただし、明らかに危険、または心身に悪影響がある場合は、すぐに相談してください。
Q2. 作業変更を希望したら、嫌な顔をされませんか?
A. 良心的な事業所であれば、嫌な顔をされることはありません。
利用者の希望を尊重するのが、支援の基本です。
もし嫌な対応をされたら、それは事業所側の問題です。
Q3. 作業変更で工賃は下がりますか?
A. 作業によって工賃が異なる場合、変わる可能性があります。
ただし、多くの事業所では、作業による工賃の差は小さいです。
心配な場合は、事前に「工賃は変わりますか?」と確認します。
Q4. 作業変更を断られたらどうすればいいですか?
A. 理由を聞きます。
正当な理由(安全上の問題、定員など)であれば、理解します。
納得できない理由であれば、サービス管理責任者や施設長に相談します。
それでも解決しない場合、相談支援専門員や行政の窓口に相談することもできます。
Q5. 他の利用者が羨ましがったり、不公平と言われませんか?
A. それはスタッフが調整すべき問題です。
各利用者の状況は異なり、適切な配置をするのがスタッフの役割です。
あなたが気にする必要はありません。
Q6. 作業変更を希望することは「わがまま」ですか?
A. いいえ、わがままではありません。
自分に合った環境で働くことは、あなたの権利です。
合わない作業を無理に続けることの方が、長期的には問題です。
Q7. 変更後、やっぱり前の作業に戻りたくなったらどうすればいいですか?
A. また相談すれば大丈夫です。
「やってみたら、前の作業の方が良かったです」と正直に伝えます。
Q8. 全部の作業を試してみたいのですが、可能ですか?
A. 事業所によっては、ローテーション制(一定期間ごとに作業を変える)を採用しているところもあります。
希望を伝えてみましょう。
まとめ
就労継続支援B型での作業変更は、身体的な理由、精神的な理由、能力・適性の問題、興味の変化など、様々な理由で希望することがあります。
作業変更は基本的に可能であり、わがままではありません。自分に合った作業で働くことは、あなたの権利です。
変更の手続きは、自分の気持ちを整理し、スタッフに相談し、検討・調整を経て、実施され、フォローアップされます。
伝えるときは、早めに、正直に、具体的に希望を伝え、柔軟に対応することが大切です。
変更後は、慣れるまで時間がかかること、分からないことは質問すること、完璧を求めないこと、合わなければまた相談できることを覚えておきましょう。
どうしても合わない場合は、他の事業所への移行も選択肢です。
あなたが無理なく、自分らしく働ける環境を見つけることが、就労継続支援B型の本来の目的です。
遠慮せず、自分の気持ちを伝え、より良い環境を作っていきましょう。あなたには、自分に合った働き方を選ぶ権利があります。

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